はじめに

改訂日:2018 年 3 月 1 日

コラボレーションは、共通の目標を達成するための共同作業を意味します。最近まで、コラボレーションする最適な方法は同じ時間に同じ場所に居て、お互いに直接対話することでした。ビジネス リソースやアウトソーシングされたサービスが分散され、オフィス設備や出張のコストが増加している現在のグローバル化された経済では、物理的に同じ場所に人を集めることはコラボレーションするための最も効率的で効果的な方法とは言えなくなりました。Cisco Collaboration Solutions を使用すると、時間と経費を大幅に節約しながら、いつでもどこでもお互いにコラボレーションすることができます。

Cisco Collaboration Solutions は、モバイル通信やソーシャル メディアの最新技術など、音声、ビデオ、およびデータ通信を完全にサポートしています。Cisco Collaboration Solutions には、社内またはクラウドに配置できるアプリケーションとサービスの広範囲にわたるセットも用意されています。

Cisco End-to-End Collaboration ソリューション

Cisco Collaboration Technology は、あらゆる規模と種類の企業に対する完全なエンドツーエンドのコラボレーション ソリューションを作成するための多数の製品で構成されています。Cisco Collaboration Solutions は、概念的な形式で図 1-1 に示されているように、次の主な要素で構成されています。

図 1-1 Cisco Collaboration アーキテクチャ(概念図)

 

コラボレーション インフラストラクチャ

シスコはルーティングおよびスイッチング テクノロジーのリーダー企業として、長年評価されてきました。このテクノロジーによって、Cisco Collaboration Solutions のネットワーク インフラストラクチャの中核が形成されます。Cisco スイッチおよびルータで使用できる Quality of Service(QoS)メカニズムにより、ネットワーク全体で、最高品質の音声、ビデオ、およびデータ通信が提供されます。さらに、Cisco ゲートウェイには、企業の内部ネットワークを、外部のワイド エリア ネットワーク(WAN)に加え、公衆電話交換網(PSTN)や PBX などのレガシー システムに接続するための多数の方法が備わっています。また、Cisco Hosted Collaboration Solution(HCS)を使用して、Cisco パートナーはお客様にクラウド ベースでホストされたコラボレーション サービスを提供できます。これらのサービスは安全で、柔軟性があり、低コストで、拡張可能であり、最新テクノロジーが常に取り入れられています。

Cisco Collaboration システム リリース 12. x は、VMware vSphere ESXi ハイパーバイザとの仮想化を使用して展開されます。Cisco Collaboration アプリケーションのノードは、サーバ上で 1 つまたは複数のアプリケーション ノードとして動作可能な仮想マシンとして展開されます。これらの仮想アプリケーションは中小企業にコラボレーション サービスを提供します。また、シスコなどの大規模なグローバル企業に対処できるように拡張できます。

通常、コラボレーション セッションは保護される必要があります。そのため、ネットワークの中核部分からエンド ユーザのデバイスまで、コラボレーション パスの各レベルを保護するために、シスコは多数のセキュリティ メカニズムを開発しました。

コラボレーション ソリューションが実行されると、それを監視および管理する必要があります。シスコは、コラボレーション ソリューションをプロビジョニング、運用、監視、および保守するシステム管理者を支援するために、さまざまなツール、アプリケーション、および製品を開発してきました。これらのツールを使用して、システム管理者はネットワーク コンポーネントの動作ステータスを監視し、システムに関する統計情報を収集および分析して、カスタム レポートを生成できます。

コラボレーション アプリケーションおよびサービス

Cisco Collaboration Solutions には、次のような多数の高度なアプリケーションおよびサービスが含まれています。

  • インスタンス メッセージング(IM)およびプレゼンス :Cisco IM and Presence Service では、コラボレーションするパートナーと効率的にコミュニケーションを図れるため、Cisco Jabber、Cisco Unified Communications Manager アプリケーション、およびサードパーティ アプリケーションを使うユーザの生産性を高めることができます。
  • コラボレーティブ リッチ メディア会議 :Cisco WebEx には、音声、高解像度(HD)ビデオ、およびリアルタイムのコンテンツ共有がプラットフォームに組み込まれています。このプラットフォームを使用して、会議を簡単にセットアップおよび管理したり、会議で参加者と対話したり、IP フォン、タブレット デバイス、またはデスクトップ コンピュータなど、あらゆる種類のデバイスから会議に出席したりすることができます。オンプレミス型会議の場合、Cisco TelePresence Server を Cisco TelePresence Conductor と組み合わせて使用することで、TelePresence ビデオ エンドポイント、ビデオ対応デスク フォン、ソフトウェアベースのモバイルおよびデスクトップ クライアントへのコンテンツ共有とともに、アドホックでスケジューリングされた無期限の音声およびビデオの会議が可能になります。
  • Cisco Spark :Cisco Spark デスクトップおよびモバイル クライアントは、1 対 1 およびチームのコラボレーションを容易にするクラウドベースの常設仮想チーム ルームを可能にします。Cisco Spark デスクトップ クライアントは、Windows および Mac のコンピュータ上で動作します。Cisco Spark モバイル クライアントは、Android および Apple iOS のデバイス上で動作します。Cisco Spark を使用すると、ユーザは Cisco Collaboration Cloud からコラボレーション サービスにアクセスできます。このサービスには、セキュアで暗号化されたパーシステント メッセージング、IP を介した音声/ビデオ通話、およびファイル共有などがあり、すべて仮想の 1 対 1 またはグループのコラボレーション ルーム内で利用できます。
  • テレプレゼンス :Cisco TelePresence テクノロジーにより、ユーザは出張にまつわる経費や遅延を生じることなく、リアルタイムで集まることができます。Cisco TelePresence ポートフォリオには、個々のデスクトップ ユニットから会議室に最適な大型のマルチスクリーンによるイマーシブ ビデオ システムまでさまざまは高解像度(HD)ビデオ エンドポイントが含まれています。また、Cisco TelePresence 製品は、ビデオ機能を持つ Cisco WebEx や Cisco IP Phone など、他のシスコ コラボレーション製品と相互運用されるように設計されています。
  • 音声メッセージ :シスコ製品は大規模および小規模なコラボレーション システム用にいくつかの音声メッセージ オプションを提供し、さらに、標準プロトコルを使用したサードパーティ製ボイスメール システムと統合する機能を提供します。
  • カスタマー コンタクト :Cisco Unified Contact Center 製品は、カスタマー コンタクト センターにインテリジェント コンタクト ルーティング、通話処理、およびマルチチャネル コンタクト管理を提供します。Cisco Unified Customer Voice Portal はスタンドアロンの対話式音声認識(IVR)システムとしてインストールしたり、コンタクト センターと統合して、パーソナライズされたセルフサービスをお客様に提供できます。また、Cisco SocialMiner はソーシャル メディアを介してお客様と関与するための強力なツールです。
  • コールの録音およびモニタリング :Cisco Collaboration Solutions は、さまざまなテクノロジーを採用して、音声やビデオの会議だけでなく、コンタクト センター担当者と顧客との会話を録音およびモニタすることができます。コールの録音およびモニタリングの技術には、Cisco Unified Communications Manager、Cisco Agent Desktop、Cisco TelePresence Content Server、および Switched Port Analyzer(SPAN; スイッチド ポート アナライザ)の技術に基づくソリューションが含まれています。

コラボレーションのユーザ エクスペリエンス

コラボレーションとは、つまりユーザ エクスペリエンスです。ユーザがコラボレーション テクノロジーに関して良いエクスペリエンスを体験すると、ユーザはそのテクノロジーをより頻繁に使用し、それを使用してより良い成果を達成するようになります。コラボレーション テクノロジーを採用した企業は、これによってより大きな投資回収率(ROI)を得ることができます。そのため、シスコはコラボレーション テクノロジーを簡単、便利、および有益に使用できるようにすること目標に、特に次の拡張機能に重点を置いています。

  • さまざまなコラボレーション エンドポイントに対応 :シスコは基本的な音声のみの電話機から、ビデオやインターネット機能を持つ電話機、および高解像度のテレプレゼンスおよびイマーシブ ビデオ デバイスまで、完全なエンドポイント デバイスの製品ラインを提供しています。シスコのコラボレーション テクノロジーは、統合されたサードパーティ エンドポイント デバイスをコラボレーション ソリューションに統合する機能も提供します。
  • Cisco BYOD Smart Solution :Cisco Bring Your Own Device(BYOD)Smart Solution により、ユーザはスマートフォン、タブレット、または PC など、独自のデバイスを使って仕事ができます。働き方のエクスペリエンスを拡大することに加え、Cisco BYOD Smart Solution では、組織全体に有線および Wi-Fi アクセス用の単一ポリシーを提供することで、より強力なネットワーク セキュリティが確保され、ネットワーク管理が簡素化されます。
  • モバイル コラボレーション :シスコ モバイル コラボレーション ソリューションでは、モバイル ワーカーは持続的に到達可能性を得ることができ、さまざまな場所で、移動中や作業中の生産性を向上させることができます。シスコのモビリティ ソリューションには、次のような機能が含まれています。Extension Mobility を使用して、ユーザはシステム内のすべての電話機にログオンすることができ、その電話機でユーザのデフォルト電話機設定が想定されるようにできます。Cisco Jabber および Cisco Spark は、音声、ビデオ、およびインスタント メッセージ用のコア コラボレーション機能を、スマートフォンやタブレットなどのサードパーティ モバイル デバイスのユーザに提供します。Single Number Reach は、各ユーザのデスクにある電話機やモバイル電話の呼出音を同時に鳴らす単一の企業電話番号を提供します。
  • アプリケーションとサービス :前述のとおり、シスコはエンド ユーザのコラボレーション エクスペリエンスを充実させるために、多数の高度なアプリケーションとサービスを開発してきました。(コラボレーション アプリケーションおよびサービスを参照)。シスコのコラボレーション テクノロジーは業界標準に可能な限り準拠させているため、ユーザはサードパーティ製アプリケーションやサービスを独自のコラボレーション ソリューションに簡単に統合できます。また、シスコのコラボレーション製品で使用できるアプリケーション プログラミング インターフェイスを使用して、独自のカスタム アプリケーションを作成することができます。

このドキュメントについて

このマニュアルは、Cisco Collaboration ソリューション向けのソリューション リファレンス ネットワーク デザイン(SRND)ガイドです。ビジネス ニーズを満たすコラボレーション ソリューションを設計するためのシステム レベルの要件、推奨事項、ガイドライン、およびベスト プラクティスが示されています。

このマニュアルは、過去 10 年以上にわたりシスコが作成してきた SRND から発展したものです。シスコの音声、ビデオ、およびデータ コミュニケーションのテクノロジーが時間とともに発展し、成熟するにつれて、こうしたテクノロジーの進展を文書に反映するように SRND の改訂と更新が行われています。SRND の旧バージョンでは、シスコの Voice over IP(VoIP)テクノロジーのみに重点を置いていました。以降のバージョンでは、Cisco Unified Communications が文書化され、モバイル ボイス通信、会議、インスタント メッセージ(IM)、プレゼンス、ビデオ テレフォニーの新技術情報が追加されました。SRND のこの最新バージョンには、Cisco Spark、TelePresence およびすべてのタイプのエンド ユーザ デバイス(Bring Your Own Device、すなわち BYOD)に対するサポートなど、シスコ コラボレーション テクノロジーのすべての範囲が含まれています。シスコはコラボレーション テクノロジーの開発と機能強化を継続的に行っており、それに伴って、コラボレーション ソリューションを作成するための最新のガイドライン、推奨事項、およびベスト プラクティスを提供するため、この SRND は引き続き発展し、更新されます。

このマニュアルの構成

このマニュアルは、次の 4 つの主要部分で構成されています。

  • コラボレーション システムのコンポーネントとアーキテクチャ

マニュアルのこの部分の各章では、シスコ コラボレーション テクノロジーの主な構成要素が示されており、これらの構成要素がどのように連動して、完全なエンドツーエンドのコラボレーション ソリューションが形成されるかが説明されています。主な構成要素には、ネットワーク インフラストラクチャ、セキュリティ、ゲートウェイ、トランク、メディア リソース、エンドポイント、呼処理エージェント、配置モデル、およびリッチ メディア会議などがあります。詳細については、Cisco Collaboration システム コンポーネントとアーキテクチャの概要を参照してください。

  • 呼制御およびルーティング

マニュアルのこの部分の各章では、音声およびビデオ コールがコラボレーション システムでどのように確立、ルーティング、および管理されるかが説明されています。この部分で扱うトピックには、帯域幅管理、ダイヤル プラン、緊急サービス、ディレクトリ統合およびアイデンティティの管理などがあります。詳細については、呼制御およびルーティングの概要を参照してください。

  • コラボレーション アプリケーションおよびサービス

マニュアルのこの部分の各章では、コラボレーション ソリューションに組み込めるコラボレーション クライアント、アプリケーション、およびサービスが説明されています。この部分で扱うトピックには、Cisco Unified Communications Manager 組み込みアプリケーション、音声メッセージ、IM およびプレゼンス、モバイル コラボレーション、コンタクト センター、およびコール録音などがあります。詳細については、コラボレーション アプリケーションとサービスの概要を参照してください。

  • コラボレーション システムのプロビジョニングと管理

マニュアルのこの部分の各章では、コラボレーション ソリューションのコンポーネントをサイズ調整する方法、そのソリューションに移行する方法、およびそれを管理する方法が説明されています。この部分で扱うトピックには、サイジングの考慮事項、移行オプション、およびネットワーク管理などがあります。詳細については、コラボレーション システムのプロビジョニングと管理の概要を参照してください。

追加情報の参照先

このマニュアルには、Cisco Collaboration 製品と可能なソリューション設計の全範囲が含まれているため、個々の製品、機能、または設定の詳細をすべて説明することはできません。そのような詳細情報については、次の Web サイトで入手可能な特定の製品マニュアルを参照してください。

https://www.cisco.com

このマニュアルには、シスコ コラボレーション テクノロジーを使用して独自のコラボレーション ソリューションを設計する方法に関する一般的なガイドラインが記載されています。また、シスコは、コラボレーション、音声およびビデオの導入に必要な特定の推奨されるアーキテクチャに関する開発、試験、および文書化も行ってきました。推奨されるアーキテクチャ(PA)では、エンジニアリングのベスト プラクティスに基づく規範的なソリューション設計が提供されており、それらは次の Web サイトで文書化されています。

https://www.cisco.com/go/pa