Flex Link の制約事項
• アクティブ リンクには、Flex Link バックアップ リンクを 1 つだけ設定できます。バックアップ リンクは、アクティブ インターフェイスとは異なるインターフェイスにする必要があります。
• インターフェイスは 1 つの Flex Link ペアだけに属します。インターフェイスは、1 つだけのアクティブ リンクのバックアップ リンクにすることができます。アクティブ リンクは、別の Flex Link ペアに属することができません。
• どちらのリンクも、EtherChannel に属するポートには設定できません。ただし、2 つのポート チャネル(EtherChannel 論理インターフェイス)を Flex Link として設定でき、ポート チャネルおよび物理インターフェイスを Flex Link として設定して、ポート チャネルか物理インターフェイスのどちらかをアクティブ リンクにすることができます。
• バックアップ リンクを、アクティブ リンクと同じタイプにする必要はありません(ファスト イーサネット、ギガビット イーサネット、ポート チャネルのいずれか)。ただし同様の特性で両方の Flex Link を設定し、スタンバイ リンクがアクティブになった場合に、操作のループや変更が発生しないようにする必要があります。
• Flex Link ポートでは STP がディセーブルになります。スイッチで STP をディセーブルにする場合は、ネットワーク トポロジーにレイヤ 2 ループがないことを確認してください。
• Flex Link ポート、またはそのリンクの接続先ポートでは、STP 機能(PortFast、BPDU ガードなど)を設定しないでください。
• プリエンプションはリンク障害と見なされないため、ローカルで管理上のシャットダウンを行わないとリンクは再度フォワーディングを開始します。このような場合、この機能によりダイナミック ホストはフラッシュされ、移動されません。
• プライマリ リンクに設定されたスタティック MAC アドレスはスタンバイ リンクに移動されません。
• Flex Link ポートが再度フォワーディングとなった場合は、これに設定されているスタティック MAC アドレスを元に戻します。
Flex Link について
Flex Link は、レイヤ 2 インターフェイス(ポートまたはポート チャネル)のペアで、一方のインターフェイスが他方のインターフェイスのバックアップとして機能するように設定されています。Flex Link は、カスタマーが STP を実行しないサービス プロバイダー ネットワークまたはエンタープライズ ネットワークで一般的に設定します。Flex Link では、スパニングツリー プロトコル(STP)の代替手段であるリンクレベルの冗長性が提供されます。Flex Link インターフェイスでは、STP が自動的にディセーブルになります。
リリース 15.1SY は、最大 16 の Flex Link をサポートします。Flex Link はレイヤ 2 ポートおよびポート チャネルだけでサポートされ、VLAN またはレイヤ 3 ポートではサポートされません。
Flex Link 機能を設定するには、プライマリにするリンクのスタンバイ リンクとして、1 つのレイヤ 2 インターフェイスを設定します。インターフェイスのペアに Flex Link を設定すると、片方のインターフェイスだけがリンクアップ状態になり、トラフィックを転送します。プライマリ リンクがシャットダウンされると、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を始めます。アクティブでないリンクがアップに戻ると、そのリンクはスタンバイ モードになります。
図 21-1 では、スイッチ A のポート 1 およびポート 2 がアップリンク スイッチ B およびアップリンク スイッチ C に接続されています。これは Flex Link として設定されているので、片方のインターフェイスだけがトラフィックを転送し、他方のインターフェイスはスタンバイ モードになります。ポート 1 がアクティブ リンクになる場合、ポート 1 とスイッチ B との間でトラフィックの転送を開始し、ポート 2(バックアップ リンク)とスイッチ C との間のリンクでは、トラフィックは転送されません。ポート 1 がダウンした場合はポート 2 がアップし、トラフィックをスイッチ C に転送し始めます。ポート 1 は、アップに戻るとスタンバイ モードになり、トラフィックを転送しません。ポート 2 がトラフィックの転送を続けます。
図 21-1 Flex Link の設定例
プライマリ(転送)リンクがダウンすると、トラップによってネットワーク管理ステーションが通知を受けます。スタンバイ リンクがダウンすると、トラップがユーザに通知します。プライマリ リンクに障害が発生すると、この機能は次のアクションを実行します。
• 障害を検出します。
• プライマリ リンクで学習されたダイナミック ユニキャスト MAC アドレスをスタンバイ リンクに移行します。
• スタンバイ リンクをフォワーディング ステートに移行させます。
• 新しいアクティブ インターフェイス経由でダミーのマルチキャスト パケットを送信します。ダミーのマルチキャスト パケットのフォーマットは、次のとおりです。
– 宛先:01:00:0c:cd:cd:cd
– 送信元:新しいアクティブ Flex Link ポートのホストまたはポートの MAC アドレス。
図 21-2 では、スイッチ A のポート 1 と 2 は Flex Link のペアを介してスイッチ B と D に接続しています。ポート 1 はトラフィックを転送していて、ポート 2 はブロッキング ステートです。PC からサーバへのトラフィックはポート 1 からポート 3 に転送されます。PC の MAC アドレスが、スイッチ C のポート 3 で学習されています。サーバから PC へのトラフィックはポート 3 からポート 1 に転送されます。
ポート 1 がシャットダウンすると、ポート 2 がトラフィックの転送を開始します。ポート 2 へのフェールオーバー後に PC からサーバへのトラフィックがない場合、スイッチ C はポート 4 で PC の MAC アドレスを学習しません。このため、スイッチ C はポート 3 からサーバのトラフィックを PC に転送し続けます。ポート 1 がダウンしているため、サーバから PC へのトラフィックが消失します。この問題を軽減するため、この機能は、PC の送信元 MAC アドレスを持つダミーのマルチキャスト パケットをポート 2 経由で送信します。スイッチ C はポート 4 の PC の MAC アドレスを学習して、サーバから PC へのトラフィックの転送をポート 4 を経由して開始します。1 つのダミーのマルチキャスト パケットがすべての MAC アドレスに向けて送信されます。
Flex Link インターフェイスのプリエンプションでは、トラフィック転送に関する優先として、Flex Link のペアのいずれかのポートを指定します。プリファレンスは無条件とするか、または帯域幅の可用性に基づくようにできます。「Flex Link の設定方法」を参照してください。
図 21-2 Flex Link のダミーのマルチキャスト パケットの例
Flex Link のデフォルト設定
• Flex Link:設定されません。
• Flex Link インターフェイスのプリエンプション:設定されません。
• Flex Link インターフェイスのプリエンプション遅延:35 秒。
Flex Link の設定方法
Flex Link を設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Router(conf)# interface {{ type slot/ port } | { port-channel number }} |
レイヤ 2 インターフェイスを指定します。 |
ステップ 3 |
Router(conf-if)# switchport backup interface interface_id |
Flex Link ペアの一部としてインターフェイスを設定します。 • interface_id では、物理ポートまたはポートチャネル インターフェイスを指定できます。 • バックアップ インターフェイスは、あらかじめレイヤ 2 ポートとして設定する必要があります。 |
ステップ 4 |
Router(conf-if)# switchport backup interface interface_id preemption mode [ forced | bandwidth | off ] |
(任意)Flex Link ペアの優先 Flex Link インターフェイスのプリエンプション ポートを設定します。 • interface_id では、物理ポートまたはポートチャネル インターフェイスを指定できます。 • forced :アクティブ インターフェイスは常に、バックアップをプリエンプトします。 • bandwidth :より高い帯域幅を持つインターフェイスが常に、アクティブ インターフェイスとして動作します。 • off :アクティブからバックアップへのプリエンプトは発生しません。 |
ステップ 5 |
Router(conf-if)# switchport backup interface interface_id preemption delay delay_time |
(任意)Flex Link ペアの Flex Link インターフェイスのプリエンプション遅延時間を設定します。 • interface_id では、物理ポートまたはポートチャネル インターフェイスを指定できます。 • delay_time の範囲は 1 ~ 300 秒です。 |
ステップ 6 |
Router(conf-if)# exit |
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
次に、Flex Link バックアップ インターフェイスでインターフェイスを設定して、設定を確認する例を示します。
Router# configure terminal
Router(conf)# interface tengigabitethernet 2/9
Router(conf-if)# switchport backup interface tengigabitethernet 2/12
Router(conf-if)# switchport backup interface tengigabitethernet 2/12 preemption mode [forced | bandwidth | off]
Router(conf-if)# switchport backup interface tengigabitethernet 2/12 preemption delay 35
Router# show interface switchport backup detail
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
Te2/9 Te2/12 Active Up/Backup Standby
Interface Pair : Te2/9, Te2/12
Preemption Delay : 35 seconds (default)
Bandwidth : 10000000 Kbit (Te2/9), 10000000 Kbit (Te2/12)