A-VPLS の制約事項
• 次に、サポートされる設定を示します。
– 転送 vpls モードでの neighbor コマンドによる PE ルータの設定の MPLS コア。
– 明示パスを使用した MPLS トラフィック エンジニアリング トンネル経由の PE ルータの設定を持つ MPLS コア。
– MPLS over GRE トンネルを介した PE ルータの設定の IP コア。
route-via コマンドの使用、BGP オートディスカバリ、PE 出力ポートへの VLAN の明示的な割り当てなど、他の設定方法はサポートされていません。
• A-VPLS のサポート対象は次のとおりです。
– 最大 32 個の EtherChannel ポートチャネル インターフェイス。
– load-balance flow コマンドで設定されているネイバーの数を引いた最大 60 の VPLS ネイバー。
• A-VPLS には、ノンストップ フォワーディングおよびステートフル スイッチオーバーが必要です。
• A-VPLS は次の機能と連動します。
– 明示パスが設定されている MPLS トラフィック エンジニアリング トンネル。
– トンネル宛先へのスタティック ルートが設定された総称ルーティング カプセル化(GRE トンネル)。
MPLS トラフィック エンジニアリングおよび GRE トンネルの詳細については、次のマニュアルを参照してください。
– MPLS トラフィック エンジニアリングおよび拡張機能
– トンネルの実装
• Any Transport over MPLS Virtual Circuit Connection Verification(VCCV)機能をサポートする ping コマンドや traceroute コマンドは、FAT 疑似配線上ではサポートされません。
• VPLS オートディスカバリ機能は、A-VPLS でサポートされません。
• コア ルータでは、パケット転送にコアが IP を使用する場合、ロード バランシングはサポートされません。
A-VPLSについて
A-VPLS では、VPLS に次の機能拡張を追加しています。
• 複数の等価コスト コア方向パス間のプロバイダー エッジ(PE)とコア インターフェイスでフロー ラベルを使用してトラフィックをロード バランシングする機能。
• 冗長 PE ルータのサポート。
A-VPLS では、Flow Aware Transport(FAT)疑似配線機能を使用して PE およびコア ルータ両方の PE 冗長性とロード バランシングを実現します。等価コスト マルチ パスが使用されている場合 FAT の疑似配線がコア トラフィックをロード バランシングするために使用されます。PE ルータは、各パケット(フロー ラベル)に追加の MPLS ラベルを追加します。各フローに一意のフロー ラベルがあります。FAT 疑似配線の詳細については、PWE3 インターネットドラフト『 Flow Aware Transport of MPLS Pseudowires 』(draft-bryant-filsfils-fat-pw)を参照してください。
A-VPLS の設定方法
• 「ECMP および FAT 疑似配線によるロード バランシングのイネーブル化」(必須)
• 「Port-Channel Load-Balancing のイネーブル化」(必須)
• 「仮想イーサネット インターフェイス設定の一部としての明示的な PE ルータ指定」(任意)
• 「MPLS トラフィック エンジニアリング トンネルの設定」(任意)
• 「GRE トンネルの設定」(任意)
ECMP および FAT 疑似配線によるロード バランシングのイネーブル化
次の手順は、プロバイダー エッジ(PE)ルータでロード バランシングを設定してコアの P ルータでイネーブルにする方法について説明します。コア P ルータで設定は不要です。
エッジ ルータでロード バランシングをイネーブルにするには、 load-balance flow コマンドを発行します。ロード バランシング規則は port-channel load-balance コマンドのパラメータで設定されます(「Port-Channel Load-Balancing のイネーブル化」を参照)。
コアのロード バランシングをイネーブルにするには、両方の PE ルータで flow-label enable コマンドを発行します。 load-balance flow コマンドと flow-label enable コマンドを組み合わせて発行する必要があります。
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ステップ 1 |
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします(プロンプトが表示されたらパスワードを入力します)。 |
ステップ 2 |
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
Router(config)# pseudowire-class name |
指定した名前の疑似回線クラスを確立して、疑似回線クラス コンフィギュレーション モードに入ります。 |
ステップ 4 |
Router(config-pw)# encapsulation mpls |
MPLS トンネリングのカプセル化タイプを指定します。 |
ステップ 5 |
Router(config-pw)# load-balance flow |
ECMP のロード バランシングをイネーブルにします。 |
ステップ 6 |
Router(config-pw)# flow-label enable |
疑似配線のフロー ラベルのインポジションおよびディスポジションをイネーブルにします。 |
ステップ 7 |
Router(config-pw)# end |
疑似回線クラス コンフィギュレーション モードを終了して、特権 EXEC モードを開始します。 |
Port-Channel Load-Balancing のイネーブル化
次の作業では、ポート チャネルのロードバランシングをイネーブルにする方法について説明します。ここでは、バンドル内のポート間での負荷分散方式を設定します。 port-channel load-balance コマンドが設定されていない場合、ロードバランシングはデフォルトのパラメータを使用して行われます。
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ステップ 1 |
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。パスワードを入力します(要求された場合)。 |
ステップ 2 |
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
Router(config)# port-channel load-balance method |
バンドル内のポート間での負荷分散方式を指定します。 |
ステップ 4 |
Router(config)# exit |
グローバル コンフィギュレーション モードを終了し、特権 EXEC モードを開始します。 |
仮想イーサネット インターフェイス設定の一部としての明示的な PE ルータ指定
トラフィックが通過する必要があるルートを指定するには、いくつかの方法があります。
• PE ルータの仮想イーサネット インターフェイスの設定の一部としての明示的な指定
• MPLS トラフィック エンジニアリング トンネルの設定
• GRE トンネルの設定
次の作業では、仮想イーサネット インターフェイス コンフィギュレーションの一部として PE ルータを明示的に指定する方法について説明します。
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ステップ 1 |
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。パスワードを入力します(要求された場合)。 |
ステップ 2 |
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
Router(config)# interface virtual-ethernet num |
仮想イーサネット インターフェイスを作成し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
Router(config-if)# transport vpls mesh |
疑似配線のフル メッシュを作成して、VPLS 転送モードを開始します。 |
ステップ 5 |
Router(config-if-transport)# neighbor remote-router-id [ pw-class pw-class-name] |
疑似配線で使用される PE ルータを指定します。 |
ステップ 6 |
Router(config-if-transport)# exit |
VPLS 転送コンフィギュレーション モードを終了し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 7 |
Router(config-if)# switchport |
ポートをレイヤ 2 スイッチング用に設定します。 |
ステップ 8 |
Router(config-if)# switchport mode trunk |
永続的なトランキング モードをイネーブルにし、リンクをトランク リンクに変換するようにネゴシエーションを行います。 |
ステップ 9 |
Router(config-if)# switchport trunk allowed vlan { add | except | none | remove } vlan [, vlan [, vlan [,...]] |
トランク上で許可される VLAN のリストを設定します。 |
ステップ 10 |
Router(config)# exit |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを終了し、特権 EXEC モードを開始します。 |
MPLS トラフィック エンジニアリング トンネルの設定
トラフィックが通過する必要があるルートを指定するには、いくつかの方法があります。
• PE ルータの仮想イーサネット インターフェイスの設定の一部としての明示的な指定
• MPLS トラフィック エンジニアリング トンネルの設定
• GRE トンネルの設定
次の作業では、MPLS トラフィック エンジニアリング トンネルを設定する方法について説明します。MPLS トラフィック エンジニアリング トンネルの詳細については、『 MPLS Traffic Engineering and Enhancements 』を参照してください。
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ステップ 1 |
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします(プロンプトが表示されたらパスワードを入力します)。 |
ステップ 2 |
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
Router(config)# interface tunnel number |
インターフェイス タイプを設定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
Router(config-if)# ip unnumbered type number |
トンネル インターフェイスに IP アドレスを割り当てます。MPLS トラフィック エンジニアリング トンネル インターフェイスは単一方向リンクを表すため、番号なしにする必要があります。 |
ステップ 5 |
Router(config-if)# tunnel destination ip-address |
トンネルの宛先を指定します。 ip-address キーワードは、ホスト宛先の IP アドレス(ドット付き 10 進表記)です。 |
ステップ 6 |
Router(config-if)# tunnel mode mpls traffic-eng |
トンネル カプセル化モードを MPLS トラフィック エンジニアリングに設定します。 |
ステップ 7 |
Router(config-if)# tunnel mpls traffic-eng autoroute announce |
拡張 SPF 計算でトンネルを使用するように IGP を設定します。 |
ステップ 8 |
Router(config-if)# tunnel mpls traffic-eng path-option number { dynamic | explicit { name path-name } | identifier path-number } [ lockdown ] |
指定した IP 明示パス、またはトラフィック エンジニアリング トポロジ データベースからダイナミックに計算されたパスを使用するように、トンネルを設定します。明示パスが現在使用可能でない場合は、ダイナミック パスが使用されます。 |
ステップ 9 |
Router(config-if)# exit |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを終了し、特権 EXEC モードに戻ります。 |
GRE トンネルの設定
トラフィックが通過する必要があるルートを指定するには、いくつかの方法があります。
• PE ルータの仮想イーサネット インターフェイスの設定の一部としての明示的な指定
• MPLS トラフィック エンジニアリング トンネルの設定
• GRE トンネルの設定
次の作業では、GRE トンネルの設定方法について説明します。GRE トンネルの詳細については、『Implementing Tunnels』を参照してください。
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ステップ 1 |
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。パスワードを入力します(要求された場合)。 |
ステップ 2 |
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
Router(config)# interface type number |
インターフェイスのタイプと番号を指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。トンネルを設定するには、type 引数に tunnel を使用します。 |
ステップ 4 |
Router(config-if)# tunnel mode { gre ip | gre multipoint } |
トンネルで使用されるカプセル化プロトコルを指定します。 |
ステップ 5 |
Router(config-if)# mpls ip |
トンネルの MPLS をイネーブルにします。 |
ステップ 6 |
outer(config-if)# tunnel source { ip-address | interface-type interface-number } |
トンネル送信元を設定します。 • 送信元 IP アドレスを指定するには、 ip-address 引数を使用します。 • 使用するインターフェイスを指定する場合は、 interface-type 引数および interface-number 引数を使用します。 (注) トンネルの送信元および宛先 IP アドレスの両方の PE ルータで定義する必要があります。 |
ステップ 7 |
Router(config-if)# tunnel destination { hostname | ip-address } |
トンネル宛先を設定します。 • ホストの宛先の名前を指定するには、hostname 引数を使用します。 • ホストの宛先の IP アドレスを指定する場合は、ip-address 引数を使用します。 (注) トンネルの送信元および宛先 IP アドレスの両方の PE ルータで定義する必要があります。 |
ステップ 8 |
Router(config-if)# exit |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを終了し、特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 9 |
Router(config)# ip route ip-address tunnel num |
スタティック ルートを作成します。 |
次の例は、3 つのサポートされる A-VPLS 設定方法を示します。
明示的なピア PE ルータの指定
次に、VLAN 10 および 20 で 2 つの VPLS ドメインを作成する例を示します。各 VPLS ドメインには、ピア PE ルータ 10.2.2.2 および 10.3.3.3 への 2 つの疑似配線が含まれます。ロード バランシングは、 load-balance flow コマンドと flow-label enable コマンドでイネーブルにします。
port-channel load-balance src-mac
interface virtual-ethernet 1
neighbor 10.2.2.2 pw-class cl1
neighbor 10.3.3.3 pw-class cl1
switchport trunk allowed vlan 10, 20
MPLS トラフィック エンジニアリング トンネルの使用方法
次の例では、2 つの VPLS ドメインの作成を示し、MPLS トラフィック エンジニアリング トンネルを使用して明示パスを指定します。
port-channel load-balance src-mac
tunnel mode mpls traffic-eng
tunnel destination 192.168.1.1
tunnel mpls traffic-eng autoroute announce
tunnel mpls traffic-eng path-option 1 explicit name LSP1
ip explicit-path name LSP1 enable
next-address loose 192.168.1.1
tunnel mode mpls traffic-eng
tunnel destination 172.16.1.1
tunnel mpls traffic-eng autoroute announce
tunnel mpls traffic-eng path-option 1 explicit name LSP2
ip explicit-path name LSP2 enable
next-address loose 172.16.1.1
interface virtual-ethernet 1
neighbor 10.2.2.2 pw-class cl1
neighbor 10.3.3.3 pw-class cl1
switchport trunk allowed vlan 10,20
MPLS over GRE トンネルの使用方法
次に、VLAN 10 および 20 で 2 つの VPLS ドメインを作成する例を示します。各 VPLS ドメインには、ピア PE 10.2.2.2 および 10.3.3.3 への 2 つの疑似配線が含まれます。疑似配線はコアが IP であるため MPLS over GRE トンネルです。
port-channel load-balance src-mac
tunnel destination 10.2.2.2
tunnel destination 10.3.3.3
interface virtual-ethernet 1
neighbor 10.2.2.2 pw-class cl1
neighbor 10.3.3.3 pw-class cl1
switchport trunk allowed vlan 10, 20
ip route 10.2.2.2 255.255.255.255 Tunnel1
ip route 10.3.3.3 255.255.255.255 Tunnel2
ルーテッド Pseudo-Wire(RPW)およびルーテッド VPLS
RPW およびルーテッド VPLS はレイヤ 3 トラフィックをルーティングし、プロバイダー エッジ(PE)デバイス間の疑似配線接続でレイヤ 2 フレームを切り替えることができます。Ethernet over MPLS(EoMPLS)の形式のポイントツーポイント PE 接続、および Virtual Private LAN Service(VPLS)マルチポイント PE 接続の両方がサポートされます。フレームをこれらのインターフェイスとの間でルーティングできる機能は、同じスイッチ上のレイヤ 3 ネットワーク(VPN またはグローバル)への疑似配線の終了、またはレイヤ 2 トンネルを介したレイヤ 3 フレームのトンネリング(EoMPLS または VPLS)をサポートします。この機能は、MPLS トラフィック エンジニアリング(MPLS-TE)および高速再ルーティング(FRR)機能を介して物理インターフェイスまたはデバイスの障害時のネットワーク収束をサポートします。特に、機能は、VPLS ドメイン上のレイヤ 3 マルチキャストの MPLS TE-FRR 保護をイネーブルにします。
(注) RPW が A-VPLS モードで設定されている場合、TE/FRR は A-VPLS が ECMP 上で実行され、ECMP 収束が TE/FRR と同等であるため、サポートされません。
疑似配線のルーティング サポートを設定するには、仮想 LAN(VLAN)インターフェイス設定のレイヤ 3 ドメイン(VPN またはグローバル)の IP アドレスおよびその他のレイヤ 3 機能を設定します。次に、VLAN 100 インターフェイスに IP アドレス 10.10.10.1 を割り当て、マルチキャスト PIM をイネーブルにする例を示します。(レイヤ 2 フォワーディングは VFI VFI100 によって定義されます)。
ip address 10.10.10.1 255.255.255.0
次の例では、VPN ドメイン VFI200 の IP アドレス 20.20.20.1 を割り当てます。(レイヤ 2 フォワーディングは VFI VFI200 によって定義されます)。
ip address 20.20.20.1 255.255.255.0