リンクステート トラッキング
リンクステート トラッキングは、トランク フェールオーバーとも呼ばれ、複数のインターフェイスのリンクステートをバインドする機能です。たとえば、リンクステート トラッキングをサーバ NIC アダプタ チーミング機能とともに使用すると、ネットワークで冗長性が実現されます。サーバ ネットワーク アダプタが、チーミングと呼ばれるプライマリまたはセカンダリ関係で設定され、プライマリ インターフェイスでリンクが消失した場合、接続はセカンダリ インターフェイスに透過的に変更されます。
注: ポートの集合(EtherChannel)、アクセスモードまたはトランクモードの単一の物理ポート、またはルーテッドポートをインターフェイスに指定できます。
図 87は、リンクステート トラッキングを使用して設定されたネットワークを示しています。リンクステートトラッキングをイネーブルにするには、 link-state group を作成し、リンクステートグループに割り当てるインターフェイスを指定します。リンクステート グループでは、これらのインターフェイスはまとめてバンドルされます。 ダウンストリーム インターフェイス は、 アップストリーム インターフェイス にバインドされます。サーバに接続されたインターフェイスはダウンストリーム インターフェイスと呼ばれ、ディストリビューション スイッチおよびネットワーク装置に接続されたインターフェイスはアップストリーム インターフェイスと呼ばれます。
図 87の設定により、ネットワーク トラフィック フローのバランスが、次のように保たれます。
■スイッチと他のネットワーク デバイスへのリンクの場合
–サーバ 1 とサーバ 2 は、プライマリ リンクにスイッチ A を使用し、セカンダリ リンクにスイッチ B を使用しています。
–サーバ 3 とサーバ 4 は、プライマリ リンクにスイッチ B を使用し、セカンダリ リンクにスイッチ A を使用しています。
■スイッチ A のリンク ステート グループ 1
–スイッチ A はリンクステート グループ 1 を介して、プライマリ リンクをサーバ 1 およびサーバ 2 に使用します。ポート 1 はサーバ 1 に、ポート 2 はサーバ 2 にそれぞれ接続されます。ポート 1 およびポート 2 はリンクステート グループ 1 でダウンストリーム インターフェイスとして使用します。
–ポート 5 およびポート 6 は、リンクステート グループ 1 を介して分散スイッチ 1 に接続されます。ポート 5 およびポート 6 は、リンクステート グループ 1 でアップストリーム インターフェイスとして使用します。
■スイッチ A のリンク ステート グループ 2
–スイッチ A はリンクステートグループ 2 を介して、セカンダリ リンクをサーバ 3 およびサーバ 4 に使用します。ポート 3 はサーバ 3 に、ポート 4 はサーバ 4 にそれぞれ接続されます。ポート 3 およびポート 4 はリンクステート グループ 2 でダウンストリーム インターフェイスとして使用します。
–ポート 7 およびポート 8 は、リンクステート グループ 2 を介して分散スイッチ 2 に接続されます。ポート 7 およびポート 8 は、リンクステート グループ 2 でアップストリーム インターフェイスとして使用します。
■スイッチ B のリンク ステート グループ 2
–スイッチ B はリンクステートグループ 2 を介して、プライマリ リンクをサーバ 3 およびサーバ 4 に使用します。ポート 3 はサーバ 3 に、ポート 4 はサーバ 4 にそれぞれ接続されます。ポート 3 およびポート 4 はリンクステート グループ 2 でダウンストリーム インターフェイスとして使用します。
–ポート 5 およびポート 6 は、リンクステート グループ 2 を介して分散スイッチ 2 に接続されます。ポート 5 およびポート 6 は、リンクステート グループ 2 でアップストリーム インターフェイスとして使用します。
■スイッチ B のリンク ステート グループ 1
–スイッチ B はリンクステート グループ 1 を介して、セカンダリ リンクをサーバ 1 およびサーバ 2 に使用します。ポート 1 はサーバ 1 に、ポート 2 はサーバ 2 にそれぞれ接続されます。ポート 1 およびポート 2 はリンクステート グループ 1 でダウンストリーム インターフェイスとして使用します。
–ポート 7 およびポート 8 は、リンクステート グループ 1 を介して分散スイッチ 1 に接続されます。ポート 7 およびポート 8 は、リンクステート グループ 1 でアップストリーム インターフェイスとして使用します。
分散スイッチやルータに障害が発生したり、ケーブルが切断されたり、リンクが失われたために、リンクステート グループ内でアップストリーム ポートが利用不能や接続不能になる場合があります。これらは、リンクステート トラッキングがイネーブルの際の、ダウンストリーム インターフェイスとアップストリーム インターフェイス間の相互作用です。
■アップストリーム インターフェイスがリンクアップ ステートの場合、ダウンストリーム インターフェイスをリンクアップ ステートに変更したり、リンクアップ ステートのままにしたりすることができます。
■すべてのアップストリーム インターフェイスが利用不能になった場合、リンクステート トラッキングが自動的にダウンストリーム インターフェイスを errdisable ステートにします。サーバ間の接続は、自動的にプライマリ サーバ インターフェイスからセカンダリ サーバ インターフェイスに変更されます。
スイッチ A のリンクステート グループ 1 からリンクステート グループ 2 への接続の変更例については、図 87を参照してください。ポート 6 のアップストリーム リンクが切断されても、ダウンストリーム ポート 1 および 2 のリンク ステートは変わりません。ただし、アップストリーム ポート 5 のリンクも切断された場合、ダウンストリーム ポートのリンク ステートがリンクダウン ステートに変更されます。サーバ 1 およびサーバ 2 の接続については、リンクステート グループ 1 からリンクステート グループ 2 へ変更します。ダウンストリーム ポート 3 およびダウンストリーム ポート 4 は、リンクグループ 2 であるためステートを変更しません。
■リンクステート グループが設定されている場合、リンクステート トラッキングはディセーブルで、アップストリーム インターフェイスが切断され、ダウンストリーム インターフェイスのリンク ステートは変更されないままになります。サーバはこのアップストリーム接続が切断されたことを認識せず、セカンダリ インターフェイスにフェールオーバーしません。
障害のあるダウンストリーム ポートをリンクステート グループから削除することで、ダウンストリーム インターフェイスのリンクダウン状態から復旧できます。複数のダウンストリーム インターフェイスを復旧させるには、リンクステート グループをディセーブルにします。
図 87 一般的なリンクステート トラッキングの設定
デフォルトのリンクステート トラッキングの設定
リンクステート グループは定義されておらず、リンクステート トラッキングはどのグループでもイネーブルではありません。