IP マルチキャスト ソースは、その存在をアナウンスするのにシグナリング メカニズムを使用しません。送信元は接続ネットワークにデータを送信するだけなのに対し、受信者は Internet Group Management Protocol(IGMP)を使用して、自身の在席状態を示します。ソースが
PIM スパース モード(PIM-SM)で設定されているマルチキャスト グループにトラフィックを送信すると、ソースにつながる指定ルータ(DR)は、このソースの存在についてランデブー ポイント(RP)に知らせなければなりません。この送信元からマルチキャスト
トラフィックを(ネイティブに)受信するダウンストリーム受信者が RP にいて、RP が送信元につながる最短パスに加入していない場合、DR はトラフィックを送信元から RP に送信する必要があります。PIM 登録プロセスは、各 (S, G) エントリに対し個別に実行されますが、DR
と RP 間のこれらのタスクを実行します。
RP が新しいソースからの登録メッセージを受信したいダウンストリーム レシーバを持っている場合は、RP は、登録メッセージを DR を通じて受信し続けることも、ソースにつながる最短パスに加入することもできます。デフォルトでは、ネイティブ マルチキャスト
トラフィックの配信が最も高いスループットを実現するため、RP は最短パスに加入します。最短パス経由でネイティブに到着した最初のパケットを受信後、RP は DR に登録停止メッセージを送り返します。DR は、この登録停止メッセージを受信したら、RP
への登録メッセージの送信を停止します。
RP に新しい送信元からの登録メッセージを受信するダウンストリーム受信者がいない場合、RP は最短パスに加入しません。その代わり、RP は、ただちに DR に登録停止メッセージを送り返します。DR は、この登録停止メッセージを受信したら、RP
への登録メッセージの送信を停止します。
いったんソースへのルーティング エントリが確立されたら、DR と RP の間で定期的な再登録が発生します。DR が RP から登録停止メッセージを受信するまでは、ソースがアクティブであれば、マルチキャスト ルーティング テーブル ステートがタイムアウトする
1 分前に DR が 1 つのデータのない登録メッセージを RP に送信します。このアクションがマルチキャスト ルーティング テーブル エントリのタイムアウト時間をリスタートさせ、通常は、2 分ごとに 1 つの登録交換が行われることになります。登録は、ステートを維持するため、ステート損失から回復するため、および
RP 上でソースを追跡するために必要です。これは、RP の最短パスへの加入からは独立して発生します。
PIM バージョン 1 の互換性
RP が PIM バージョン 1 を実行している場合、それはデータのない登録メッセージは理解しません。この場合、DR は RP にデータのない登録メッセージを送信しません。代わりに、RP から登録停止メッセージを受信後約 3 分おきに、DR は送信元からの着信データ
パケットを登録メッセージにカプセル化し、それを RP に送信します。DR は RP から別の登録停止メッセージを受信するまで、登録メッセージを送信し続けます。DR が PIM バージョン 1 を実行している場合、同じ動作が起こります。
PIM バージョン 1 を実行している DR が特定の (S, G) エントリ向けの登録メッセージにデータ パケットをカプセル化すると、エントリではプロセス スイッチングが行われます(高速スイッチングやハードウェア スイッチングではない)。これらの高速パスをサポートしているプラットフォームでは、PIM
バージョン 1 を実行している RP または DR の PIM 登録プロセスが、定期的で不適切なパケット配信の原因となる可能性があります。そのため、ネットワークを PIM バージョン 1 から PIM バージョン 2 にアップグレードすることを推奨しています。
PIM 指定ルータ
IP マルチキャスト用に設定されているデバイスは、PIM ハロー メッセージを送信して、どのデバイスが各 LAN セグメント(サブネット)の指定ルータ(DR)であるかを調べます。ハロー メッセージにはデバイスの IP アドレスが含まれており、最も大きい
IP アドレスを持つデバイスが DR になります。
DR は、直接接続された LAN 上のすべてのホストに Internet Group Management Protocol(IGMP)ホスト クエリ メッセージを送信します。スパース モードで稼働している場合は、DR は、ソース登録メッセージをランデブー
ポイント(RP)に送信します。
レシーバがグループに加入します。リーフ ルータであるルータ C が、RP に向けて加入メッセージを送信します。
RP がルータ C へのリンクを発信インターフェイス リストに登録します。
送信元がデータを送信します。ルータ A はデータをカプセル化して登録メッセージに格納し、RP に送信します。
RP が、データを共有ツリーの下流に向けて、ルータ C に転送し、ソースに向けて加入メッセージを送信します。この時点で、データはルータ C に 2 回(カプセル化された状態で 1 回、ネイティブの状態で 1 回)着信する可能性があります。
データがネイティブに(マルチキャストを通じて)RP に到着すると、RP は、ルータ A に登録停止メッセージを送信します。
デフォルトでは、最初のデータ パケットの受信で、ルータ C のソースへの加入メッセージ送信が促されます。
ルータ C は、(S, G) でデータを受信すると、共有ツリーの上流に向けて、ソースのプルーニング メッセージを送信します。
RP が(S, G)の発信インターフェイスからルータ C へのリンクを削除します。RP は、ソースに向けてプルーニング メッセージをトリガーします。
加入メッセージとプルーニング メッセージが、ソースと RP に送信されます。これらのメッセージはホップバイホップで送信され、送信元または RP に向かうパス上の各 PIM ルータによって処理されます。register および register-stop
メッセージは、ホップバイホップで送信されません。これらのメッセージは、送信元に直接接続されている指定ルータによって送信され、グループの RP によって受信されます。