トランスコーダとメディアターミネーションポイントの概要
トランスコーダ
トランスコーダは、コーデック変換を実行するデバイスで、あるコーデックからの入力ストリームを、別のコーデックを使用する出力ストリームに変換します。たとえば、トランスコーダは G.711 コーデックのストリームを取り込み、それを G.729 ストリームにリアルタイムで変換できます。通話中にエンドポイントが異なる音声コーデックを使用すると、Cisco Unified Communications Manager が、そのメディアパスでトランスコーダを呼び出します。トランスコーダは、2 つの互換性のないコーデック間でデータストリームを変換して、デバイス間で通信をできるようにします。トランスコーダは、その通話に関係するユーザーやエンドポイントには表示されません。
トランスコーダのリソースは、メディアリソースマネージャー (MRM) によって管理されます。
(注) |
トランスコーダは、G.711 とすべてのコーデック(トランスコーダとして機能している G.711 や MTP/TRP 機能を提供している G.711 を含む)の間のトランスコーディングをサポートします。 |
トランスコーダおよびメディアリソースマネージャ
Cisco Unified Communications Manager ノードはすべて、メディア リソース マネージャ(MRM)を使用してトランスコーダにアクセスできます。MRM は、トランスコーダへのアクセスを管理します。
MRM は、Cisco Unified Communications Manager のメディア リソース グループとメディア リソース グループ リストを使用します。メディア リソース グループ リストによって、トランスコーダは、割り当てられたメディア リソース グループ内の他のデバイスと通信できるようになります。さらにこれにより、クラスタ内のリソースの管理が可能になります。
トランスコーダ制御プロセスは、データベースで定義されている各トランスコーダ デバイスに対して作成されます。MRM はトランスコーダ リソースを追跡し、クラスタ全体にその可用性をアドバタイズします。
メディアターミネーションポイントとしてのトランスコーダ
ハードウェアベースのトランスコーダリソースは、メディアターミネーションポイント(MTP)および/またはトラストリレーポイント (TRP) 機能にも対応しています。この機能では、コール内の 1 つのエンドポイントが MTP または TRP を要求していることを Cisco Unified Communications Manager が判別すると、Cisco Unified Communications Manager はトランスコーダリソースを割り当て、コールに挿入することができます。このトランスコーダは、MTP トランスコーダのように動作します。
Cisco Unified Communications Manager は、MTP および TRP とトランスコーディング機能を同時にサポートします。たとえば、コールが(G723 リージョンに存在する)Cisco Unified IP Phone から(G711 リージョンに存在する)NetMeeting に発信された場合、1 つのトランスコーダ リソースが MTP とトランスコーディング機能を同時にサポートします。
ソフトウェア MTP リソースが必要なときに使用できない場合、コールは MTP リソースおよび MTP/TRP サービスを使用せずに接続しようとします。ハードウェア トランスコーダ機能が(あるコーデックを別のコーデックに変換するために)必要であり、トランスコーダが使用できない場合、コールは失敗します。
(注) |
トランスコーダは、G.711 とすべてのコーデック(トランスコーダとして機能している G.711 や MTP/TRP 機能を提供している G.711 を含む)の間のトランスコーディングをサポートします。 |
トランスコーダ タイプ
Cisco Unified Communications Manager の管理ページにおけるトランスコーダ タイプは次の表のとおりです。
(注) |
トランスコーダは、G.711 とすべてのコーデック(トランスコーダとして機能している G.711 や MTP/TRP 機能を提供している G.711 を含む)の間のトランスコーディングをサポートします。 |
トランスコーダ タイプ |
説明 |
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Cisco Media Termination Point Hardware |
このタイプは Cisco Catalyst 4000 WS-X4604-GWY および Cisco Catalyst 6000 WS-6608-T1 または WS-6608-E1 をサポートし、次のトランスコーディング セッション数を提供します。 Cisco Catalyst 4000 WS-X4604-GWY の場合
Cisco Catalyst 6000 WS-6608-T1 または WS-6608-E1 の場合
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Cisco IOS Media Termination Point(ハードウェア) |
このタイプは Cisco 2600XM、Cisco 2691、Cisco 3725、Cisco 3745、Cisco 3660、Cisco 3640、Cisco 3620、Cisco 2600、および Cisco VG200 ゲートウェイをサポートし、次のトランスコーディング セッション数を提供します。 NM-HDV 単位
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Cisco IOS Enhanced Media Termination Point(ハードウェア) |
NM-HD 単位 このタイプは Cisco 2600XM、Cisco 2691、Cisco 3660、Cisco 3725、Cisco 3745、および Cisco 3660 アクセス ルータをサポートし、次のトランスコーディング セッション数を提供します。
NM-HDV2 単位 このタイプは Cisco 2600XM、Cisco 2691、Cisco 3725、Cisco 3745、および Cisco 3660 アクセス ルータをサポートし、次のトランスコーディング セッション数を提供します。
PVDM4
これらのタイプは ISR4K (ISR44xx、ISR43xx)、C83xx、および C82xx プラットフォームをサポートし、次の数のトランスコーディング セッションを提供します。
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Cisco Media Termination Point (WS-SVC-CMM) |
このタイプは、装着されているドーター カード当たり 64 のトランスコーディング セッションを提供します。1 枚のドーター カードでは 64 のトランスコーディング セッション、2 枚のドーター カードでは 128 のトランスコーディング セッション、3 枚のドーター カードでは 192 のトランスコーディング セッション、4 枚のドーター カード(最大)では 256 のトランスコーディング セッションを提供します。 このタイプは、次のコーデックの任意の組み合わせの間でトランスコーディングを提供します。
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トランスコーダのフェールオーバーとフォールバック
次に、トランスコーダが登録されている Cisco Unified Communications Manager ノードが非アクティブになったときの、トランスコーダ デバイスの回復方法について説明します。
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プライマリ Cisco Unified Communications Manager ノードに障害が発生した場合、トランスコーダは、トランスコーダの属するデバイス プールに対して指定された Cisco Unified Communications Manager グループ内で、次に使用可能なノードへの登録を試みます。
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プライマリ Cisco Unified Communications Manager が使用可能な状態に戻ると、そのトランスコーダは、ただちにプライマリ Cisco Unified Communications Manager に登録されます。
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トランスコーダ デバイスは、到達不能になった Cisco Unified Communications Manager ノードから登録解除されます。そのノード上のコールが、リスト内の次の Cisco Unified Communications Managerノードに登録されます。
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トランスコーダが新しい Cisco Unified Communications Manager ノードへの登録を試み、登録確認応答を受信しなかった場合、トランスコーダはリストにある次のノードに登録されます。
トランスコーダ デバイスは、ハード リセットまたはソフト リセット後に登録を解除し、続いて接続を解除します。リセットが完了すると、デバイスはプライマリ Cisco Unified Communications Manager ノードに再登録されます。
メディア ターミネーション ポイント
メディアターミネーションポイント(MTP)により、Cisco Unified Communications Manager は SIP や H.323 エンドポイントまたはゲートウェイ経由でルーティングされるコールを中継できます。メディア ターミネーション ポイントは、コール保留、コール転送、コール パーク、会議などの補足サービスを拡張します。これらのサービス通常は、コールが H.323 エンドポイントにルーティングされる場合は、MTP がないと使用できません。H.323 補足サービスで MTP が必要となるのは、Empty Capability Set(ECS)または FastStart をサポートしていないエンドポイントのみです。ECS および FastStart をサポートしているすべての Cisco および他のサードパーティ製エンドポイントでは、MTP は必要ありません。
MTP デバイスは、プライマリ Cisco Unified Communications Manager が使用可能である場合は常にその Cisco Unified Communications Manager に登録され、サポートしている MTP リソースの数を Cisco Unified Communications Manager に通知します。同じ Cisco Unified Communications Manager に複数の MTP を登録できます。特定の Unified Communications Manager に複数の MTP が登録されている場合、その Cisco Unified Communications Manager は、MTP ごとのリソース セットを制御します。
たとえば、MTP サーバ 1 が 48 の MTP リソース用に設定され、MTP サーバ 2 は 24 のリソース用に設定されているとします。両方の MTP が同じ Unified Communications Manager を登録する場合、その Unified Communications Manager は両方のリソース セット、つまり、合計 72 の登録済み MTP リソースを保持します。
Unified Communications Manager は、コール エンドポイントで MTP が必要であると判定すると、アクティブ ストリームが最も少ない MTP から MTP リソースを割り当てます。その MTP リソースは、エンドポイントの代わりにコールに挿入されます。MTP リソースの使用は、システムのユーザにも、リソースが代わりに挿入されたエンドポイントにも見えない形で行われます。MTP リソースが必要なときに、そのリソースが使用できない場合、コールは MTP リソースを使用せずに接続されるため、そのコールは補足サービスを利用できないことになります。
MTP フェールオーバーおよびフォールバック
- プライマリ Cisco Unified Communications Manager に障害が発生した場合、MTP は、MTP が属するデバイス プールに対して指定された Cisco Unified Communications Manager グループ内で、次に使用可能な Cisco Unified Communications Manager への登録を試みます。
- プライマリ Cisco Unified Communications Manager が障害後に使用可能な状態に戻り、現在まだ使用されていない場合、MTP デバイスはただちにプライマリ Cisco Unified Communications Manager に再登録されます。
- コール保存モードでアクティブだったコールまたは会議は、すべてのパーティが切断されるまで、システムによって保持されます。システムは、補足サービスを使用可能にしません。
- MTP が新しい Cisco Unified Communications Manager への登録を試み、登録確認応答を受信しなかった場合、MTP は次の Cisco Unified Communications Manager に登録されます。
MTP デバイスは、ハード リセットまたはソフト リセット後に登録を解除し、続いて接続を解除します。リセットが完了すると、デバイスは Cisco Unified Communications Manager に再登録されます。
ソフトウェアメディアターミネーションポイントタイプ
Cisco Unified Communications Manager の管理におけるソフトウェアメディアターミネーションポイントのタイプは次の表のとおりです。
ソフトウェア MTP タイプ |
[説明(Description)] |
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Cisco Media Termination Point Software |
1 つの MTP は、デフォルトで 48(ユーザ設定可能)の MTP リソースを提供します。この数は、ネットワークとネットワーク インターフェイス カード(NIC)の速度に応じて変わります。たとえば、100 MB のネットワーク/NIC カードが 48 の MTP リソースをサポートできるのに対して、10 MB の NIC カードは同数のリソースをサポートできません。 10 MB のネットワーク/NIC カードの場合、約 24 の MTP リソースを提供できます。ただし、使用可能な MTP リソースの正確な数は、その PC 上の他のアプリケーションが消費しているリソース、プロセッサの速度、ネットワークの負荷、その他のさまざまな要因によって決まります。 |