ネットワークを単一の ISP との 2 つの接続のうち 1 つにアクセスさせるには、次の作業を行います。1 番目の接続を優先ルート、2 番目の接続をバックアップ ルートとします。上の図において、自律システム 50000 のルータ E には、単一自律システムである自律システム
45000 内に 2 つの BGP ピアがあります。この作業を行うことで、自律システム 50000 は自律システム 45000 からどのルートも学習せず、BGP を使用して自身のルートを送信するようになります。この作業は、上の図のルータ E で設定し、単一
ISP へのマルチホーミングに関する 3 つの機能をカバーします。
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アウトバウンド トラフィック:ルータ E は、ルータ B をプライマリ リンク、ルータ D をバックアップ リンクとして、デフォルト ルートとトラフィックを自律システム 45000 に転送します。ルータ B とルータ D にはスタティック ルートが設定され、ルータ
B へのリンクのディスタンスの方が低く設定されています。
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インバウンド トラフィック:自律システム 45000 からのインバウンド トラフィックは、リンクに障害が生じたためにトラフィックをルータ D からバックアップ ルートで送る場合を除き、ルータ B から送信されるよう設定されます。この状態にするため、MED
メトリックを使用したアウトバウンド フィルタが設定されています。
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中継トラフィックの防止:自律システム 50000 のルータ E には、受信 BGP ルーティング アップデートをすべてブロックし、自律システム 50000 が自律システム 45000 の ISP からの中継トラフィックを受信しないよう、ルート
マップが設定されます。
例
次の例は、この設定作業が完了し、ルータ B とルータ D が MED メトリックを含んだアップデート情報を受信した後に、ルータ E で show ip route コマンドを入力したときの出力を示します。ラスト リゾート ゲートウェイがルータ B へのルートである 192.168.3.1 に設定されていることに注意してください。
Router# show ip route
Codes: C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP
D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area
N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2
E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2
i - IS-IS, su - IS-IS summary, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2
ia - IS-IS inter area, * - candidate default, U - per-user static route
o - ODR, P - periodic downloaded static route
Gateway of last resort is 192.168.3.1 to network 0.0.0.0
10.0.0.0/24 is subnetted, 1 subnets
C 10.2.2.0 is directly connected, Ethernet0/0
C 192.168.2.0/24 is directly connected, Serial3/0
C 192.168.3.0/24 is directly connected, Serial2/0
S* 0.0.0.0/0 [40/0] via 192.168.3.1
次の例は、この設定作業が完了し、ルータ B とルータ D がルーティング アップデートを受信した後に、ルータ E で show ip bgp コマンドを入力したときの出力を示します。ルート マップ BLOCK は自律システム 45000 から入ってくるルートをすべて拒否しているため、表示される唯一のネットワークはローカル ネットワークです。
Router# show ip bgp
BGP table version is 2, local router ID is 10.2.2.99
Status codes: s suppressed, d damped, h history, * valid, > best, i - internal,
r RIB-failure, S Stale
Origin codes: i - IGP, e - EGP, ? - incomplete
Network Next Hop Metric LocPrf Weight Path
*> 10.2.2.0/24 0.0.0.0 0 32768 i
次の例は、ルータ E でこの設定作業が完了し、ルータ B がルーティング アップデートを受信した後に、ルータ B で show ip bgp コマンドを入力したときの出力を示します。ネットワーク 10.2.2.0 のメトリックが 50 であることに注意してください。
Router# show ip bgp
BGP table version is 7, local router ID is 172.17.1.99
Status codes: s suppressed, d damped, h history, * valid, > best, i - internal,
r RIB-failure, S Stale
Origin codes: i - IGP, e - EGP, ? - incomplete
Network Next Hop Metric LocPrf Weight Path
*> 10.1.1.0/24 192.168.1.2 0 0 40000 i
*> 10.2.2.0/24 192.168.3.2 50 0 50000 i
*> 172.16.1.0/24 0.0.0.0 0 32768 i
*> 172.17.1.0/24 0.0.0.0 0 32768 i
次の例は、ルータ E でこの設定作業が完了し、ルータ D がルーティング アップデートを受信した後に、ルータ D で show ip bgp コマンドを入力したときの出力を示します。ネットワーク 10.2.2.0 のメトリックが 100 であることに注意してください。
Router# show ip bgp
BGP table version is 3, local router ID is 192.168.2.1
Status codes: s suppressed, d damped, h history, * valid, > best, i - internal,
r RIB-failure, S Stale
Origin codes: i - IGP, e - EGP, ? - incomplete
Network Next Hop Metric LocPrf Weight Path
*> 10.2.2.0/24 192.168.2.2 100 0 50000 i
*> 172.16.1.0/24 0.0.0.0 0 32768 i