動的保証ビットレート

ここでは、次の内容について説明します。

機能の概要と変更履歴

要約データ

該当製品または機能エリア

  • P-GW

  • SAEGW

該当プラットフォーム

  • ASR 5500

  • VPC-DI

  • VPC-SI

機能のデフォルト

無効:設定が必要

このリリースでの関連する変更点

N/A

関連資料

  • Command Line Interface Reference

  • P-GW Administration Guide

  • SAEGW Administration Guide

マニュアルの変更履歴

改訂の詳細

リリース

最初の導入。

21.4

機能説明

保証ビットレート(GBR)専用ベアラーが使用されている場合は、リソースの帯域幅がネットワーク上で予約されます。サブスクライバデータフローが、割り当てられた値よりも低帯域幅である場合、余分な GBR はネットワーク上で無駄になります。

この機能により、ゲートウェイがベアラーでの GBR の使用状況を定期的にモニターし、その使用状況に対応する柔軟性が追加されます。ゲートウェイは、それに応じて、割り当てられた GBR をステップアップまたはステップダウンします。

機能の仕組み

この項では、ダイナミック GBR 機能の動作について説明します。
  • 専用 GBR ベアラーは、セッションセットアップ時または特定のコールイベント時にローカルポリシーの設定を使用して作成されます。

  • SAEGW は、ベアラーの作成後に GBR を 30 秒間隔でモニターします。

  • 各間隔の後、SAEGW は設定されたしきい値で平均データレートを検証します。

  • しきい値違反があると、GBR は設定値に従ってステップアップまたはステップダウンします。

  • SAEGW では、GBR の上限と下限のしきい値の設定、および上限と下限のしきい値に対応するステップアップまたはステップダウンの値の設定が可能です。

上限しきい値違反

最初のしきい値違反
  • サブスクライバは、QCI=qci1、GBR を 1000 kbps、上限しきい値を 80%(800 kbps)に設定して専用ベアラーを作成します。

  • 30 秒ごとにデータレートが評価されます。しきい値制限に違反すると、SAEGW はベアラー更新要求を開始して GBR 値をアップグレードし、設定されたパーセンテージの値でステップアップます。

  • 30 秒後、評価されたデータレートが 800 kbps を超えている場合、ベアラー更新要求が開始され GBR をアップグレードします。GBR は、初期設定された GBR とステップアップで設定されたパーセンテージの集約値でアップグレードされます。たとえば、ステップアップ増分が 20%(200 kbps)に設定されている場合、ベアラー更新要求は 1200 kbps でトリガーされます。

2 回目のしきい値違反:
  • GBR が 1200 kbps に増加すると、モニタリングされる新しい上限しきい値は 1200 の 80%、つまり 960 kbps になります。

  • 次のモニタリング間隔で、データレートの使用が 960 kbps を超えると、SAEGW は再びベアラー更新要求を開始して、GBR 値をアップグレードします。これらの GBR 値がアップグレードされ、設定されたパーセンテージ値(20%)でステップアップします。ただし、この 20% はベース値が 1000 であり、1200 kbps ではありません。したがって、増分は再び 200 kbps であり、ベアラー更新要求は新しい GBR として 1400 kbps となります。

    重要


    ステップ増分のパーセンテージは、ベアラーのベース(初期)値のものであり、現在ネゴシエートされている値ではありません。GBR をステップアップできる最大値は、設定された MBR 値です。


下限しきい値違反

最初のしきい値違反
  • サブスクライバは、QCI=qci1、GBR を 1000 kbps、下限しきい値を 50% に設定して、専用ベアラーを作成します。

  • 上限しきい値違反により、SAEGW は GBR を 1400 kbps にアップグレードしました。

  • ベアラーの使用が 700 kbps(現在の GBR の 50%)を下回ると、SAEGW はベアラー更新要求を開始して GBR をダウングレードします。これらの GBR 値はダウングレードされ、設定値(例:20%)分ステップダウンします。すなわち、1400 - 200 = 1200 kbps となります。

    重要


    ステップ減分のパーセンテージは、ベアラーのベース(初期)値のものであり、現在ネゴシエートされている値ではありません。GBR 値が、初期ネゴシエート値未満にステップダウンすることはありません。


2 回目のしきい値違反:
  • GBR が 1200 kbps に低下すると、データはさらに減少して新しい 50% 下限しきい値に違反します。つまり、1200 の 50% = 600 kbps です。

  • SAEGW はベアラー更新要求を開始して GBR 値をダウングレードし、設定値(20%)でステップダウンします。つまり、1200 - 200 = 1000 kbps となります。

制限事項と制約事項

ここでは、この機能の制限事項と制約事項について説明します。
  • SAEGW は、30 秒間隔でベアラー帯域幅をモニターします。

  • GBR の使用量が設定されたしきい値の設定可能なパーセンテージを超えると、SAEGW はベアラー変更手順を開始します。SAEGW は上限設定値を使用して、ベアラー QoS 更新でこの手順を開始します。これに応じて、eNB と UER は GBR を調整します。

  • GBR の使用量が設定されたしきい値の設定可能なパーセンテージより下になると、SAEGW はベアラー変更手順を開始します。このベアラー変更手順は下限設定値を使用して、ベアラー QoS 更新で開始されます。これに応じて、eNB と UER は GBR を調整します。

  • 複数のルールが同じベアラーに設定されている場合、現在ネゴシエートされているベアラー値から QoS が適用されます。この機能がベアラーで有効になっている場合、ruledef に対応する課金アクションの個々の値は無視されます。

  • モニター対象のベアラーについては、ビットレートが変更されるか、ルールが削除されると、GBR の基本値が変更されます。この GBR の基本値の変更により、ステップアップまたはステップダウンの値が変更されます。

  • セッションリカバリと ICSR がサポートされています。

  • ステップアップとステップダウンの値は、ベアラーに適用されている現在の GBR ではなく、ベアラーの GBR の基本値に基づいて計算されます。

専用 GBR ベアラーの設定

ここでは、この機能のために追加された設定コマンドについて説明します。

この設定後、以下の新しい設定を有効にする必要があります。

  1. ステップダウンする GBR 値を決定するための GBR の下限(%)。

  2. ステップアップする GBR 値を決定するための GBR の上限(%)。

  3. しきい値のステップアップ(%)。

  4. しきい値のステップダウン(%)。この値は、ステップアップしきい値よりも小さくする必要があります。

trigger

この CLI コマンドに、新しい CLI キーワード Bearer-creationmonitor-bearer-bandwidth が追加されました。キーワード bearer-creation は、作成されたすべての新しいベアラーでトリガーします。キーワード monitor-bearer-bandwidth は、ベアラー帯域幅が評価されるたびにトリガーします。


configure 
     active-charging service <service_name> 
        service scheme <service_scheme_name> 
            [ no ] trigger {  bearer-creation | flow-create | loc-update | monitor-bearer-bandwidth |  sess-setup } 
            end 

注:

デフォルトでは、この CLI は無効になっています。
  • no:あらかじめ設定されている場合は、指定した設定を削除します。

  • Bearer-creation:すべての新しいベアラーでトリガーします。

  • flow-create:すべての新しいフローでトリガーします。

  • loc-update:サブスクライバのロケーションが変更されるたびにトリガーします。

  • sess-setup:セッションのセットアップでトリガーします。

  • monitor-bearer-bandwidth:ベアラー帯域幅が評価されるたびにトリガーします。

committed-data-rate

この CLI コマンドが ACS トリガー アクション コンフィギュレーション モードに追加され、現在のネゴシエートされている値の認定データレートを設定できるようになりました。


configure 
     active-charging service <service_name> 
        trigger-condition <trigger_condn_name> 
            [ no ] committed-data-rate { lower_threshold <value_in_percentage> | upper_threshold <value_in_percentage> } 
            end 
注:
  • no:現在ネゴシエートされている値の認定データレートを無効にします。

  • commited-data-rate:現在ネゴシエートされている値の認定データレートを指定します。

  • Lower threshold:現在のネゴシエートされている値のしきい値をパーセンテージで設定します。

  • upper threshold:現在のネゴシエートされている値のしきい値をパーセンテージで設定します。

  • value_in_percentage:初期設定される committed-data-rate 値のパーセンテージを指定します。これは、0 ~ 100 の整数値です。

step-up

この新しい CLI コマンドが ACS トリガー アクション コンフィギュレーション モードに追加され、認定データレートの値をステップアップできるようになりました。


configure 
     active-charging service <service_name> 
        trigger-action <trigger_action_name> 
            [ no ] step-up committed-data-rate <negotiated_value> 
            end 
注:
  • no:あらかじめ設定されている場合は、指定した設定を削除します。

  • step-upnegotiated_valueで定義されたパーセンテージで認定データレートの値をステップアップします。

  • commited-data-rate:認定データレートを定義します。

    negotiated_value:初期設定される committed-data-rate 値のパーセンテージを指定します。これは、0 ~ 100 の整数値です。

step-down

この新しい CLI コマンドが ACS トリガー アクション コンフィギュレーション モードに追加され、認定データレートの値をステップダウンできるようになりました。


configure 
     active-charging service <service_name> 
        trigger-action <trigger_action_name> 
            [ no ] step-down committed-data-rate <negotiated_value> 
            end 
注:
  • no:あらかじめ設定されている場合は、指定した設定を削除します。

  • step-downnegotiated_valueで定義されたパーセンテージで認定データレートの値をステップダウンします。

  • commited-data-rate:認定データレートを定義します。

    negotiated_value:初期設定される committed-data-rate 値のパーセンテージを指定します。これは、0 ~ 100 の整数値です。

設定例

ここでは、この機能で使用する CLI コマンドの設定例を示します。


config
  active-charging service ACS
  trigger-action ta1
      step-up  committed-data-rate  20
    exit
		trigger-action ta2
     step-down committed-data-rate  30
    exit
    trigger-condition tc1
      qci = 1
      committed-data-rate upper-threshold 80
    exit
    trigger-condition tc2
      qci = 1
      committed-data-rate lower-threshold 50
    exit
    service-scheme scheme1
      trigger monitor-bandwidth
        priority 1 trigger-condition tc1 trigger-action ta1
        priority 2 trigger-condition tc2 trigger-action ta2
      exit
    subs-class class1
      any-match = TRUE
    exit
    subscriber-base base1
      priority 1 subs-class class1 bind service-scheme scheme1
    exit
exit