PROFINET の設定に関する情報
PROFINET は PROFIBUS International(PI)のオープンな工業イーサネット標準であり、オートメーション コントロール用に TCP/IP および IT 標準を使用しています。PROFINET は、装置およびテスト機器の動きや精度の制御が重要である工業オートメーション システムやプロセス制御ネットワークに特に有用です。PROFINET はデータ交換を重視しており、速度要件に合った通信パスを定義しています。PROFINET 通信は、次の 3 つの点でスケーラブルです。
■標準の非リアルタイム通信では TCP/IP を使用し、約 100 ms のバス サイクル タイムが実現されます。
■リアルタイム通信では、約 10 ms のサイクル タイムが実現されます。
■等時間隔のリアルタイム通信では、約 1 ms のサイクル タイムが実現されます。
PROFINET I/O は、分散型オートメーション アプリケーション用のモジュラ通信フレームワークです。PROFINET I/O は巡回型のデータ転送を使用して、プログラマブル コントローラ、入力/出力(I/O)装置、およびその他のオートメーション コントローラ(モーション コントローラなど)とデータ、アラーム、診断情報を交換します。
PROFINET I/O は、次の 3 つのクラスの装置を認識します。
■I/O デバイス
■I/O コントローラ
■I/O スーパーバイザ
PROFINET 装置の役割
図 15 PROFINET 装置の役割
I/O コントローラは I/O 装置を制御するプログラマブル ロジック コントローラ(PLC)であり、オートメーション プログラムを通して設定、アラーム、I/O データなどのデータを交換します。I/O コントローラと I/O のスーパーバイザは診断情報を交換します。I/O コントローラは I/O 装置と設定や入力/出力情報を共有し、I/O 装置からアラームを受信します。
PROFINET は、唯一またはプライマリの管理システムとして使用するよう設計されています。I/O コントローラが Discovery and Configuration Protocol(DCP)でスイッチを検出し、デバイス名と IP アドレスを設定するため、基本的な設定に Cisco IOS コマンドを入力する必要はありません。拡張設定(QoS や DHCP などの機能)を行うには、スイッチ上で Cisco IOS コマンドを使用する必要があります。PROFINET を使用して、これらの機能の設定はできません。
I/O スーパーバイザはヒューマン マシン インターフェイス(HMI)や PC などのエンジニアリング ステーションであり、コミッショニング、モニタリング、診断分析に使用されます。I/O スーパーバイザは I/O 装置と診断情報、ステータス情報、制御情報、パラメータ情報を交換します。
I/O 装置は、センサー、アクチュエータ、モーション コントローラなどの分散型入力/出力装置です。
注: Profinet DCP がスイッチ/PLC/IO mac アドレスを検出できない場合は、Siemens STEP7 または TIA ポータルがインストールされている Windows PC からファイアウォール/ウイルススキャンを一時的に無効化します。
PROFINET I/O システムでは、バス サイクル タイム 100 ms 未満のオートメーション産業要件を満たすため、すべての I/O 装置がイーサネット通信ネットワークを介して通信します。このネットワークでは、データの衝突を避けるため、スイッチと全二重データ交換が使用されます。
PROFINET 装置のデータ交換
PROFINET が DCP を使用してスイッチなどの装置を検出すると、アプリケーション関係(AR)および通信関係(CR)が確立されます。接続が確立され、装置パラメータに関する情報が交換されたら、入力データと出力データが交換されます。スイッチは非リアルタイム CR を使用して、表 17および表 18に示すデータ属性を交換します。
表 17 PROFINET I/O スイッチ属性
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デバイス名 |
デバイス名を設定します。 |
TCP/IP |
IP アドレス、サブネット マスク、デフォルト ゲートウェイ、SVI。 |
プライマリ温度アラーム |
指定したアラームのモニタリングをイネーブルまたはディセーブルにします。 |
セカンダリ温度アラーム |
指定したアラームのモニタリングをイネーブルまたはディセーブルにします。 |
RPS 障害アラーム |
指定したアラームのモニタリングをイネーブルまたはディセーブルにします。 |
リレー メジャー アラーム |
指定したアラームのモニタリングをイネーブルまたはディセーブルにします。 |
出荷時デフォルトへのリセット |
PROFINET I/O コントローラを使用して、スイッチを出荷時デフォルトにリセットします。このアクションにより、スタートアップ コンフィギュレーションが削除され、スイッチがリロードされます。 |
リレー メジャー設定 |
メジャー リレーをトリガーするポート アラーム(リンク障害など)のタイプを指定します。指定したアラーム タイプで設定された任意のポートがメジャー リレーをトリガーできます。 |
表 18 PROFINET I/O ポート属性
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速度 |
10、100、1000、自動。 |
デュプレックス |
半二重/全二重/自動。 |
ポート モード |
アクセス/トランク。 |
リンク ステータス |
シャットダウン/シャットダウンなし。 |
設定レートの制限 |
ブロードキャスト、ユニキャスト、マルチキャストのしきい値が設定されたレベルを超えています。 |
ポート リンク障害アラーム |
指定したアラームのモニタリングをイネーブルまたはディセーブルにします。 |
Port not forwarding アラーム |
指定したアラームのモニタリングをイネーブルまたはディセーブルにします。 |
Port not operating アラーム |
指定したアラームのモニタリングをイネーブルまたはディセーブルにします。 |
ポート FCS しきい値アラーム |
指定したアラームのモニタリングをイネーブルまたはディセーブルにします。 |
PROFINET 装置は General Station Description(GSD)ファイルを使用して統合されます。このファイルには、エンジニアリング用のデータや、I/O コントローラ、I/O スーパーバイザ、および I/O 装置(スイッチなど)間のデータ交換用のデータが含まれています。各 PROFINET I/O フィールド装置には、装置のプロパティが記述され、設定に必要な次の情報がすべて含まれた GSD ファイルが関連付けられている必要があります。
■装置 ID 情報(装置 ID、ベンダー ID およびベンダー名、製品ファミリ、ポート数)。
■着脱可能モジュールの数およびタイプ。
■診断情報のエラー テキスト。
■I/O 装置の通信パラメータ(最小サイクル タイム、リダクション比率、ウォッチ ドッグ タイムなど)。
■I/O 装置モジュールに関する設定データ(速度、デュプレックス、VLAN、ポート セキュリティ情報、アラーム、ブロードキャスト レート制限のしきい値など)。
■表 18にリストされた属性に対して設定された、I/O 装置モジュールのパラメータ。
GSD ファイルはスイッチに関するものですが、I/O スーパーバイザはこのファイルを使用します。
注: PROFINET ネットワークを管理するには、スイッチ上の Cisco IOS リリースと関連付けられた GSD ファイルを使用する必要があります。I/O スーパーバイザと Cisco IOS ソフトウェアはどちらも、GSD ファイルとスイッチの Cisco IOS ソフトウェア バージョン間の不一致を通知します。