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会議は、特にリモート ユーザや大規模なユーザ ベースのサービスを提供する場合は、コラボレーション システムの基本コンポーネントです。Cisco Rich Media Conferencing は、インスタント、永続的、およびスケジュールされた音声とビデオによる会議、コンテンツ共有などの機能を提供します。
カンファレンス ブリッジは会議機能を提供します。カンファレンス ブリッジとは、複数の参加者を 1 つのコール(音声またはビデオ)に参加させるリソースです。そのデバイス上で 1 つの会議に許可される最大キャパシティまで、所定の会議用に任意の数の接続を受け入れることができます。特定の参加者の出力表示には、表示者自身の入力を除く、接続しているすべての参加者が表示されます。
Cisco Rich Media Conferencing ソリューションでは、さまざまなインフラストラクチャを活用して、音声とビデオによる会議機能およびコンテンツ共有を提供します。会議インフラストラクチャは、ソフトウェアまたは DSP リソースを使用した Cisco Unified CM、Cisco Meeting Server、または Cisco WebEx Collaboration Cloud であり、この章では各ソリューションに関連する設計上の詳細を説明します。
Cisco Rich Media Conferencing ソリューションは、オンプレミス、クラウド、またはハイブリッドの導入環境として使用できます。これにより組織は、すでに投資しているコラボレーション ソリューションとの統合、または「クラウドで」ホストされるサービスの実装を行うことができます。これは、さまざまなソリューション間の重要な違いの 1 つで、組織に最適なソリューションを決定するときに最初に意思決定すべきポイントです。
Cisco WebEx Software as a Service(SaaS)は完全にオフプレミスなソリューションを提供しますが、Cisco Collaboration Meeting Rooms(CMR)Hybrid はオンプレミス機器とオフプレミス機器が混在するハイブリッド ソリューションです。Cisco Collaboration System を導入している組織は、オンプレミス ソリューションを利用することで最も利益を得ます。この章の以降の項では、各会議ソリューションの詳細な導入オプションについて説明します。
表 11-1 は、オンプレミス クラウドの観点から利用可能なソリューションを要約したものです。
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十分なエンドユーザ エクスペリエンスを実現するには、Cisco Conferencing ソリューションを導入する際に、ユーザが必要な会議機能を使用できるように、慎重な計画と設計を行う必要があります。
設計に役立てるため、この章では Cisco Conferencing ソリューションでサポートされるさまざまなタイプの会議の概要を示すことから始め、その後で、各ソリューションについて次の主要なトピックを詳細に説明します。
ここでは、会議ソリューションの主要なコンポーネントの概要を示し、その利点、およびコラボレーション システムのさまざまなコンポーネントを通じて利用可能なさまざまな会議機能について説明します。サポートされる導入モデル、ソリューション、および推奨事項についても、ここで説明します。
ここでは、復元力のある Cisco Conferencing ソリューションの設計に関するベスト プラクティスについて説明しています。また、冗長性とロード バランシングのためのガイダンスが含まれます。
ここでは、Cisco Conferencing ソリューションのキャパシティ制限と拡張性に関するベスト プラクティスと設計情報を提供します。
ここでは、Cisco Conferencing ソリューションの設計に関する一般的な推奨事項とベスト プラクティスについて説明します。
この章には、Cisco Collaboration System Release(CSR)12. x の新規サポートおよび更新された設計が記載されています。Cisco Collaboration System に Conferencing を導入する前に、この章全体をお読みください。
表 11-2 に、この章に新しく追加されたトピック、またはこのマニュアルの以前のリリースから大幅に改訂されたトピックの一覧を示します。
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Cisco Collaboration Meeting Rooms(CMR)Premises が Cisco Meeting Server で置き換えられました。 |
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Cisco Collaboration System Release(CSR)12. x のコンテンツを再編成した他、いくつかの更新を加えました。 |
Cisco Rich Media Conferencing ソリューションは次の会議のタイプをサポートします。
音声またはビデオによるインスタント会議(アドホック会議とも呼ばれる)は、臨時会議です。インスタント会議は、会議前にスケジュールまたは用意されません。たとえば、マルチポイント会議にエスカレートされたポイントツーポイント コールは、インスタント会議と見なされます。
パーマネント会議(ミートミー会議、スタティック会議、またはランデブー会議とも呼ばれる)は、前もってスケジュールすることなく会議を行えるようにする事前定義のアドレスです。会議ホストはその他のユーザとアドレスを共有します。それらのユーザは、いつでもそのアドレスにコールインできます
パーマネント会議のリソースは先着順に使用されます(確保されません)。会議リソースを保証(確保)するには、スケジュール済み会議を使用する必要があります。
スケジュール済み会議は、Cisco TelePresence Management Suite(TMS)と呼ばれるスケジュール管理システムを使用して開催者によって開始されます。会議は、開始時刻と終了時刻、および任意で事前定義の参加者のセットを指定して、Cisco TMS を介して予約されます。
Cisco Rich Media Conferencing は、以下で説明する会議ソリューションで構成されています。各ソリューションに関する詳細は、それぞれの項で説明しています。
このソリューションを採用することで、Unified CM がその内部ソフトウェア コンポーネントまたは外部ハードウェアのデジタル信号プロセッサ(DSP)をリソースとして使用して音声会議を実行できるようになります。
Cisco Meeting Server は、オンプレミスのビデオ会議ソリューションです。各ユーザには、会議を主催するために使用できるパーソナル スペースがあります。ユーザは Cisco Meeting App から、スペースの作成、スペースへのメンバー追加、PIN の作成などの作業項目を管理できます。
Cisco CMR Hybrid は、オンプレミス ビデオ会議と WebEx Meeting Center 会議を単一の会議に組み合わせます。これにより、TelePresence および WebEx の参加者が参加し、音声、ビデオ、およびコンテンツを共有できるようになります。CMR Hybrid 会議は、スケジュール済み会議またはスケジュールされない会議のいずれかです。
Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing(旧称 Cisco Collaboration Meeting Rooms(CMR)Cloud)は、オンプレミスの会議リソースや管理インフラストラクチャを必要としない、代替会議導入モデルです。これは、スケジュール済み会議とスケジュールされない会議の両方をサポートし、単一コールで TelePresence、音声、および WebEx の参加者(すべてクラウドでホスト)をサポートします。
クラウドベースの Web および音声会議が適していない場合に、オンプレミス WebEx Meetings Server ソリューションを使用できます。この製品は、スタンドアロンの音声、ビデオ、およびコラボレーション Web 会議プラットフォームを提供します。
Cisco Unified CM では、以下のいずれかの手法を使用して音声会議をサポートします。
ソフトウェア ベースの音声会議ブリッジは Unified CM の IP Voice Media Streaming Application によって提供されます。このアプリケーションは、クラスタ内の各ノード上でイネーブルにする必要があります。ソフトウェア ユニキャスト カンファレンス ブリッジは、G.711 音声ストリームと Cisco Wideband オーディオ ストリームを混合できる標準の会議ミキサーです。Wideband または G.711 a-law および mu-law ストリームの任意の組み合わせが、同じ会議に接続される場合があります。所定の設定でサポートできる会議数は、カンファレンス ブリッジ ソフトウェアが実行されるサーバと、アプリケーションで有効になっている他の機能によって決まります。ただし、256 はこのタイプのオーディオ ストリームの最大数です。ストリーム数が 256 あれば、ソフトウェア電話会議のメディア リソースで、1 つの電話会議あたり 256 人のユーザに対応できます。また、1 つの電話会議のユーザ数が 4 人の場合は、最大 64 の会議リソースに対応できます。Cisco IP Voice Media Streaming Application サービスおよび Cisco CallManager サービスが同一サーバ上で実行されている場合、ソフトウェア電話会議の最大参加者数は、48 人に限定されます。
Cisco IP Voice Media Streaming Application は、複数の機能に使用することもできるリソースで、設計ではすべての機能を同時に考慮する必要があります(Cisco IP Voice Media Streaming Applicationを参照)。ソフトウェア音声会議ブリッジの機能は限られているため、このブリッジは、集中型導入環境、またはインスタント音声会議とミートミー音声会議で G.711 コーデックを使用できる導環境でのみ使用することをお勧めします。Unified CM でソフトウェア音声会議ブリッジを使用すると、システムに高い負荷が発生することにも注意が必要です。
Cisco IOS によって会議リソースとして設定されるデジタル シグナル プロセッサ(DSP)は、会議機能のみに特化した DSP にファームウェアをロードします。このような DSP は、他のメディア機能には使用できません。単一のシャーシで任意の Cisco PVDM ハードウェアを音声インターフェイスとして同時に使用することはできますが、他のメディア リソース機能として同時に使用することはできない場合があります。PVDM ハードウェアの DSP はそれぞれ個別に音声インターフェイス、会議、メディアの終端、トランスコーディングとして設定されます。そのため、1 つの PVDM の複数の DSP を異なるリソース タイプとして使用できます。DSP は、まず音声インターフェイスに割り当ててから、必要に応じて他の機能に割り当ててください。会議用の DSP リソースは、プロファイル属性に基づいて、実際の参加者数に関係なく、設定の間予約されています。
ハードウェア音声会議ブリッジは、ソフトウェア会議ブリッジより多くの機能およびコーデック形式をサポートします。より多目的な音声会議ブリッジ、および帯域幅を削減するために G.729 のようにより複雑なコーデックのサポートが必要な企業では、ハードウェア音声会議ブリッジを使用することを推奨します。
ビルトイン ブリッジとは、コール内のエンドポイントのいずれかによってホストされる DSP リソースのことを指します。一部の Cisco IP Phone には、組み込みブリッジ機能用のオンボード DSP が搭載されています。IP Phone の組み込みブリッジは Cisco Rich Media Conferencing アーキテクチャの唯一の組み込み音声リソースです。ただし、組み込みブリッジの会議機能は限定的で、完全な会議の起動には使用できません。Cisco IP Phone の組み込みブリッジで、ユーザは次のことができます。
Cisco IP Phone の組み込みブリッジは、G.711 および G.729 コーデック形式のエンコードとデコードができます。ただし、一度コールのコーデックが選択されると、組み込みブリッジのコーデック選択はロックされ、電話機で使用するコーデックを変更することはできません。したがって、ベスト プラクティスとして、コールのドロップを避けるために組み込みブリッジが呼び出される可能性があるコール フローを慎重に分析します。
図 11-1 Cisco Conference Now のアーキテクチャ
ソフトウェアベースの Cisco IP Voice Media Streaming Application(IPVMS)以外のカンファレンス ブリッジを Unified CM から使用すると、会議参加者の入室音と退出音が提供されない可能性があります。ユーザ エクスペリエンスを快適にするため、Conference Now にソフトウェアベースの Cisco IPVMS カンファレンス ブリッジを使用することを推奨します。会議参加者の入室音と退出音のサポートの詳細については、次の Web サイトで入手可能な『 Feature Configuration Guide for Cisco Unified Communications Manager 』の最新バージョンを参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/support/unified-communications/unified-communications-manager-callmanager/products-maintenance-guides-list.html
Cisco Meeting Server ではオンプレミスの Cisco インフラストラクチャを使用して、ビジネス品質のビデオ会議と音声会議ならびにコンテンツ共有を可能にします。システム内の各ユーザには、ビデオ アドレス(DN または URI)を関連付けた Always-On のパーソナル スペースを割り当てることができます。参加者はこのビデオ アドレスにダイヤルインして会議に参加できます。Cisco Meeting Server では、Cisco Unified Communications Manager(Unified CM)または Cisco Expressway に登録されたエンドポイントのリッチ会議コラボレーション機能、および音声とビデオの Business-to-Business(B2B)システムとレガシー H.323 ビデオ システムを Cisco Expressway を介して統合する機能を使用できます。このアーキテクチャは、会議ソリューションのさまざまなコンポーネントに依存して、豊富な機能セットを提供します。ここでは、Cisco Meeting Server 会議ソリューションの各コンポーネントを紹介し、それぞれの役割を概説しします。
図 11-2 に、Cisco Meeting Server を使用した会議ソリューションのアーキテクチャを示します。Cisco Meeting Server が会議リソースを提供して管理します。Cisco TelePresence Management Suite(TMS)が会議リソースのプロビジョニング機能とスケジューリング機能を提供し、Cisco Meeting Management が会議の制御機能と管理機能を提供します。Cisco Unified Communications Manager(Unified CM)はコール制御システムとして機能します。または、Cisco Unified CM の代わりに Cisco Expressway をコール制御システムとして使用することできます。Cisco Meeting Server がサポートするのは SIP コール制御のみですが、Cisco Expressway を使用することでレガシー H.323 ビデオ システムとの連動が可能になります。Cisco Meeting Server はあらゆるタイプの会議をサポートする会議ブリッジであり、ここに、SIP トランク経由で Unified CM が接続されます。
Cisco Unified CM は XML-RPC over HTTPS を使用して Cisco Meeting Server と通信し、インスタント会議の会議ブリッジを制御します。Cisco TMS は REST API 接続を使用して Cisco Meeting Server にリンクし、会議リソースのプロビジョニングとスケジューリングを行います。Cisco Meeting Management が使用する Cisco Meeting Server とのインターフェイスには、REST API と呼詳細レコード(CDR)の 2 つがあります。REST API インターフェイスは Cisco Meeting Server で操作を実行する際に使用し、CDR インターフェイスは Cisco Meeting Server からコール イベントを受信する際に使用します。
図 11-2 Cisco Meeting Server のアーキテクチャ概要
スケジューリング アーキテクチャは、Cisco TMS および TelePresence Management Suite Extension for Microsoft Exchange(TMSXE)それぞれのアクティブ ノードとパッシブ ノードで構成されています。これらのノードは、ネットワーク ロード バランサの背後に導入されます。アクティブ ノードが着信要求を処理する一方、パッシブ ノードはスタンバイ モードで稼働し、その Web ページとサービスをロックした状態に維持して着信トラフィックを拒否します。大規模な導入環境では、Cisco TMS と TMSXE を別々の仮想マシン上にインストールする必要があります(図 11-3 を参照)。Cisco TMS サーバを設置する場所は、組織の SQL 導入環境もホストしている顧客データ センターです。すべてのサーバ ノードは、1 つの外部 Microsoft SQL データベースから機能します。さらに、エンドポイント、Cisco Meeting Server、Unified CM を合わせると完全な会議コンポーネントとなりスケジューリングに対応できます。
Cisco Meeting Management は Cisco Meeting Server の外部にある別個のサーバ上で、Cisco Meeting Server 導入環境専用として稼働します。前述したように、Cisco Meeting Management は REST API リンクを使用して Cisco Meeting Server で操作を実行します。Cisco Meeting Management は CDR インターフェイスを使用して、Cisco Meeting Server からコール関連のイベントを受信するため、会議がいつ開始または終了したのかということや、その他のコール アクティビティを認識します。ユーザがポータルにログインする際は、LDAP ディレクトリに対してユーザの認証が行われます。さらに、Cisco Meeting Management はディレクトリ内部に設定されたグループを使用して、ユーザのロール(ビデオ オペレータまたは管理者)を判別します。Cisco Meeting Management ポータル上で使用可能なオプションは、ユーザのロールに応じて異ります。(図 11-4 を参照)。
(注) Cisco Meeting Management を導入するために最低限必要なバージョンは Cisco Meeting Server 2.1.5 ですが、バージョン 2.2 以降を使用することをお勧めします。
図 11-4 Cisco Meeting Management のアーキテクチャ
図 11-5 に、ビデオ会議機能を提供する Cisco Meeting Server のコア会議コンポーネントを示します。コール ブリッジ コンポーネントにはコールを制御するための Cisco Unified CM が統合され、会議機能を実行するためのリソースがここから提供されます。すべての Cisco Meeting Server 会議はスペース上でホストされます。スペースとは、音声、ビデオ、コンテンツ共有機能を備えた仮想会議室のことです。スペースには、スペース URI または電話電話番号を使ってアクセスできます。ユーザをシステムにインポートするために、Cisco Meeting Server には Microsoft Active Directory などのディレクトリ サーバを統合する必要があります。ユーザのインポート プロセス中に、フィールド マッピング式の設定に従ってスペースが作成されます。ユーザとスペースに関するすべての情報はデータベースに格納されます。参加者が会議に参加するには、シスコまたはサードパーティ製の標準の SIP ビデオ エンドポイント、Cisco Jabber Clients、または Cisco ミーティング アプリケーションを使用できます。Cisco ミーティング アプリケーションを使用してログインする場合、ユーザの認証は XMPP サーバによって行われます。WebRTC クライアントのユーザは、ログイン後に Web ブリッジによってコール ブリッジに接続されます。
図 11-5 Cisco Meeting Server のコア会議コンポーネント
Cisco ミーティング アプリケーションは、Cisco Meeting Server のクライアントです。このアプリケーションは、ネイティブ デスクトップ/モバイル アプリケーションである場合も、WebRTC ブラウザ アプリケーションである場合もあります。ユーザは Cisco ミーティング アプリケーションを使用して、会議にログインして参加し、音声とビデオならびにコンテンツ共有を使用できます。WebRTC クライアントを使用すると、Cisco Meeting Server 上にアカウントがないユーザでも、互換性のあるブラウザを使用することで、ゲストとして会議に参加できます。さらに、ユーザは Cisco ミーティング アプリケーションを使用して会議を実行し、アクション(参加者の表示、参加者のミュート/削除、録音の開始/停止、独自のスペースの作成/編集など)を実行することができます。
(注) WebRTC アプリケーションは、互換性のある特定のブラウザ上でのみ稼働します。サポートされているブラウザについて詳しくは、https://kb.acano.com/content/37/4/en/what-versions-of-browsers-do-we-support-for-webrtc-app.html に掲載されている情報を参照してください。
(注) Cisco ミーティング アプリケーションをエンタープライズ ネットワークの内部または外部のどちらに導入しても、会議に参加できます。導入の詳細については、https://www.cisco.com/c/en/us/support/conferencing/meeting-server/products-installation-and-configuration-guides-list.html から入手できる Cisco Meeting Server のコンフィギュレーション ガイドを参照してください。
Cisco TelePresence Management Suite(TMS)は、会議のスケジューリングならびに会議室システムの予約を行います。Cisco Unified CM でエンドポイントの設定管理が維持されていれば、Cisco TMS はそれらのエンドポイントにカレンダーをプッシュできます。管理者は、組織のデフォルト会議のパラメータを設定してから、そのテンプレートに基づいて個々の会議を作成することができます。
エンドユーザが Microsoft Outlook で複数の会議室リソースを使用して 1 つの会議をスケジュールすると、Microsoft Exchange の Exchange Web Service(EWS)機能により、そのイベントが Cisco TMS にスケジュール済み会議として同期されます。この同期は双方向であるため、管理者またはサポート担当員が、会議主催者の Outlook イベントにアクセスせずに、会議を更新できます。組織内のエンドポイント リソースのうち、この会議に使用する予定のエンドポイント リソースはすべて、同じ 1 つの Microsoft Exchange 会議要求内にリストされている必要があります。
Cisco Meeting Management は Cisco TMS を必要としないスタンドアロンのツールですが、Cisco TMS と併せて使用することで、Cisco Meeting Sever を完全に管理するための機能が揃うことになります。お客様に対するコンシェルジュ サービスを提供する Meeting Manager が Cisco Meeting Management に備わっています。Meeting Manager は、すべてのアクティブな会議をそれぞれの詳細と併せてリストします。また、特定の会議内では、その会議の参加者全員がリストされ、録音またはストリーミングの開始/停止、レイアウトの変更、参加者の追加/除外、会議の終了などの操作を実行できます。個々の参加者は、音声/ビデオのミュート/ミュート解除、レイアウトの変更、コール統計の表示といった操作を行うことができます。
Cisco Meeting Server エッジを使用することで、外部ユーザがインターネットから Cisco ミーティング アプリケーションを使用して会議に参加できるようになります。この導入環境では、外部ユーザはエッジ ソフトウェア コンポーネントとやり取りを行い、これらのコンポーネントがコア ソフトウェア コンポーネントと通信します。エッジ コンポーネントは DMZ 内に配置され、コア コンポーネントはエンタープライズ ネットワーク内に配置されます。外部ユーザが接続すると、そのコールはエッジ コンポーネントにルーティングされてから、コア コンポーネントにルーティングされます。エッジ コンポーネントの導入オプションとしては、単一の統合導入環境(図 11-6)と単一の分割導入環境(図 11-7)の 2 つがあります。
単一の統合導入環境では、エッジ コンポーネントとコア コンポーネントを両方とも同じサーバ内に展開します。ただし、エッジ コンポーネントは DMZ ネットワーク内に配置され、コア コンポーネントはファイアウォール内部のエンタープライズ ネットワークに配置されます。単一の分割導入環境では、エッジ コンポーネントとコア コンポーネントをそれぞれ異なる 2 つのサーバに導入して分離します。エッジ コンポーネントは、DMZ 内に物理的に置かれたサーバに導入し、コア コンポーネントは企業のファイアウォール内に置かれた別個のサーバに導入することになります。
WebRTC クライアントを使用する外部ユーザは、DMZ 内の Web ブリッジに直接接続します。TURN サーバで提供されるファイアウォール メディア トラバーサル技術により、Cisco Meeting Server をファイアウォールまたは NAT の背後に導入することができます。TURN は Cisco Meeting Server 導入環境に組み込まれており、追加のライセンスは不要です。
分割導入環境においては、ロード バランサが、外部 Cisco ミーティング アプリケーションの単一の接続ポイントを提供します。ロード バランサは外部インターフェイスとポートで着信接続をリッスンします。ロード バランサはまた、XMPP サーバからの着信 TLS 接続も受け入れます。この接続では、ロード バランサが外部クライアントからの TCP 接続を多重化できます。これにより、コア コンポーネントとエッジ コンポーネント間に TLS トランクが形成されます。ロード バランサにも追加のライセンスは必要ありませんが、Call Bridge が有効にされている必要があります。
単一の統合導入環境および単一の分割導入環境について詳しくは、以下のリンク先から入手できる該当する導入ガイドを参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/support/conferencing/meeting-server/products-installation-and-configuration-guides-list.html
Cisco Meeting Server 2.1.2 および Cisco Expressway X8.10 からは、WebRTC クライアントを使用する外部ユーザが Expressway を介して Cisco Meeting Server に接続できるようになっています。導入環境について詳しくは、以下のリンク先から入手できる最新バージョンの Cisco Expressway Web Proxy for Cisco Meeting Server 導入ガイドを参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/support/unified-communications/expressway-series/products-installation-and-configuration-guides-list.html
Cisco Unified CM により、デバイス登録と、接続されたエンドポイント間での音声およびビデオ コールのルーティングが行われます。パーマネント会議、インスタント会議、スケジュール済み会議のコールは、いずれも単一の SIP トランク経由で Cisco Meeting Server 上のコール ブリッジにルーティングされます。各コール ブリッジには、個別の SIP トランクが必要です。インスタント会議の XML-RPC 要求を Cisco Meeting Server ノードに送信する HTTPS 接続が Unified CM ノード上に設定されます(図 11-8 を参照)。ユーザがデバイス上の会議ソフトキーを押して 2 者間通話を 3 者間通話にエスカレートする際は、会議をホストするための一時スペースを作成するために、Unified CM が API リクエストをこの HTTPS 接続を介して Cisco Meeting Server に送信します。インスタント会議、パーマネント会議、スケジュール済み会議をホストするスペースは、さまざまなコンポーネントによって作成されます。
図 11-8 Cisco Unified CM と Cisco Meeting Server の SIP トランク
Unified CM によって管理されるインスタント コール フローは、スケジュール会議など、その他の方法で作成された会議への参加者を追加するために使用できません。また、他のコール フローを使用して、インスタント会議への参加者を追加することもできません。インスタント コール エスカレーション方式は、その方法で作成されたインスタント会議でのみサポートされます。その他の方法で生成された会議をインスタント メカニズムで拡張することはできません。これにより、チェーン会議の可能性を回避できます。
インスタント会議では、2 者間のポイントツーポイント コールに関与するエンドポイントを、Unified CM 会議ブリッジ リソースを使用して 3 者間のマルチポイント コールにエスカレートさせることができます。インスタント会議では、Unified CM と Cisco Meeting Server 上のコール ブリッジの間にある SIP トランクに関連付けられた HTTPS XML-RPC 接続を使用します。ユーザが会議ソフトキーを押してインスタント会議を開始すると、Unified CM は Cisco Meeting Server 上に一時スペースを作成するために、HTTPS 接続を使用して API 要求を発行します。一時スペースが作成されると、Unified CM はそのスペースに、SIP トランク経由ですべての参加者をルーティングします。会議が終了した時点で、Unified CM はそのスペースを Cisco Meeting Server から削除するために、別の API 要求を発行します。図 11-9 に、Cisco Meeting Server を使用してインスタント会議を開始する例を示します。
図 11-9 Cisco Meeting Server を使用したインスタント会議の開始
パーマネント会議は、Cisco Meeting Server スペースを使用して展開されます。パーマネント タイプの会議を提供するスペースは、LDAP からのユーザ インポート プロセスの一環として作成されます。各スペースにはビデオ アドレス(URI または DN、あるいはその両方)が関連付けられ、ユーザはこのビデオ アドレスを使用して会議に参加できるようになっています。管理者はフィールド マッピングを使用してスペースの属性(名前、ユーザ名、URI など)を指定し、これらのマッピングを使用してスぺースを作成できます。ユーザは作成されたスペースに Cisco ミーティング アプリケーションを使用してログインし、そのスペースにメンバーを追加することができます。ユーザは Cisco ミーティング アプリケーションにログインして、他のスペースを作成し、メンバーを追加することもできます。このタイプの会議には、Unified CM と Cisco Meeting Server 上のコール ブリッジとの間に SIP トランクが必要です。
パーマネント会議を開始するには、会議開催者が使用するコール制御に応じて、いくつかの方法(IVR ダイヤルイン、事前設定されたビデオ アドレスなど)があります。図 11-10 に、ビデオ アドレスをダイヤルしてパーマネント会議を行う例を示します。
管理者によってパーマネント会議のビデオ アドレスが事前設定された後は、そのビデオ アドレスが恒久的に使用可能になります。ユーザはそのビデオ アドレスをダイヤルすることで、会議を開始したり、会議に参加したりできます。
別の方法として、ユーザは Cisco Meeting Server に組み込まれている自動音声応答(IVR)を使用して会議にダイヤルインすることもできます。この場合、IVR により、参加対象の会議の会議 ID と、パスワード(設定されている場合)の入力がユーザに求められます。
Cisco Meeting Server は、Cisco TMS での会議のスケジューリングをサポートしています。スケジュール済み会議には、Unified CM と Cisco Meeting Server 上のコール ブリッジとの間に SIP トランクが必要です。Unified CM は、スケジュール済み会議の参加者を SIP トランクの接続先にルーティングします。Cisco Meeting Server に対する REST API 要求を HTTPS 接続で送信するには、Cisco Meeting Server を Cisco TMS に追加する必要があります。管理者がスケジュール済み会議用の数値による ID の範囲を指定すると、Cisco TMS は API リンクを使用して、数値による ID ごとに Cisco Meeting Server 上に非アクティブのスペースを作成します。開催者が会議をスケジュールすると、Cisco TMS は、指定された範囲からランダムにダイヤルイン番号を選択します。スケジュール済み会議の開始時刻になると、Cisco TMS は API を使用してスペースをアクティブ化し、参加者が参加できるようにします。スケジュール済み会議にはさまざまな方法で参加できます( 表 11-3 を参照)。
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スケジューリングは、エンドポイントおよびポート リソースの可用性が保証されるよう試みられるため、会議に接続する便利な方法を提供します。大部分の企業は、カレンダー アプリケーションを使用して会議のスケジュール作成しています。この場合、カレンダー統合によって、ユーザが既存のカレンダー クライアントを使用して会議をスケジュールすることが可能となります。TelePresence 導入環境には、多くの場合、大量のエンドポイントと各種のインフラストラクチャ コンポーネントが組み込まれます。一元管理を行わなければ、不可能ではないにしても、コンポーネントのプロビジョニングやリソースのモニタリングが困難になります。管理プラットフォームは、これらのプロセスを大幅に簡素化します。
スケジュール済み会議は、会議リソースとエンドポイントに企業のカレンダー アプリケーションを統合することによって機能するようになります(図 11-11 を参照)。Cisco TelePresence Management Suite(TMS)は、エンドポイントとカレンダー アプリケーションの間に存在し、各スケジュール済み会議に適したブリッジ リソースを特定します。スケジュール済み会議を TelePresence Management Suite で導入し、3 つ以上のエンドポイントをスケジューリングして会議を作成することを推奨します。
図 11-11 カレンダー アプリケーションとの統合を使用したスケジュール済み会議
Cisco Unified CM は、Cisco Meeting Server との間でセキュリティ保護された SIP トランクを使用することによって、セキュリティな会議をサポートします。セキュアな会議では、Unified CM はコール シグナリングに TSL を使用し、メディア ペイロード暗号化に SRTP を使用します。ただし、会議全体がセキュアになるのは、すべての参加者エンドポイントがビデオ暗号化をサポートしている場合に限られます。Cisco Unified CM と Cisco Meeting Server 間の API インターフェイスを暗号化して、HTTPS が使用されるようにする必要があります。
(注) Cisco Meeting Server リリース 2.3 以降では、デフォルトで、すべての接続に TLS バージョン 1.2 を使用します。
Cisco Meeting Server は外部コンポーネントとの通信にも内部コンポーネント間の通信にもセキュアな接続を使用するために、証明書が必要です。自己署名証明書と認証局(CA)署名付き証明書の両方がサポートされますが、導入環境では CA 署名付き証明書を使用することをお勧めします。証明書の導入と要件について詳しくは、以下のリンク先から入手できる最新バージョンの『 Cisco Meeting Server Certificate Guidelines 』を参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/support/conferencing/meeting-server/products-installation-and-configuration-guides-list.html
PIN やパスワードを使用して会議へのアクセスを制限するため、別レベルのセキュリティを追加できます。どのスケジュール済み会議またはパーマネント会議でも、PIN を設定して、すべての参加者がその PIN を入力しなければ接続が許可されないようにすることができます。
セキュア会議の詳細については、Cisco Collaboration Securityを参照してください。
会議ソリューションについていくつかのレベルで、ハイ アベイラビリティを考慮する必要があります。また、ハイ アベイラビリティは、考慮するサービスに応じて異なる方法で実現されます。
スケジュール済み会議でも、スケジュールされていない会議でも、ハイ アベイラビリティには Cisco Unified CM、Cisco Meeting Server、Cisco TMS が関与します。
会議サービスでハイ アベイラビリティを実現するには、Cisco Meeting Server と Cisco Unified CM 間のリンクを冗長構成にして、Cisco Meeting Server への一方のリンクがダウンしても、バックアップ リンクでサービスを提供できるようにする必要があります。これらのリンクには、インスタント会議のメディア リソース グループとメディア リソース グループ リスト、および Cisco Meeting Server にコールをルーティングするためのルート グループとルート リストを組み込みます。
コール制御として Cisco Unified CM を使用している Cisco Collaboration エンドポイントで、ユーザが CONF ソフトキーをアクティブにすると、Unified CM はメディア リソース マネージャを使用して会議ブリッジを選択します。会議ブリッジ リソースは、メディア リソース グループ(MRG)で設定されます。メディア リソース グループ リスト(MRGL)は、優先順位順に並べられた MRG のリストを指定するものであり、エンドポイントと関連付けることができます。メディア リソース マネージャでは、エンドポイントの MRGL を使用して、会議ブリッジを選択します。リソースをグループ化する方法は完全に自由ですが、所定のサイトのすべてのエンドポイントが最も近いカンファレンス ブリッジを使用するように、可能な限り地理的な配置の論理モデルを使用して、リソースをグループ化することを推奨します。
Cisco Unified CM では、以下の基準に基づき(記載されている順)、会議ブリッジを選択します。
1. メディア リソース グループ リスト(MRGL)にリストされているメディア リソース グループ(MRG)の優先順位
2. 選択された MRG の中で、最も使用されていないリソース
メディア リソースの設計の詳細については、メディア リソースの章を参照してください。
ルート リストおよびルート グループは、Cisco Unified CM ドメインから出て行くコールの信頼性を確保する共通のコール ルーティング メカニズムです。バックアップ会議ブリッジが存在する場合、Cisco Unified CM がトランクとして統合されているメディア リソースでは、ルート リストおよびルート グループを使用してハイ アベイラビリティを実現する必要があります。コール アドミッション制御は、コールに使用されるトランクに基づいてメディア リソースの場所を設定することで維持できます。
ルート リストおよびルート グループの復元力メカニズムについては、ダイヤル プランの章を参照してください。
1 つ以上のサーバに追加のコンポーネント インスタンスを導入して、これらのコンポーネント インスタンスの間で負荷を共有し、あるインスタンスで障害が発生しても、バックアップ インスタンスでその負荷を引き継げるようにすることで、Cisco Meeting Server の復元力を実現できます。さらに、XMPP サーバ、コール ブリッジ、データベースをまとめてクラスタ化し、単一のインスタンスとして動作させることも可能です(図 11-12 を参照)。
図 11-12 ハイ アベイラビリティ対応 Cisco Meeting Server クラスタの最小構成
標準的な Cisco Meeting Server クラスタは、コール ブリッジ サービスが有効にされた 2 つ以上(最大 8 個)のノードで構成されます。ノード間の最大ラウンド トリップ時間(RTT)は 300 ミリ秒です。コール ブリッジ クラスタのピアは、フル メッシュ構成で分散リンクを使用して相互接続されます。分散リンクとは、ノード間でコール シグナリングおよび制御状況メッセージを受け渡しするために使用される HTTPS 接続です。コールは、クラスタ内のどのノードにも送信できます。ある 1 つのノードがダウンした場合、Unified CM は残りのコール ブリッジ ノードにコールをルーティングして会議に参加させることができます。会議の開催中にコール ブリッジで障害が発生した場合は、それらのコールがドロップされるため、参加者は同じ番号をダイヤルして、新しいコール ブリッジ上の会議に参加する必要があります。Unified CM のルート グループおよびルート リスト コンストラクトを使用して、コールを SIP トランク経由で Cisco Meeting Server に分配することができます。
データベース クラスタを構成するのは 1 つのマスターと複数のスレーブ(最大 5 つのノード)で、ノード間の最大 RTT は 200 ミリ秒です。データベース マスターは読み取り操作と書き込み操作の両方を実行する一方、スレーブは読み取り操作のみを実行します。コール ブリッジは読み取り/書き込み操作を行うためにデータベース マスターに常に接続され、マスター上で行われた変更のすべてがスレーブに複製されます。ローカル データベースを使用するコール ブリッジは、ローカル データベース クラスタのマスターに自動的に接続されますが、ローカル データベースがないコール ブリッジについては手動でデータベース クラスタに接続する必要があります。マスターで障害が発生した場合、スレーブのうちの 1 つが新しいマスターになり、残りのスレーブはこの新しいマスターに再登録されます。元のマスターで障害が解消されると、それはスレーブとして新しいマスターに登録されます。ネットワーク パーティションが発生した場合、クラスタ メンバーの過半数を認識できるデータベース ノードのみが、マスターに昇格する対象と見なされます。同様に、過半数のクラスタ メンバーを認識できない既存のマスターはスレーブに降格されます。これは、複数のマスターが作成されないようにするための仕組みです。したがって、データベース クラスタが偶数(2 または 4)のノードで構成されている場合、ネットワークがノード数を均等に分けた 2 つのセグメントにパーティション化されると、どちらのセグメントでもマスターがクラスタ メンバーの過半数を認識することはできなくなるため、マスターはスレーブに降格されます。この場合、クラスタ内にマスターは存在しなくなります。それでもコール ブリッジはコールを受け取ることができますが、データベースへの書き込み操作は不可能になります。このことから、常にマスターが選出されるよう、奇数のノードでデータベース クラスタを構成することを推奨します。つまり、クラスタを構成するデータベース ノードの最小数は 3 になるということです。
XMPP の復元力により、特定の XMPP サーバにアクセスできないクライアントに対するフェールオーバー保護が講じられます。XMPP サーバ クラスタは、奇数の XMPP サーバ ノード(最小 3 つのノード)を使用して構成されていなければなりません。これは、Cisco Meeting Server で XMPP サーバ マスターを選出するためには、クラスタ ノードの過半数が使用可能でなければならないという、マスター選出アルゴリズムの要件によるものです。クラスタ内で使用可能な XMPP サーバ マスターがなければ、Cisco ミーティング アプリケーション ユーザはログインできません。XMPP サーバのそれぞれは、XMPP サーバ間に確立されたリンクによって、互いの場所を把握します。サーバはキープアライブ メッセージを使用して互いをモニタし、マスターを選出します。XMPP メッセージは任意のサーバに送信できます。どのサーバに送信したとしても、マスター XMPP サーバに転送されるためです。マスターで障害が発生した場合、新しいマスターが選出されて、他の XMPP サーバはその新しいマスターにメッセージを転送します。コール ブリッジでは、DNS SRV レコード(_xmpp-component)で設定された優先度と重みに基づいて、使用可能な XMPP サーバに接続します。コール ブリッジが接続する XMPP サーバは一度に 1 つであるため、ネットワークの問題によってコール ブリッジが XMPP サーバに接続できなくなると、コール ブリッジは別の XMPP サーバへの接続を試みます。したがって、各 XMPP サーバ内にすべてのコール ブリッジを設定する必要があります。
図 11-12 には、ハイ アベイラビリティ対応 Cisco Meeting Server クラスタの最小構成が示されています。この構成では、データベースと XMPP サーバそれぞれの 3 つのインスタンスをホストするために、少なくとも 3 台のサーバが必要です。個々のサーバで、各コンポーネント サービス(Web ブリッジとコール ブリッジ)の 2 つ以上のインスタンスを有効にして、コール ブリッジをグループに含めてください。各サーバ内のすべてのサービスを有効にする必要はありません。必要なものだけを有効にします。導入環境に必要なキャパシティが 2 つのコール ブリッジで処理可能なキャパシティを超える場合、3 つ目のサーバに追加のコール ブリッジを設定することで対処できます(コール ブリッジのためだけに 4 台目のサーバを購入する必要はありません)。
大規模な Cisco TMS 導入環境でハイ アベイラビリティを実現するには、2 台の TMS フロントエンド サーバ、TMSXE を実行する 2 台のサーバ、1 つのネットワーク ロード バランサ、1 つの Microsoft SQL データベースが必要です(図 11-3 を参照)。TMS の復元力でサポートできるのは 2 台のサーバ(1 つのアクティブ ノードと 1 つのパッシブ ノード)に限られるため、このモデルでは TMS 導入環境のキャパシティが増減することはありません。ネットワーク ロード バランサー(NLB)は、TMS サーバの前面に導入します。TMS への着信トラフィックは NLB を経由し、NLB によってアクティブ ノードに転送されます。TMS からの発信トラフィックは、NLB を経由せずに直接宛先に送信されます。NLB は既存のアクティブ ノードで障害を検出すると、ユーザによる介入なしで、自動的に新しいアクティブ ノードに切り替えます。
Cisco Meeting Management には、復元力を提供するクラスタ機能が組み込まれていません。ただし、ハイ アベイラビリティを必要とするお客様は、同じ Cisco Meeting Server インスタンスを管理する、まったく同じ設定の 2 つの別個の Cisco Meeting Management インスタンスを構成し、この 2 つの Cisco Meeting Management インスタンスの前面にネットワーク ロード バランサを配置するという方法を取ることができます。この場合、ユーザはロード バランサを介して Cisco Meeting Management ポータルに接続できます。Cisco Meeting Management サーバのロード バランサの設定と可用性は、どの Cisco Meeting Management サーバを使用するかを決めます。
標準的な Cisco Meeting Server クラスタにコール ブリッジ(最大 8 つ)を追加することで、会議ソリューションを拡張できます。
この導入環境では、Unified CM 内の SIP トランクでのダイヤル プランとルート グループおよびルート リストの設定に応じて、クラスタ内の任意のコール ブリッジにコールをルーティングできます。同じ会議の複数のコールが異なるコール ブリッジにルーティングされる場合、最後の 4 つの通話中のスピーカーの音声とビデオがそれらのコール ブリッジ間で交換されるため、あるブリッジ上の参加者は他のブリッジ上の通話中のスピーカーを認識できます。
(注) Cisco Meeting Server では 8 つを超えるコール ブリッジを使用したクラスタ化をサポートしますが、このような導入にはシスコによる事前の承認が必要です。詳細については担当のシスコ アカウント チームにお問い合わせください。
各コール ブリッジでは 450 人の参加者をサポートできます。したがって、単一のサーバを使用する場合は、会議ごとの最大参加者数は 450 人となります。単一のクラスタ内に含まれる複数のサーバを使用する場合は最大 2,600 人の参加者をサポートできます。拡張性についての詳細は、以下のリンク先から入手できる最新のバージョンの『 Cisco Meeting Server and Cisco Meeting App Data Sheet 』を参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/products/conferencing/meeting-server/datasheet-listing.html
Cisco Meeting Server クラスタはコール ブリッジ グループを使用して、同じ場所にあるコール ブリッジ間または異なる場所にあるノード間でインテリジェントにコールをロード バランシングし、1 つの導入環境内で拡張を行えます。コールの転送先を決定するためのインテリジェントな判断は、Cisco Meeting Server によって行われます。コール制御システムがコールを適切な場所に移動するためには、Cisco Meeting Server からの SIP メッセージを処理できなければなりません。クラスタとして構成されているコール ブリッジは、1 つ以上のコール ブリッジ グループに含めることができます。グループに含まれるコール ブリッジについては、Cisco Meeting Server はそれらのコール ブリッジの間でコールをインテリジェントにロード バランシングし、コール ブリッジ間の分散リンクの作成を最小限に抑えるために、同じ会議のコールを可能な限り同じコール ブリッジに送信します。
コール ブリッジへの着信 SIP コールの場合、そのコール ブリッジの現在の負荷に応じて、Cisco Meeting Server はコールを拒否するか受け入れるか判断します。現在の負荷が事前設定されたしきい値を下回っていれば、コールは受け入れられます。そうでない場合、コールは拒否され、Unified CM により、ダイヤル プランの設定に従ってコールがコール グループ内の別のコール ブリッジに再ルーティングされます。Unified CM がコールを受け入れるコール ブリッジを見つけられなければ、コール全体が拒否されます。Cisco Meeting Server で受け入れられたコールは、その Cisco Meeting Server のコール ブリッジでホストされる場合もあれば、会議の内部順序付けリストに従って、最大の優先度が設定された別のコール ブリッジに移動される場合もあります。コールが移動されると、コール ブリッジが有効にされたターゲット Cisco Meeting Server は、コールを引き継ぐために、Replaces を設定した INVITE を Unified CM に送信します。デフォルトでは、コール ブリッジ グループに含まれるコール ブリッジは、負荷が 80 % になった時点で新しい参加者のすべてのコールを拒否し、新しい分散コールのみを許可するようになります。
アウトバウンド SIP コールについては、Cisco Meeting Server はアウトバウンド ダイヤル ルールを使用して、ドメインと一致する最大優先度のルールを特定し、コール ブリッジ グループを使用してコールのロード バランシングを行います。ルールがローカル コール ブリッジに適用される場合、コールのロード バランシングはローカル コール ブリッジ グループを使用して行われます。適用されない場合は、リモート コール ブリッジがメンバーとなっているコール ブリッジ グループを使用してコールのロード バランシングが行われます。また、API を使用して発信されるコールについては、コール ブリッジ グループまたはコール ブリッジをパラメータとして指定できます。コール ブリッジ グループの場合は、そのグループに含まれるコール ブリッジの間でコールのロード バランシングが行われます。コール ブリッジの場合は、そのコール ブリッジを使用してコールが実行されます。
Cisco ミーティング アプリケーション(WebRTC を含む)クライアントの場合、ユーザはスペースのメンバーとして、またはスペースの非メンバーとして(Cisco Meeting Server 上にアカウントがある場合)、あるいはゲストとして会議に参加できます。API を使用してユーザをメンバーとしてスペースに追加する際は、コール ブリッジ グループまたはコール ブリッジをパラメータとして指定できます。コール ブリッジ グループの場合、Cisco ミーティング アプリケーション ユーザが会議に参加すると、そのグループを使用してコールのロード バランシングが行われます。コール ブリッジの場合、Cisco ミーティング アプリケーション ユーザが会議に参加すると、そのコール ブリッジによってコールが処理されます。ユーザがスペースのメンバーではない場合、あるいは Cisco ミーティング アプリケーションを使用してゲストとして会議に参加する際は、そのユーザが最初に接続するコール ブリッジが判断されます。そのコール ブリッジがコール ブリッジ グループに属している場合は、そのグループを使用してコールのロード バランシングが行われます。Cisco ミーティング アプリケーション コールのロード バランシングを行うためには、コール ブリッジ グループに含まれるコール ブリッジのそれぞれが、XMPP クラスタまたは単一の XMPP サーバに接続できるようにしてください。
コール ブリッジ グループに含まれるコール ブリッジ間で正常にコールを移動するには、満たさなければならないネットワーク要件がいくつかあります。グループに含まれるコール ブリッジ間の最大 RTT は 100 ミリ秒、クラスタ内の 2 つコール ブリッジ間の最大 RTT は 300 ミリ秒でなければなりません。
コール ブリッジ グループの設定と導入について詳しくは、以下のリンク先から入手できる最新バージョンのホワイト ペーパー『 Load Balancing Calls Across Cisco Meeting Servers 』を参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/support/conferencing/meeting-server/products-installation-and-configuration-guides-list.html
(注) コール ブリッジ グループとロード バランシングが使用されていなければ、コールが拒否されることはありませんが、負荷の上限に達すると、すべてのコールの品質が低下します。品質低下が頻繁に発生する場合は、追加のハードウェアを導入することをお勧めします。
複数の Cisco Unified CM クラスタを使用する大規模な導入環境では、単一の Cisco Meeting Server クラスタに複数のコール ブリッジ グループを設定し、それぞれのグループを各 Unified CM クラスタ専用にしてください。
たとえば、導入環境に 3 つの Unified CM クラスタがある場合、3 つのコール ブリッジ グループ(Unified CM クラスタごとに 1 つ)を設定した単一の Cisco Meeting Server クラスタを導入します。Unified CM クラスタごとに、そのローカル コール ブリッジ グループ内の各コール ブリッジに接続する SIP トランクが必要です。Unified CM クラスタへのすべて着信会議コールは、ローカル コール ブリッジ グループによって処理されます。コール ブリッジの分散リンクは、グループ内外にあるそれぞれのピアにフル メッシュ トで接続されている必要があります。同じ会議に複数のユーザが Unified CM クラスタからダイヤルインしてそのローカル コール ブリッジ グループに到達した場合、他のコール ブリッジ グループに含まれるコール ブリッジにより最後の 4 つの通話中のスピーカーの音声とビデオがピアと交換されるため、参加者はこれらのブリッジを介して互いを認識することができます。(図 11-13 を参照)。
図 11-13 複数の Unified CM クラスタを使用した Cisco Meeting Server 導入環境
複数の地域に Cisco Meeting Server クラスタを拡張して複数の Unified CM クラスタに対応する場合は、以下のガイドラインが適用されます。
– Cisco Meeting Server クラスタ内のコール ブリッジ間では最大 300 ミリ秒、データベース間では最大 200 ミリ秒
Cisco Meeting Server は、マルチパーティ ランセンスと Cisco Meeting Server キャパシティ ユニットの両方をサポートしていますが、マルチパーティ ランセンスを使用することを推奨されています。マルチマーティ ライセンスはユーザベースのランセンス モデルであり、コール ブリッジが有効にされたすべてのノードに適用する必要があります。このライセンスには、Personal と Shared の 2 つのバージョンがあります。Personal Multiparty Plus(PMP+)は特定のネームド ホスト用であり、Shared Multiparty Plus(SMP+)は会議室システム用またはユーザ間で共有されるものです。デフォルトでは、システム内のすべてのユーザが Shared Multiparty Plus(SMP+)を使用します。Personal Multiparty Plus(PMP+)が必要な場合は、Cisco Meeting Server API を使用して PMP+ をユーザに割り当ててください。各ライセンスでは、ユーザは、参加者数無制限、ビデオの最大解像度 1080p の会議をホストできます。 表 11-4 で、Personal Multiparty および Shared Multiparty の各ライセンスに含まれる機能を要約します。
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シングルスクリーンまたはマルチスクリーン エンドポイントで、ビデオに対しては 1080p60(フル HD)、コンテンツに対しては 1080p30 |
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Business-to-Business(B2B)または Business-to-Customer(B2C)のリッチ メディア セッション |
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新規顧客は Starter Pack を購入2 |
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2.Cisco TMS および関連する製品ライセンスのみが必要な場合は、TMS Starter Pack を購入していだたけます。 |
ライセンスの詳細については、以下のリンク先から入手できる製品マニュアルを参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/products/conferencing/meeting-server/index.html?dtid=osscdc000283
Cisco Meeting Management では、Cisco Meeting Server のお客様用の追加ライセンスは不要です。 https://www.cisco.com から Cisco Meeting Management をダウンロードできます。
Cisco Meeting Server のキャパシティは、選択したプラットフォームや導入環境内で実行する会議ノードの数によって異なります。導入のサイジングの主な目的は、必要な Cisco Meeting Server への同時接続数を決定することです。次のような検討事項があります。
地域ネットワークの会議メディアをできるだけ多く確保するために、会議リソースは一般に 1 つの地域専用となります。したがって、サイジングは地域単位で検討することができます。会議の導入環境を適切にサイジングするには、Cisco Collaboration Sizing Tool を使用してください。このツールは、有効なログイン アカウントがあれば https://cucst.cloudapps.cisco.com から入手できます。
(注) 特定の環境での会議リソースのサイジングにあたっては、代理店にご相談ください。
サイジングの詳細については、コラボレーティブ会議を参照してください。
Cisco Meeting Server プラットフォームのタイプと、Cisco Meeting Management で管理する Cisco Meeting Server クラスタの数によって、必要となる導入サイズは異なります。詳細については、以下のリンク先から入手できる最新の Cisco Meeting Management リリース ノートを参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/support/conferencing/meeting-management/products-release-notes-list.html
要約すると、Cisco Meeting Server を導入する際は、以下の推奨事項を考慮する必要があります。
Cisco WebEx は、ハードウェアをオンサイトに配置する必要がないコラボレーション会議ソリューションです。すべてのサービス(音声、ビデオ、およびコンテンツ共有)は、Cisco WebEx Collaboration Cloud を介してインターネットでホストされます。これは、多くの場合、Software-as-a-Service(SaaS)と呼ばれます。インターネットに接続できる環境であれば、会議の開始と会議への参加は、いつでもどこでも、どのデバイスからでも行うことができます。企業に接続する必要はありません。ここでは、ソリューションの特性について説明し、WebEx SaaS の配置の設計ガイドラインを示します。
Cisco WebEx SaaS は、Cisco WebEx Collaboration Cloud を使用して顧客に会議ソリューションを提供します。Cisco WebEx Collaboration Cloud は、キャリアクラス情報スイッチング アーキテクチャで作成されたグローバル ネットワークであり、このネットワーク上ではシスコ コラボレーション トラフィックのみが流れます。図 11-14 は、Cisco WebEx Collaboration Cloud のアーキテクチャを示しています。
図 11-14 Cisco WebEx Collaboration Cloud のアーキテクチャ
このネットワークは、リアルタイム通信専用に作成されており、TCP レイヤのフローに関連する遅延を最小化するように特別に構成されています。ネットワークは、主要なピアリング ポイントにおいてアプリケーション固有のマルチメディア スイッチで構成されており、WebEx 会議に関して高速のセッション トラフィックを処理し、また高品質のサービスを保証します。これらのスイッチは、公衆インターネットを避けて専用線で相互接続された安全性の高いシスコ データセンターに格納されています。これらのデータセンターは、主要なインターネット アクセス ポイントの近くに配置されており、会議トラフィックを世界中に安全かつ確実にルーティングします。主要な会議ノードを格納するこれらの大規模なデータセンターに加えて、シスコは、世界中にノードを展開しています。ネットワークは、グローバル サイト バックアップを備えた完全冗長クラスタ上に構築されます。これらのサービスおよびその他の機能は、Cisco WebEx Collaboration Cloud 運用サポート システムの一部を形成します。
ユーザが WebEx ミーティングに接続するには、コンピュータやモバイル デバイス上で稼働する会議アプリケーションを使用することも、さらには HTML5 ブラウザベースの Web アプリケーションを使用することもできます。接続が確立されると、図 11-14 に示すように、WebEx Collaboration Cloud は、WebEx 会議を構成するすべての同期リアルタイム対話を管理します。ユーザは、Web ゾーン内に存在する WebEx Collaboration Cloud を使用して、ブラウザで WebEx アプリケーションにアクセスします。アプリケーション プログラミング インターフェイス(API)により、WebEx Collaboration Cloud コア内の会議ゾーンで WebEx アプリケーションをスイッチング プラットフォームに関連付けます。相互接続および分散型コラボレーション スイッチの多数のクラスタ、関連付けられたデータベース、および論理的および物理的なネットワーク インフラストラクチャにより、WebEx Collaboration Cloud コアが構成されます。多層セキュリティ コンポーネントと WebEx 運用サポート システムでネットワークを囲むことにより、保護が強化されます。
WebEx Collaboration Cloud は、インテリジェントなルーティング、グローバル サイト バックアップ(GSB)、およびグローバル サーバ ロードバランシング(GSLB)を使用してリアルタイム トラフィックを確実に提供します。WebEx 会議出席者の地理的な位置に基づいて、WebEx Collaboration Cloud は、最小の遅延と最高のパフォーマンスを提供するポイントオブプレゼンスを決定します。WebEx 会議ホストは、同じ領域内の地理的に離れたシスコ データセンターに物理的に配置されるバックアップ サイトを自動的に取得します。ほとんどないことですが、プライマリ WebEx サイトが使用不可になること、GSB は、すべての会議アクティビティを自動的にバックアップ サイトに切り替えます。GSLB はロードバランシング設計であり、遅延が最小になるように、WebEx Collaboration Cloud 内の最も輻輳が低いスイッチにトラフィックを振り向けます。したがって、1 台の会議スイッチで輻輳が発生すると、トラフィックは代替スイッチに振り向けられて、参加者の間で迅速な画面の更新と同期が実現され、より効果的な会議環境となります。
図 11-15 に示す WebEx 配置モデルでは、すべてのクライアントからのすべてのコンテンツ、音声、およびビデオ トラフィックは、インターネットを通過し、クラウド内で WebEx データセンターでミキシングおよび管理されます。WebEx データセンターは、論理的には、会議ゾーンと Web ゾーンに分割されます。Web ゾーンは、Web 会議の前後に発生することを処理します。スケジューリング、ユーザ管理、課金、レポート、ストリーミング レコーディングなどのタスクが組み込まれています。会議ゾーンは、実際の会議がエンドポイント間で進行中になると、その切り替えを処理します。
会議ゾーンは 2 つのサブシステムで構成されます。会議ゾーンには、会議コンテンツを切り替えるコラボレーション ブリッジがあります。マルチメディア プラットフォームは、会議内の VoIP ストリームおよびビデオ ストリームすべてのミキシングを処理します。WebEx セッションに参加するには、参加者は最初に Web ゾーンに接続する必要があります。Web ゾーンのトラフィックは、会議の前後にだけ流れ、比較的低い帯域幅であり、主にリアルタイムではありません。リアルタイムの会議コンテンツ共有は、会議ゾーンへ、または会議ゾーンから流れ、帯域幅に大きな影響を与える可能性があります。そのリアルタイムという性質から、企業のアクセス インフラストラクチャに大きな負荷がかかる場合があります。ネットワーク トラフィック プランニングの詳細については、キャパシティ プランニングを参照してください。
Meeting Center では H.264 AVC/SVC コーデックが使用され、高画質ビデオを会議で使用できます。このような環境を展開するには、より広いネットワーク帯域幅が必要です。高画質ビデオのネットワーク トラフィック最適化の詳細については、キャパシティ プランニングを参照してください。
各 WebEx Meeting Center ホストには、カスタマイズ可能な固定 URL を持つパーソナル ルームがあります。ホストは、自身のルームを使用して会議を主催し、参加者はその固定 URL を使用してルームに入出します。ホストは、ルームをロックして会議の進行中に他者が入らないようにしてプライバシーを維持するなどのロビー管理機能を使用できます。
Cisco WebEx Meeting Center バージョン WBS32.4 以降、Meeting Center で雑音検出機能をサポートするようになっています。この機能では、会議で発言中のユーザの声と背景雑音を区別することができます。[コンピュータを使用して通話(Call Using Computer)] オプションを使用して音声が接続されている場合、アクティブな背景雑音(ノック、タイプ、サイレン、犬の吠え声など)が検出されると、Meeting Center は自動的にユーザに警告を出して、ミュートにするよう求めることができます。ただし、ユーザは必要に応じて雑音検出機能を無効にすることもできます。
(注) 雑音検出機能では、[コンピュータを使用して通話(Call Using Computer)] 音声オプションのみをサポートしています。
デフォルトでは、すべての WebEx 会議データは、128 ビット SSL 暗号化を使用してクライアントとシスコの Collaboration Cloud の間で暗号化されます。クラウド内の SSL アクセラレータによって、コンテンツ共有情報は復号化され、コンテンツを処理して SSL アクセラレータを介して返信する WebEx カンファレンス ブリッジに送信されます。情報は SSL アクセラレータで再度暗号化されてから、参加者に返信されます。Web ゾーンと会議ゾーンのトラフィックはすべて、128 ビット SSL を使用して暗号化されます。SSL 機能を Web ゾーンと会議ゾーンのサーバからオフロードするために、SSL アクセラレータが使用されます。
会議の終了後は、WebEx クラウドまたは参加者のコンピュータにセッション データは保持されません。2 種類のデータだけが長期的に保持されます。これらのデータは、課金とレポート情報、およびオプションのネットワーク ベースのレコーディングであり、どちらも許可された企業ユーザだけがアクセスできます。
会議データの一部の制限されたキャッシュが、会議ゾーンで実行されます。これは、接続に問題のあるユーザまたは開始されたあとで会議に参加するユーザが、最新の完全に同期がとれたバージョンの会議コンテンツを受信できるようにするために実行されます。
文書化されたセキュリティのベスト プラクティスに WebEx クラウドが準拠していることを保証するために、独立した第三者によって、商業的および政治的なセキュリティ要件を対象とした外部監査が実行されます。WebEx では、AICPA によって確立された標準に従って、SSAE Type 16 監査を年次で Price Waterhouse Coopers によって実行しています。WebEx に対して監査される制御は、ISO-27002 の標準に基づきます。この重視および認知されている監査によって、顧客データの処理に関して、WebEx サービスが制御の目的および制御のアクティビティ(情報技術およびセキュリティ関連プロセスの制御を含む場合もあります)に対して詳細に監査されていることが検証されます。
セキュリティの強化を必要とするお客様の場合、クラウド内でトラフィックが復号化されないように、コラボレーション ブリッジおよびマルチメディア コンテンツに対してエンドツーエンド 256 ビット AES 暗号化を実行するオプションもあります。エンドツーエンド暗号化の結果、NBR などの一部の機能は失われます。拡張 WebEx セキュリティ オプションの詳細については、次の Web サイトで入手可能なホワイト ペーパー『 Unleash the Power of Highly Secure, Real-Time Collaboration 』を参照してください。
https://www.cisco.com/en/US/products/ps12584/prod_white_papers_list.html
(注) エンドツーエンドの暗号化オプションは、追加コストなしで Meeting Center および Support Center の会議で使用できます。
サイト管理者は、ネットワークベースの録音へのアクセスに対し、パスワードの使用を強制することができます。開催者は会議をスケジュールする際に、会議の参加者全員にシングル サインオン(SSO)認証によるサインインを必須事項としたり、招待した参加者だけに会議を制限したりすることができます。さらに、サイト管理者は開催者がロック解除したパーソナル ルームへの入室を、認証済み参加者だけに許可するオプションを有効にすることもできます。この場合、認証されていない参加者は、開催者が入室を許可するまではロビーで待たなければなりません。
会議のスケジューリングと開始に関して、WebEx にはクラウドベースの Web スケジューリング機能がありますが、ほとんどの組織は企業電子メール システム(Exchange、Lotus Notes など)またはその他の企業アプリケーションからスケジューリングします。WebEx Productivity Tools は、単一のアプリケーションに組み込まれた既知のデスクトップ ツールとの統合のバンドルです。WebEx 管理者は、組織のユーザにツールを介して提供される特定の統合を制御できます。WebEx サイトからダウンロードしてインストールすることも、標準的なデスクトップ管理ツールを使用してローカルでプッシュすることもできます。WebEx Productivity Tools の詳細については、次の Web サイトを参照してください。
クラウド内に組織の WebEx ユーザ プロファイルを作成するためのオプションがいくつかあります。実際のユーザ名とパスワード、および大量のユーザ アカウントの処理について、セキュリティ上の考慮事項を検討する必要があります。WebEx 管理者は、CSV テンプレートのバルク インポートによって手動で、またはプログラムによるアプローチによって、ユーザ プロファイルを作成できます。プログラムによるアプローチでは、WebEx API、URL、および XML のいずれかまたは組み合わせ、あるいはフェデレーション SSO ソリューションが使用されます。プログラムによるアプローチはカスタマー ポータルで使用できます。カスタマー ポータルは、WebEx に直接統合される CRM ツールや Learning Management System などのアプリケーションです。また、ユーザは、会社の WebEx サイトからアカウントにサインアップできます。要求の承認後に、ユーザ プロファイルが作成されます。
組織の LDAP ディレクトリとの直接統合の場合、Security Assertion Markup Language(SAML)を使用したフェデレーション SSO が望ましいアプローチです。フェデレーション SSO の詳細情報については、次の URL にあるホワイト ペーパーおよびテクニカル ノートを参照してください。
https://developer.cisco.com/site/webex-developer/develop-test/sso/reference/
Cisco WebEx Collaboration Cloud には、非常に高レベルの冗長性が組み込まれており、シスコによって管理されています。これは、停止時に冗長な会議ノードに対して非常に堅牢なカットオーバーを行うことによりサービスを継続するように設計されています。すべてのお客様に対して、プライマリ WebEx サイトに加えて、同じ領域内の地理的に離れた WebEx データセンターに物理的に配置されたバックアップ サイトが準備されています。お客様のプライマリ サイトが使用できない場合、グローバル サイト バックアップ(GSB)は、すべての会議アクティビティを自動的にバックアップ サイトに移動します。ホストと参加者は、どちらもバックアップ サイトにリダイレクトされたことに気付きません。GSB システムは、WebEx 会議に対する継続的なアクセシビリティをグローバルに実現し、すべての属性、アドレス帳、プリファレンス、会議スケジュール、およびその他のリアルタイム データを、プライマリ サイトとバックアップ サイト間で同期して保持します。この同期により、GSB は、会議の前後で冗長性とディザスタ リカバリを提供します。
Cisco WebEx Cloud Connected Audio(CCA)は、オンプレミス IP テレフォニー ネットワークを使用するハイブリッド導入モデルに基づく音声会議ソリューションであり、組織の WebEx 会議に統合化された音声エクスペリエンスを提供します。WebEx CCA は、組織の IP テレフォニー ネットワークから WebEx クラウド インフラストラクチャへの SIP トランク接続を実装します(図 11-16 を参照)。音声会議トラフィックは、サービス プロバイダー PSTN 接続の代わりにこの SIP 接続を通過します。したがって、WebEx CCA により、オーディオ コストが大幅に節約され、また他の WebEx オーディオ オプションと同様の統合化された直感的なユーザ エクスペリエンスを維持できます。
図 11-16 Cisco WebEx Cloud Connected Audio の概要設計
図 11-16 に示すように、一般的な WebEx CCA 概要設計は、お客様が提供する専用 IP ピアリング接続を介して接続されるオンプレミス IP テレフォニー ネットワークと WebEx クラウド インフラストラクチャで構成されます。オンプレミス IP テレフォニー ネットワークは、Cisco Unified Communications Manager(Cisco Unified CM)クラスタおよび Cisco Unified Border Element で構成されます。Cisco Unified Border Element は、WebEx クラウド インフラストラクチャに導入され、組織の IP テレフォニー ネットワークのエントリ ポイントを示します。クラウド内および顧客サイトの Cisco Unified Border Element は、SIP 経由で互いに通信します。WebEx CCA では、冗長性を目的として、地理的に離れた場所に存在する別々の WebEx データセンターに接続する 2 つの IP ピアリング接続が必要です。冗長 IP リンクは、アクティブ/スタンバイ モードで設定されます。すべての会議のオーディオ トラフィックがプライマリ リンクを経由して流れ、またプライマリ リンクがダウンした場合には、セカンダリ リンクにフェールオーバーします。また、WebEx CCA では、ゲートウェイ ルータが Border Gateway Protocol(BGP)と Bidirectional Forwarding Detection(BFD)プロトコルもサポートする必要があります。BGP と BFD により、ネットワーク障害が発生した場合の再コンバージェンス時間が大幅に速くなります。
(注) WebEx データセンター機器、オーディオ ブリッジおよびサーバは、WebEx CCA ソリューションの他のカスタマーとともに共有インフラストラクチャ上で実行されます。
Cisco Unified CM は、顧客サイトの Cisco Unified Border Element を介して WebEx クラウドと SIP 接続され、テレフォニー信号を処理します。会議のダイヤルイン番号は顧客が所有し、顧客サイトを終端とします。コール ルーティングは顧客サイトで処理され、コール シグナリングとオーディオ トラフィックは冗長 IP ピアリング接続で処理され、コール ミキシングはクラウドで処理されます。ユーザが企業内の会議番号にダイヤルすると、Cisco Unified CM は、PSTN を経由することなく、Cisco Unified Border Element を通して専用 SIP トランク経由で WebEx クラウドにコールをルーティングします。会議ユーザがコールバックを要求すると、WebEx は、そのコールを顧客サイトの Cisco Unified Border Element に送信し、そこから宛先エンドポイントにルーティングされます。会議ユーザが企業ネットワークの外部にいる場合、コールは顧客の IP テレフォニー ネットワークの終端の前または出た後に、PSTN 経由でルーティングされます。WebEx CCA は、G.711 オーディオ コーデック、RFC 2833 DTMF、および SIP シグナリングのみをサポートします。
WebEx CCA は、継続的にサービスを運用できるように設計された、可用性が高い完全冗長アーキテクチャを持っています。すべての主要コンポーネントには、相互にバックアップするアクティブ モードとスタンバイ モードの 2 つのインスタンスがあります。2 つの独立したルータのペア、2 つの Cisco Unified Border Element のペア、および 2 つの音声カンファレンス ブリッジで処理される 2 つの IP ピアリング接続があります。これらのいずれかのコンポーネントに障害が発生すると、スタンバイ側が引き継ぎます。アクティブ ピアリング リンクに障害が発生した場合、ネットワークはスタンバイ接続を介して収束します。すべての既存のコールは継続しますが、メディア フローが非常に短時間中断します。Cisco Unified Border Element は、Out-of-Dialog OPTIONS ping メカニズムを使用して互いの動作状態をモニタします。また、顧客サイトの Cisco Unified Border Element も、Out-of-Dialog OPTIONS ping メカニズムを使用して Cisco Unified CM クラスタをモニタします。ping への応答に失敗すると、送信側のダイヤルピア リストから無応答要素が削除され、すべての新しいコールがスタンバイ インスタンスを介してルーティングされるようになります。アクティブ WebEx オーディオ ブリッジに障害が発生すると、ブリッジに関連付けられたすべてのコールが終了し、スタンバイ WebEx オーディオ ブリッジがアクティブになります。次に、WebEx は、ユーザに対して新しくアクティブになったブリッジに接続するための新しい番号を要求します。また、障害発生前にシステムから発信されたすべてのコール(コールバック)がリダイヤルされます。
Cisco WebEx Cloud Connected Audio を導入する場合には、次のガイドラインを考慮してください。
Cisco WebEx Cloud Connected Audio の詳細については、次の Web サイトで入手可能なマニュアルを参照してください。
特定のお客様について、同時会議の実際の数は本質的には無制限です。WebEx 会議のタイプが異なると、参加者数に関するキャパシティも異なります。詳細な製品比較表については、次の Web サイトで入手可能な『 Cisco WebEx Web Conferencing Product Comparison 』を参照してください。
https://www.cisco.com/en/US/prod/ps10352/product_comparison.html
インターネットへのトラフィックが増加するにつれて、ネットワーク トラフィック プランニングを考慮することが重要になります。ネットワーク トラフィックを計画する場合、ユーザが WebEx を使用する方法によって、会議で生成されるトラフィック量が大きく異なります。たとえば、参加者がネイティブ プレゼンテーション共有(ドキュメントは共有の前に WebEx サイトにロードされます)を使用する場合、生成されるデータはデスクトップを共有する場合よりも大幅に少なくなります。大企業の場合、特にインターネット アクセス ポイントなどのネットワーク内の混雑するポイントで、このことを理解して正しいトラフィック エンジニアリングを確保することが重要です。最繁時にホストされる平均会議数と平均参加者数を事前に見積もる必要があります。そのあとで、これらの会議のタイプと特性に応じて、帯域幅の要件を見積もることができます。ネットワーク トラフィック プランニングの詳細については、次の Web サイトで入手可能なホワイト ペーパー『 Cisco WebEx Network Bandwidth 』を参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/products/collateral/conferencing/webex-meeting-center/white_paper_c11-691351.html
Cisco WebEx SaaS ソリューションを実装する場合は、次の設計上の考慮事項に従ってください。
– ユーザの作成および認証オプション(詳細についてはユーザ プロファイルを参照してください)
– 会議のスケジュール オプション(詳細についてはスケジューリングを参照してください)
https://www.cisco.com/en/US/products/ps12584/prod_white_papers_list.html
Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing は、一貫性のあるスケーラブルな仮想会議室エクスペリエンスを提供するエンタープライズ クラスのコラボレーション サービスです。このサービスは、ビジネス品質のビデオ、音声、データ共有機能を 1 つに統合したソリューションを、Cisco WebEx Collaboration Cloud を介して提供します。Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing は、Cisco WebEx Meeting Center サブスクリプションを購入すると、その一部として提供されます。これは、Cisco Unified CM や Cisco Expressway などのシスコ コラボレーション インフラストラクチャおよびアプリケーションに統合されます。参加者は、WebEx クライアント、Cisco TelePresence、Cisco Jabber、またはその他のサードパーティ製の標準ベースのエンドポイント(SIP または H.323)を使用して Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing 会議に参加できます。また、Cisco WebEx Collaboration Cloud のシンプルで安全性の高いコラボレーション ソリューションが提供され、参加者はどこにいるかに関係なく、任意のデバイス(デスクトップ、モバイル、ビデオ エンドポイント)を使用して会議に参加できます。Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing では、ユーザがパーソナライズされた常時使用可能な会議室にその他のユーザをいつでも招待して参加させたり、会議主催者が生産性向上ツールを使用してスケジュール済み会議に必要なルームとリソースを予約したりできます。
図 11-17 に、SIP ビデオを使用した Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing のアーキテクチャを示します。このアーキテクチャは、エンタープライズ コラボレーション ネットワーク、およびすべての会議リソースがホストされる WebEx Collaboration Cloud で構成されており、それらはインターネットを介して接続されています。エンタープライズ コラボレーション ネットワークには Cisco Unified Communications Manager(Unified CM)と Cisco Expressway が含まれ、Unified CM は SIP トランクを介して Cisco Expressway-C と接続します。Cisco Unified CM は、登録されたビデオ デバイスのコール ルーティングおよび呼制御機能を提供します。Cisco Expressway は、企業と WebEx Collaboration Cloud の間にセキュアなファイアウォール トラバーサル メカニズムを提供し、Cisco Expressway-E 内で設定された DNS ゾーンを介して WebEx Collaboration Cloud へのビデオ コールをルーティングします。さらに、Cisco Expressway はサポートされるシスコのビデオ エンドポイントへのモバイルおよびリモート アクセス機能を提供するため、それらのエンドポイントは企業外の Unified CM に登録できます。参加者が会議および共有コンテンツに参加するためには、SIP デバイスが URI ダイヤリングおよび Binary Floor Control Protocol(BFCP)をサポートしている必要があります。BFCP を使用しなければ、コンテンツを共有できません。その場合、コンテンツはメイン ビデオに埋め込まれたように表示されます。
(注) Cisco VCS の既存顧客の場合、VCS Control を SIP エンドポイント用の SIP レジストラおよびファイアウォール トラバーサル用の VCS Expressway として使用することは、導入でサポートされます。
図 11-17 SIP ビデオを使用した Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing のアーキテクチャ
図 11-18 H.323 ビデオを使用した Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing のアーキテクチャ
また、コール制御システムなしで H.323 ビデオを使用して Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing を導入することもできます(図 11-19 を参照)。このアーキテクチャでは、H.323 デバイスはゲートキーパーに登録せず、ユーザが URI をダイヤルすると、そのコールは DNS を使用してファイアウォールを通して WebEx クラウドにルーティングされます。シグナリングおよびメディアが通過できるように、必要なファイアウォールのポートが開いていることを確認してください。ポート範囲の詳細については、 https://collaborationhelp.cisco.com/article/en-us/WBX264 でアクセスできる Collaboration Help の記事を参照してください。
図 11-19 コール制御システムなしで H.323 ビデオを使用した Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing のアーキテクチャ
Cisco WebEx Meeting Center バージョン WBS32.9 以降、ユーザは会議の招待に記載されている地域の IP アドレスをダイヤルして、H.323 ビデオシステムから会議に参加できるようになっています。ただし、ユーザが別の地域の IP アドレス(会議の招待には記載されていない IP アドレス)をダイヤルした場合は、会議への参加は許可されません。
導入で使用される SIP デバイスまたは H.323 デバイスに関係なく、WebEx クラウドはプロトコル間のインターワーキングを実行できます。Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing 導入環境でビデオ デバイスを使用するには、いくつかの要件があります。詳細については、以下のリンク先から入手できる『 Cisco WebEx Meeting Center Enterprise Deployment Guide for Video Device-Enabled Meetings 』を参照してください。
https://collaborationhelp.cisco.com/article/en-us/nmdp0hq
ビデオ デバイス上の各参加者について、音声、ビデオ、およびコンテンツ共有が IP 接続を介して WebEx クラウドに送信されます。そこでメディアはその他の参加者と混合され、混合された音声、通話中のスピーカーのビデオ、およびコンテンツ共有がデバイスに戻されて表示されます。
Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing では、通話中のスピーカーとコンテンツ共有に H.264 ビデオを使用します。デバイスの能力および使用可能な帯域幅に応じて、Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing は、ビデオ デバイス上および WebEx クライアントで、最大 720p、30 フレーム/秒(fps)の通話中のスピーカーのビデオ、および最大 720p のコンテンツ ビデオをサポートします。WebEx 会議クライアントでは、通話中のスピーカーのビデオのビデオ フロアは 180p、最小ビットレート 1.2 Mbps です。ネットワークの状態が原因で最小ビット レートを維持できない場合(重度のパケット損失など)、WebEx クライアントは通話中のスピーカーのビデオの受信を停止しますが、コンテンツ共有および会議の音声は受信し、そのビデオを他の参加者に送信します。WebEx クライアントは定期的に帯域幅の再テストを実行し、ネットワークの状態が安定すると自動的に通話中のスピーカーのビデオを再確立します。会議中に、WebEx は、会議内のすべての WebEx クライアントの中で最小能力デバイスに基づいて(ビデオ フロア未満で実行されているデバイスを除く)、最大帯域幅 4 Mbps で帯域幅を割り当てます。ただし、最小能力デバイスが会議を離脱した場合、帯域幅は、WebEx 会議クライアントを実行している次の最小能力デバイスに基づいて再割り当てされます。割り当てられた帯域幅によって、WebEx クライアント上のビデオの表示に使用する解像度が決まります。
Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing セッションごとに、ビデオ アドレスの URI と URL が関連付けられます。参加者は、URI をダイヤルするか、ビデオ デバイスでコールバックを受信するか、または URL をクリックして WebEx 会議クライアントを開き、会議に参加します。Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing 会議は、以下のいずれかのタイプにすることができます。
ユーザは WebEx Productivity Tools(PT)を使用して Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing 会議をスケジュールできます。Productivity Tools は Outlook プラグインを含むツール スイートであり、ユーザが電子メール クライアント内で迅速かつ簡単に会議をスケジュールできるようにします。このツール スイートはユーザのカレンダーとのシームレスな統合を提供し、ユーザは会議をスケジュールし、1 つのトランザクションで電子メール クライアントからすべての参加者に招待状を直接送信できます。また、ユーザは WebEx ポータルから Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing 会議をスケジュールすることもできます。ただし、会議の開催者は、WebEx から会議をスケジュールした後、会議の詳細を添付した招待状を作成して参加者全員に送信する必要があります。
Cisco TMS 15.2 および TMSXE 5.2 を使用している場合は、WebEx Productivity Tools により、ワンボタン機能(OBTP)で Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing 会議をスケジュールできます。Cisco TMS は内部で Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing への SIP URI をダイヤル文字列として使用して、外部でホストされる会議を作成します。また、Cisco TMS ではデフォルトの会議タイプを OBTP に設定する必要があります。
(注) Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing OBTP に Cisco TMS および TMSXE を使用する場合、オンプレミスのビデオ会議インフラストラクチャを統合する必要はありません。一方、TMS と TMSXE がオンプレミスのビデオ会議インフラストラクチャと統合されている場合は、この 2 つを同時に Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing OBTP で使用できます。
Cisco WebEx Meeting Center バージョン WBS32.6 以降、ユーザが Google カレンダーから直接、WebEx Personal Room で会議をスケジュールしたり開始したりできるようになっています。この機能を使用するには、ユーザが Google Web ストアから Cisco WebEx Scheduler 拡張機能をインストールし、さらにサイト管理者が WebEx サイトで Google カレンダー オプションを有効にする必要があります。ユーザが自分の WebEx アカウントを使って Cisco WebEx Scheduler 拡張機能にサインインすると、そのユーザの Google アカウントで WebEx サービスを使用できるようになります。ユーザの Google アカウントにリンクできる WebEx アカウントは 1 つだけです。Google カレンダー対応 Cisco WebEx Scheduler の設定と制約事項について詳しくは、以下のリンク先の記事を参照してください。
会議はユーザのパーソナル ルームでホストできます。パーソナル ルームは、サイト レベル、または WebEx サイトのユーザ単位レベルで有効にすることができます。パーソナル ルームが有効になっている場合、固定 URI および URL が各ユーザに割り当てられ、参加者はそれらを使用してユーザのパーソナル ルームに参加できます。このパーソナル ルームは指定されたユーザに属しており、常にオンです。したがって、ユーザは自身のルームを自身の会議に使用し、ルームの URI と URL を添付した招待状をすべての参加者に送信できます。Cisco Spark のカレンダー サービスを使用すると、Outlook カレンダーの招待状の [場所] フィールドに @webex を追加することができ、カレンダー コネクタがユーザのパーソナル ルーム情報を招待状に自動的に追加します。詳細については、モバイル コラボレーションの章を参照してください。
ユーザは、WebEx ポータルから、または WebEx Productivity Tools を使用してインスタント会議を作成することができ、会議は即時に開始されます。[今すぐミーティング] 設定オプションを使用すると、Meeting Center、ユーザのパーソナル ルーム、Cisco Jabber Desktop からインスタント会議を開始できます。
Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing は、エンタープライズ ネットワークと WebEx クラウドの間で、暗号化されたシグナリングとメディア、または暗号化された/非セキュア シグナリングとメディアの組み合わせをサポートします。エンドツーエンドの暗号化の場合、エンタープライズで暗号化されたシグナリングとメディアをオンにし、エンタープライズ ネットワークと WebEx クラウドの間で暗号化されたシグナリングとメディアを使用することができます。暗号化されたシグナリングが機能するためには、証明書を Cisco Expressway-E にアップロードして、適切なハンドシェイクが行われるようにする必要があります。この証明書は、自己署名するか、信頼できるルート認証局(CA)の署名を受けることができます。詳細については、以下のリンク先から入手できる最新バージョンの『 Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing Enterprise Deployment Guide 』を参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/support/conferencing/webex-meeting-center/products-installation-and-configuration-guides-list.html
SIP ベースのコールについては、Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing は以下の 4 レベルのセキュリティ(優先順に記載)をサポートしています。
必ずファイアウォールのネットワーク ポートを開いて、シグナリングおよびメディアの着信トラフィックと発信トラフィックが通過できるようにしてください。ポート範囲の詳細については、 https://collaborationhelp.cisco.com/article/en-us/WBX264 でアクセスできる WebEx の記事を参照してください。
すべての Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing 会議では、会議を開始する開催者のプレゼンスが必要となります。ゲストは、ホストより前に参加すると待合室にとどまり、ホストが参加するまでは互いに会話することはできません。さらに、ホストがビデオ デバイスから会議に参加するときにホスト PIN が必要となります。
ユーザのパーソナル ミーティング ルーム内には、ルームをロックして他の参加者がユーザのパーソナル ルームに入らないようにするために使用できる [ルームをロック(Lock Room)] ボタンがあります。ルームがロックされているときに参加者がそのルームに入ろうとすると、ホストが許可するかルームをロック解除するまでは、その参加者はブロックされます。このボタンは、ユーザのパーソナル ルームが連続した会議に使用され、ホストがまだ最初の会議を終えていない場合に役立ちます。ホストは、最初の会議が終了してロック解除されるまでは 2 番目の会議の参加者が入るのを防ぐために、ルームをロックできます。
ビデオ デバイスを使用した Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing 参加者の場合、音声、ビデオ、コンテンツ共有は WebEx クラウドとビデオ デバイス間の IP 接続を介して送受信されます。WebEx クライアントの参加者に対しては、Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing は従来の WebEx Meeting Center で使用可能なすべてのオーディオ オプションをサポートします。つまり、以下のようなオプションです。
エンタープライズ コラボレーション ネットワークでは、Cisco Unified CM および Cisco Expressway のクラスタリング オプションを使用して、ビデオ デバイスとファイアウォール トラバーサル コールを使用した呼制御に冗長性を提供します。プライマリ サーバで障害が発生すると、バックアップ サーバは呼制御および呼処理機能を引き継ぐことができます。
Cisco Unified CM クラスタリングについては、呼処理の章を参照してください。
Cisco Expressway クラスタリングについては、次の Web サイトで入手可能な『 Cisco Expressway Cluster Creation and Maintenance Deployment Guide 』の最新バージョンを参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/support/unified-communications/expressway-series/products-installation-and-configuration-guides-list.html
Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing 会議は、最大で 25 台の標準ベースのビデオ デバイス、ビデオを有効にした 500 人の WebEx 参加者、および音声のみの 500 人の WebEx 参加者をサポートします。
(注) マルチスクリーン ビデオ デバイスの各画面が、1 つのビデオ デバイスとしてカウントされます。たとえば、トリプル スクリーン イマーシブ システムが Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing 会議に参加すると、ビデオ デバイス キャパシティ制限から 3 つのビデオ デバイスを消費します。
Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing のキャパシティ プランニングには、企業内で稼働するコンポーネントのサイジングが含まれます。コンポーネントには、以下が含まれます。
Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing 会議のビデオ エンドポイントおよび IP Phone によって生成されるトラフィックを処理するために十分なリソースとキャパシティが Unified CM にあることを確認してください。キャパシティの詳細については、コラボレーション ソリューション サイジング ガイダンスの章を参照してください。
Cisco Expressway は、導入環境のトラバーサル コール トラフィックを処理するのに十分なリソースを提供する必要があります。キャパシティの詳細については、コラボレーション ソリューション サイジング ガイダンスの章を参照してください。
Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing のネットワーク トラフィック プランニングは、次の要素で構成されます。
WebEx 会議クライアントは、Scalable Video Coding(SVC)テクノロジーを使用してビデオを送受信します。ビデオの送信にマルチレイヤ フレームが使用され、受信クライアントは可能な最善の解像度を自動的に選択してビデオを受信します。これには、通常 1.2 ~ 3 Mbps の使用可能帯域幅が必要です。WebEx クライアントのネットワーク トラフィック プランニングの詳細については、次の Web サイトで入手可能なホワイトペーパー『 Cisco WebEx Network Bandwidth 』を参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/products/collateral/conferencing/webex-meeting-center/white_paper_c11-691351.html
最適な SIP 音声およびビデオの品質のために、Cisco Unified CM に登録するエンドポイントに関連付けられた地域内のデバイスの画面ごとにビデオ帯域幅を少なくとも 1.5 Mbps に設定することを推奨します。トリプル スクリーン デバイスが Unified CM に登録する場合、4.5 Mbps のビデオ帯域幅を関連地域に割り当てる必要があります。
Cisco WebEx Meeting Center Video Conferencing を導入する際は、以下の推奨事項を考慮してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/support/conferencing/webex-meeting-center/products-installation-and-configuration-guides-list.html
Cisco WebEx Meetings Server は、非常に安全で、完全に仮想化された、プライベート クラウドの会議ソリューションで、音声、ビデオ、Web 会議を 1 つのソリューションに統合しています。Cisco WebEx Meetings Server は、従業員の生産性を高め、さらにダイナミックなコラボレーションと柔軟な働きかたをサポートするために必要なすべてのツールを備えた、包括的な会議ソリューションを提供することで、現代の企業のニーズに応えます。既存ユーザは、導入済みの Cisco Unified Communications をベースにしながら、既存の Cisco Unified Communications Manager の実装を拡張して SIP アーキテクチャを使用した会議の機能を組み込むことができます。また、次の例のように、Cisco WebEx Meetings Server は Cisco Unified CM の多くの機能を活用してその機能を実行します。
Cisco WebEx Meetings Server は、Cisco Unified Computing System(UCS)で動作する、完全に仮想化された、ソフトウェア ベースのソリューションです。サービスを迅速に導入するために、仮想アプライアンス テクノロジーを使用します。仮想アプライアンスは、システムの管理タスクを簡素化します。たとえば、ハイパーバイザ テクノロジーを使用することで、メンテナンスのためにシステム コンポーネントを簡単に移動したり、問題が発生したときにシステム コンポーネントを正常動作するバージョンに簡単にロール バックすることが可能です。仮想アプライアンスは、業界標準の形式、オープン仮想アプライアンス(OVA)で配布されます。WebEx Meetings Server をインストールするために必要なすべてのソフトウェア コンポーネントが OVA 内部にパッケージ化されています。従来、実行ファイルのインストーラを使用して個々のソフトウェア コンポーネントをインストールする場合は、ソフトウェアの展開に時間がかかりました。しかし、OVA を使用すれば、すべてのソフトウェア コンポーネントがファイル内にあらかじめパッケージ化されているため、ソフトウェアを展開するのに必要な時間を大幅に短縮できます。したがって、仮想アプライアンス テクノロジーは Cisco WebEx Meetings Server の展開にかかる時間の短縮に非常に役立ちます。
図 11-20 に、非分割水平ネットワーク トポロジを使用した Cisco WebEx Meetings Server のアーキテクチャの概要を示します(非分割水平ネットワーク トポロジの詳細については、 https://www.cisco.com/en/US/products/ps12732/products_installation_and_configuration_guides_list.html から入手できる『 Cisco WebEx Meetings Server Planning Guide 』を参照してください)。仮想アプライアンス内では、1 つまたは複数の仮想マシン(VM)を実行できます。管理、Web、メディアの仮想マシンです。管理仮想マシンおよび Web 仮想マシンは、管理や WebEx サイトのバックエンド処理として機能します。これらのサイトは、設定、会議のスケジューリングや参加、録音の再生といった、会議の前後に発生するタスクを処理します。メディア仮想マシンは、会議中にリソース割り当て、テレビ会議の呼制御、およびメディア処理(音声、ビデオ、データ)を提供します。仮想アプライアンス内で動作する仮想マシンの数は、必要なキャパシティと、ハイ アベイラビリティの必要性によって決まります。これにより、導入サイズにさまざまなオプションが提供されます。
図 11-20 Cisco WebEx Meetings Server のアーキテクチャの概要
Cisco WebEx Meetings Server には、外部アクセスを容易にするため、DMZ 内にインターネット リバース プロキシ(またはエッジ サーバ)を配置するというオプションがあります。このオプションには、2 つの利点があります。まず、すべての外部参加者はインターネットから VPN を通過せずに、安全に WebEx 会議にアクセスできます。2 番目に、モバイル ユーザは、インターネット接続が存在する限り、どこにいてもモバイル デバイスから会議に参加できます。モバイル クライアント アクセスが有効になっている場合、インターネット リバース プロキシが必須であることに注意してください。
インターネット リバース プロキシは、インターネットからのすべての着信トラフィックを DMZ 内で終端させるために使用されます。コンテンツは暗号化された Secure Socket Layer(SSL)または Transport Layer Security(TLS)トンネルを介して内部仮想マシンに転送されます。この暗号化されたトンネルは、インターネット リバース プロキシに外向き接続する内部仮想マシンによって確立されます。したがって、DMZ から内部ファイアウォールの内部ネットワークへの着信 TCP ポートを開く必要はありません。ただし、DMZ 内のインターネット リバース プロキシとの通信を許可するには、内部ファイアウォールで内部ネットワークからの一部の発信ポートを開く必要があります。
すべてのエンドユーザ セッションは、業界標準の Secure Socket Layer(SSL)および Transport Layer Security(TLS)を使用して、100% 暗号化されます。仮想マシン間のすべてのトラフィックは、セキュアなチャネルを介して送信されます。米国の国防総省(DoD)レベルのセキュリティを提供する連邦情報処理標準(FIPS)暗号化も、単一のポリシー設定によってオンにできます。または、図 11-21 のように、インターネット リバース プロキシを内部ファイアウォールの後方に配置することもできます。
図 11-21 内部ファイアウォール後方のインターネット リバース プロキシ
組織では一般に、セキュリティ上の理由から、DMZ の内側にコンポーネントを展開する許可の取得に何ヵ月もかかります。この方法を使用して、DMZ コンポーネントを排除して承認プロセスをバイパスすることで、WebEx Meetings Server の導入を迅速に実施できます。外部ファイアウォールへのすべてのインターネット トラフィック(ポート 80 上の HTTP およびポート 443 上の SSL)は、内部ファイアウォールに転送される必要があります。これにより、外部および内部のファイアウォールに開く必要があるポート数が最小限になります。ただし、内部ネットワーク内にインターネット リバース プロキシを配置することは、着信インターネット トラフィックが内部ネットワークで終端することを意味します。内部ネットワークへの直接のインターネット アクセスはファイアウォールによって制御できますが、すべての組織が内部ネットワークでインターネット トラフィックを直接終端させることを許可しているわけではありません。このオプションを選択する前に、この導入が組織の IT ポリシーに違反していないことを確認してください。
大規模企業の導入環境では、エンド ユーザが企業の資格情報を使用してサイン インできるよう、シングル サイン オン(SSO)機能が必要になることがあります。Cisco WebEx Meetings Server は、SSO 用の業界標準 SAML 2.0 を使用して、社内 LDAP ディレクトリに接続できます。
(注) Cisco WebEx Meetings Server は、Meeting Center だけをサポートします。
(注) Cisco WebEx Meetings Server 1.1 以降、Cisco Unified CM IM and Presence サービスと統合された Cisco Jabber を使用して、WebEx Meetings Server 上でホストされた会議に参加または開始することができます。Cisco Jabber のサポートの詳細については、https://www.cisco.com/en/US/products/ps12732/prod_installation_guides_list.html から入手できる『Cisco WebEx Meetings Server System Requirements』を参照してください。
Cisco WebEx Meetings Server は、Cisco Unified CM と Session Management Edition(SME)の両方をサポートします。Cisco Unified CM は、WebEx Meetings Server アーキテクチャの中心部分で、次の操作を可能にします。
Cisco Unified CM は、着信およびコールバックの呼制御を行う SIP トランクによって WebEx Meetings Server と統合されます。顧客は、セキュリティをオンにして、SIP トランク接続上で Transport Layer Security(TLS)および Secured Real-time Transport Protocol(SRTP)を実行できます。SIP トランクは、WebEx Meetings Server 内のロード バランサの宛先アドレスを使用して Unified CM 上で設定され、SIP トランク経由のコールをルーティングするために、ルート パターン(WebEx Meetings Server で設定されたコールインのアクセス番号と一致)を使用する必要があります。2 番目の SIP トランクは、WebEx Meetings Server のアプリケーション サーバの宛先アドレスを使用して Unified CM 上で設定され、SIP トランク経由のコールをルーティングするためには SIP ルート パターンを使用する必要があります。会議に参加するために参加者がアクセス番号をダイヤルすると、コール送信に最初の SIP トランクが使用されます。コールが接続され、発信者が会議 ID を入力した後、ロード バランサは SIP REFER を Unified CM に発行して、2 番目の SIP トランク経由で会議をホストするアプリケーション サーバに発信者を転送します。
システム管理者は、コールバックを実行するよう、Unified CM をポイントする WebEx Meetings Server 内の SIP トランクを設定できます。参加者は、コールバック番号を入力して、ブリッジに参加するようシステムから参加者の番号へ外線ダイヤルさせることができます。参加者がコールバックを要求している場合、WebEx Meetings Server は設定済み SIP トランク経由でコールバック番号とともに、Unified CM に SIP 要求を送信します。会議参加のコールバック要求から受信したすべてのダイヤル ストリングを Unified CM が解決できることが不可欠です。サイト管理設定により、コールバックをシステム全体で無効にすることもできます。Unified CM は、さまざまな国に対するすべての料金制限や、ほとんどの企業がブロックするその他の番号も制御します。WebEx Meetings Server には、それ自体をブロックする料金制限がないためです。
WebEx Meetings Server は双方向 SIP OPTIONS ping メカニズムをサポートします。リモート エンドからの ping 応答は、リモート エンドがアクティブかどうか、コールを受け入れることができるかどうかを示します。応答に基づいて、WebEx Meetings Server または Unified CM は、現在の SIP トランク上でコールを送信するか、代替 SIP トランク(設定されている場合)を探してコールを送信するかを判断できます。SIP OPTIONS ping は Cisco Unified CM 8.5 以降のリリースでサポートされていることに注意してください。この理由から、Cisco WebEx Meetings Server 導入には、SIP OPTIONS ping をサポートする、互換性のある Cisco Unified CM バージョンを使用することを推奨します。互換性のある Unified CM バージョンのリストについては、次の Web サイトで入手可能な『 Cisco WebEx Meetings Server System Requirements 』の互換性マトリックスを参照してください。
https://www.cisco.com/en/US/products/ps12732/prod_installation_guides_list.html
(注) Cisco WebEx Meetings Server は Cisco Unified CM との SIP トランク接続のみをサポートします。
レガシー PBX があり、Cisco Unified Communications ソリューションに完全移行する準備ができていない組織では、会議用システムに Cisco WebEx Meetings Server を使用することができます。Cisco Unified CM は、レガシー PBX と Cisco WebEx Meetings Server とのブリッジ接続に使用できます。Cisco WebEx Meetings Server は、Unified CM だけを認識でき、PBX が Unified CM の背後にあることは認識しません。Unified CM が組織の PBX と相互運用できるのであれば、Cisco WebEx Meetings Server を組織の PBX と統合できます。この統合によって複数の利点が得られます。
PBX と Unified CM との相互運用性の詳細については、次の Web サイトで入手可能なマニュアルを参照してください。
https://www.cisco.com/en/US/solutions/ns340/ns414/ns728/networking_solutions_products_genericcontent0900aecd805b561d.html
Cisco WebEx Meetings Server は、テレフォニー オーディオについて、IPv4 のみ、またはデュアル スタック(IPv4 および IPv6)アドレッシングをサポートします。テレフォニーのシグナリングは IPv4 のままです。オーディオ ストリームは、IPv4、IPv6 に加え、同じ会議で IPv4 と IPv6 を混合して使用できます。Cisco WebEx Meetings Server は、代替ネットワーク アドレス タイプ(ANAT)をサポートし、SIP トランクと Unified CM とが優先アドレッシング方式を使用したメディア接続を確立するために SIP Offer と Answer を交換する間、Session Description Protocol(SDP)内での IPv4 と IPv6 両方のメディア アドレッシングを有効にします。
電話会議には、IPv4 と IPv6 の両方のデバイスを使用できます。IPv6 デバイスの場合、Cisco WebEx Meetings Server は IPv6 シグナリングを IPv4 に変換し、SIP トランクを介して Cisco WebEx Meetings Server に伝送する Unified CM の機能を活用します。テレフォニー メディア アドレッシングを使用すると、Cisco WebEx Meetings Server は IPv4 と IPv6 の間での変換を実行できます。したがって、Cisco WebEx Meetings Server は高価な MTP リソースなしで IPv6 をサポートできます。
ANAT を使用すると、Cisco WebEx Meetings Server は IPv6 テレフォニー シグナリングのサポートなしで IPv6 テレフォニー オーディオをサポートできます。ただし、ANAT が Unified CM SIP トランクの両側でサポートされている必要があります。Unified CM SIP トランクの ANAT を必ず有効にしてください。有効にしないと、参加者のコールバック要求やダイヤル イン試行のときのコール確立に失敗します。
WebEx Meetings Server で IPv6 が有効になると、ANAT ヘッダーがメディア オファーに含まれます。メディア オファーに ANAT ヘッダーが含まれる場合、WebEx Meetings Server は必ず ANAT ヘッダーで応答します。次に、ANAT ヘッダーを使用した、IPv6 対応 WebEx Meetings Server とデュアル スタック Unified CM との間でのメディア アドレスのバージョン選択プロセスについて説明します。
WebEx Meetings Server が Unified CM にコールを発信するとき、SDP オファーには IPv6 と IPv4 の両方のメディア アドレスが含まれます。着信側デバイスが IPv6 の場合、Unified CM はメディア接続に IPv6 を選択して SDP の IPv6 メディア アドレスに応答します。着信側デバイスがデュアル スタックの場合、Unified CM は [メディア用の IP アドレッシングモード設定(IP Addressing Mode Preference for Media)] パラメータを使用して応答 SDP でのアドレス バージョンを決定します。パラメータが IPv6 に設定されている場合、IPv6 がメディア接続に使用されます。
Unified CM が SIP トランクによって WebEx Meetings Server にコールを送信すると、WebEx Meetings Server は ANAT ヘッダーが付いた SDP オファーを受信します。SDP オファーに IPv6 と IPv4 両方のメディア アドレスが含まれている場合、WebEx Meetings Server は ANAT ヘッダーで高い優先順位が指定されたバージョンで応答します。この場合は IPv6 になります。SDP に IPv6 アドレスだけが含まれている場合、WebEx Meetings Server は IPv6 メディア アドレスを使用して応答します。
Cisco Unified Communications システムでの IPv6 の導入の詳細については、次の Web サイトで入手可能な『 Deploying IPv6 in Unified Communications Networks with Cisco Unified Communication Manager 』の最新バージョンを参照してください。
Cisco WebEx Meetings Server は、コンポーネントの障害が発生した場合にシステム可用性を確保するために N+1 冗長性方式を使用します。同じデータセンター内のプライマリ システムにローカル冗長システムを追加することにより、ハイ アベイラビリティを実現できます。システム レベルでは、内部の仮想マシンとコンポーネントはアクティブ/アクティブ モードで動作します。あるコンポーネントがダウンすると、システムはそのコンポーネントを再起動します。ステータス情報が、システム コンポーネントの間で交換されます。このステータス情報を使用して、システムはアクティブなコンポーネント間で要求を均等に分配することができます。導入サイズに応じて、バックアップまたは冗長システムの仮想マシンの数は、プライマリ システムと同じ場合も、同じでない場合もあります。
ハイ アベイラビリティ システムでは、会議をホストする仮想マシンがダウンした場合、影響を受けた会議クライアントは短時間のうちに利用可能なサービスに自動的に再接続します。ただし、障害の性質や障害の起きたコンポーネントによっては、すべてのクライアントと会議が影響を受けるわけではありません。コンポーネント障害後のハイ アベイラビリティ システムの動作の詳細については、次の Web サイトで入手可能な『 Cisco WebEx Meetings Server Administration Guide 』の最新バージョンを参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/support/conferencing/webex-meetings-server/products-installation-guides-list.html
ハイ アベイラビリティ システム内には、アクティブな管理内の 2 つ目のネットワーク インターフェイスと、仮想 IP アドレスで設定されたインターネット リバース プロキシ仮想マシンがあります。管理サイトと WebEx サイトの URL では、管理サイトと WebEx サイトへのアクセスにこの仮想 IP アドレスを使用します。フェールオーバーが発生した場合、仮想 IP アドレスは新しいアクティブ仮想マシンに移行します。このように、管理および WebEx サイトにアクセス冗長性を提供します。
地理的な冗長性やディザスタ リカバリのために、Cisco WebEx Meetings Server を複数のデータセンターに導入できます(最大で 2 つ)。この導入では、同じ導入サイズの 2 つの WebEx Meetings Server システムが存在し(各データセンターに 1 つ)、結合されて、アクティブ/アクティブ モードで実行される単一の論理システムを形成しています。マルチデータセンター システムに追加される最初のシステムはプライマリであり、その後で追加されるシステムはセカンダリです。マルチデータセンター システムにセカンダリ システムが追加されると、そのグローバル データがすべてプライマリ システムのデータで上書きされ、そのデータセンターにローカルな設定パラメータのみが保持されます。上書きされるデータと保持されるデータのタイプの詳細については、『 Cisco WebEx Meetings Server Administration Guide 』を参照してください。各データセンター内に、電話会議を処理するためのローカル Unified CM インスタンスがあります。システム ステータスが交換され、暗号化された SSL リンクを介してユーザと会議に関する情報をデータセンターのピア間で同期させます。管理者は単一 URL を使用してシステムを管理し、参加者は単一 URL または 1 つのダイヤルイン番号セットを使用して会議に参加します。参加者がクライアントを介して会議に参加すると、システムはその参加者に最も近いデータセンターを自動的に選択して会議をホストし、会議はデータセンター間でカスケードされます。
障害が発生した場合、データセンターで 1 つのコンポーネントがダウンすると、システムはそのコンポーネントを再起動します。データセンター全体がダウンすると、稼働中のデータセンターが手動での介入を必要とせずに引き継ぎ、システムは依然としてフル キャパシティで稼働しています。この場合、影響を受けた会議クライアントは、短時間の間に自動的に稼働中のデータセンターのサービスに再接続されます。ただし、障害の性質とクライアントの状態に応じて、リカバリ メカニズムが異なる場合があり、ハイ アベイラビリティ システムと同じ動作に従います。詳細については、次の Web サイトで入手可能な『 Cisco WebEx Meetings Server Administration Guide 』の最新バージョンを参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/support/conferencing/webex-meetings-server/products-installation-guides-list.html
複数データセンター設計を使用する際は、次の点を考慮してください。
WebEx Meetings Server のキャパシティは、選択したプラットフォームや導入環境内で実行する会議ノードの数によって異なります。キャパシティ プランニングの詳細については、コラボレーティブ会議を参照してください。
会議を記録することが必要な場合、録音を維持するのに十分なディスク領域を Network Attached Storage(NAS)デバイスで割り当てる必要があります。ディスク領域割り当ての詳細については、次の Web サイトで入手可能な『 Cisco WebEx Meetings Server Planning Guide 』の「 Meeting Recordings 」の項を参照してください。
https://www.cisco.com/en/US/products/ps12732/products_installation_and_configuration_guides_list.html
WebEx Meetings Server コラボレーションのネットワーク トラフィック プランニングは、次の要素で構成されます。
呼制御帯域幅は非常に狭いですが、重要です。WebEx Meetings Server と Unified CM を同じ場所に設置することによって、呼制御に伴う問題の回避が容易になります。離れた場所に設置する場合は、信頼できる動作を保証するための適切な QoS プロビジョニングが必要になります。呼制御帯域幅は、WebEx Meetings Server と Unified CM の間のコールの確立に使用され、各コールに必要な帯域幅の大きさは、参加者が会議に参加する方法によって決まります。会議にダイヤルインする参加者では、コールによって、2 つの SIP コールを実行するのとほぼ同量の帯域幅が消費されます。コールバックを要求している参加者では、コールによって、1 つの SIP コールを実行するのとほぼ同量の帯域幅が消費されます。SIP コールに関する呼制御帯域幅の概算および QoS プロビジョニングの詳細については、ネットワーク インフラストラクチャの章を参照してください。
RTP トラフィックは、音声とビデオのトラフィックで構成されます。音声帯域幅の計算は、各デバイスで使用するオーディオ コーデックによって異なります(コーデック タイプ別の帯域幅使用量については、ネットワーク インフラストラクチャの章を参照)。ビデオ帯域幅は WebEx SaaS と同じ方法で計算できます。(ネットワーク トラフィック プランニングを参照)。
WebEx Meetings Server の Web コラボレーション帯域幅は WebEx SaaS と同じ方法で見積もることができます(ネットワーク トラフィック プランニングを参照)。
この導入環境における適切な運用と最適なユーザ エクスペリエンスのために、最大ラウンドトリップ遅延時間(RTT)、および各カスケード会議でのデータセンター間の最小保証帯域幅と追加帯域幅のネットワーク要件があります。ネットワーク要件の詳細については、次の Web サイトで入手可能な最新の『 Cisco WebEx Meetings Server Planning Guide and System Requirements 』を参照してください。
https://www.cisco.com/en/US/products/ps12732/products_installation_and_configuration_guides_list.html
WebEx Meetings Server の導入では、以下の設計上の考慮事項が追加で適用されます。
WebEx Meetings Server のネットワーク要件、ネットワーク トポロジ、導入サイズのオプション、および他の導入要件とオプションについては、次の Web サイトで入手可能な『 Cisco WebEx Meetings Server Planning Guide 』を参照してください。
https://www.cisco.com/en/US/products/ps12732/products_installation_and_configuration_guides_list.html
Cisco Collaboration Meeting Rooms(CMR)Hybrid は、Cisco TelePresence 会議のビデオ エクスペリエンスと Cisco WebEx Meeting のプレゼンテーション エクスペリエンスを単一の会議に統合するコラボレーション会議プラットフォームです。Cisco WebEx と TelePresence は、標準ベースのビデオ エンドポイントおよび WebEx 会議クライアントで動作するように最適化されています。これらは、会議の範囲の拡張、およびすべての参加者のエクスペリエンスの簡素化に役立ちます。TelePresence エンドポイントおよび WebEx クライアント上の出席者は、お互いの間で双方向ビデオ、音声、コンテンツを安全に共有できます。このプラットフォームは、2 つの会議システムのユーザ エクスペリエンスを集約し、より多くの場所のより多くのデバイス上のより多くのユーザにコラボレーションを拡張します。
Cisco CMR Hybrid では、主催者は、WebEx Productivity Tools または Cisco TelePresence Management Suite(TMS)で対応可能となる Microsoft Outlook の使い慣れたインターフェイスを使用して会議をスケジュールすることができます。ホストは、参加者を選択し、優先エンドポイントおよび WebEx 情報を追加し、参加者全員に招待を送信します。参加者は、生産性向上ツールを使用して、TelePresence または WebEx を通して参加する方法に関するすべての情報が含まれる単一の会議招待を受信します。会議は、TelePresence エンドポイントからワンボタン機能(OBTP)を使用して起動するか、またはスケジュールされた開始時刻に Cisco TMS で自動的にエンドポイントに接続できます。
図 11-22 に示すように、Cisco CMR Hybrid の上位レベル アーキテクチャは、IP 接続を介して接続される WebEx クラウド インフラストラクチャとエンタープライズ コラボレーション ネットワークで構成されます。エンタープライズ コラボレーション ネットワークは、Cisco Unified Communications Manager(Unified CM)、Cisco Expressway-C および Expressway-E、TelePresence Conductor で管理される TelePresence Bridge プール、および Cisco TelePresence Management Suite(TMS)で構成されます。Cisco Unified CM は、企業内の TelePresence エンドポイントにコール ルーティングと呼制御を提供する呼処理プラットフォームです。Cisco Expressway-C および Expressway-E は、企業ネットワークと WebEx クラウドの間のコールをルーティングします。Cisco Unified CM は、個別のベスト エフォート早期オファー SIP トランクを介して Cisco Expressway-C および Cisco TelePresence Conductor に接続します。
Cisco Unified CM と Cisco Expressway の統合の詳細については、次の Web サイトで入手可能な『 Cisco Expressway and CUCM via SIP Trunk Deployment Guide 』の最新バージョンを参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/support/unified-communications/expressway-series/products-installation-and-configuration-guides-list.html
(注) 既存の Cisco VCS の顧客の場合、Cisco Expressway-C および Expressway-E の代わりに Cisco VCS Control と Expressway を使用した導入がサポートされます。
(注) TelePresence Conductor を使用せずに Unified CM と TelePresence Bridge の間でベスト エフォート早期オファー SIP トランクを使用した導入はサポートされていますが、TelePresence Conductor を使用することを推奨します。
Cisco TelePresence Conductor は、TelePresence 会議をホストする TelePresence Bridge をプールから選択します。TelePresence Bridge は、TelePresence エンドポイント参加者からの音声を混合し、混合オーディオ、通話中のスピーカーのビデオ、およびコンテンツ共有ビデオを SIP を使用して WebEx クラウドに送信します。同様に、TelePresence Bridge は、WebEx クラウドからメディア(混合オーディオ、通話中のスピーカーとコンテンツ共有)を受信し、そのオーディオを TelePresence 会議にカスケードし、コンテンツ共有ビデオを TelePresence エンドポイントに送信します。TelePresence Bridge は、通話中のスピーカーが WebEx 側からであると検出した場合、TelePresence エンドポイントを通話中のスピーカーのビデオに切り替えます。通話中のスピーカーが TelePresence 側からの場合、TelePresence Bridge は、前の通話中のスピーカーのビデオを現在の通話中のスピーカーの TelePresence エンドポイントに送信します。
図 11-22 SIP による WebEx 音声を使用した Cisco CMR Hybrid
DMZ では、Cisco Expressway-E は、企業と WebEx クラウド間のトラバーサル コールを処理し、また信号とメディアが内部および外部ファイアウォールを横断するのを許可します。Cisco Expressway-E は、設定された DNS ゾーンを介して WebEx クラウドに接続し、DNS ルックアップを介してコールを WebEx にルーティングします。Cisco Expressway-E は、SIP 信号とメディアについて、TLS およびセキュア RTP を使用した暗号化接続を介して WebEx クラウドと通信します。顧客には、企業内で SIP 信号およびメディア トラフィックの暗号化をオンにするオプションがあります。企業外の TelePresence エンドポイントは、Expressway-C および Expressway-E を介して Unified CM に登録できるため、これらのエンドポイントの参加者は CMR Hybrid 会議に参加できます。
WebEx クラウドが、企業ネットワークから送信されたトラバーサル コールおよびメディアを受信すると、WebEx オーディオ ブリッジは WebEx 会議に音声をカスケードし、WebEx は通話中のスピーカーのビデオに切り替え、WebEx 会議クライアントにコンテンツ共有を表示します。同様に、WebEx クラウドは、Cisco Expressway-E および Expressway-C を介して WebEx 側から企業に、会議混合オーディオ、通話中のスピーカー、およびコンテンツ共有ビデオを送信します。それらは、そこで TelePresence Bridge にルーティングされます。
Cisco CMR Hybrid は、通話中のスピーカーとコンテンツ共有に対して H.264 ビデオをサポートします。また、コンテンツ共有に対して Binary Floor Control Protocol(BFCP)、およびオーディオに対して G.711 コーデックを使用します。Cisco WebEx は H.264 ビデオおよび G.711 オーディオ コーデックを使用しますが、TelePresence は、エンドポイントでサポートされるその他のビデオ形式またはコーデックを使用することもできます。TelePresence Bridge は、TelePresence エンドポイントと WebEx 会議クライアントの間で音声およびビデオの相互運用性を処理します。さらに、TelePresence Bridge と WebEx クラウド間のリンクに対してフロー制御が行われ、メディアの処理に使用可能な帯域幅を調整します。WebEx からのメディアの場合、TelePresence Bridge は、常に 4 Mbps を割り当てて、WebEx が TelePresence ブリッジに可能な最高品質のビデオを送信するようにします。TelePresence Bridge からのメディアの場合、WebEx 会議クライアントでは、通話中のスピーカーのビデオ フロアは 180p で、最小ビット レートは 1.2 Mbps です。ネットワークの状態が原因で最小ビット レートを維持できない場合(重度のパケット損失など)、WebEx クライアントは通話中のスピーカーのビデオの受信を停止しますが、コンテンツ共有および会議の音声は受信し、そのビデオを他の参加者に送信します。WebEx クライアントは定期的に帯域幅の再テストを実行し、ネットワークの状態が安定すると自動的に通話中のスピーカーのビデオを再確立します。WebEx 会議クライアントを実行するデバイスの能力および使用可能な帯域幅に応じて、WebEx クライアントは、最大 HD 720p、30 フレーム/秒(fps)の通話中のスピーカーのビデオ、および最大 1080p のコンテンツ ビデオをサポートします。会議中に、WebEx は、会議内のすべての WebEx クライアントの中で最小能力デバイスに基づいて(ビデオ フロア未満で実行されているデバイスを除く)、最大帯域幅 4 Mbps で帯域幅を割り当てます。ただし、最小能力デバイスが会議を離脱した場合、帯域幅は、WebEx 会議クライアントを実行している次の最小能力デバイスに基づいて再割り当てされます。割り当てられた帯域幅によって、WebEx クライアント上の TelePresence ビデオの表示に使用する解像度とフレーム レートが決まります。導入された TelePresence エンドポイント、必要なビデオ解像度、目的の画面レイアウト、および選択した導入オプションに応じて、顧客は、Cisco TelePresence Server(アプライアンスまたは仮想プラットフォーム)を使用した TelePresence Bridge または Cisco TelePresence MCU を導入できますが、プールは同じタイプのブリッジのみで構成されている必要があります(TelePresence Server または TelePresence MCU のいずれか)。TelePresence Conductor 導入の詳細については、以下のリンク先から入手できる『 Cisco Rich Media Conferencing chapter of the Cisco Collaboration System 11.x SRND 』の Cisco Collaboration Meeting Rooms Premises に関するセクションを参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/td/docs/voice_ip_comm/cucm/srnd/collab11/collab11/confernc.html
WebEx および TelePresence 参加者は、企業内から、またはインターネット上の任意の場所から CMR Hybrid 会議に参加できます。WebEx 参加者の場合、PSTN または VoIP オーディオのいずれかで WebEx 会議クライアントを使用して会議に参加します。TelePresence 参加者の場合、サポートされるエンドポイントでワンボタン機能(OBTP)または Auto Connect 機能を介するか、または TelePresence Bridge に直接コールすることにより会議に参加します。参加者は、正常に会議に参加すると、エンドポイントおよび会議クライアントからのライブ ビデオを相互に表示できます。WebEx ユーザと共有するプレゼンテーションの場合、ユーザ自身がプレゼンタとなるか、またはプレゼンテーションを共有する前にホストがユーザにプレゼンタ権限を割り当てることができます。この動作を制御する WebEx サイトの設定があります。TelePresence ユーザと共有するプレゼンテーションの場合、ユーザは、自分のコンピュータにビデオ ディスプレイ ケーブルを接続するか、またはエンドポイントのボタンを押して、ホストを経由せずに自分のプレゼンテーションの共有を開始することができます。
(注) Cisco TMS 14.6 および TMSPE 1.4 以降、Cisco Collaboration Meeting Rooms Premises を Cisco WebEx と統合し、参加者が WebEx 会議クライアントからユーザのパーソナル ルームで会議に参加できるようにすることができます。
Cisco TelePresence Management Suite(TMS)は、Cisco CMR Hybrid 会議をスケジュールするための主要コンポーネントです。これは、Cisco WebEx 会議スケジューラに制御リンクを提供します。このリンクにより、Cisco TMS は、Cisco WebEx カレンダーに新しい会議を作成すること、また会議参加者に配布される Cisco WebEx 会議情報を取得することができます。CMR Hybrid 会議をスケジュールするときに使用できるオプションを次に示します。
WebEx Productivity Tools は、ユーザが WebEx セッションを迅速かつ容易にスケジュールできるようにする一連のツールです。Productivity Tools には Outlook プラグインが含まれており、主催者は、WebEx 会議、TelePresence リソース、および CMR Hybrid 会議をスケジュールできます。生産性ツールで会議を予約するために Cisco TMS とインターフェイスする場合は、Cisco TelePresence Management Suite Extension for Microsoft Exchange(TMSXE)が必要です。このオプションは、CMR Hybrid 会議をスケジュールするユーザ、および電子メール クライアント内ですべての参加者に直接招待を単一トランザクションで送信するユーザに対して、シームレスな統合を提供します。
Smart Scheduler は、Cisco TelePresence Management Suite Provisioning Extension(TMSPE)でホストされる Web ベースのツールであり、ユーザはブラウザを使用して CMR Hybrid 会議をスケジュールできるようになります。これにより、モバイル デバイスで会議をスケジュールするユーザにオプションが提供されます。
(注) Cisco TMSPE オプション キーがインストールされている場合、Smart Scheduler を使用するのに余分なライセンスは必要ありません。
このオプションでは、ネットワーク管理者は Microsoft Exchange Server に特別なメール ボックス アカウントを作成する必要があります。主催者は、CMR Hybrid 会議をスケジュールするときに、招待者リストにこの特別なメール ボックス アカウントを含める必要があります。Cisco TMSXE は、このアカウントをモニタして、受信者リストにこのアカウントがある場合、Cisco TMS に対して CMR Hybrid 会議を予約するよう要求します。このオプションでは、設定の制御は制限されますが、Outlook Web Access(OWA)など、Exchange によってサポートされる任意の電子メール クライアントを使用して、簡単に会議をスケジュールできます。
このオプションでは、会議主催者は、Cisco TMS ポータルにログインして、Booking インターフェイスから CMR Hybrid 会議をスケジュールする必要があります。このインターフェイスでは、会議の詳細設定を制御します。通常、ヘルプ デスクや IT 担当者がこのオプションを使用して、会議をスケジュールします。
これらのオプションでの Cisco TMS 設定の詳細については、次の Web サイトで入手可能な『 Cisco Collaboration Meeting Rooms (CMR) Hybrid Configuration Guide 』を参照してください。
https://www.cisco.com/en/US/products/ps11338/products_installation_and_configuration_guides_list.html
CMR Hybrid 会議のスケジューリングは 2 段階のプロセスです。最初に、WebEx カレンダーで会議をスケジュールするための要求が WebEx クラウドに送信され、WebEx クラウドが Cisco TMS に渡される会議の詳細で応答します。2 番目に、Cisco TMS が、そのカレンダーに TelePresence 会議をスケジュールします。会議の開始時間になると、Cisco TMS は TelePresence Bridge に WebEx 上の会議に参加するための会議の詳細を提示します。WebEx から返される会議の詳細には、会議の日時、ダイヤルイン情報、件名、会議番号、会議に参加するための URL などが含まれます。会議がスケジュールされると、会議の WebEx および TelePresence の部分の詳細がホストに送信され、ホストはすべての参加者に詳細を転送できます。ただし、生産性ツールを使用する場合、会議の詳細は、ホストが作成して会議の参加者に送信する招待に自動的に含まれます。
Cisco CMR Hybrid は、シングル サインオン(SSO)を使用して、Cisco TMS 内の会議の WebEx 部分のスケジュールをサポートします。この機能では、WebEx サイトで、Cisco TMS が委任パートナーとしてプロビジョニングされており、またパートナー委任認証が設定されている必要があります。Cisco TMS で SSO が有効になっている場合、ユーザの WebEx ユーザ名のみ、WebEx パスワードを必要とすることなく Cisco TMS ユーザ プロファイルに保存されます。ユーザが CMR Hybrid 会議をスケジュールすると、WebEx は Cisco TMS を信頼し、WebEx カレンダーで会議をスケジュールするためには、Cisco TMS に保存されている WebEx ユーザ名だけが必要です。SSO での Cisco TMS 設定の詳細については、以下のリンク先から入手できる最新バージョンの『 Cisco Collaboration Meeting Rooms (CMR) Hybrid Configuration Guide 』を参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/support/conferencing/telepresence-management-suite-tms/products-installation-and-configuration-guides-list.html
Cisco WebEx での SSO の詳細については、次の URL にあるホワイト ペーパーおよびテクニカル ノートを参照してください。
https://developer.cisco.com/site/webex-developer/develop-test/sso/reference
企業ネットワークと WebEx クラウドの間の通信はすべて暗号化されます(TLS およびセキュア RTP を使用)。また、顧客には、企業内で SIP 信号およびメディアの暗号化をオンにするオプションがあります。TLS 接続が機能するためには、証明書を Cisco Expressway-E にアップロードして、適切なハンドシェイクが行われるようにする必要があります。その証明書は、信頼できるルート認証局によって署名される必要があります。信頼できるルート認証局のリストについては、次のページで入手可能な『 Cisco Collaboration Meeting Rooms(CMR)Hybrid Configuration Guide 』を参照してください。
https://www.cisco.com/en/US/products/ps11338/products_installation_and_configuration_guides_list.html
会議に参加するために TelePresence Bridge が WebEx にコールする場合、パスワードが必要です。パスワードは、WebEx カレンダーでスケジュールされた各 CMR Hybrid 会議に割り当てられ、WebEx クラウドから会議の詳細の一部として返される SIP URI に組み込まれます。このパスワードは 22 バイトに符号化され、セキュリティ基準を満たしています。会議の開始時に、TelePresence Bridge がこの SIP URI を使用して WebEx にコールし、WebEx がパスワードを検証してコールが会議に参加するのを許可します。
CMR Hybrid 会議の開始時間になると、Cisco TMS は、TelePresence 参加者に対して TelePresence Conductor を介して TelePresence Bridge で会議を開始します。TelePresence Bridge は、スケジュール プロセスの一部として返された、WebEx 側で会議に参加するための SIP URI を使用して、WebEx クラウドに対して TelePresence Conductor を介した SIP コールを行います。その結果、TelePresence Bridge は、会議用のクラウドと、オーディオ、通話中のスピーカー ビデオ、およびコンテンツ共有ビデオの個別ストリームを確立します。通話中のスピーカーのビデオ、コンテンツ共有のビデオ、会議制御は常に IP ネットワークを介して送信されますが、オーディオは、選択した導入オプションに応じて IP ネットワークまたは PSTN を介して送信できます。CMR Hybrid では、次の各種オーディオ オプションを利用できます。
図 11-22 は、SIP での WebEx Audio を使用した Cisco CMR Hybrid の導入を示しています。このオプションでは、会議の開始時に TelePresence Bridge が WebEx にクラウドにコールしたときに、会議の音声が WebEx オーディオ ブリッジで SIP 接続を介して確立されます。音声、通話中のスピーカーのビデオ、コンテンツ共有ビデオ、および会議制御は、Cisco Expressway-C および Expressway-E を介して TelePresence Bridge から WebEx クラウドに IP ネットワークで送信されます。その結果、TelePresence Bridge からの音声接続は WebEx オーディオ ブリッジにカスケードされます。
国内ルールでトール バイパスが許可されない Cisco CMR Hybrid 導入では、PSTN を使用した WebEx Audio はオプションです。図 11-23 は、この導入を示しています。このオプションでは、通話中のスピーカーのビデオ、コンテンツ共有ビデオ、および会議制御は IP ネットワークを介して送信されますが、音声は PSTN を通して WebEx オーディオ ブリッジで確立されます。このオプションでは、IP ネットワークと PSTN 間で音声コールを接続するために、音声ゲートウェイの導入が必要です。スケジューリング プロセスで、WebEx カレンダーで会議をスケジュールするときに、WebEx は Cisco TMS にダイヤルアウト番号と会議番号を渡します。会議の開始時に、TelePresence Bridge は、WebEx クラウドへの SIP コールを開始して通話中のスピーカーのビデオおよびコンテンツ共有ビデオを確立します。同時に、TelePresence Bridge は、PSTN 経由でダイヤルアウトして WebEx オーディオ ブリッジとの音声接続を確立します。WebEx オーディオ ブリッジと接続した後、TelePresence Bridge は、会議番号を DTMF ダイヤル シーケンスとして送信して、WebEx が音声およびビデオ コール レッグを関連付けられるようにします。その結果、TelePresence Bridge からの音声接続は WebEx オーディオ ブリッジにカスケードします。
図 11-23 PSTN で WebEx Audio を使用した Cisco CMR Hybrid
WebEx から返されるダイヤル アウト番号は、完全な E.164 番号形式です(例:+14085551212)。Cisco Unified CM のダイヤル プランの設計では、E.164 番号の処理を考慮に入れる必要があります。Cisco Unified CM でのダイヤル プランの設計については、ダイヤル プランの章を参照してください。
Teleconferencing Service Provider(TSP)Audio オプションは、サードパーティの電話会議サービス プロバイダーがホストするオーディオ ブリッジの使用を希望する顧客用です。TSP Audio 設定は、PSTN 設定を使用する WebEx 音声と非常によく似ていますが、オーディオ ブリッジは電話会議サービス プロバイダーによってホストされる点が異なります(図 11-24 を参照)。WebEx と TSP 間の TSP リンクは、高度な会議制御機能を提供します。
図 11-24 Teleconferencing Service Provider(TSP)Audio を使用した Cisco CMR Hybrid
スケジューリング プロセスでは、ダイヤルアウト番号と会議番号に加えて、TSP オーディオ ブリッジに対する IVR プロンプトを通してナビゲートするための追加の番号が、WebEx から Cisco TMS に渡されます。スケジュール済み会議の開始時に、TelePresence Bridge は WebEx クラウドへの SIP コールを開始してビデオ接続を確立します。同時に、TelePresence Bridge は PSTN 経由で TSP オーディオ ブリッジにダイヤルアウトします。次に、TelePresence Bridge は、DTMF 桁を付加した会議番号を DTMF ダイヤル シーケンスとして再生し、オーディオ ブリッジの IVR をナビゲートして会議を開始します。WebEx 側では、WebEx 参加者が会議クライアントを使用して WebEx セッションを開始し、TSP オーディオ ブリッジにダイヤルするか、オーディオ ブリッジからのコールバックを受けます。このため、TelePresence および WebEx の参加者からのオーディオ ストリームがカスケードされます。この時点より先では、WebEx 側の最も声が大きなスピーカーや参加者リストなどに関する情報が、TSP から WebEx に TSP リンクを通して渡され、その後エンタープライズ コラボレーション ネットワークに渡されます。
WebEx から返されるダイヤル アウト番号は、完全な E.164 番号形式です(例:+14085551212)。Cisco Unified CM のダイヤル プランの設計では、E.164 番号の処理を考慮に入れる必要があります。Cisco Unified CM でのダイヤル プランの設計については、ダイヤル プランの章を参照してください。
CMR Hybrid のハイ アベイラビリティの設計では、検討すべき 2 つの領域として、エンタープライズ コラボレーション ネットワークと WebEx クラウドがあります。WebEx クラウドはシスコによって管理されており、すでに冗長性がインフラストラクチャに組み込まれています。詳細については、Cisco WebEx Software as a Serviceの項を参照してください。
エンタープライズ コラボレーション ネットワークでは、Cisco Unified CM および Cisco Expressway のクラスタリング オプションを使用して、TelePresence エンドポイントでの呼制御およびコール ルーティングに冗長性を提供します。プライマリ サーバで障害が発生すると、バックアップ サーバは呼制御およびコール ルーティング機能を引き継ぐことができます。さらに、カンファレンス ブリッジの障害を処理するために、TelePresence 会議インフラストラクチャの復元力を考慮する必要があります。
Cisco Unified CM クラスタリングについては、呼処理の章を参照してください。
Cisco Expressway クラスタリングについては、次の Web サイトで入手可能な『 Cisco Expressway Cluster Creation and Maintenance Deployment Guide 』の最新バージョンを参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/support/unified-communications/expressway-series/products-installation-and-configuration-guides-list.html
TelePresence 会議インフラストラクチャの復元力については、Cisco Meeting Serverの項を参照してください。
WebEx クラウドには、しきい値を超えた場合にトラフィックを均等に分散して動的に容量を追加する機能が組み込まれています。Cisco CMR Hybrid のキャパシティ プランニングには、企業内で稼働するコンポーネントのサイジングが含まれます。コンポーネントには、以下が含まれます。
Cisco Unified CM は、TelePresence エンドポイントで生成されたトラフィックを処理するのに十分なリソースを提供する必要があります。詳細については、コラボレーション エンドポイントのキャパシティ プランニングの項を参照してください。
Cisco TelePresence Conductor、Cisco TelePresence Server、または Cisco TelePresence MCU は、会議トラフィックを処理するのに十分なリソースを提供する必要があります。キャパシティ プランの詳細については、以下のリンク先から入手できる『 Cisco Collaboration System 11.x SRND 』の「 Cisco Rich Media Conferencing 」の章の Cisco Collaboration Meeting Rooms Premises に関するセクションを参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/td/docs/voice_ip_comm/cucm/srnd/collab11/collab11/confernc.html
Cisco Expressway は、導入環境のトラバーサル コール トラフィックを処理するのに十分なリソースを提供する必要があります。キャパシティの詳細については、コラボレーション ソリューション サイジング ガイダンスの章を参照してください。
Cisco CMR Hybrid のネットワーク トラフィック プランニングは、以下の要素で構成されます。
WebEx 会議クライアントは、Scalable Video Coding(SVC)テクノロジーを使用してビデオを送受信します。これは、多層フレームを使用してビデオを送信し、受信側クライアントが自動的に最適な解像度を選択してビデオを受信できるようにします。WebEx クライアントのネットワーク トラフィック プランニングの詳細については、次の Web サイトで入手可能なホワイトペーパー『 Cisco WebEx Network Bandwidth 』を参照してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/products/collateral/conferencing/webex-meeting-center/white_paper_c11-691351.html
WebEx クラウドへの各コールでは、企業と WebEx クラウド間で 1.1 Mbps 以上のネットワーク帯域幅が必要です。たとえば、顧客が 5 つの同時 CMR Hybrid 会議を想定している場合、5.5 Mbps のネットワーク帯域幅が必要です。同時に、コールごとに最大 4 Mbps の帯域幅がサポートされます。
TelePresence Bridge と WebEx クラウド間で最適な SIP 音声およびビデオの品質を提供するため、シスコは、Cisco Unified CM に登録する各エンドポイントに関連付けられた領域で少なくとも 1.3 Mbps のビデオ帯域幅を設定するよう推奨しています。
Cisco CMR Hybrid の導入には、次の設計上の考慮事項が適用されます。