スイッチ ファブリック モジュールの設定
この章では、Catalyst 6500シリーズ スイッチのスイッチ ファブリック モジュールおよびスイッチ ファブリック モジュール1Aを設定する手順について説明します。
(注) この章で使用しているコマンドの構文および使用方法の詳細については、『Catalyst 6500 Series Switch Command Reference』を参照してください。
この章で説明する内容は、次のとおりです。
• 「スイッチ ファブリック モジュールの機能」
• 「スイッチ ファブリック モジュールの設定およびモニタリング」
(注) WS-C6500-SFMは、Catalyst 6500シリーズの6スロット シャーシおよび9スロット シャーシでのみサポートされます。WS-X6500-SFM 2は、Catalyst 6500シリーズの6スロット、9スロット、13スロットのシャーシ、およびCatalyst 6509-NEBシャーシでサポートされます。
スイッチ ファブリック モジュールの機能
(注) スイッチ ファブリック モジュールは、Catalyst 6500シリーズ スイッチに搭載されたSupervisor Engine 2でのみサポートされます。
スイッチ ファブリック モジュールは、ファブリック対応モジュール間に専用接続を作成し、これらのモジュール間で絶え間なくフレーム送信を行います。スイッチ ファブリック モジュールによって、ファブリック対応モジュールは、Catalyst 6500シリーズの32 Gbps転送バスに直接接続することができます。
set system crossbar-fallback bus-mode | noneコマンドを使用すると、スイッチ ファブリック モジュールが削除されるか、または接続が切断された場合に、パケットの処理方法を指定することができます。bus-modeを指定すると、スイッチングはflow-throughモードで実行されます。noneを指定すると、スイッチ ポートはディセーブルになり、スイッチングは停止します。
スイッチ ファブリック モジュールにはコンソールはありません。前面パネルにある2列のLCDディスプレイに、ファブリックの利用状況、ソフトウェア リビジョン、および基本的なシステム情報が表示されます。
WS-C6500-SFMは、6スロットおよび9スロットのCatalyst 6500シリーズ スイッチの、スロット5またはスロット6のどちらかに搭載します。WS-X6500-SFM 2は、13スロットのCatalyst 6500シリーズ スイッチのスロット7またはスロット8のどちらかに搭載します。最初に取り付けたスイッチ ファブリック モジュールがプライマリ モジュールとして動作します。スタンバイ スイッチ ファブリック モジュールを取り付けて冗長構成にすることができます。
6スロットまたは9スロット シャーシに2つのスイッチ ファブリック モジュールを同時に取り付けるときは、プライマリ モジュールはスロット5に、バックアップ モジュールはスロット6に装着します。スロット5のモジュールをリセットすると、スロット6のモジュールがアクティブになります。
13スロット シャーシに2つのスイッチ ファブリック モジュールを同時に取り付けるときは、プライマリ モジュールはスロット7に、バックアップ モジュールはスロット8に装着します。スロット7のモジュールをリセットすると、スロット8のモジュールがアクティブになります。
Catalyst 6500シリーズ スイッチにスイッチ ファブリック モジュールを搭載した場合、モジュールとの間のトラフィック転送は、次のいずれかのモードで行われます。
• flow-throughモード ― ローカル バスとスーパバイザ エンジン バスの間でデータが送受信されます。このモードは、ファブリック非対応モジュールとの間のトラフィックに使用されます。
• truncatedモード ― 宛先モジュールと送信元モジュールの両方がファブリック対応であれば、スイッチ ファブリック チャネル経由で切り捨てられたデータ(フレームの最初の64バイト)のみが送信されます。送信元モジュールまたは宛先モジュールのどちらかがファブリック非対応である場合には、スイッチ ファブリック チャネルおよびデータ バスを通じてデータが送信されます。ファブリック非対応モジュール間のトラフィック転送には、スイッチ ファブリック モジュールは関与しません。
• compactモード ― スイッチ ファブリック チャネルを通じてDBusヘッダーのコンパクト版が転送され、可能な限り最良のスイッチング速度を実現します。ファブリック非対応モジュールはcompactモードをサポートせず、compactモードのフレームを受信するとCyclic Redundancy Check(CRC;巡回冗長検査)エラーを生成します。このモードは、シャーシにファブリック非対応モジュールが搭載されていない場合に限って使用されます。
表 46-1 に、ファブリック対応/非対応モジュールが搭載されている場合のスイッチ モードを示します。
表 46-1 搭載されているスイッチ ファブリック モジュール別のスイッチング モード
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ファブリック対応モジュール間(ファブリック非対応モジュールが搭載されていない場合) |
compact |
ファブリック対応モジュール間(ファブリック非対応モジュールも搭載されている場合) |
truncated |
ファブリック対応モジュールとファブリック非対応モジュール間 |
flow-through |
ファブリック非対応モジュール間 |
flow-through |
スイッチ ファブリック モジュールの設定およびモニタリング
スイッチ ファブリック モジュールはユーザ側での設定作業を必要としませんが、モニタを行う目的でいくつかの show コマンドをサポートしています。完全に自動化された起動シーケンスによってモジュールがオンラインになり、ポート上で接続診断テストが実行されます。
スーパバイザ エンジンからモジュールをリセットするには reset module コマンド、モジュールをディセーブルおよびイネーブルにするには set module enable | disable コマンド、モジュールの電源を切断するには set module powerdown module コマンドを使用します。
ここでは、スイッチ ファブリック モジュールを設定する手順について説明します。
• 「代替オプションの設定」
• 「スイッチング モードの設定」
• 「スイッチ ファブリックの冗長性」
• 「スイッチ ファブリック モジュールのモニタリング」
• 「LCDバナーの設定」
代替オプションの設定
set system crossbar-fallback {bus-mode | none}コマンドを使用すると、スイッチ ファブリック モジュールとの接続が切断された場合の代替オプションを設定することができます。
スイッチ ファブリック モジュールの代替オプションを設定するには、イネーブル モードで次の作業を行います。
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スイッチ ファブリック モジュールの代替オプションを設定します。 |
set system crossbar-fallback {bus-mode | none} |
代替オプションをbus-modeに設定する例を示します。
Console> (enable) set system crossbar-fallback bus-mode
System crossbar-fallback set to bus-mode.
スイッチング モードの設定
パフォーマンスを向上させるために、システムが使用するスイッチング モードを手動で設定することができます。シャーシに非ファブリック対応モジュールが1つまたは複数搭載されている場合は、flow-throughモードを使用するようにスイッチを設定します。ファブリック対応モジュールのみが搭載されている場合は、compactモードを使用するようにスイッチを設定します。
(注) 非ファブリック対応モジュールは、compactモードをサポートしません。
非ファブリック対応モジュールが搭載されている場合に、flow-throughモードを使用するようにスイッチを設定するには、次の作業を行います。
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flow-throughモードを使用するようにスイッチを設定します。 |
set system switchmode allow bus-only |
flow-throughモードを使用するようにスイッチを設定する例を示します。
Console> (enable) set system switchmode allow bus-only
ファブリック対応モジュールのみが搭載されている場合に、compactモードを使用するようにスイッチを設定するには、次の作業を行います。
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compactモードを使用するようにスイッチを設定します。 |
set system switchmode allow truncated |
compactモードを使用するようにスイッチを設定する例を示します。
Console> (enable) set system switchmode allow truncated
スイッチ ファブリックの冗長性
スイッチ ファブリック モジュールを冗長構成にする場合、設定作業は必要ありません。スロット5のモジュールがプライマリ モジュールとして動作し、プライマリ モジュールが故障したとき、スロット6の冗長スイッチ ファブリック モジュールが自動的に処理を引き継ぎます。Catalyst 6506およびCatalyst 6509スイッチは、WS-C6500-SFMおよびWS-X6500-SFM 2による混合冗長構成をサポートします。Catalyst 6513スイッチは、WS-C6500-SFM2のみによる冗長構成をサポートします。
モジュール情報の表示
モジュール情報を表示するには、イネーブル モードで次の作業を行います。
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モジュール情報を表示します。 |
show module mod |
モジュール情報を表示する例を示します。
Console> (enable) show module
Mod Slot Ports Module-Type Model Sub Status
--- ---- ----- ------------------------- ------------------- --- --------
1 1 2 1000BaseX Supervisor WS-X6K-SUP2-2GE yes ok
4 4 24 100BaseFX MM Ethernet WS-X6224-MM-MT no ok
5 5 0 Switch Fabric Module WS-C6500-SFM no ok
Mod Module-Name Serial-Num
--- ------------------- -----------
Mod MAC-Address(es) Hw Fw Sw
--- -------------------------------------- ------ ---------- -----------------
1 00-40-0b-ff-00-00 to 00-40-0b-ff-00-01 0.219 6.1(0.146) 6.2(0.33-Eng)KEY
00-50-3e-7e-71-56 to 00-50-3e-7e-71-57
00-01-64-f8-ca-00 to 00-01-64-f8-cd-ff
4 00-10-7b-c2-3a-c0 to 00-10-7b-c2-3a-d7 0.204 4.2(0.24)V 6.2(0.14)KEY
5 00-40-0b-ff-00-00 0.204 6.1(0.133) 6.2(0.14)KEY
Mod Sub-Type Sub-Model Sub-Serial Sub-Hw
--- ----------------------- ------------------- ----------- ------
1 L3 Switching Engine II WS-F6K-PFC2 SAD04110B5S 0.305
ファブリック チャネル カウンタの表示
ファブリック チャネル カウンタを表示するには、イネーブル モードで次の作業を行います。
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ファブリック チャネル カウンタを表示します。 |
show fabric channel counters module |
ファブリック チャネル カウンタを表示する例を示します。
Console> show fabric channel counters 5
ファブリック チャネルのスイッチング モードおよびチャネル ステータスの表示
ファブリック チャネルのスイッチング モードおよびチャネル ステータスを表示するには、イネーブル モードで次の作業を行います。
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ファブリック チャネルのスイッチング モードおよびチャネル ステータスを表示します。 |
show fabric channel switchmode |
ファブリック チャネルのスイッチング モードおよびチャネル ステータスを表示する例を示します。
Console> (enable) show fabric channel switchmode
Global switching mode:truncated
Module Num Fab Chan Fab Chan Switch Mode Channel Status
------ ------------ -------- ------------ --------------
show fabric channel switchmodeコマンドの出力で、Switch Modeフィールドに表示されるモードは、次のいずれかです。
• flow-throughモード
• truncatedモード
• compactモード
(注) 各種モードの定義については、「スイッチ ファブリック モジュールの機能」を参照してください。
ファブリック チャネル利用率の表示
ファブリック チャネル利用率を表示するには、イネーブル モードで次の作業を行います。
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ファブリック チャネル利用率を表示します。 |
show fabric channel utilization |
ファブリック チャネル利用率を表示する例を示します。
Console> show fabric channel utilization
ファブリック チャネル入出力の表示
ファブリック チャネルでの入出力を表示するには、イネーブル モードで次のいずれかの作業を行います。
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ファブリック チャネルでの入出力を表示します。 |
show system |
ファブリック チャネルでの入出力を表示します。 |
show backplane-traffic |
ファブリック チャネルでの入出力を表示する例を示します。
Fan-Status Temp-Alarm Sys-Status Uptime d,h:m:s Logout
---------- ---------- ---------- -------------- ---------
ok off ok 0,00:53:38 20 min
------------ ------------
Modem Baud Traffic Peak Peak-Time
------- ----- ------- ---- -------------------------
disable 9600 0% 0% Wed Jun 7 2000, 10:33:00
PS1 Capacity: 852.60 Watts (20.30 Amps @42V)
System Name System Location System Contact CC
------------------------ ------------------------ ------------------------ ---
Console> show backplane-traffic
------- ---- -------------------------
0% 0% Wed Jun 7 2000, 10:33:00
スイッチング モード設定の表示
スイッチング モード設定を表示するには、イネーブル モードで次の作業を行います。
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スイッチング モード設定を表示します。 |
show system switchmode |
スイッチング モード設定を表示する例を示します。
Console> (enable) show system switchmode
Switchmode allow:truncated
LCDバナーの設定
スーパバイザ エンジンから set banner lcd コマンドを入力してLCDバナーを変更し、次の情報を含めるようにすることができます。
• シャーシのシリアル番号
• スイッチのIPアドレス
• システム名
• スーパバイザ エンジンのバージョン
• アクティブおよびスタンバイ スーパバイザ エンジン上のMultilayer Switch Feature Card(MSFC;マルチレイヤ スイッチ フィーチャ カード)のバージョン
• システムの連絡先
LCDバナーの内容を変更すると、シャーシに搭載されているスイッチ ファブリック モジュールにこの情報が送信され、LCDに表示されます。
LCDバナーの内容を変更するには、イネーブル モードで次の作業を行います。
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ステップ 1 |
LCDバナーの内容を変更します。 |
set banner lcd c [ text ] c |
ステップ 2 |
LCDバナーの変更を確認します。 |
show banner |
スイッチ ファブリック モジュールのLCDバナーを変更する例を示します。
Console> (enable) set banner lcd &HelloWorld!&
Console> (enable) show banner