電源管理の概要
システムの電源装置を冗長構成にする場合は、両方の電源装置のワット数が同じでなければなりません。Catalyst 6500 シリーズ スイッチでは、同じシャーシ内に AC 入力および DC 入力電源装置の両方を使用できます。サポートされている電源構成の詳細については、『 Catalyst 6500 Series Switch Installation Guide 』を参照してください。
モジュールは、所要電力がそれぞれ異なります。構成によっては、必要とされる電力が 1 台の電源装置では足りない場合があります。電源管理機能を使用すると、電源装置 2 台で搭載されたモジュールすべてに電力供給できます。ただし、両方の電源装置から供給される合計電力が 1 台の電源装置の電力容量よりも大きくなることはないので、冗長構成はこの構成ではサポートされません。ここでは、冗長および非冗長の電源構成について説明します。
電源の冗長性をイネーブルまたはディセーブルにする方法
冗長構成をディセーブルまたはイネーブルにするには、グローバル コンフィギュレーション モードで power redundancy-mode combined | redundant コマンドを入力します。電源装置の構成は、いつでも冗長または非冗長に変更できます。
冗長構成をディセーブルにするには、 combined キーワードを使用します。非冗長構成では、システムで使用できる電力量は、2 台の電源装置で供給できる合計電力です。システムは合計電力量の許容範囲以内であれば、何個でもモジュールに電力を供給できます。ただし、1 台の電源装置が故障し、それまでに電力が供給されていた全モジュールに供給できる十分な電力がない場合、システムは十分な電力を供給できないモジュールの電源を切断します。
冗長構成をイネーブルにするには、 redundant キーワードを使用します。冗長構成では、両方の電源装置から供給される合計電力が、1 台の電源装置の電力容量よりも大きくなることはありません。1 台の電源装置が故障した場合、もう 1 台がシステムの負荷全体を引き継ぎます。2 台の電源装置を搭載して電源をオンにすると、それぞれの電源装置がシステムに必要な電力の約半分を同時に供給します。負荷分散と冗長構成は自動的にイネーブルになるので、ソフトウェアの設定は必要ありません。
各モジュールの現在のステートおよび使用できる総電力量を表示するには、 show power コマンドを入力します(「システムの電力ステータスの表示方法」を参照)。
表 13-1 に、電源装置の構成を変更した場合のシステムへの影響について説明します。
表 13-1 電源装置の構成を変更した場合の影響
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冗長から非冗長へ |
• システム ログと、Syslog メッセージが表示されます。 • システムの電力が、両方の電源装置の合計電力量に増加します。 • 十分な電力がある場合、 show power コマンド出力の oper state フィールドで power-deny と表示されていたモジュールに電源が入ります。 |
非冗長から冗長へ(両方の電源装置でワット数が同じであるものとします) |
• システム ログと、Syslog メッセージが表示されます。 • システムの電力が、一方の電源装置の電力量に減少します。 • それまでに電力が供給されていた全モジュールに供給できる十分な電力がない場合は、一部のモジュールの電源が切断され、そのモジュールについては show power コマンド出力の oper state フィールドで power-deny と表示されます。 |
冗長構成がイネーブルで、同じワット数の電源装置を取り付けた場合 |
• システム ログと、Syslog メッセージが表示されます。 • システムの電力が、一方の電源装置の電力量と等しくなります。 • 供給できる電力量には変化がないので、モジュールのステータスは変化しません。 |
冗長構成がディセーブルで、同じワット数の電源装置を取り付けた場合 |
• システム ログと、Syslog メッセージが表示されます。 • システムの電力が、両方の電源装置の合計電力量に増加します。 • 十分な電力がある場合、 show power コマンド出力の oper state フィールドで power-deny と表示されていたモジュールに電源が入ります。 |
冗長構成がイネーブルで、ワット数がより大きいまたは小さい電源装置を取り付けた場合 |
• システム ログと、Syslog メッセージが表示されます。 • システムは非冗長連結モードで動作します。 |
冗長構成がディセーブルで、ワット数がより大きいまたは小さい電源装置を取り付けた場合 |
• システム ログと、Syslog メッセージが表示されます。 • システムの電力が、両方の電源装置の合計電力量に増加します。 • 十分な電力がある場合、 show power コマンド出力の oper state フィールドで power-deny と表示されていたモジュールに電源が入ります。 |
冗長構成がイネーブルの電源装置を取り外した場合 |
• システム ログと、Syslog メッセージが表示されます。 • 供給できる電力量には変化がないので、モジュールのステータスは変化しません。 |
冗長構成がディセーブルの電源装置を取り外した場合 |
• システム ログと、Syslog メッセージが表示されます。 • システムの電力が、一方の電源装置の電力量に減少します。 • それまでに電力が供給されていた全モジュールに供給できる十分な電力がない場合は、一部のモジュールの電源が切断され、そのモジュールについては show power コマンド出力の oper state フィールドで power-deny と表示されます。 |
ワット数が異なり冗長構成がイネーブルの電源装置を取り付けてシステムを起動した場合 |
• システム ログと、Syslog メッセージが表示されます。 • システムは、冗長構成ではワット数の異なる電源装置の使用を認めません。ワット数の小さい方の電源装置がシャットダウンされます。 |
ワット数が等しいかまたは異なり、冗長構成がディセーブルの電源装置を取り付け、システムを起動した場合 |
• システム ログと、Syslog メッセージが表示されます。 • システムの電力が、両方の電源装置の合計電力と等しくなります。 • システムは合計電力量の許容範囲以内であれば、何個でもモジュールに電力を供給できます。 |
モジュールの電源切断および電源投入の方法
モジュールの電源を CLI から切断および投入するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Router(config)# power enable module slot_number |
モジュールの電源を投入します。 |
ステップ 3 |
Router(config)# no power enable module slot_number |
モジュールの電源を切断します。 |
(注) no power enable module slot コマンドを使用してモジュールの電源を切断した場合、そのモジュールの設定は保存されません。
次に、スロット 3 のモジュールに電源投入する例を示します。
Router# configure terminal
Router(config)# power enable module 3
システムの電力ステータスの表示方法
show power コマンドはシステム コンポーネントの現在の電力ステータスを表示します。
system power redundancy mode = redundant
system power redundancy operationally = non-redundant
system power total = 3795.12 Watts (90.36 Amps @ 42V)
system power used = 864.78 Watts (20.59 Amps @ 42V)
system power available = 2930.34 Watts (69.77 Amps @ 42V)
Power-Capacity PS-Fan Output Oper
PS Type Watts A @42V Status Status State
---- ------------------ ------- ------ ------ ------ -----
2 WS-CAC-4000W-US 3795.12 90.36 OK OK on
Fan Type Watts A @42V State
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1 WS-C6506-E-FAN 140.70 3.35 OK
Pwr-Requested Pwr-Allocated Admin Oper
Slot Card-Type Watts A @42V Watts A @42V State State
---- ------------------ ------- ------ ------- ------ ----- -----
5 (Redundant Sup) - - 362.04 8.62 - -
6 VS-SUP2T-10G 362.04 8.62 362.04 8.62 on on
system auxiliary power mode = off
system auxiliary power redundancy operationally = non-redundant
system primary connector power limit = 7266.00 Watts (173.00 Amps @ 42V)
system auxiliary connector power limit = 10500.00 Watts (250.00 Amps @ 42V)
system primary power used = 864.78 Watts (20.59 Amps @ 42V)
system auxiliary power used = 0 Watt
show power コマンドは特定の電源装置の現在の電力ステータスを表示します。
Router# show power status power-supply 2
Power-Capacity PS-Fan Output Oper
PS Type Watts A @42V Status Status State
---- ------------------ ------- ------ ------ ------ -----
2 WS-CAC-4000W-US 3795.12 90.36 OK OK on
コマンドに電源番号を指定して、電源の入力フィールドを表示できます。複数の出力モードを持つ電源に対し、新規の電源出力フィールド、および動作モードが表示されます。次のように show environment status power-supply コマンドを入力します。
Router# show environment status power-supply 1
power-supply 1 fan-fail: OK
power-supply 1 power-input 1: AC low
power-supply 1 power-output-fail: OK
Router# show environment status power-supply 2
power-supply 2 fan-fail: OK
power-supply 2 power-input 1: none
power-supply 2 power-input 2: AC low
power-supply 2 power-input 3: AC high
power-supply 2 power-output: low (mode 1)<<< high for highest mode only
power-supply 2 power-output-fail: OK