リンク集約グループについて
リンク集約グループ(LAG)は、コントローラのすべてのディストリビューション システム ポートを 1 つの 802.3ad ポートチャネルにまとめます。このため、コントローラでポートを設定するために必要な IP アドレスの数が減ります。LAG が有効である場合、ポートの冗長性は動的に管理され、アクセスポイントは対応するユーザーに透過的にロードバランシングされます。
LAG を使用すると、インターフェイスごとにポートを設定する必要がなくなるため、コントローラの設定が簡素化されます。いずれかのコントローラ ポートに障害が発生した場合は、他のポートへトラフィックが自動的に移行します。少なくとも 1 つのコントローラ ポートが機能している限り、システムは継続して動作し、アクセス ポイントはネットワークに接続されたままとなります。また、ワイヤレス クライアントは引き続きデータを送受信します。
![]() (注) |
ワイヤレス管理 VLAN は、1 つのポートチャネルにのみ設定できます。 |
![]() (注) |
LACP は、Cisco IOS XE Gibraltar 16.12.x リリース以降のスタンドアロンコントローラでサポートされます。LACP は、Cisco IOS XE Amsterdam 17.1.1s 以降の SSO ペアでサポートされています。 |
![]() (注) |
ISE ライセンスの適用を使用する際に、スイッチポート MAC テーブルにデュアル MAC エントリが生成されている場合、1 つの AP に対して 2 つのライセンスが消費されます。したがって、これらの条件で単一のポートが使用される場合は、wired0 を使用してこの動作を回避します。 |
Link Aggregation Control Protocol(LACP)
Link Aggregation Control Protocol(LACP)は IEEE 仕様(802.3ad)の一部で、複数の物理ポートを束ね、1 つの 論理チャネルを形成できます。LACP を使用すると、LACP パケットをピアに送信することにより、スイッチで自動バンドルをネゴシエートできます。ワイヤレスコントローラは LACP を使用することによって、LACP をサポートできるピアのアイデンティティ、および各ポートの機能を学習します。次に、設定が類似しているポートを単一の論理リンク(チャネルまたは集約ポート)に動的にグループ化します。設定が類似しているポートをグループ化する場合の基準は、ハードウェア、管理、およびポートパラメータ制約です。いずれかのコントローラ ポートに障害が発生した場合は、他のポートへトラフィックが自動的に移行します。少なくとも 1 つのコントローラ ポートが機能している限り、システムは継続して動作し、アクセス ポイントはネットワークに接続されたままとなります。また、ワイヤレス クライアントは引き続きデータを送受信します。
LACP を使用した LAG の設定
LACP を使用して LAG を設定するには、複数のポートチャネル インターフェイスを作成し、これらのインターフェイスを対応するポートバンドルに追加する必要があります。LACP バンドルを起動するには、アップリンクスイッチで LACP も設定する必要があります。
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ポートチャネル インターフェイスの作成
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ポートチャネルへのインターフェイスの追加
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LAG への VLAN の追加
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ポートチャネルへのインターフェイスの追加
Port Aggregation Protocol
Port Aggregation Protocol(PAgP)は、コントローラで実行できるシスコ独自のプロトコルです。PAgP を使用すると、イーサネット ポート間で PAgP パケットを交換することにより、EtherChannel を自動的に作成できます。チャネルを形成するために、Fast EtherChannel をサポートするポート間で PAgP パケットが送信されます。いずれかのアクティブポートに障害が発生すると、スタンバイポートがアクティブになります。
コントローラは PAgP を使用することによって、PAgP をサポートできるパートナーの識別情報、および各ポートの機能を学習します。次に、PAgP は設定が類似している(スタック内の単一デバイス上の)ポートを、単一の論理リンク(チャネルまたは集約ポート)に動的にグループ化します。設定が類似しているポートをグループ化する場合の基準は、ハードウェア、管理、およびポートパラメータ制約です。
PAgP を使用した LAG の設定
PAgP を使用して LAG を設定するには、複数のポートチャネル インターフェイスを作成し、これらのインターフェイスを対応するポートバンドルに追加する必要があります。PAgP バンドルを起動するには、アップリンクスイッチで PAgP も設定する必要があります。
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ポートチャネル インターフェイスの作成
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ポートチャネルへのインターフェイスの追加
ポート チャネル インターフェイス番号について
Cisco IOS XE Bengaluru 17.5.1 以降では、次の Cisco Catalyst 9800 シリーズ ワイヤレス コントローラで、ポート チャネル インターフェイス番号を 1 ~ 64 の範囲で柔軟に設定できます。
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クラウド向け Cisco Catalyst 9800-CL ワイヤレスコントローラ:CLI で使用可能な範囲は 1 ~ 64 です。サポートされる最大のポート チャネル インターフェイス数は 64 です。
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Cisco Catalyst 9800-L ワイヤレスコントローラ:CLI で使用可能な範囲は 1 ~ 64 です。サポートされる最大のポート チャネル インターフェイス数は 14 です。
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Cisco Catalyst 9800-40 ワイヤレスコントローラ:CLI で使用可能な範囲は 1 ~ 64 です。サポートされる最大のポート チャネル インターフェイス数は 16 です。
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Cisco Catalyst 9800-80 ワイヤレスコントローラ:CLI で使用可能な範囲は 1 ~ 64 です。サポートされる最大のポート チャネル インターフェイス数は 64 です。
たとえば、Cisco Catalyst 9800-L ワイヤレスコントローラでは、ポート チャネル インターフェイスの総数が 14 以下であれば、ポート チャネル インターフェイス番号は 1 ~ 64 の任意の番号に設定できます。
![]() (注) |
ダウングレード後も HA ペアリングはそのまま維持されることに注意してください。 |
フロー制御について
フロー制御により、接続しているイーサネット ポートは、輻輳しているノードがリンク動作をもう一方の端で一時停止できるようにすることによって、輻輳時のトラフィック レートを制御できます。あるポートで輻輳が生じ、それ以上はトラフィックを受信できなくなった場合、ポーズフレームを送信することによって、その状態が解消されるまで送信を中止するように、そのポートから相手ポートに通知します。ポーズフレームを受信すると、送信側デバイスはデータパケットの送信を中止するので、輻輳時のデータパケット損失が防止されます。
デフォルトでは、フロー制御は day-1 の動作として bay0 と bay1 の両方のポートで有効になっています。バーストトラフィックによって Cisco Catalyst 9800-L ワイヤレスコントローラでオーバーランが発生した場合は、アップリンクスイッチでフロー制御をオンにすることをお勧めします。これによりアップリンクスイッチはコントローラで有効になっているフロー制御設定を優先できます。
![]() (注) |
show コマンドを実行すると、コントローラの CLI でフロー制御がオフまたはサポートされていない状態として表示される場合がありますが、実際のデフォルトの動作はオンです。詳細については、https://bst.cloudapps.cisco.com/bugsearch/bug/CSCwk52366 を参照してください。 |
ON モードでの LAG の設定
ON モードで LAG を設定するには、複数のポートチャネル インターフェイスを作成し、これらのインターフェイスを対応するポートバンドルに追加する必要があります。LACP バンドルを起動するには、アップリンクスイッチで LACP も設定する必要があります。
マルチシャーシリンク集約グループ
Cisco IOS XE Amsterdam 17.2.1 以降、コントローラをスイッチのインフラストラクチャに柔軟に接続できるマルチシャーシリンク集約グループ(multi-LAG)がサポートされています。multi-LAG を使用すると、コントローラからの複数のアップリンクを個別のアップリンクスイッチに接続できます。コントローラは、マルチスイッチトポロジに接続されている場合、VLAN ベースのトラフィック分割をサポートします。これにより、VLAN に基づいてさまざまなアップリンクにトラフィックを分散できます。たとえば、ゲストトラフィックを企業ネットワークとは異なるスイッチまたはネットワークに完全に分離できるユースケースをサポートします。両方のアップリンクに同じ VLAN を設定することはできません。
LAG は単一のスイッチに接続できます。ただし、VLAN ごとに異なる LAG に接続する必要があります。冗長性ポートは、アップリンクと同じ分散スイッチに接続するか、バックツーバックで接続する必要があります。
multi-LAG は、LAG ON モード、LACP、および PAgP モードでサポートされます。
マルチ LAG の前提条件
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各 LAG は、単一のスイッチに接続する必要があります。
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VLAN ごとに異なる LAG に割り当てる必要があります。
マルチ LAG の制限事項
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プライマリ LAG に障害が発生した場合、セカンダリ LAG への自動フェールオーバーはサポートされません。
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スイッチポートでポートをシャットダウンするか、シャットダウンを解除しても、コントローラのインターフェイスは起動しません。
(注)
これは、SR-IOV の KVM 環境の Cisco Catalyst 9800- CL クラウド ワイヤレス コントローラに固有です。
サポートされるトポロジ
Cisco Catalyst 9800-80 ワイヤレス コントローラには 8 つのポートがあり、Cisco Catalyst 9800-40 および Cisco Catalyst 9800-L ワイヤレス コントローラにはそれぞれ 4 つのポートがあります。2.5 G と 2.5 G、または 10 G と 10 G など、同様の機能を持つポートの Multi-LAG を作成できます。1 つの LAG に 2 つ以上のポートを持つポートチャネルグループには 2.5 G と 10 G ポートを含めることはできません。


ポート チャネル インターフェイスの設定(GUI)
手順
ステップ 1 |
[Configuration] > [Interface] > [Logical] を選択します。 |
ステップ 2 |
[Port Channel] タブをクリックして、ポート チャネル インターフェイスを設定します。 [Port Channel] タブには、デバイス上のすべての論理ポート チャネル インターフェイスが一覧表示されます。 |
ステップ 3 |
[Add] をクリックして、新しい論理ポート チャネル インターフェイスを追加します。 [Add Port Channel Interface] ウィンドウが表示されます。 |
ステップ 4 |
[Add Port Channel Interface] で、次の手順を実行します。 |
ポートチャネル インターフェイスの作成
次の手順に従ってポート チャネル インターフェイスを作成します。
手順
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 |
configure terminal 例:
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グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface port-channel port-channel 例:
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ポートチャネルを設定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 ポートチャネル番号の有効な値の範囲は 1 ~ 64 です。 |
ステップ 3 |
switchport mode trunk 例:
|
ポートをトランクとして設定します。 |
ステップ 4 |
no shutdown 例:
|
インターフェイスをイネーブルにします。 |
ON モードでの LAG の設定
次の手順に従って、ON モードで LAG を設定します。
手順
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 |
configure terminal 例:
|
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface TenGigabitEthernet port-slot 例:
|
ポートを設定します。 |
ステップ 3 |
switchport mode trunk 例:
|
ポートをトランクとして設定します。 |
ステップ 4 |
no shutdown 例:
|
インターフェイスをディセーブルにします。 |
ステップ 5 |
channel-group group-number mode on 例:
|
ポートをチャネルグループに割り当て、ON モードを指定します。 ポートチャネル番号の有効な値の範囲は 1 ~ 64 です。 |
ステップ 6 |
switchport trunk allowed vlan vlan-id 例:
|
ポートがトランキングモードの場合に、許可された VLAN ID をポートに割り当てます。 |
ポートチャネルへのインターフェイスの追加(LACP)
LACP を使用してポートチャネルにインターフェイスを追加するには、次の手順に従います。
手順
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 |
configure terminal 例:
|
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface TenGigabitEthernet port-slot 例:
|
ポートを設定します。 |
ステップ 3 |
channel-group group-number {active | passive} 例:
|
チャネルグループにポートを割り当て、LACP モードを指定します。 ポートチャネル番号の有効な値の範囲は 1 ~ 64 です。 |
ステップ 4 |
switchport mode trunk 例:
|
ポートをトランクとして設定します。 |
ポートチャネルへのインターフェイスの追加(PAgP)
PAgP を使用してポートチャネルにインターフェイスを追加するには、次の手順に従います。
手順
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 |
configure terminal 例:
|
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface TenGigabitEthernet port-slot 例:
|
TenGigabit イーサネット インターフェイスを設定します。 |
ステップ 3 |
channel-group group-number {auto | desirable} 例:
|
ポートをチャネルグループに割り当て、PAgP モードを指定します。 ポートチャネル番号の有効な値の範囲は 1 ~ 64 です。 |
ステップ 4 |
switchport mode trunk 例:
|
ポートをトランクとして設定します。 |
ポートチャネルへの VLAN の追加
ポートチャネルの下に異なる VLAN を追加するには、次の手順に従います。
手順
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 |
configure terminal 例:
|
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface port-channel port-channel 例:
|
ポートチャネルを設定します。 ポートチャネル番号の有効な値の範囲は 1 ~ 64 です。 |
ステップ 3 |
switchport trunk allowed vlan vlan-id 例:
|
許可 VLAN のリストに VLAN を追加します。 |
物理インターフェイスからのポートチャネルグループの削除
物理ポートからポートチャネルグループを削除するには、次の作業を実行します。
手順
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 |
configure terminal 例:
|
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface TenGigabitEthernet port-slot 例:
|
TenGigabit イーサネット インターフェイスを開始します。 |
ステップ 3 |
no channel-group 例:
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物理ポートからポートチャネルグループを削除します。 |
ステップ 4 |
end 例:
|
インターフェイス コンフィギュレーション モードを終了します。 |
LAG 設定の確認
ポートチャネルの状態を表示するには、次のコマンドを使用します。
Device# show etherchannel summary
Flags: D - down P - bundled in port-channel
I - stand-alone s - suspended
H - Hot-standby (LACP only)
R - Layer3 S - Layer2
U - in use f - failed to allocate aggregator
M - not in use, minimum links not met
u - unsuitable for bundling
w - waiting to be aggregated
d - default port
A - formed by Auto LAG
Number of channel-groups in use: 1
Number of aggregators: 1
Group Port-channel Protocol Ports
------+-------------+-----------+-----------------------------------------------
3 Po3(SU) LACP Tw0/0/0(P) Tw0/0/1(P)
4 Po4(SU) LACP Tw0/0/2(P) Tw0/0/3(P)
LACP または PAgP の設定を確認するには、次のコマンドを使用します。
Device# show running-config interface tenGigabitEthernet 0/0/0
Building configuration...
Current configuration : 114 bytes
!
interface TwoGigabitEthernet0/0/0
switchport trunk allowed vlan 16,17
switchport mode trunk
speed 1000
no negotiation auto
no snmp trap link-status
channel-group 3 mode on
Device# show running-config interface port-channel 1
Building configuration...
Current configuration : 54 bytes
!
interface Port-channel1
switchport mode trunk
switchport trunk allowed vlan 10,30,50
end