Sx 負荷/過負荷制御の処理

機能の概要と変更履歴

要約データ

表 1. 要約データ

該当製品または機能エリア

cnSGW-C

該当プラットフォーム

SMI

機能のデフォルト設定

無効:有効にするには設定が必要です

関連資料

該当なし

マニュアルの変更履歴

表 2. マニュアルの変更履歴

改訂の詳細

リリース

最初の導入。

2021.01.0

機能説明

この機能は、Sx インターフェイスを介したメッセージの負荷と過負荷制御を処理します。Sx メッセージの負荷および過負荷制御には 2 つのシナリオがあります。

  • ピアの過負荷:ピアが過負荷状態になっている場合、負荷制御を使用すると、ユーザープレーン機能でその負荷情報をコントロールプレーン機能に送信できます。この負荷情報により、ユーザープレーン機能全体で PFCP セッションの負荷がそれぞれの有効負荷に応じて分散されます。

    過負荷機能は、特定のユーザープレーンへの新しいセッション要求のスロットリングに関する情報を制御します。UP の選択は、ユーザープレーンが LCI(負荷制御情報)と OCI(過負荷制御情報)を報告するときに実行されます。

  • 自己過負荷状態:自己保護状態時に着信メッセージを受信すると、cnSGWc は対応する DNN、ARP、QCI、メッセージの優先順位値を検証します。その結果に基づいて、cnSGWc は、過負荷除外プロファイルの設定に従って、メッセージをスロットリングするか、スロットリングから除外します。

機能の仕組み

Sx インターフェイスの負荷と過負荷の制御は、次の 2 つの部分で構成されます。

  • [Peer Overload Handling]:UPF が過負荷になった場合のメッセージの処理。

  • [Self Overload Handling]:cnSGWc が過負荷になった場合のメッセージの処理。

ノード機能のサポート

3GPP 標準規格に準拠:

  • CP が負荷および過負荷機能をユーザープレーンに通知します。

  • ユーザープレーンが CP ピアに負荷または過負荷の情報を送信するかどうかを決定します。

PFCP Sxa エンドポイントノード機能の一部として、CP で負荷および過負荷機能を設定します。この設定は、設定の変更が発生したときに、Sx 関連付け応答メッセージまたは Sx 関連付け更新要求メッセージ中に UP に伝達されます。

CP Function Features IE は、CP でサポートされている機能を示します。この IE には、(システム全体の)UP 機能の動作に影響を与える機能が含まれています。


(注)  


CP が CLI を介した負荷または過負荷機能をサポートしていない場合、UP 選択プロセスでは、ユーザープレーンで報告された負荷または過負荷情報は無視されます。


UP の選択

UP の選択は LCI 値ごとにのみ行われますが、スロットリングは OCI 値ごとにのみ行われます(3GPP 規格で指定)。

ピアレベルごとの LCI および OCI の表示:

show peers | tab | exclude rest
                                                            POD 
ENDPOINT  LOCAL ADDRESS  PEER ADDRESS  DIRECTION  INSTANCE  TYPE  CONNECTED TIME  RPC  ADDITIONAL DETAILS
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
S5/S8  <nil>:2123  209.165.202.143:2123  Inbound  nodemgr-0  Udp  6 minutes   SGW  Recovery: 10
SXA  209.165.200.226:8805  209.165.202.143:8805  Inbound  nodemgr-0  Udp  About a minute  SGW-U  Capacity: 65535,
LoadMetric: 20,LoadSeqNo: 1,OverloadMetric: 0,OverloadSeqNo: 0,Priority: 10
SXA  209.165.200.226:8805  209.165.202.147:8805  Inbound  nodemgr-0  Udp  2 minutes  SGW-U  Capacity: 10,
LoadMetric: 40,LoadSeqNo: 1,OverloadMetric: 100,OverloadSeqNo: 1,Priority: 20
SXA  209.165.200.226:8805  209.165.202.159:8805  Inbound  nodemgr-0  Udp  2 minutes  SGW-U  Capacity: 10,
LoadMetric: 100,LoadSeqNo: 1,OverloadMetric: 77,OverloadSeqNo: 1,Priority: 1

ピア過負荷シナリオ中の Sx メッセージの処理

ここでは、ピアノードが過負荷状態になっている場合の Sx メッセージの処理メカニズムについて説明します。

Sx Establishment に対するスロットリングのサポート

ユーザープレーンが過負荷の状況になると、cnSGW-C がユーザープレーンに対する Sx Establishment Request メッセージのスロットリングを設定します。このスロットリングにより、過負荷のユーザープレーンへの新しいコール(低優先順位または非緊急)が回避されます。

スロットリングは、報告された OCI 値(パーセンテージ)に従って実行されます。スロットリングが発生すると、次のアクションが実行されます。

  • そのユーザープレーンに対する報告された Sx Establishment Request メッセージのパーセンテージによるランダムなドロップ。

  • sx_no_resource_available 切断理由での、cnSGW-C でのコールのドロップ。

  • 各統計値の増加。

自己保護モードでのユーザープレーンからのセッション終了トリガー

ユーザープレーンは、Sx レポート要求メッセージを介し、ペーシング方法を使用して cnSGW-C に対するセッション終了要求をトリガーします。ユーザープレーンは、自己保護モードになっていて、負荷が改善されていない場合に、セッション終了要求をトリガーします。このトリガーは、SPTER(自己保護終了要求)ビットが設定されている場合に発生します。

cnSGW-C はそれらの PDN の Sx 終了要求を開始し、userplane_requested_termination という切断理由で PDN セッションを解放します。

輻輳原因に対する障害処理プロファイル サポート

ユーザーペインが自己保護モードで、PFCP_ENTITY_IN_CONGESTION (74) を原因として新しいセッションを拒否する場合、cnSGW-C は失敗テンプレートプロファイル構成に従って別のユーザープレーンを選択します。

障害対応プロファイルは UPF グループに関連付けられます。

UPF の再選択は UPF 選択プロセスに従って行われ、プロファイル構成とは異なる UPF への再試行回数が考慮されます。


(注)  


現在、この機能の一部としてユーザープレーンを再試行および再選択するための原因コードでサポートされているのは、PFCP_ENTITY_IN_CONGESTION(74) のみです。


Sx 負荷/過負荷機能の設定

ここでは、Sx 負荷/過負荷の設定方法について説明します。

Sx 負荷/過負荷の設定を設定するには、次のコマンドを使用します。

config
 instance instance-id instance_id 
   endpoint endpoint_name 
    interface interface_name 
     supported-features [ load-control | overload-control ] 
    exit 
   exit 

注:

  • endpoint endpoint_name :エンドポイント名を指定します。

  • interface interface_name :インターフェイス名を指定します。

  • supported-features [ load-control | overload-control ] :負荷/過負荷制御を有効にします。

設定例

次に設定例を示します。

configure
 instance instance-id 1
  endpoint pfcp
   interface sxa
    supported-features load-control overload-control
   exit

Sx 負荷/過負荷の設定の確認

次の show コマンドを使用して、Sx 負荷/過負荷の設定を表示します。

show running-config instance instance-id 1 endpoint
instance instance-id 1
endpoint pfcp
interface sxa
supported-features load-control overload-control
exit
exit

障害処理プロファイルの構成

ここでは、障害処理プロファイルの構成方法について説明します。

次のコマンドを使用して、障害処理プロファイルを構成します。

config
 profile failure-handling failure-handling_profile_name 
   interface interface_name 
     message message_type 
       cause-code cause_code 
         action action_type 
           max-retry max_retry_count 
       exit 
     exit 
   exit 
 profile upf-group upf-group_profile_name 
  failure-profile profile_name 
 exit 

注:

  • profile failure-handling failure-handling_profile_name :障害処理プロファイル名を指定します。

  • interface interface_name :インターフェイス名を指定します。

  • message message_type :メッセージタイプを指定します。

  • cause-code cause_code :原因 ID(2 ~ 255 の範囲)または原因 ID の範囲(2 ~ 255 の範囲)を「-」、「,」、またはその両方で区切って指定します。

    -または-

    以下のいずれかを指定する必要があります。

    • no-resource-available(リソースなし)

    • no-response-received(応答を受信しませんでした)

    • pfcp-entity-in-congestion(pfcp エンティティの輻輳)

    • reject

    • service-not-supported(サービスがサポートされていない)

    • system-failure(システム障害)

  • action action_type :原因のアクションタイプを指定します。以下のいずれかを指定する必要があります。

    • retry-terminate(再試行-終了)

    • terminate

  • max-retry max_retry_count :retry-terminate アクションの最大再試行回数を指定します。0 ~ 5 の範囲の整数で指定する必要があります。デフォルト値は 1 です。

  • profile upf-group upf-group_profile_name :UPF グループプロファイル名を指定します。

  • failure-profile profile_name :UPF 障害プロファイル名を指定します。

設定例

次に構成例を示します。

profile failure-handling fh1
 interface sxa
  message SessionEstablishmentReq
   cause-code pfcp-entity-in-congestion action terminate
  exit
 exit
exit
profile failure-handling fh2
 interface sxa
  message SessionEstablishmentReq
   cause-code 74 action retry-terminate max-retry 3
  exit
 exit
exit
profile upf-group g1
 failure-profile fh1
exit
profile upf-group g2
 failure-profile fh2
exit

自己過負荷状態での Sx 要求メッセージのスロットリングと除外

表 3. 機能の履歴

機能名

リリース情報

説明

自己過負荷状態での着信 Sx メッセージの処理

2024.04.1

cnSGWc の負荷および過負荷制御機能が強化されて、自己過負荷状態時に着信 Sx メッセージを処理できるようになりました。

この機能により、cnSGWc は着信 DLDR Session Report Request メッセージを自己保護モードでスロットリングできます。

デフォルト設定:[Disabled]:有効にするには設定が必要。

着信 Sx 要求メッセージのスロットリングと除外

cnSGWc は、UPF がアイドルセッションのダウンリンクを受信するたびに、UPF から DDLR Session Report Request メッセージを受信します。cnSGWc は、自己保護モードになっていて、過負荷除外プロファイルが設定されている場合、DNN、ARP、QCI、およびメッセージの優先順位値について着信 DDLR Session Report メッセージを検証します。

Sxa インターフェイスの過負荷除外プロファイルを設定するには、「過負荷除外プロファイルの設定」を参照してください。

一致した場合、またはセッションが WPS または緊急セッションとして識別された場合、cnSGWc は着信 DLDR Session Report Request メッセージを処理します。それ以外の場合、理由 74(PFCP Entity in Congestion)でメッセージを拒否し、内部 DDN 自己保護タイマーを開始します。

内部 DDN 自己保護タイマーは、次のように機能します。

  • 内部 DDN 自己保護タイマーが期限切れになる前に、cnSGWc の自己保護状態が解除されると、cnSGW は Downlink Data Notification メッセージを MME に送信します。

  • 内部 DDN 自己保護タイマーが期限切れになり、cnSGWc が自己保護状態のままの場合、cnSGW は、DROBU フラグとダウンリンク FAR 適用アクションを BUFFER として、UPF に対して Sx Modification Request を送信します。

  • DDN 自己保護タイマーが期限切れになる前に UE がアイドル状態を解除(MBReq を受信)すると、cnSGW は DDN 自己保護タイマーを停止して MBReq の処理を開始します。


(注)  


自己保護モードの cnSGWc は、通常どおり、緊急、WPS セッションの DLDR Session Report Request、および DLDR 以外の Session Report Request を処理します。


発信 Sx 要求メッセージのスロットリングと除外

自己過負荷状態では、着信 GTPC インターフェイスにスロットリングが適用されるため、cnSGWc は、間接的に Sxa インターフェイス上の発信要求メッセージをスロットリングします。cnSGWc は、GTPC インターフェイス、および Sxa インターフェイスを介したスロットリングから除外されたメッセージを処理します。

Sx 負荷/過負荷制御 OAM のサポート

ここでは、この機能の操作、管理、およびメンテナンスに関して説明します。

バルク統計

UE Disconnect 統計

sgw_ue_disconnect_stats6app_name="smf",cluster="cn",data_center="cn",instance;_id= "0",reason="sx_no_resource_available",service_name="sgw-service"] 1
sgw_ue_disconnect_stats6app_name="smf",cluster="cn",data_center="cn",instance_id= "0",reason="userplane_requested_termination",service_name="sgw-service"] 1;

PDN Disconnect 統計

sgw_pdn_disconnect_stats6app_name="smf",cluster="cn",data_center="cn",instance_id= "0",pdn_type="ipv4",rat_type="EUTRAN",reason="sx_no_resource_available",service_name="sgw-service " 1;
sgw_pdn_disconnect_stats6app_name="smf",cluster="cn",data_center="cn",instance_id= "0",pdn_type="ipv4v6",rat_type="EUTRAN",reason="userplane_requested_termination",service_name="sgw-service " 1;

SGW サービス統計

 sgw_service_stats6app_name="smf",cluster="cn",data_center="cn",fail_reason="sx_oci_throttling_reject", instance_id="0",interface="interface_sgw_ingress",reject_cause="no_resources_available",service_name= "sgw-service ",sgw_procedure_type = "initial_attach",status = "rejected",sub_fail_reason="" 1
sgw_service_stats"smf",cluster="cn",data_center="cn",fail_reason="0",instance_id="0", interface="interface_sgw_egress",reject_cause="",service_name="sgwservice",sgw_procedure_type= "upf_initiated_deletion",status="attempted",sub_fail_reason="" 1;
sgw_service_stats6fail_reason="sx_cause_fail",interface="interface_sgw_ingress",reject_cause= "service_denied",sub_fail_reason="pfcp_entity_in_congestion",sgw_procedure_type="initial_attach", status="rejected";

Session Report Request のスロットリング統計

新しいステータス文字列 validation_failurePFCP_Entity_In_Congestion が既存の統計 sgw_sx_session_report_stats に追加されました。cnSGWc は、DLDR Session Report Request が自己保護モードで拒否された場合に、このステータス値をセッションレポート統計に入力します。

sgw_sx_session_report_stats{app_name="smf",cluster="Local",data_center="DC",gr_instance_id="1", instance_id="0",reason="",service_name="sgw-service",status="validation_failurePFCP_Entity_In_Congestion", sx_session_report_type="DLDR_NO_ARP"} 1