Cisco ASR 1000 シリーズ ルータでの PPP ハーフブリッジ

初版:2014 年 12 月 12 日

ルーテッドネットワークでリモート ブリッジ イーサネット ネットワークへの接続が必要な場合は、PPP ハーフブリッジとして機能するようにシリアルインターフェイスまたは ISDN インターフェイスを設定できます。リモートブリッジへの回線は仮想イーサネット インターフェイスとして機能し、ルータのシリアルインターフェイスまたは ISDN インターフェイスは、リモートネットワークと同じイーサネット サブネットワーク上のノードとして機能します。

PPP フルブリッジは、PPP パケットを PPP ハーフブリッジに送信します。PPP ハーフブリッジは、これらのパケットをルーテッドパケットに変換し、他のルータプロセスに転送します。同様に、PPP ハーフブリッジは、ルーテッドパケットをイーサネット ブリッジ パケットに変換し、同じイーサネット サブネットワーク上の PPP フルブリッジに送信します。


(注)  


1 つのインターフェイスを、ハーフブリッジとフルブリッジの両方として機能させることはできません。

Cisco ASR 1000 シリーズ ルータでの PPP ハーフブリッジの前提条件

ASR 1000 シリーズ ルータで PPP ハーフブリッジを使用するには、インターフェイスで PPP カプセル化を有効にする必要があります。

Cisco ASR 1000 シリーズ ルータでの PPP ハーフブリッジについての情報

次の図は、ハーフブリッジ設定を示しています。ブリッジに接続するルータポートは、PPP ハーフブリッジへのシリアルインターフェイスとして設定されます。インターフェイスは、ブリッジでイーサネット サブネットワーク上の仮想ノードとして機能します。シリアルインターフェイスには、イーサネット サブネットワークに関連付けられた IP アドレスがあります。

図 1. PPP ハーフブリッジの設定

イーサネット宛てのパケットが PPP ハーフブリッジに到達すると、パケットはイーサネットパケットに変換され、PPP フレームにカプセル化されて、イーサネットブリッジリンクで送信されます。PPP フルブリッジは、PPP ヘッダーのカプセル化を解除し、ブリッジ機能を使用してイーサネットパケットを転送します。

逆方向では、PPP ハーフブリッジが、PPP フルブリッジデバイスから受信した PPP フレームにカプセル化されたイーサネットパケットを抽出します。 PPP ハーフブリッジは、パケットを IP パケットに変換し、インターネット上でルーティングします。

PPP ハーフブリッジにサポートされる機能

PPP ハーフブリッジは、次のインターワーキング機能をサポートします。

  • VRF 対応 PPP ハーフ ブリッジ インターフェイス
  • PPP ハーフ ブリッジ インターフェイスでのマルチキャストおよび VPN マルチキャスト(IGMP V2 および V3)
  • PPP ハーフ ブリッジ インターフェイスでのルーティングプロトコル
  • PPP ハーフ ブリッジ インターフェイスでの IPv4
  • PPP ハーフ ブリッジ インターフェイスでの ACL
  • PPP ハーフ ブリッジ インターフェイスでの QoS
  • ハーフ ブリッジ インターフェイスでの PPP 認証

PPP ハーフブリッジの設定例

例:Cisco ASR 1000 シリーズ ルータでの PPP ハーフブリッジの設定

次に、ASR 1000 シリーズ ルータで PPP ハーフブリッジを設定する例を示します。


interface Serial0/1/1:0
 ip address 101.0.0.1 255.255.255.0
 encapsulation ppp
 ppp bridge ip

例:Cisco 7206 での PPP フルブリッジの設定

次に、ブリッジデバイスをエミュレートする例を示します。


no ip routing
interface Serial5/1:0
 no ip address
 encapsulation ppp
 bridge-group 1
interface GigabitEthernet0/2
bridge-group 1

PPP ハーフブリッジの検証

このセクションで説明するコマンドを使用して、PPP ハーフブリッジを検証できます。

コマンド

目的

show ppp interfaces

インターフェイスの PPP 状態情報を表示します。

show adjacency

シスコ エクスプレス フォワーディングの隣接関係テーブルまたはハードウェア レイヤ 3 スイッチングの隣接関係テーブルに関する情報を表示します。

show interfaces serial slot/port

シリアルインターフェイスに関する情報を表示します。

次に、インターフェイスの PPP 状態情報を表示する例を示します。


Router# show ppp all
Interface/ID OPEN+ Nego* Fail-     Stage    Peer Address    Peer Name
------------ --------------------- -------- --------------- --------------------
Se0/1/1:0    LCP+ BCP+             LocalT   0.0.0.0

次に、show adjacency コマンドの出力例を示します。


Router# show adjacency serial 0/1/1:0 detail
Protocol Interface                 Address
IP       Serial0/1/1:0             101.0.0.2(11)
                                   0 packets, 0 bytes
                                   epoch 0
                                   sourced in sev-epoch 439
                                   Encap length 20
                                   FF0300310001503DE53411110022BDD5
                                   E8000800
                                   ARP

次に、シリアルインターフェイスについての情報を表示する例を示します。


Router# show interfaces serial 0/1/1:0
Serial0/1/1:0 is up, line protocol is up
  Hardware is SPA-8XCHT1/E1
  Internet address is 101.0.0.1/24
  MTU 1500 bytes, BW 1984 Kbit/sec, DLY 20000 usec,
     reliability 255/255, txload 1/255, rxload 1/255
  Encapsulation PPP, LCP Open
  Open: BCP, crc 16, loopback not set
  Keepalive set (10 sec)
  ARP type: ARPA, ARP Timeout 04:00:00

PPP ハーフブリッジのデバッグ

PPP ハーフブリッジをデバッグするには、次のコマンドを使用します。

コマンド

目的

debug ppp negotiation

LCP および Network Control Protocol(NCP)セッションネゴシエーションのデバッグを有効にします。

debug ppp error

ローカルエラーを表示します。

debug ppp events

プロトコルアクションと、リンク上の動作状態(保留中、待機中、アイドル)間の移行に関する情報を表示します。

debug arp

Address Resolution Protocol(ARP)トランザクションに関する情報を表示します。

debug ppp コマンドの出力例


Router# debug ppp
Aug  6 14:36:00.021 CST: ppp827 PPP: Phase is ESTABLISHING
*Aug  6 14:36:00.021 CST: Se0/3/0:0 PPP: Using default call direction
*Aug  6 14:36:00.021 CST: Se0/3/0:0 PPP: Treating connection as a dedicated line*Aug  6 14:36:00.021 CST: Se0/3/0:0 PPP: Session handle[1900033B] Session id[827]
*Aug  6 14:36:00.021 CST: Se0/3/0:0 LCP: Event[OPEN] State[Initial to Starting]
*Aug  6 14:36:00.021 CST: Se0/3/0:0 LCP: O CONFREQ [Starting] id 1 len 10
*Aug  6 14:36:00.021 CST: Se0/3/0:0 LCP:    MagicNumber 0x6B5AC045 (0x05066B5AC045)*Aug  6 14:36:00.021 CST: Se0/3/0:0 LCP: Event[UP] State[Starting to REQsent]*

debug arp コマンドの出力例


Router# debug arp
Aug  6 15:43:22.915 CST: IP ARP: rcvd req src 101.0.0.2 503d.e534.1111, dst 101.0.0.1 Serial0/1/1:0
Aug  6 15:43:22.917 CST: IP ARP: creating entry for IP address: 101.0.0.2, hw: 503d.e534.1111
Aug  6 15:43:22.917 CST: IP ARP: sent rep src 101.0.0.1 0022.bdd5.e800, dst 101.0.0.2 503d.e534.1111 Serial0/1/1:2

その他の参考資料

標準

標準

タイトル

なし

MIB

MIB

MIB のリンク

なし

選択したプラットフォーム、Cisco IOS リリース、およびフィーチャセットに関する MIB を探してダウンロードするには、次の URL にある Cisco MIB Locator を使用します。

{start hypertext}http://www.cisco.com/go/mibs{end hypertext}

RFC

RFC

タイトル

なし

シスコのテクニカル サポート

説明

リンク

右の URL にアクセスして、シスコのテクニカル サポートを最大限に活用してください。これらのリソースは、ソフトウェアをインストールして設定したり、シスコの製品やテクノロジーに関する技術的問題を解決したりするために使用してください。この Web サイト上のツールにアクセスする際は、Cisco.com のログイン ID およびパスワードが必要です。

{start hypertext}http://www.cisco.com/cisco/web/support/index.html{end hypertext}

Cisco ASR 1000 シリーズ ルータでの PPP ハーフブリッジの機能情報

「{start cross reference}表 23-1{end cross reference}」に、このモジュールで説明した機能をリスト表示し、特定の設定情報へのリンクを示します。

プラットフォームのサポートおよびソフトウェア イメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator を使用すると、ソフトウェア イメージがサポートする特定のソフトウェア リリース、フィーチャ セット、またはプラットフォームを確認できます。Cisco Feature Navigator にアクセスするには、{start hypertext} http://www.cisco.com/go/cfn{end hypertext} に進みます。Cisco.com のアカウントは必要ありません。


(注)  


{start cross reference}表 23-1{end cross reference} には、特定のソフトウェア リリース トレインで各機能をサポートするソフトウェアリリースだけが示されています。その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連のソフトウェア リリースでもサポートされます。
表 1. Cisco ASR 1000 シリーズ ルータでの PPP ハーフブリッジの機能情報

機能名

リリース

機能情報

Cisco ASR 1000 シリーズ ルータでの PPP ハーフブリッジ

Cisco IOS XE 3.13.1

PPP ハーフブリッジ機能は、Cisco IOS XE リリース 3.13.1 で、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータに導入されました。