オーディオコーデック
コール接続および録音のためのオーディオ コーデックの使用方法
Unity Connection では、 SCCP または SIP のシグナリングでサポートされるオーディオコーデック形式(G.711 mu-law、G.711 a-law、G.722、G.729、iLBC)のコールは、常に PCM リニアに変換されます。録音は、PCM リニアから、Cisco Unity Connection Administration 録音でシステム全体に設定されているシステムレベルの録音オーディオコーデック(PCM linear、G.711 mu-law、G.711 a-law、G.729a、G.726-a)にエンコードされます。デフォルトは G.711 mu-law です。
この項では、発信側デバイスと Unity Connection の間でネゴシエートされるオーディオコーデックを「回線コーデック」と呼び、システムレベルの録音用オーディオコーデックとして設定されたオーディオコーデックを「録音コーデック」と呼びます。
サポートされる回線コーデック(アドバタイズされているコーデック)
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G.711 mu-law
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G.711 a-law
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G.722
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G.729
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iLBC
サポートされる録音コーデック(システムレベルの録音用オーディオ コーデック)
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PCM リニア
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G.711 mu-law(デフォルト)
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G.711 a-law
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G.729a
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G.726
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GSM 6.10
トランスコーディングはどのような接続でも発生するので、回線コーデックが録音コーデックと異なっていても、システムへの影響に大差はありません。たとえば、G.729a を回線コーデックとして、G.711 mu-law を録音コーデックとして使用しても、Unity Connection サーバにはトランスコーディングに伴う大きな追加負荷はかかりません。しかし、iLBC コーデックまたは G.722 コーデックはトランスコーディングにより多くの計算を必要とするので、Unity Connection サーバーに大きな追加負荷がかかります。そのため、Unity Connection サーバがサポートできる G.722 または iLBC 接続の数は、G.711 mu-law 接続の数の半分のみです。
(注) |
G.722 コーデックまたは iLBC コーデックを回線コーデック(アドバタイズされているコーデック)として使用すると、Unity Connection サーバーでプロビジョニング可能なボイスポートの数が減少します。G.722 または iLBC コーデックを使用する場合に各プラットフォーム オーバーレイでサポートされる音声ポートの数の詳細については、https://www.cisco.com/c/en/us/td/docs/voice_ip_comm/connection/15/supported_platforms/b_15cucspl.html にある『Cisco Unity Connection 15 サポート対象プラットフォームリスト』を参照してください。 |
一般に、システムの録音形式をデフォルトの設定から変更しないでください。ただし、次の場合を除きます。
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ディスクの空き領域に関する検討事項に対処するには、G.729a または G.726 などの低ビットレートのコーデックの使用を検討します。低ビットレートのコーデックでは、G.711 mu-law などの高ビットレートのコーデックよりも音質が低下する点に注意してください。
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G.722 を回線コーデックとして使用するエンドポイント向けの録音で音質を改善するには、PCM リニアの使用を検討します。PCM リニアでは、使用するディスク領域が増加する点に注意してください。
録音コーデックを変更したり、特定の回線コーデックだけをアドバタイズするように選択したりする理由として、次のことが考えられます。SCCP 連動または SIP 連動で、システムレベルの録音時のオーディオ コーデックやアドバタイズされているコーデックを決定するときは、次の情報を確認してください。
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大多数のエンドポイントと Unity Connection の間でネゴシエートされるオーディオコーデック。この情報は、Unity Connection によるアドバタイズに適したオーディオ コーデックと Unity Connection によるアドバタイズが不適切なオーディオコーデックを判断する場合に役立ちます。また、Unity Connection による計算負荷の高いネイティブ トランスコーディングではなく、Cisco Unified Communications Manager によるハードウェア トランスコーディング リソースの提供が必要な場合を判断できます。たとえば、構成で多数のクライアントを 722 または iLBC を使用して Unity Connection に接続する場合などが該当します。
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録音を再生するグラフィカル ユーザ インターフェイス(GUI)クライアントの種類(Web ブラウザ、電子メールクライアント、メディアプレーヤーなど)、および各 GUI クライアントがサポートするオーディオコーデック。
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選択したオーディオ コーデックによって生成される音質。一部のオーディオ コーデックは、他のオーディオ コーデックよりも優れた音質を実現します。たとえば、G.711 は G.729a よりも高音質であるため、高音質が求められる場合に適しています。
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オーディオ コーデックで録音時間 1 秒あたりに使用するディスク領域。
PCM リニアの音質は最高レベルで、最も幅広くメディア プレーヤーでサポートされていますが、使用するディスク領域および帯域幅が最も大きくなります(16 KB/秒)。G.711(a-law および mu-law)は PCM リニアと比較すると音質は中程度で、幅広いメディア プレーヤーでサポートされており、使用するディスク領域および帯域幅は半分です(8 KB/秒)。G.729a は、サポートされている 4 つのオーディオ コーデックの中で最も音質が低く、使用にあたってライセンスが必要なため、サポートされているメディア プレーヤーも限られています。ただし、このオーディオ コーデックで使用するディスク領域は最小です(1 KB/秒)。G.726 は音質が中程度で、ある程度の数のメディア プレーヤーでサポートされており、他のほとんどのコーデックよりもディスク領域が少なく済みます(3 KB/秒)。この情報を次の表にまとめます。
録音用オーディオ コーデック |
音質 |
サポート状況 |
使用ディスク領域 |
サンプリングレート |
チャネル |
サンプル サイズ |
---|---|---|---|---|---|---|
PCM リニア |
最高 |
広範なサポート |
16 KB/秒 |
8 kHz/秒 |
1 |
16 ビット |
G.711 mu-law/a-law |
ある程度影響あり |
広範なサポート |
8 KB/秒 |
8 kHz/秒 |
1 |
8 ビット |
G726 |
ある程度影響あり |
中程度のサポート |
4 KB/秒 |
8 kHz/秒 |
1 |
4 ビット |
GSM 6.10 |
ある程度影響あり |
限定的なサポート |
1.63 KB/秒 |
8 kHz/秒 |
1 |
なし |
G.729a |
最低 |
限定的なサポート |
1 KB/秒 |
8 kHz/秒 |
1 |
なし |
Unity Connection によってアドバタイズされるオーディオコーデック、またはシステムレベルの録音オーディオコーデックの変更の詳細については、https://www.cisco.com/c/en/us/td/docs/voice_ip_comm/connection/15/administration/guide/b_15cucsag.html にある『Cisco Unity Connection のシステムガイド、リリース 15』の「ユーザー設定」の章にある「録音または録画の形式を変更する」の項を参照してください。
アドバタイズされているオーディオ コーデックを変更する場合は、G.711 mu-law、G.711 a-law、G.722、G.729、および iLBC の中から選択します。また、選択したコーデックの優先順位も指定します。
SCCP 連動の場合、ネゴシエートされたコールのポートの位置およびデバイスに基づいて Cisco Unified CM がオーディオコーデックをネゴシエートするため、オーディオコーデックの順序は重要ではありません。ただし SIP 連動の場合は、オーディオ コーデックの順序が重要です。一方のオーディオコーデックが他方のオーディオコーデックよりも優先される場合、Unity Connection は両方のオーディオコーデックをサポートするようにアドバタイズしますが、優先順位の高いコーデックの方を使用します。
(注) |
Web Inbox では、メッセージの録音にコーデックが選択されているかどうかに関係なく、受信したボイスメッセージは常に PCM リニアで再生またはダウンロードされます。 |
VPIM ネットワーキングのオーディオ コーデックに関する考慮事項
VPIMネットワークで Unity Connection を別の Unity Connection サーバー、Cisco Unity サーバー、またはサードパーティのボイスメッセージングシステムに接続する場合は、互換性のあるオーディオコーデックを選択する必要があります。
Unity Connection VPIM ネットワークでは、次のオーディオコーデックの考慮事項に注意してください。
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着信メッセージの場合、Unity Connection は次のいずれかを実行できます。
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ボイスメッセージを Unity Connection がサポートする任意のオーディオ形式に変換する。
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ボイス メッセージのオーディオ形式を変換せず、ボイス メッセージの元のオーディオ形式を保持する。
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アウトバウンド ボイス メッセージの場合、Unity Connection は次のいずれかを実行できます。
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ボイス メッセージを G.726 オーディオ形式に変換する。
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ボイス メッセージのオーディオ形式を変換せず、ボイス メッセージの元のオーディオ形式を保持する。VPIM ネットワーキングを使用して、Unity Connection サーバー間、または Unity Connection と Cisco Unity サーバー間でボイスメッセージを送信する場合は、変換しない方が便利です。
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VPIM ネットワーキングの詳細については、「VPIM ネットワーキング」を参照してください。