PoE について
• 「デバイスの役割」
• 「PoE の概要」
• 「CPD-Based PoE 管理」
• 「インライン パワー IEEE 電力分類の無効化」
• 「PoE+ の LLDP インライン電力ネゴシエーション(IEEE 802.3at)」
デバイスの役割
• 給電側機器(PSE):ツイストペア イーサネット接続を介して電力を供給するデバイス。Power over Ethernet(PoE)ドーターカードを搭載したスイッチング モジュールを使用するスイッチは、PSE ロールで機能します。
• 受電デバイス(PD):PSE により電力が供給されるデバイス(IP Phone、IP カメラ、ワイヤレス アクセス ポイントなど)。
(注) すべての PoE 対応デバイスがスイッチから電力供給されるわけではありません。PoE 対応デバイスのローカル電源には次の 2 種類があります。
• デバイスに接続されている電源装置。
• デバイスへのイーサネット接続を通じてパッチ パネルを経由する電源装置。
ローカルに電力供給されている PoE 対応デバイスがスイッチング モジュール ポート上にある場合、スイッチング モジュール自体はデバイスの存在を検出できません。デバイスが CDP をサポートしている場合、スーパーバイザ エンジンはデバイスとの CDP メッセージングを通じて、ローカルに電力供給されている PoE 対応デバイスを検出できます。ローカルに電源供給されている PoE 対応デバイスがローカル電源を失うと、インライン パワー モードが auto に設定されている場合、スイッチング モジュールは IP Phone を検出し、電力を供給できます。
PoE の概要
Cisco PoE ドーターカードは、次に示す 1 つ以上の PoE 実装をサポートします。
• Cisco Feature Navigator で「PoE Plus(PoE+、PoEP)サポート」として表示される IEEE 802.3at 標準。
– WS-X6148E-GE-45AT スイッチング モジュールの PoE ドーターカードでのみサポートされています。
– これらの機能は、IEEE 802.3at 準拠のクラス 4 PD でサポートされます。
• PSE ではクラス 4:30.00 W(PD では 12.95 ~ 25.50 W)。
• 任意で、 PoE+ 用の LLDP インライン電力ネゴシエーション 。
– リリース 15.1(1)SY よりも前のリリースでは、PSE で最大 16.8 W(最大 45 ポートの ePoE)。
• IEEE 802.3af 標準。
– WS-F6K-48-AF PoE ドーターカードおよび WS-X6148E-GE-45AT スイッチング モジュールの PoE ドーターカードでサポートされています。
– PSE では、最大 16.80 W です。
– IEEE 802.3af PoE 標準は、PD を検出し、ただちにその PD の所要電力を、PSE でのポートの電力範囲ごとに次のように分類する方式を定義しています。
• クラス 0:最大 15.4 W(PD では 0.44 ~ 12.95 W。デフォルトの分類)
• クラス 1:最大 4 W(PD では 0.44 ~ 3.84 W)
• クラス 2:最大 7 W(PD では 3.84 ~ 6.49 W)
• クラス 3:最大 15.4 W(PD では 6.49 ~ 12.95 W)
• シスコの先行標準インライン パワー:PSE では 10 W。
PoE ドーターカードが搭載されていると、スイッチング モジュールは、PoE ドーターカードでサポートされている PoE 実装に準拠した PoE 対応デバイスを自動的に検出し、プロビジョニングできます。スイッチング モジュールは、手動設定以外では他の PoE 実装をサポートするデバイスに電力を供給できません。
スイッチ ポートに直接接続されている PD だけが、スイッチから電力を供給されます。スイッチ ポートに接続された PD から 2 台めの PD がデイジーチェーン接続されている場合、2 台めの PD は、スイッチから電力を供給されません。
各 PD には、シャーシの電源バジェットから割り当てられる電力が必要です。それぞれの PD には固有の所要電力があるため、システムの電力管理ソフトウェアがポート単位で必要な電力をインテリジェントに割り当てることができれば、より多くのデバイスをサポートできます。
次に基づいたレベルで電力を割り当てるようにポートを設定できます。
• PD が検出されたときに、自動モードが設定されている場合:
– デバイスから検出された情報
– デフォルトのレベル
– 設定されている最大レベル
• PD がポートに存在するかどうかにかかわらず、スタティック モードが設定されている場合:
– デフォルトのレベル
– 設定されているレベル
CPD-Based PoE 管理
スイッチング モジュール ポートが電力供給されていない PD を検出すると、デフォルトの電力割り当て量がそのポートに供給されます。PD との CDP メッセージ交換によって正確な電力量を判別すると、スーパーバイザ エンジンは、搭載されている PoE ドーターカードのハードウェア制限まで割り当て電力を加減します。
注意 ポートに PD ケーブルを差し込み、電源をオンにすると、スーパーバイザ エンジンは回線上でリンクが起動するまで、4 秒間待機します。この 4 秒の間に、IP Phone のケーブルを取り外し、ネットワーク デバイスを接続すると、そのネットワーク デバイスが損傷することがあります。ネットワーク デバイスを取り外し、別のネットワーク デバイスを接続する場合は、10 秒以上待機してから行うようにしてください。
インライン パワー IEEE 電力分類の無効化
IEEE 802.3af 標準には、電力割り当ての調整のプロビジョニングは含まれていません。CDP をサポートする 802.3af 準拠の PD は、CDP を使用して、IEEE 802.3af 電力分類を無効にすることができます。
WS-F6K-48-AF PoE ドーターカードまたは WS-X6148E-GE-45AT スイッチング モジュールの PoE ドーターカードは、インライン パワー IEEE 802.3af パワー電力分類の無効化機能をサポートします。
• 電力消費の測定:ポートにより受電デバイスに供給される正確な電力を測定する機能。
• 電力ポリシング:ポートの電力消費量をモニタする機能。
電力測定とポリシングを使用すると、IEEE 電力分類範囲内の最低電力レベルを必要とするデバイスの IEEE 802.3af 電力分類を安全に無効にできます。
PoE モニタリングおよびポリシングは、ポートの電力消費を管理上の最大値(設定された最大値またはポートのデフォルト値)と比較します。モニタ対象ポートの電力消費が管理上の最大値を超えると、次の処理が行われます。
• syslog メッセージが発行されます。
• モニタ対象ポートはシャットダウンされ、errdisable になります。
• 割り当てられた電力は解放されます。
PoE+ の LLDP インライン電力ネゴシエーション(IEEE 802.3at)
WS-X6148E-GE-45AT スイッチング モジュールの PoE ドーター カードは、電力消費量を減らすことができる追加のネゴシエーションをサポートする、 IEEE 802.3at 準拠 LLDP PoE 電力ネゴシエーションをサポートしています。
(注) • デフォルトでは、イネーブルです。
• 使用される LLDP TLV は DTE Power-via-MDI TLV です。
• 複数のプロトコル(CDP および LLDP 802.3at)を使用して電力ネゴシエーションを実行する PD がスイッチに接続されている場合、スイッチは電力ネゴシエーション TLV を含む最初のプロトコル パケット(CDP または LLDP)にロックされます。いずれか 1 つの電力ネゴシエーション プロトコルを毎回使用する必要がある場合は、スイッチ インターフェイスの他の電力ネゴシエーション プロトコルを管理上ディセーブルにする必要があります。
• その他のリンク層検出プロトコル(LLDP)設定手順については、次のマニュアルを参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/cether/configuration/guide/ce_lldp-med.html
PoE サポートの設定方法
• 「PoE ステータスの表示」
• 「ポート単位の PoE サポートの設定」
• 「PoE 電力プライオリティの設定」
• 「PoE モニタリングおよびポリシングの設定」
• 「LLDP 電力ネゴシエーションのディセーブル化(IEEE 802.3at)」
PoE ステータスの表示
次に、スイッチでの PoE ステータスを表示する例を示します。
Router# show power auxiliary
system auxiliary power mode = on
system auxiliary power redundancy operationally = redundant
system primary connector power limit = 7266.00 Watts (173.00 Amps @ 42V)
system auxiliary connector power limit = 10500.00 Watts (250.00 Amps @ 42V)
system primary power used = 1407.00 Watts (33.50 Amps @ 42V)
system auxiliary power used = 22.68 Watts ( 0.54 Amps @ 42V)
Inline Inline-Pwr Inline-Pwr VDB
Pwr-Limit Used-Thru-Pri Used-Thru-Aux Aux-Pwr
Slot Card-Type Watts A @42V Watts A @42V Watts A @42V Capable
---- ------------------ ------- ------ ------- ------ ------- ------ -------
2 WS-F6K-48-AT 1600.20 38.10 23.10 0.55 11.34 0.27 Yes
4 WS-F6K-48-AT 1600.20 38.10 23.10 0.55 11.34 0.27 Yes
---- ------------------ ------- ------ ------- ------ ------- ------ -------
Totals: 46.20 1.10 22.68 0.54
ポート単位の PoE サポートの設定
ポート単位の PoE サポートを設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config-if)# power inline { auto | static | never }[ max milliwatts ] |
ポート単位の PoE サポートを設定し、任意でポートの最大インライン パワー レベル(ミリ W)を指定します。 |
ステップ 2 |
Router# show power inline { type slot/port | module slot }[ detail ] |
設定を確認します。 |
power inline コマンドでインライン パワー サポートを設定する場合、次の点に注意してください。
• PD と PoE 自動割り当ての自動検出を設定するには、 auto キーワードを入力します。
• PD の自動検出を設定するが、固定 PoE 割り当てを維持する場合は、 static キーワードを入力します。
• ポートに割り当てる最大電力を指定するには、 auto または static キーワードを入力してから、 max キーワードを入力し、パワー レベル(ミリ W)を指定します。
• auto キーワードが入力され、CDP がポートでイネーブルになると、CDP をサポートする PD は別の電力レベルをネゴシエートできます。
• PD の自動検出をディセーブルにするには、 never キーワードを入力します。
• WS-F6K-GE48-AF、WS-F6K-48-AF、または WS-X6148E-GE-45AT スイッチング モジュールの PoE ドーターカードの場合:
– max キーワードを使用して設定可能な最大電力範囲は 4000 ~ 16800 ミリ W です。最大電力レベルが設定されていない場合、デフォルトの最大電力は 15400 ミリ W です。
(注) インライン パワー カードで 15400 ミリ W を超える電力を使用して多くのインライン パワー ポートをサポートするには、電力バジェットを確定するために static キーワードを使用することを推奨します。
– auto キーワードが入力され、CDP がポート上でイネーブルである場合、最大電力レベルが 16800 ミリ W より低く設定されていない限り、CDP をサポートするインライン パワー装置は最大で 16800 ミリ W の電力レベルをネゴシエーションできます。
次に、ポート GigabitEthernet 2/10 のインライン パワーをディセーブルにする例を示します。
Router# configure terminal
Router(config)# interface gigabitethernet 2/10
Router(config-if)# power inline never
次に、ポート GigabitEthernet 2/10 のインライン パワーをイネーブルにする例を示します。
Router# configure terminal
Router(config)# interface gigabitethernet 2/10
Router(config-if)# power inline auto
次に、GigabitEthernet ポート 2/10 のインライン パワー設定を確認する例を示します。
Router# show power inline gigabitethernet 2/10
Interface Admin Priority Oper Power(Watts) Device Class
---------------- ---------- ---------- ------- ------- ------------------- -----
Gi2/10 auto low on 14.5 13.1 Cisco IP Phone 9971 4
Interface AdminPowerMax Police ActConsumption
--------- ------------- ------ --------------
PoE 電力プライオリティの設定
PoE を供給するポートのプライオリティの設定によって、電力が不足したときにスイッチがどのように対応するかを設定できます。このプライオリティによって、電力が不足したときにポートから削除される PoE の順序が決まります。つまり、低いプライオリティ、次に高いプライオリティ、そしてクリティカル プライオリティ ポートに関してはできる限り電力が維持されます。ここでは、PoE 電力プライオリティの設定方法について説明します。
• 「PoE 電力プライオリティのグローバル イネーブル ステートの設定」
• 「PoE ポートの電力プライオリティの設定」
PoE 電力プライオリティのグローバル イネーブル ステートの設定
PoE 電力プライオリティをグローバルにディセーブルにするには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config)# no power inline priority enable |
PoE 電力プライオリティをグローバルにディセーブルにします(デフォルトはイネーブル)。 |
ステップ 2 |
Router# show power inline |
設定を確認します。 |
次に、PoE 電力プライオリティをグローバルにディセーブルにする例を示します。
Router(config)# no power inline priority enable
すべての s how power inline コマンドのカラム見出しに、PoE 電力プライオリティのグローバル ステートが表示されます(この例では「disabled」)。
Router# show power inline
Interface Admin Priority Oper Power(Watts) Device Class
---------------- ---------- ---------- ------- ------- ------------------- -----
PoE ポートの電力プライオリティの設定
PoE ポートの電力プライオリティを設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config-if)# power inline auto priority { critical | high | low } |
PoE ポートの電力プライオリティをイネーブルにします(電力プライオリティがグローバルにイネーブルの場合、デフォルトは低プライオリティ)。 電力不足が発生した場合、PoE は次の順序でポートから削除されます。 • 低プライオリティ ポート • 高プライオリティ ポート クリティカル プライオリティ ポートの PoE はできる限り維持されます。 |
ステップ 2 |
Router# show power inline type slot/port [ detail ] |
設定を確認します。 |
次に、ポート GigabitEthernet 2/10 の PoE ポート電力プライオリティを高に設定する例を示します。
Router# configure terminal
Router(config)# interface gigabitethernet 2/10
Router(config-if)# power inline auto priority high
次に、ポート GigabitEthernet 2/10 の PoE ポート電力プライオリティ設定を確認する例を示します。
Router# show power inline gigabitethernet 2/10 detail | include Priority
PoE モニタリングおよびポリシングの設定
WS-F6K-48-AF PoE ドーターカードまたは WS-X6148E-GE-45AT スイッチング モジュールの PoE ドーターカードによって、PoE モニタリングおよびポリシングを設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config-if)# power inline police |
PoE モニタリングおよびポリシングをイネーブルにします。 |
ステップ 2 |
Router# show power inline { type slot/port | module slot }[ detail ] |
設定を確認します。 |
次に、ポート GigabitEthernet 1/9 でモニタリングおよびポリシングをイネーブルにする例を示します。
Router# configure terminal
Router(config)# interface gigabitethernet 2/10
Router(config-if)# power inline police
次に、ポート GigabitEthernet 2/10 で電力モニタリングとポリシング設定を確認する例を示します。
Router# show power inline gigabitethernet 2/10 detail | include Police
Router# show power inline gigabitethernet 2/10
Interface Admin Oper Power (Watts) Device Class
-------- ----- ---- ------- --------- ------- -----
Gi2/10 auto on 17.3 15.4 Ieee PD 3
Interface AdminPowerMax (Watts) Police ActualConsumption
--------- --------------------- ------ -----------------
LLDP 電力ネゴシエーションのディセーブル化(IEEE 802.3at)
WS-X6148E-GE-45AT スイッチング モジュールでは、LLDP 電力ネゴシエーションはデフォルトでイネーブルです。LLDP 電力ネゴシエーションをディセーブルにするには、次の作業を行います。
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Router(config-if)#
no lldp tlv-select power-management
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LLDP 電力ネゴシエーションをディセーブルにします(デフォルトはイネーブル)。 |
次に、LLDP 電力ネゴシエーションがイネーブルの場合にインターフェイス GigabitEthernet 3/1 での LLDP 電力ネゴシエーション設定を表示する例を示します。
Router# show power inline gigabitethernet 2/10 detail | begin LLDP
LLDP Power Classification -- Sent to PD -- -- Rcvd from PD --
Power Type : type 2 PSE type 2 PD
Power Source : primary PSE
Power Priority : low high
Requested Power (watts): 11.2 11.2
Allocated Power (watts): 11.2 11.2
LLDP Legacy MDI TLV -- Rcvd from PD --
次に、インターフェイス GigabitEthernet 2/10 で LLDP 電力ネゴシエーションをディセーブルにする例を示します。
Router# configure terminal
Enter configuration commands, one per line.End with CNTL/Z.
Router(config)# interface gigabitethernet 2/10
Router(config-if)# no lldp tlv-select power-management
ヒント Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチの詳細(設定例およびトラブルシューティング情報を含む)については、次のページに示されるドキュメントを参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/products/hw/switches/ps708/tsd_products_support_series_home.html
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