UDLDの設定
この章では、Catalyst 6500シリーズ スイッチでUniDirectional Link Detection(UDLD;単一方向リンク検出)プロトコルを設定する手順について説明します。
(注) この章で使用しているコマンドの構文および使用方法の詳細については、『Catalyst 6500 Series Switch Command Reference』を参照してください。
この章で説明する内容は、次のとおりです。
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「UDLDの機能」
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「UDLDのデフォルト設定」
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「スイッチにおけるUDLDの設定」
UDLDの機能
UDLDプロトコルにより、光ファイバまたは銅(たとえば、カテゴリ5のケーブルなど)イーサネット ケーブルを使用して接続された装置で、ケーブルの物理構成をモニタし、単一方向のリンクの存在を検出することができます。単一方向リンクが検出されると、UDLDが関係のあるポートをシャットダウンし、ユーザに通知します。単一方向リンクは、スパニングツリー トポロジー ループをはじめ、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。
UDLDは、レイヤ1メカニズムと共に作用し、リンクの物理的ステータスを判別するレイヤ2プロトコルです。レイヤ1では、物理的シグナリングおよび障害検出は、自動ネゴシエーションによって処理されます。UDLDは、ネイバのアイデンティティの検知、不正に接続されたポートのシャットダウンなど、自動ネゴシエーションでは実行不可能な処理を実行します。自動ネゴシエーションとUDLDの両方をイネーブルにすると、レイヤ1とレイヤ2の検知機能が協調して作用し、物理的および論理的な単一方向接続、および他のプロトコルの不正な動作を防止します。
リンク上でローカル装置が送信したトラフィックをネイバが受信するにもかかわらず、ネイバから送信されたトラフィックをローカル装置が受信しない場合に、単一方向リンクが発生します。対になっているファイバ ストランドのどちらかの接続が切れた場合、自動ネゴシエーションがアクティブであるかぎり、そのリンクは存続できません。この場合、論理リンクは不定であり、UDLDは何の措置も行いません。レイヤ1の観点から両方のファイバが正常に稼働していれば、レイヤ2のUDLDはそれらのファイバが正しく接続しているかどうか、トラフィックが正しいネイバ間で双方向に流れているかどうかを判別します。自動ネゴシエーションはレイヤ1のメカニズムであるため、このチェックは自動ネゴシエーションでは不可能です。
スイッチは、近接装置のUDLDがイネーブルのポートに、UDLDメッセージ(パケット)を定期的に送信します。このメッセージが一定時間内に送信元にエコー バックされ、特定の確認応答(エコー)が欠落している場合には、そのリンクは単一方向リンクとしてフラグ付けされ、ポートがシャットダウンされます。プロトコルが単一方向リンクを正しく識別して使用を禁止できるようにするには、リンクの両側の装置でUDLDをサポートしている必要があります。
(注) スーパバイザ エンジン ソフトウェア リリース5.4(3)以上では、UDLDメッセージのインターバルを指定できます。旧リリースでは、メッセージ インターバルは60秒に固定されていました。メッセージ インターバルが設定可能になったため、UDLDがリンク障害に対して迅速に反応します。
(注) デフォルトでは、UDLDは銅ポート上ではローカルなディセーブルに設定されています。この種のメディアは、アクセス ポートに使用されることが多いので、メディアに不要な制御トラフィックを送信しないようにするためです。
図 30-1に、単一方向リンク条件の例を示します。スイッチBは、ポートでスイッチAから正しくトラフィックを受信します。しかし、スイッチAは、光ファイバ ポートでスイッチBからのトラフィックを受信しません。UDLDによって問題が検出され、ポートがディセーブルにされます。
図 30-1 単一方向リンク
UDLDのデフォルト設定
表 30-1 に、UDLDのデフォルト設定を示します。
表 30-1 UDLDのデフォルト設定
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UDLDグローバル イネーブル ステート |
グローバルにディセーブル |
UDLDポート別イネーブル ステート(光ファイバ メディア) |
すべてのイーサネット光ファイバ ポートでイネーブル |
UDLDポート別イネーブル ステート(ツイストペア[銅]メディア) |
すべてのイーサネット10/100および1000BASE-TXポートでディセーブル |
UDLDメッセージ インターバル |
15秒 |
UDLDアグレッシブ モード |
ディセーブル |
スイッチにおけるUDLDの設定
ここでは、UDLDを設定する手順について説明します。
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「UDLDのグローバルなイネーブル化」
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「ポート単位でのUDLDのイネーブル化」
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「ポート単位でのUDLDのディセーブル化」
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「UDLDのグローバルなディセーブル化」
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「UDLDメッセージ インターバルの指定」
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「UDLDアグレッシブ モードのイネーブル化」
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「UDLDの設定の表示」
UDLDのグローバルなイネーブル化
スイッチ上でグローバルにUDLDをイネーブルにするには、イネーブル モードで次の作業を行います。
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ステップ 1 |
スイッチ上でグローバルにUDLDをイネーブルにします。 |
set udld enable |
ステップ 2 |
設定を確認します。 |
show udld |
UDLDをグローバルでイネーブルにし、設定を確認する例を示します。
Console> (enable) set udld enable
Console> (enable) show udld
ポート単位でのUDLDのイネーブル化
個々のポートでUDLDをイネーブルにするには、イネーブル モードで次の作業を行います。
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ステップ 1 |
特定のポートでUDLDをイネーブルにします。 |
set udld enable mod/port |
ステップ 2 |
設定を確認します。 |
show udld port [ mod [ / port ]] |
ポート4/1でUDLDをイネーブルにし、設定を確認する例を示します。
Console> (enable) set udld enable 4/1
Console> (enable) show udld port 4/1
Message Interval: 15 seconds
Port Admin Status Aggressive Mode Link State
-------- ------------ --------------- ---------
4/1 enabled disabled bidirectional
ポート単位でのUDLDのディセーブル化
個々のポートでUDLDをディセーブルにするには、イネーブル モードで次の作業を行います。
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ステップ 1 |
特定のポートでUDLDをディセーブルにします。 |
set udld disable mod/port |
ステップ 2 |
設定を確認します。 |
show udld port [ mod [ / port ]] |
ポート4/1でUDLDをディセーブルにする例を示します。
Console> (enable) set udld disable 4/1
UDLD disabled on port 4/1.
UDLDのグローバルなディセーブル化
スイッチ上でグローバルにUDLDをディセーブルにするには、イネーブル モードで次の作業を行います。
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ステップ 1 |
グローバルにUDLDをディセーブルにします。 |
set udld disable |
ステップ 2 |
設定を確認します。 |
show udld |
スイッチでグローバルにUDLDをディセーブルにする例を示します。
Console> (enable) set udld disable
UDLDメッセージ インターバルの指定
スイッチ上でUDLDメッセージ インターバルを指定するには、イネーブル モードで次の作業を行います。
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ステップ 1 |
UDLDメッセージ インターバルを指定します。 |
set udld interval interval |
ステップ 2 |
設定を確認します。 |
show udld |
次に、UDLDメッセージ インターバルを指定する例を示します。
Console> (enable) set udld interval 20
UDLD message interval set to 20 seconds
メッセージ インターバルを確認する例を示します。
Console> (enable) show udld
Message Interval : 20 seconds
UDLDアグレッシブ モードのイネーブル化
ソフトウェア リリース5.4(3)以上では、UDLDアグレッシブ モードがあります。UDLDアグレッシブ モードは、デフォルトではディセーブルに設定されています。このモードは、ソフトウェア リリース5.4(3)以降が稼働しているシスコ スイッチ間のポイントツーポイント リンクに限って使用してください。アグレッシブ モードをイネーブルに設定した場合、双方向リンク上のポートがUDLDパケットを受信しなくなったとき、UDLDはネイバとの接続を再確立しようとします。この試行に8回失敗すると、ポートはerrdisableステートになります。
スパニングツリー ループを防止するため、デフォルトである15秒インターバルを使用する通常のUDLDにより、(デフォルトのスパニングツリー パラメータを使用している場合)ブロッキング ポートがフォワーディング ステートに移行する前に、すみやかに単一方向リンクをシャットダウンすることができます。
UDLDアグレッシブ モードは、次のような場合に利点をもたらします。
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リンクの一方の側でポート スタック(TxおよびRx)を使用している場合
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リンクの一方の側がダウンしているにもかかわらず、もう一方の側がアップしたままの場合
こういった状況では、UDLDアグレッシブ モードにより、リンク上のポートの1つがerrdisableになり、トラフィックの廃棄を中止します。アグレッシブ モードをディセーブルに設定しても、1つのポートが双方向にトラフィックを流すことはできないので、スパニングツリー ループに起因するブロードキャスト ストームの危険性はありません。
UDLDアグレッシブ モードをイネーブルにするには、イネーブル モードで次の作業を行います。
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ステップ 1 |
UDLDアグレッシブ モードをイネーブルにします。 |
set udld aggressive-mode enable mod/port |
ステップ 2 |
設定を確認します。 |
show udld |
UDLDアグレッシブ モードをイネーブルにする例を示します。
Console> (enable) set udld aggressive-mode enable 4/1
Aggressive UDLD enabled on port 4/1.
次に、UDLDアグレッシブ モードがイネーブルに設定されていることを確認する例を示します。
Console> (enable) show udld port 4/1
Message Interval: 30 seconds
Port Admin Status Aggressive Mode Link State
-------- ------------ --------------- ---------
4/1 enabled Enabled bidirectional
UDLDの設定の表示
UDLDイネーブル ステートを表示するには、イネーブル モードで次の作業を行います。
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UDLDのイネーブル ステートを表示します。 |
show udld |
UDLDのイネーブル ステートを表示する例を示します。
Console> (enable) show udld
Message Interval : 15 seconds
モジュールまたはポートについて、UDLDの設定を表示するには、イネーブル モードで次の作業を行います。
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モジュールまたはポートのUDLDの設定を表示します。 |
show udld port [ mod ] [ mod/port ] |
モジュール4のポートについて、UDLDの設定を表示する例を示します。
Console> (enable) show udld port 4
Message Interval: 15 seconds
Port Admin Status Aggressive Mode Link State
-------- ------------ --------------- ---------
4/1 enabled disabled bidirectional
4/2 enabled disabled bidirectional
4/3 enabled disabled undetermined
4/4 enabled disabled bidirectional
表 30-2 に、 show udld コマンドの出力に含まれるフィールドを説明します。
表 30-2 show udldコマンドの出力フィールド
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UDLD |
UDLDがイネーブルまたはディセーブルのどちらに設定されているかを示すステータス |
Message Interval |
メッセージ インターバル(秒数) |
Port |
モジュールおよびポート番号 |
Admin Status |
管理ステータスがイネーブルまたはディセーブルのどちらに設定されているかを示すステータス |
Aggressive Mode |
アグレッシブ モードがイネーブル/ディセーブルのどちらに設定されているかを示すステータス |
Link State |
リンクのステータス ― undetermined(検出中またはネイバのUDLDがディセーブルにされている)、not applicable(UDLDおよびローカル ポートの両方または一方が手動でディセーブルにされている)、shutdown(単一方向リンクが検出され、ポートがerrdisableにされた)、bidirectional(双方向リンクが検出され、ポートが双方向で正常に機能している) |