eMPS の Gx サポート

機能の概要と変更履歴

要約データ

該当製品または機能エリア

  • P-GW

  • SAEGW

該当プラットフォーム

ASR 5500

機能のデフォルト

  • eMPS セッションの GTP および Gx の優先順位付け:無効 - 設定が必要

  • DRMP AVP の解析:有効 - 常時オン

このリリースでの関連する変更点

N/A

関連資料

  • Command Line Interface Reference

  • P-GW Administration Guide

  • SAEGW Administration Guide

マニュアルの変更履歴

改訂の詳細

リリース

最初の導入。

21.3

機能説明

National Security/Emergency Preparedness(NS/EP)Next Generation Network(NGN)Priority Services(NGN-PS)(旧称 NGN Government Emergency Telecommunications Service(GETS))とは、パブリックパケット交換サービスプロバイダーから利用可能なサービスに基づく一連の音声、動画、およびデータのサービスであり、National Security and Emergency Preparedness(NS/EP)の通信をサポートする優先処理を提供します。サービスプロバイダーとは、GETS(レガシー GETS を含む)、ワイヤレス プライオリティ サービス(WPS)、または NS/EP NGN プライオリティサービス(NS/EP NGN-PS)を提供することが NCS によって許可されている公衆電気通信サービスプロバイダーです。NS/EP NGN-PS は、サービスユーザーの NS/EP 通信に関する優先処理を提供するものであり、サービスプロバイダーのネットワークで、輻輳を原因とする障害が発生したり、自然災害(洪水、地震、ハリケーンなど)による損傷が発生したり、人為的な災害(物理攻撃、サイバー攻撃、または他の形態のテロ攻撃など)が発生したりした場合に必要です。

この機能を使用すると、ネットワークでの NS/EP NGN プライオリティサービスのサポートが追加されます。これにより、P-GW ノードはまず、(設定された Enhanced Multimedia Priority Service(eMPS)により進化した割り当ておよび保持プライオリティ(eARP)に基づいて)eMPS ベアラーまたはセッションを識別し、その後にネットワーク上の GTP および Gx シグナリングを優先処理します。

重要


eMPS プロファイルの設定(eMPS ベアラーまたはセッションとしてベアラーまたはセッションを識別するために使用される eMPS ARP の設定)、および eMPS 統計に関連する補足情報については、『P-GW Administration Guide』または『SAEGW Administration Guide』の「VoLTE/緊急コールの拡張優先順位付け」の章を参照してください。


GTP および Gx シグナリングの優先順位付け

  1. eMPS セッションにおける GTP シグナリングの優先順位付けは、次のことを意味します。
    • 負荷および過負荷制御により、eMPS セッションの GTP 制御トラフィックがスロットリングから除外されます(負荷および過負荷制御に関する補足情報については、『P-GW Administration Guide』または『SAEGW Administration Guide』の「P-GW、SAEGW、および S-GW での 3GPP R12 GTP-C 負荷および過負荷制御のサポート」の章を参照してください)。

  2. eMPS セッションにおける Gx シグナリングの優先順位付けは、次のことを意味します。
    • eMPS セッションの Gx トラフィックが発信 RLF スロットリングから除外されます(RLF スロットリングは Gx 発信メッセージにのみ適用されます)。

    • eMPS セッションの Gx トラフィックが最大未処理キューの判定から除外されます。

RAR メッセージからの DRMP AVP の解析

Gx インターフェイスでの RAR メッセージからの DRMP AVP を解析するためのサポートも拡張されています。また、DRMP 値が 0 として受信された場合は、対応する応答(RAA)メッセージが優先されます。つまり、Gx RLF スロットリングおよび最大未処理キューの判定からは除外されます。

他の機能との関係

この機能は、eMPS プロファイル、負荷/過負荷制御、Gx RLF スロットリング、および最大未処理設定機能に関連しています。これらの機能のうち、1 つ以上を使用するには、追加のライセンスキーをインストールする必要があります。

機能の仕組み

この機能の動作の概要を以下で説明します。
  • 新しく導入された CLI コマンド diameter session-prioritization は、eMPS セッションの Gx シグナリングの優先順位付けを有効または無効にするために使用します。この CLI コマンドは、ims-authorization サービスの policy-control 設定にあり、以下の動作のために必要となります。
    • eMPS セッションの Gx トラフィックを RLF スロットリングから除外する。

    • eMPS セッションの Gx トラフィックを最大未処理キューの判定から除外する。

    次の Gx シグナリングは、RLF スロットリングおよび最大未処理キューの判定から除外されます。
    • eMPS セッションのすべての Gx シグナリング。

    • eMPS アップグレード/ダウングレード切り替えに関連する Gx シグナリング。これにはアクセステクノロジー間ハンドオーバーも含まれます。

    • eMPS アップグレードの失敗(アクセス側からの UBRsp/CBRsp の失敗)の一部として開始される Gx シグナリング。

  • RAR からの DRMP AVP を解析し、DRMP 値が 0 として受信した場合、対応する RAA を優先させるサポートが追加されました。この動作はデフォルトで有効になっており、eMPS セッションと非 eMPS セッションの両方に適用でき、diameter session-prioritization CLI コマンドとは無関係です。

  • GTP 負荷過負荷スロットリングの動作:Cisco P-GW は、自己過負荷シナリオとピア過負荷シナリオの両方で GTP 負荷過負荷スロットリングをサポートしています。ただし、これらの条件下でも、eMPS セッションの GTP シグナリングはスロットリングから除外する必要があります。この優先順位付けを機能させるには、eMPS プロファイルで設定されているすべての eARP 値を、負荷過負荷プロファイル構成で(自己過負荷とピア過負荷の両方について)設定する必要があります。負荷過負荷プロファイル構成(自己過負荷およびピア過負荷)で設定された追加の eARP 値については、自己過負荷とピア過負荷の従来の動作が続行されます。

    eMPS プロファイル構成で設定された eARP 値に変更がある場合:
    1. 既存のセッションの場合:

      1. そのセッションの既存のベアラーの eARP 値に変更がある場合、またはそのセッションのベアラーの作成時に、eMPS アップグレード/ダウングレード切り替え用の新しい設定が考慮されます。

      2. セッションが eMPS とマークされるまで、自己過負荷とピア過負荷の従来の動作が、新しく設定された eARP 値について続行されます。

    2. 新しいセッションの場合:

      1. 新しい設定はシームレスに反映されます。

  • セッションリカバリと ICSR により、セッションの eMPS 状態が回復されます。

  • Government Industry Requirements(GIR)ドキュメントに従って、eMPS マーキングは P-GW EUTRAN および S4-SGSN PDN に対してのみ行われます。

制限事項

この機能には次の既知の制限事項があります。
  • セッションが eMPS とマークされている場合、そのセッションは非 eMPS セッションにダウングレードされた後も、GTP 自己過負荷の状況下で GTP スロットリングから除外されたままになります。

  • セッションで、内部障害によりセッションを非 eMPS から eMPS にアップグレードできるベアラー更新要求またはベアラー作成要求に失敗すると、対応する CCR-U が優先されない場合があります。

eMPS の Gx サポートの設定

ここでは、この機能をサポートするために使用可能な CLI コマンドについて説明します。

eMPS プロファイルの設定

次のコマンドを使用して eMPS プロファイルを設定します。この eMPS プロファイルは、eMPS ベアラーまたはセッションとしてベアラーまたはセッションを識別およびマークするために使用されます。
configure 
		emps-profile emps_profile 
				earp earp_value earp_value 
				end 

重要


eMPS プロファイルの設定(eMPS ベアラーまたはセッションとしてベアラーまたはセッションを識別するために使用される eMPS ARP の設定)、および eMPS 統計に関連する補足情報については、『P-GW Administration Guide』または『SAEGW Administration Guide』の「VoLTE/緊急コールの拡張優先順位付け」の章を参照してください。


eMPS セッションの Gx 優先順位付けの有効化

セッションの eMPS 状態に基づく Gx メッセージの優先順位付けを有効にするには、ポリシー制御コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
configure 
		context context_name 
				ims-auth-service service_name 
						policy-control 
								[ no ] diameter session-prioritization 
								end 
注:
  • デフォルトでは、diameter session-prioritization CLI コマンドは無効になっており、Gx メッセージは eMPS 値に基づいて優先順位付けされません。

  • 以前に設定されている場合は、no diameter session-prioritization CLI コマンドを使用してデフォルトの動作を設定します。

  • diameter session-prioritization CLI は、eMPS プロファイルとともに、Gx が設定で有効になっている場合に有効になります。

GTP 負荷の過負荷スロットリングにおける eMPS セッションの GTP 優先順位付けの有効化

GTP ピア過負荷制御や自己保護の設定がシステムで有効になっている場合は、次の設定を使用して、GTP シグナリングに関連する eMPS セッションの優先付けを行います。これらの設定では、ピア過負荷または自己保護の条件下でのスロットリングから eMPS セッションの GTP トラフィックを除外するオプションが提供されます。
configure 
		emps-profile emps_profile_name 
				earp earp_value earp_value 
				end 
configure 
		gtpc-overload-control-profile overload_profile 
				throttling-behavior earp earp_value earp_value exclude 
				self-protection-behavior earp earp_value earp_value exclude 
				end 
注:
  • emps-profile emps_profile_name :eMPS セッションの属性を定義するための eMPS プロファイルを設定します。emps_profile_name は、1 ~ 63 文字の文字列です。

  • earp :最大 3 つの eARP プライオリティレベル(PL)値を設定して、設定された eARP プライオリティ値を持つセッションを eMPS セッションとしてマークできるようにします。eMPS プロファイルでは、最大 3 つの eARP 値を設定できます。

  • 上記の設定に従って、いずれかの eARP 値を持ついずれか 1 つのベアラーとのセッションが負荷の過負荷 GTP スロットリングから除外されます。


重要


GTP-C 過負荷制御スロットリングと自己保護の動作および設定の詳細に関する補足情報については、『P-GW Administration Guide』または『SAEGW Administration Guide』の「P-GW、SAEGW、および S-GW における 3GPP R12 の GTP-C 負荷および過負荷制御のサポート」の章を参照してください。

eMPS プロファイルの設定(eMPS ベアラーまたはセッションとしてベアラーまたはセッションを識別するために使用される eMPS ARP の設定)、および eMPS 統計に関連する補足情報については、『P-GW Administration Guide』または『SAEGW Administration Guide』の「VoLTE/緊急コールの拡張優先順位付け」の章を参照してください。

Gx RLF スロットリングおよび Gx の最大未処理キューの設定の詳細については、『CLI コンフィギュレーション ガイド』を参照してください。


eMPS の Gx サポートの設定の確認

ここでは、eMPS の Gx サポート設定を確認するための情報を提供します。

show configuration

この CLI コマンドの出力範囲が拡張され、次の新しいフィールドが表示されるようになりました。
  • diameter session-prioritization

ユーザーが [support record] セクションを指定していない場合は、show configuration verbose

この CLI コマンドの出力範囲が拡張され、次の新しいフィールドが表示されるようになりました。
  • diameter session-prioritization

eMPS の Gx サポートのモニタリングと障害対応

ここでは、機能のモニタリングと障害対応に使用できる CLI コマンドについて説明します。

show ims-authorization policy-control statistics

この CLI コマンドを使用して、優先される DRMP メッセージの数に関する統計を表示します。出力例の一部を以下に示します。
show ims-authorization policy-control statistics
 
Rule Installation Failure:
  Resource Limitation:           0             Unknown Bearer ID:             0
  Invalid QCI:                   0             Invalid ARP:                   0
  Bearer-Id in QoS:              0             Parse Error:                   0
  Invalid Redirect Address:      0             ADC Absent:                    0
  Incorrect Metering Method:     0             Incorrect Rating Group:        0
  Incorrect Online AVP:          0             Incorrect Offline AVP:         0
  Incorrect Flow Status:         0             Incorrect Usage Monitoring AVP:0
  Incorrect Required Access Info:0             Incorrect Flow Description:     0
  Incorrect Reporting Level:     0
 
DRMP Statistics:
  RAR with P0 priority:          0             RAR with other priority:      2