スタック電源モードは、電源スタックに属する Catalyst スイッチでのみ使用します。XPS が含まれていない場合、電源スタックはリンク トポロジで動作し、最大 4 台のスイッチで構成できます。XPS を電源スタックに追加すると、スタック内で最大
9 台のスイッチと XPS を接続し、スタック電源のリング トポロジ動作と同じような電力バジェットを電源スタックのメンバに提供できます。
SP ポートを経由して XPS に接続されたすべての Catalyst スイッチは同じ電源スタックに属し、XPS とスイッチから供給されるすべての電力はスタック内のすべてのスイッチで共有されます。電源共有がデフォルトのモードですが、XPS は、リング
トポロジでサポートされているのと同じスタック電源モード(厳密または厳密でない電源共有モードと冗長モード)をサポートします。
XPS はネイバー探索を使用して電源スタックを作成します。XPS は未設定ポートで Catalyst スイッチを検出すると、そのポートを SP ポートとしてマークするので、そのスイッチは電源スタックに追加されます。XPS はスイッチに通知し、電力バジェット配分プロセスを開始し、電源スタックに属するスイッチの要件、プライオリティ、現在の電力割り当て、およびスタック集約電源能力に基づいて各スイッチにバジェットを割り当てます。
XPS は電力バジェットを各スイッチに送信します。各スイッチに必要な最大電力を供給するために使用できる入力電力が足りない場合、電力はプライオリティに基づいて分配されます。最初にプライオリティの最も高いスイッチに必要な電力が分配され、その後にすでに電力が割り当てられているすべての受電デバイスにプライオリティ順に電力が分配されます。残りの電力はスタック全体で均等に分配されます。
RPS ポートのプライオリティ(1 ~ 9)は、スタック電源のプライオリティに影響しません。スタック電源に参加している各スイッチには、独自のシステム プライオリティ、およびそのポートに接続される装置用の高および低プライオリティがあります。これらのプライオリティは、リング
トポロジと同様にスタック電源で使用されます。システム、高プライオリティのポート、および低プライオリティのポートにスタック電源のプライオリティを設定するには、スイッチ スタック電源コンフィギュレーション モードで power-priority
switch 、power-priority
high 、および power-priority
low コマンドを使用します。システムまたは一連の受電デバイスがデフォルトのプライオリティを使用している場合、XPS は、自動的にプライオリティ(1 ~ 27)を割り当てます。この際、MAC アドレスの小さいほうに高いプライオリティを割り当てます。
電源スタック モードは、電源共有、厳密な電源共有、冗長、厳密な冗長の 4 つです。電源スタック モードを設定するには、電源スタック コンフィギュレーション モードで mode {power-sharing | redundant } [strict ] コマンドを使用します。power-sharing または redundant の設定は、スタックの電力バジェットに影響し、strict を指定するかどうかは、バジェットの減少によって負荷制限が発生しないときの PoE アプリケーションの動作に影響します。
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(厳密または厳密でない)電源共有モードの場合、スタックの電力バジェットは、スタック内のすべての電源装置の出力容量を累積した値から 30 W の予約電力を引いた値です。これはデフォルトです。
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(厳密または厳密でない)冗長モードの場合、スタックの電力バジェットは、電源スタックで最大の電源装置の出力容量を引いた後で使用できる合計電力から 30 W を引いた値です。冗長モードでは、1 台の電源装置が故障した場合にスイッチまたは受電デバイスで停電または負荷制限が発生しないことが保証されます。ただし、複数の電源装置が故障した場合、負荷制限が発生する可能性があります。
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厳密なモードで、入力電力の損失が原因で電力バジェットの減少が発生し、ハードウェアの負荷制限は発生しなかった場合、電力の割り当て量が使用可能な PoE 電力量を下回るか等しくなるまで、XPS は、プライオリティの低いほうから順に受電デバイスへの電力供給を自動的に拒否し始めます。
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厳密でないモードでは、電力の減少が発生した場合、電力の割り当て量をバジェット内に収めることが許可されます。
たとえば、PoE バジェットの合計(使用可能な電力)が 400 W のシステムは、バジェットから 390 W(割り当て電力)を受電デバイスに割り当てることができます。装置に割り当てる電力は、その装置に必要な最大電力量です。一連の受電デバイスが実際に消費する電力(消費電力)は通常、割り当て電力と等しくなりません。この例では、実際の電力は約
200 W である可能性があります。スタック内での電力損失によって使用可能な電力が 210 W に減った場合、この電力量は受電デバイスが消費する電力を維持するのに十分ですが、最悪の場合の割り当て電力を下回っています。システムはバジェット内に収まります。厳密なモードでは、スタックは、割り当て電力が 210 W 以下になるまで、すぐに受電デバイスへの電力供給を拒否します。厳密でないモードでは、何も動作は行われず、状態を維持できます。厳密でないモードで実際の消費電力が 210 W を上回った場合、これによって負荷制限が発生し、プライオリティ
レベルの最も低いすべての受電デバイスまたはスイッチへの電力が失われる可能性があります。