ハードウェア レイヤ 3 スイッチングの前提条件
なし。
ハードウェア レイヤ 3 スイッチングの制約事項
• IPX トラフィックは、ルート プロセッサ(RP)で高速スイッチングされます。
• ハードウェア レイヤ 3 スイッチングは、次の入力および出力カプセル化をサポートします。
– イーサネット V2.0(ARPA)
– 1 バイト制御を使用する 802.2 対応の 802.3(SAP1)
– 802.2 対応の 802.3 および SNAP
レイヤ 3 スイッチングについて
• 「ハードウェア レイヤ 3 スイッチング」
• 「レイヤ 3 スイッチド パケットの書き換え」
ハードウェア レイヤ 3 スイッチング
ハードウェア レイヤ 3 スイッチングを使用すると、サブネット間における IP ユニキャスト トラフィックの転送を、RP ではなくポリシー フィーチャ カード(PFC)および Distributed Feature Card(DFC)で行うことができます。ハードウェア レイヤ 3 スイッチングは、RP 上のソフトウェアを使用せずに、PFC および DFC 上でワイヤ速度による転送機能を提供します。ハードウェア レイヤ 3 スイッチングの実行には、RP からの最低限のサポートが必要です。ハードウェア レイヤ 3 スイッチングが不可能なトラフィックは、RP がルーティングします。
ハードウェア レイヤ 3 スイッチングは、RP に設定されているルーティング プロトコルをサポートします。ハードウェア レイヤ 3 スイッチングは、RP に設定されているルーティング プロトコルに代わるものではありません。
各モジュールに IP ユニキャスト レイヤ 3 スイッチングをローカルで提供するために、ハードウェア レイヤ 3 スイッチングは、PFC および DFC 上で等しく稼働します。ハードウェア レイヤ 3 スイッチングでは、次の機能を提供します。
• Policy-based Routing(PBR; ポリシー ベース ルーティング)用のハードウェア アクセス コントロール リスト(ACL)スイッチング
• TCP 代行受信および再帰 ACL 転送の決定用のハードウェア フローベース スイッチング
• その他のすべての IP ユニキャスト トラフィック用のハードウェア Cisco Express Forwarding(CEF; シスコ エクスプレス フォワーディング)スイッチング
PFC 上のハードウェア レイヤ 3 スイッチングは、DFC を装備していないモジュールをサポートします。レイヤ 3 スイッチングが不可能なトラフィックは、RP が転送します。
トラフィックはアクセス リストおよび Quality of Service(QoS)によって処理されたあとで、ハードウェア レイヤ 3 スイッチングされます。
ハードウェア レイヤ 3 スイッチングは、入力ポート モジュール上でローカルに各パケットの転送先を決定し、出力ポートに各パケットの書き換え情報を送信します。パケットがスイッチから送信されるときに、出力ポート上で書き換えが行われます。
ハードウェア レイヤ 3 スイッチングにより、レイヤ 3 スイッチド トラフィックのフロー統計情報が生成されます。ハードウェア レイヤ 3 フロー統計情報は NetFlow に使用できます。( を参照)。
レイヤ 3 スイッチド パケットの書き換え
特定のサブネット上の送信元から別のサブネット上の宛先へパケットをレイヤ 3 スイッチングするとき、スイッチは RP から学習した情報に基づいて、出力ポートでパケットの書き換えを行います。この書き換えにより、パケットは RP がルーティングしたように表示されます。
パケットの書き換えによって変更されるフィールドは、次の 5 つです。
• レイヤ 2(MAC)宛先アドレス
• レイヤ 2(MAC)送信元アドレス
• レイヤ 3 IP Time To Live(TTL)
• レイヤ 3 チェックサム
• レイヤ 2(MAC)チェックサム(別名フレーム チェックサムまたは FCS)
(注) パケットは、ネクスト ホップのサブネットに適したカプセル化を使用して書き換えられます。
送信元 A と宛先 B が異なるサブネットに属し、送信元 A が RP にパケットを送信して宛先 B へルーティングされる場合、スイッチはそのパケットが RP のレイヤ 2(MAC)アドレスに送信されたと認識します。
レイヤ 3 スイッチングを実行するため、スイッチはレイヤ 2 フレーム ヘッダーを書き換え、レイヤ 2 宛先アドレスを宛先 B のレイヤ 2 アドレスに変更し、レイヤ 2 送信元アドレスを RP のレイヤ 2 アドレスに変更します。レイヤ 3 アドレスは変更されません。
IP ユニキャストおよび IP マルチキャスト トラフィックの場合、スイッチはレイヤ 3 TTL 値を 1 だけ減らし、レイヤ 3 パケット チェックサムを再計算します。スイッチはレイヤ 2 フレーム チェックサムを再計算し、書き換えたパケットを宛先 B のサブネットに転送します(または、マルチキャスト パケットの場合、必要に応じて複製します)。
受信 IP ユニキャスト パケットは次のようにフォーマットされます(概念上)。
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宛先 |
送信元 |
宛先 |
送信元 |
TTL |
チェックサム |
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RP MAC |
Source A MAC |
Destination B IP |
Source A IP |
n |
calculation1 |
スイッチが IP ユニキャスト パケットの書き換えを行ったあとの形式は(概念的には)、次のとおりです。
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宛先 |
送信元 |
宛先 |
送信元 |
TTL |
チェックサム |
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Destination B MAC |
RP MAC |
Destination B IP |
Source A IP |
n-1 |
calculation2 |
ハードウェア レイヤ 3 スイッチングの例
図 32-1に、単純なネットワーク トポロジーを示します。この例では、ホスト A は販売部門の VLAN(IP サブネット 171.59.1.0)、ホスト B はマーケティング部門の VLAN(IP サブネット 171.59.3.0)、ホスト C はエンジニアリング部門の VLAN(IP サブネット 171.59.2.0)にあります。
ホスト A がホスト C に対して HTTP ファイル転送を開始すると、ハードウェア レイヤ 3 スイッチングはローカル Forwarding Information Base(FIB; 転送情報ベース)および隣接テーブルの情報を使用して、ホスト A からホスト C にパケットを転送します。
図 32-1 ハードウェア レイヤ 3 スイッチングのトポロジー例
ハードウェア レイヤ 3 スイッチングのデフォルト設定
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ハードウェア レイヤ 3 スイッチングのイネーブル ステート |
イネーブル(ディセーブルにはできません) |
RP 上の Cisco IOS CEF イネーブル ステート |
イネーブル(ディセーブルにはできません) |
RP 上の Cisco IOS dCEF イネーブル ステート |
イネーブル(ディセーブルにはできません) |
ハードウェア レイヤ 3 スイッチングの設定方法
(注) RP 上のユニキャスト ルーティングの設定手順については、「レイヤ 3 インターフェイス」 を参照してください。
ハードウェア レイヤ 3 スイッチングは、永続的にイネーブルになります。設定は必要ありません。
レイヤ 3 スイッチド トラフィックに関する情報を表示するには、次の作業を行います。
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Router# show interface {{ type slot/port } | { port-channel number }} | begin L3 |
レイヤ 3 スイッチド トラフィックの要約を表示します。 |
次に、ギガビット イーサネット ポート 3/3 上のハードウェア レイヤ 3 スイッチド トラフィックに関する情報を表示する例を示します。
Router# show interface gigabitethernet 3/3 | begin L3
L3 in Switched: ucast: 0 pkt, 0 bytes - mcast: 12 pkt, 778 bytes mcast
L3 out Switched: ucast: 0 pkt, 0 bytes - mcast: 0 pkt, 0 bytes
4046399 packets input, 349370039 bytes, 0 no buffer
Received 3795255 broadcasts, 2 runts, 0 giants, 0 throttles
(注) レイヤ 3 スイッチング パケット カウントは、約 5 秒間隔で更新されます。
Cisco IOS CEF および dCEF は、永続的にイネーブルになります。ハードウェア レイヤ 3 スイッチングをサポートするための設定作業は不要です。
PFC を(存在する場合は DFC も)利用して、ハードウェア レイヤ 3 スイッチングは、フローごとのロードバランスを IP の送信元および宛先のアドレスに基づいて使用します。フローごとのロードバランスは、パケットごとのロードバランスでは必要となるパケットの再配列を行いません。どのようなフローに対しても、PFC や DFC を装備したすべてのスイッチが、まったく同じロードバランスの判断を行うので、結果としてロードバランスがランダムにならない場合があります。
RP 上の Cisco IOS CEF ip load-sharing per-packet 、 ip cef accounting per-prefix 、および ip cef accounting non-recursive コマンドは、RP 上のソフトウェアで CEF スイッチングされるトラフィックだけに適用されます。これらのコマンドは、PFC 上または DFC を搭載したスイッチング モジュール上でハードウェア レイヤ 3 スイッチングされるトラフィックには影響しません。
ハードウェア レイヤ 3 スイッチング統計情報の表示
ハードウェア レイヤ 3 スイッチング統計情報は、VLAN 単位で収集されます。
ハードウェア レイヤ 3 スイッチング統計情報を表示するには、次の作業を行います。
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Router# show interfaces {{ type slot/port } | { port-channel number }} |
ハードウェア レイヤ 3 スイッチング統計情報を表示します。 |
次に、ハードウェア レイヤ 3 スイッチング統計情報を表示する例を示します。
Router# show interfaces gigabitethernet 9/5 | include Switched
L2 Switched: ucast: 8199 pkt, 1362060 bytes - mcast: 6980 pkt, 371952 bytes
L3 in Switched: ucast: 0 pkt, 0 bytes - mcast: 0 pkt, 0 bytes mcast
L3 out Switched: ucast: 0 pkt, 0 bytes - mcast: 0 pkt, 0 bytes
隣接テーブルの情報を表示するには、次の作業を行います。
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Router# show adjacency [{{ type slot/port } | { port-channel number }} | detail | internal | summary ] |
隣接テーブルの情報を表示します。オプションの detail キーワードを指定すると、レイヤ 2 情報を含む詳細な隣接情報が表示されます。 |
次に、約 60 秒ごとに更新される隣接統計情報を表示する例を示します。
Router# show adjacency gigabitethernet 9/5 detail
Protocol Interface Address
IP GigabitEthernet9/5 172.20.53.206(11)
ヒント Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチの詳細(設定例およびトラブルシューティング情報を含む)については、次のページに示されるドキュメントを参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/products/hw/switches/ps708/tsd_products_support_series_home.html
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