UDLD について
• 「UDLD の概要」
• 「UDLD アグレッシブ モード」
• 「Fast UDLD」
UDLD の概要
シスコ独自の UDLD プロトコルにより、LAN ポートに接続された光ファイバまたは銅製(カテゴリ 5 ケーブルなど)イーサネット ケーブルを使用して接続されたデバイスで、ケーブルの物理構成をモニタし、単一方向リンクの存在を検出することができます。単一方向リンクが検出されると、UDLD が関係のある LAN ポートをシャットダウンし、ユーザに通知します。単方向リンクは、スパニングツリー トポロジ ループをはじめ、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。
UDLD は、レイヤ 1 プロトコルと連動し、リンクの物理的ステータスを判別するレイヤ 2 プロトコルです。レイヤ 1 では、物理的シグナリングおよび障害検出は、自動ネゴシエーションによって処理されます。UDLD は、ネイバーの ID の検知、誤って接続された LAN ポートのシャットダウンなど、自動ネゴシエーションでは実行不可能な処理を実行します。自動ネゴシエーションと UDLD の両方をイネーブルにすると、レイヤ 1 とレイヤ 2 の検知機能が連動し、物理的および論理的な単一方向接続、および他のプロトコルの誤動作を防止します。
リンク上でローカル デバイスが送信したトラフィックはネイバーで受信されるけれども、ネイバーから送信されたトラフィックはローカル デバイスで受信されない場合に、単方向リンクが発生します。対になっているファイバ ケーブルのいずれかの接続が切断された場合、自動ネゴシエーションがアクティブである限り、そのリンクは存続できません。この場合、論理リンクは不定であり、UDLD は何の処理も行いません。レイヤ 1 で両方のファイバが正常に動作していれば、レイヤ 2 の UDLD はそれらのファイバが正しく接続しているかどうか、また、トラフィックが適切なネイバー間で双方向に流れているかどうかを判別します。自動ネゴシエーションはレイヤ 1 で行われるので、このチェックは自動ネゴシエーションでは実行されません。
UDLD をイネーブルに設定した LAN ポートは、ネイバー デバイスに定期的に UDLD パケットを送信します。このパケットが一定時間内にエコー バックされ、かつ特定の確認応答(エコー)がない場合には、そのリンクは単一方向リンクとしてフラグ付けされ、LAN ポートがシャットダウンされます。プロトコルが単方向リンクを正しく識別してディセーブルにするには、リンクの両端のデバイスで UDLD をサポートする必要があります。
(注) デフォルトでは、UDLD は銅製 LAN ポート上ではローカルにディセーブルに設定されています。このタイプのメディアは、アクセス ポートに使用されることが多いので、メディアに不要な制御トラフィックを送信しません。
図 11-1 に、単一方向リンク条件の例を示します。スイッチ B は、ポート上でスイッチ A から正常にトラフィックを受信しますが、 スイッチ A は、同じポート上でスイッチ B からのトラフィックを受信しません。UDLD によって問題が検出され、ポートがディセーブルにされます。
図 11-1 単方向リンク
UDLD アグレッシブ モード
UDLD アグレッシブ モードはデフォルトではディセーブルに設定されています。UDLD アグレッシブ モードは、そのモードをサポートするネットワーク デバイス間のポイントツーポイントのリンク上に限って設定してください。UDLD アグレッシブ モードをイネーブルに設定した場合、UDLD ネイバー関係が設定されている双方向リンク上のポートが UDLD パケットを受信しなくなったとき、UDLD はネイバーとの接続を再確立しようとします。この試行に 8 回失敗すると、ポートはディセーブルになります。
スパニングツリー ループを防止するために、デフォルトの 15 秒間隔を使用する非アグレッシブな UDLD により、(デフォルトのスパニングツリー パラメータを使用している場合)ブロッキング ポートがフォワーディング ステートに移行する前に、すみやかに単方向リンクをシャットダウンすることができます。
UDLD アグレッシブ モードをイネーブルにすると、次のような状況でさらに利点をもたらします。
• リンクの一方の側でポート スタック(TX および RX 両方)を使用している場合
• リンクの一方の側がダウンしているにもかかわらず、もう一方の側がアップしたままの場合
このような状況では、UDLD アグレッシブ モードにより、リンク上のポートの 1 つがディセーブルになり、トラフィックの廃棄が防止されます。
(注) UDLD ノーマル モードでは、単一方向エラーが検出されても、ポートはディセーブルになりません。UDLD アグレッシブ モードでは、単一方向エラーが検出されると、ポートはディセーブルになります。
Fast UDLD
Fast UDLD は Release 15.0(1)SY1 以降のリリースでサポートされます。
Fast UDLD はポート単位の設定オプションで、200 ~ 1000 ミリ秒の UDLD メッセージ時間間隔をサポートします。Fast UDLD は、サブセカンド単一方向リンク検出を提供するように設定できます (Fast UDLD がない場合、メッセージ時間間隔は 7 ~ 90 秒です)。
Fast UDLD を設定する際、次の注意事項と制約事項に従ってください。
• Fast UDLD は、デフォルトではディセーブルに設定されています。
• ノーマル モードとアグレッシブ モードは、両方とも Fast UDLD をサポートしています。
• Fast UDLD ポートは、 link debounce コマンドをサポートしていません。
• Fast UDLD がサポートするのは、Fast UDLD をサポートするネットワーク デバイス間のポイントツーポイント リンクだけです。
• 互いに接続されたネットワーク デバイス間の少なくとも 2 つのリンクで Fast UDLD を設定します。Fast UDLD は、ネイバー デバイスへの単一リンク接続をサポートしません。
• 同じネイバー デバイスに対する複数のリンクで同じエラーが同時に発生した場合、Fast UDLD は単一方向リンクを報告しません。
• CPU 使用率が 60 パーセントを超えた場合、Fast UDLD は単一方向リンクを検出できません。
• Fast UDLD は、スーパーバイザ エンジン 2T を使用する 60 個のポートでサポートされます。
UDLD のデフォルト設定
|
|
UDLD グローバル イネーブル ステート |
グローバルにディセーブル |
UDLD アグレッシブ モード |
ディセーブル |
ポート別の UDLD イネーブル ステート(光ファイバ メディア用) |
すべてのイーサネット光ファイバ LAN ポートでイネーブル |
ポート別の UDLD イネーブル ステート(ツイストペア(銅製)メディア用) |
すべてのイーサネット 10/100 および 1000BASE-TX LAN ポートでディセーブル |
Fast UDLD |
ディセーブル |
Fast UDLD エラー通知機能 |
ディセーブル |
UDLD の設定方法
• 「UDLD のグローバルなイネーブル化」
• 「LAN インターフェイスでの UDLD のイネーブル化」
• 「光ファイバ以外の LAN インターフェイス上での UDLD のディセーブル化」
• 「光ファイバ LAN インターフェイス上での UDLD のディセーブル化」
• 「UDLD プローブ メッセージ間隔の設定」
• 「Fast UDLD の設定」
• 「ディセーブルになった LAN インターフェイスのリセット」
UDLD のグローバルなイネーブル化
すべての光ファイバ LAN ポートで UDLD をグローバルにイネーブルにするには、次の作業を行います。
|
|
Router(config)# udld { enable | aggressive } |
光ファイバ LAN ポート上で UDLD をグローバルにイネーブルにします。 (注) このコマンドで設定できるのは、光ファイバ LAN ポートだけです。このコマンドによる設定は、個々の LAN ポートの設定によって上書きされます。 |
LAN インターフェイスでの UDLD のイネーブル化
LAN ポート上で UDLD をイネーブルにするには、次の作業を行います。
|
|
|
ステップ 1 |
Router(config)# interface type slot/port |
設定する LAN ポートを選択します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# udld port [ aggressive ] |
LAN ポートで UDLD をイネーブルにします。 • aggressive キーワードを入力して、アグレッシブ モードをイネーブルにします。 • 光ファイバ LAN ポートの場合、このコマンドは udld enable グローバル コンフィギュレーション コマンドによる設定を上書きします。 • 光ファイバ LAN ポートの場合、 no udld port コマンドを使用すると、LAN ポートの設定は udld enable グローバル コンフィギュレーション コマンドによる設定に戻ります。 |
光ファイバ以外の LAN インターフェイス上での UDLD のディセーブル化
光ファイバ以外の LAN ポート上で UDLD をディセーブルにするには、次の作業を行います。
|
|
|
ステップ 1 |
Router(config)# interface type slot/port |
設定する LAN ポートを選択します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# no udld port [ aggressive ] |
光ファイバ以外の LAN ポート上で UDLD をディセーブルにします。 |
光ファイバ LAN インターフェイス上での UDLD のディセーブル化
個別の光ファイバ LAN ポート上で UDLD をディセーブルにするには、次の作業を行います。
|
|
Router(config)# interface type slot/port |
設定する LAN ポートを選択します。 |
Router(config-if)# udld port disable |
光ファイバの LAN ポート上で UDLD をディセーブルにします。 グローバル コンフィギュレーション コマンド設定に戻ります。この形式は、光ファイバ LAN ポートだけでサポートされています。 |
UDLD プローブ メッセージ間隔の設定
アドバタイズ モードにあり、現在双方向に設定されているポートで、UDLD プローブ メッセージの間隔を設定するには、次の作業を行います。
|
|
Router(config)# udld message time interval |
アドバタイズ モードにあり、現在双方向に設定されているポートで、UDLD プローブ メッセージの間隔を設定します。有効値の範囲は 7 ~ 90 秒です。 |
Fast UDLD の設定
Fast UDLD は Release 15.0(1)SY1 以降のリリースでサポートされます。ここでは、Fast UDLD の設定手順について説明します。
• 「ポート上の Fast UDLD の設定」
• 「Fast UDLD エラー通知機能のイネーブル化」
(注) UDLD がイネーブルになっていないポートで Fast UDLD を設定することはできますが、Fast UDLD がアクティブになるのは、UDLD がそのポートでイネーブルになっている場合だけです。
ポート上の Fast UDLD の設定
特定のポート上で Fast UDLD を設定するには、次の作業を行います。
|
|
|
ステップ 1 |
Router(config-if)# udld fast-hello interval |
ポート上で Fast UDLD プローブ メッセージ間隔を設定します。 • 「Fast UDLD」の注意事項と制約事項を参照してください。 • 値を選択する場合は、次の注意事項に従ってください。 – 有効値の範囲は 200 ~ 1000 ミリ秒です。 – Fast UDLD プローブ メッセージ間隔は、必要なリンク障害検出時間を確保できる最大値に調整します。メッセージ間隔が短いと、負荷が大きい場合に UDLD が誤ってリンク障害を通知する可能性が増加します。 |
ステップ 2 |
Router# show udld fast-hello |
Fast UDLD の設定および動作状態を表示します。 |
ステップ 3 |
Router# show udld fast-hello type slot/number |
ポート単位の Fast UDLD の設定および動作状態を確認します。 |
Fast UDLD エラー通知機能のイネーブル化
デフォルトでは、Fast UDLD によって、単一方向リンクのポートはエラー ディセーブルになります。単一方向リンクのポートをエラー ディセーブルにする代わりに、Fast UDLD をグローバルにイネーブル化して、単一方向リンクを通知し、コンソールにメッセージを表示することができます。
(注) Fast UDLD エラー通知機能をイネーブルにする場合、リンクの状態について手動で適切に対処する必要があります。
Fast UDLD エラー通知機能をグローバルにイネーブル化するには、次の作業を行います。
|
|
Router(config)# udld fast-hello error-reporting |
Fast UDLD エラー通知機能をイネーブルにします。 |