管理上または技術上の理由によりエンド システム上で SSM をサポートすることができない、または望ましくない場合、SSM マッピングは SSM 移行をサポートします。 SSM を使用して IGMPv3 をサポートしていないレガシー STB に対して、ライブ ストリーミング ビデオを提供することは、SSM マッピングの一般的な応用例です。
典型的な STB 配置では、各 TV チャネルは独立した 1 つの IP マルチキャスト グループを使用し、その TV チャネルの送信を行うアクティブなサーバは 1 つです。 1 つのサーバから複数の TV チャネルへの送信は可能ですが、各チャネルのグループはそれぞれ異なります。 このようなネットワーク環境で、ルータが特定のグループ G の IGMPv1 または IGMPv2 のメンバーシップ レポートを受信した場合、レポートの宛先は暗黙的に、そのマルチキャスト グループに関連付けられている TV チャネルの well-known TV サーバになります。
SSM マッピングは、グループに送信しているソースをラスト ホップ ルータで検出する手段を提供します。 SSM マッピングが設定されている場合、特定のグループ G の IGMPv1 または IGMPv2 のメンバーシップ レポートを受信したルータは、レポートを、このグループに関連付けられている既知のソースの 1 つ以上の (S, G) チャネル メンバーシップに変換します。
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ルータはグループ G の IGMPv1 または IGMPv2 のメンバーシップ レポートを受信すると、SSM マッピングを使用して、グループ G の 1 つ以上のソース IP アドレスを決定します。その後、SSM マッピングは IGMPv3 レポートの INCLUDE (G, [S1, G], [S2, G]...[Sn, G]) に従ってメンバーシップ レポートを変換し、IGMPv3 レポートを受信したときと同様に続行します。 ルータ は、IGMPv1 または IGMPv2 メンバーシップ レポートを受信し続ける限り、さらに、グループの SSM マッピングが変更されない限り、PIM Join を(S1, G)から(Sn, G)までに送信し、これらのグループに加入し続けます。 このため、SSM マッピングにより、IGMPv3 が未サポートであるレガシー STB への映像配信や、IGMPv3 ホスト スタックを利用しないアプリケーションに SSM を活用できます。
SSM マッピング機能を使用すると、ラスト ホップ ルータはスタティックに設定されたルータ上のテーブルまたは DNS サーバへの問い合わせを通じて、ソース アドレスを決定できます。 スタティックに設定されたテーブルが変更された場合や、DNS マッピングが変更された場合、ルータは、現在のソースを加入したグループに関連付けたままにします。
DNS ベースの SSM マッピング
DNS ベースの SSM マッピングを使用して、逆 DNS ルックアップを実行してグループを送信するソースを決定するようにラスト ホップ ルータを設定できます(次の図を参照)。 DNS ベースの SSM マッピングが設定されると、ルータはグループ アドレス G を含むドメイン名を構築し、DNS への逆ルックアップを実行します。 ルータにより、この構築されたドメイン名に戻される IP アドレス リソース レコード(IP ARR)がルックアップされ、戻された IP アドレスが、このグループに関連付けられるソース アドレスとして使用されます。 SSM マッピングでサポートできる送信元の数は、グループごとに最大 20 です。 ルータは各グループに設定されているすべてのソースに加入します。
図 1. DNS ベースの SSM マッピング
ラスト ホップ ルータが 1 つのグループの複数のソースに加入できるようにする SSM マッピング メカニズムを使用すると、TV ブロードキャストのソース冗長性を提供できます。 このコンテキストでは、同じ TV チャネルで 2 つのビデオ ソースに加入するために、SSM マッピングを使用しているラスト ホップ ルータによって、冗長性が提供されます。 ただし、ラスト ホップ ルータでのビデオ トラフィックの重複を防ぐため、ビデオ ソースは、サーバ側のスイッチオーバー メカニズム(1 つのビデオ ソースがアクティブになる間、残りのバックアップ ビデオ ソースがパッシブになる)を使用する必要があります。 パッシブの送信元は待機状態になり、アクティブな送信元の障害が検出された場合に、その TV チャネルにビデオ トラフィックを送信します。 このため、サーバ側のスイッチオーバー メカニズムによって、1 台のサーバだけが TV チャネルにビデオ トラフィックを実際に送信するようになります。
G1、G2、G3、G4 を含むグループ G について 1 つ以上のソース アドレスをルックアップするには、次の DNS リソース レコード(RR)を DNS サーバで設定する必要があります。
G4.G3.G2.G1 [multicast-domain] [timeout] |
IN A source-address-1 |
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IN Asource-address-2 |
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IN Asource-address-n |
multicast-domain 引数は、設定可能な DNS プレフィックスです。 デフォルト DNS プレフィックスは、in-addr.arpa です。 インストールがインターネットから切り離されている場合、またはマッピングするグループ名が自分の所有するグローバル スコープのグループ アドレス(SSM 用に設定する RFC 2770 タイプのアドレス)である場合にだけ、デフォルトのプレフィックスを使用します。
timeout 引数は、SSM マッピングを実行しているルータが DNS ルックアップをキャッシュする時間を設定します。 この引数はオプションで、エントリが設定されているゾーンのタイムアウトのデフォルトです。 タイムアウトは、ルータがこのグループについて DNS サーバに問い合わせるまで、現在のマッピングを保持する期間を示します。 タイムアウトは DNS RR エントリのキャッシュ時間から導出され、DNS サーバでグループ/ソースごとに設定できます。 ルータによって生成される DNS クエリー数を最小にする場合は、この時間に大きな値を設定します。 新しいソース アドレスですべてのルータを早く更新する場合は、この時間に小さな値を設定します。
 (注) |
DNS RR の設定に関する詳細については、DNS サーバのマニュアルを参照してください。
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ソフトウェアで DNS ベースの SSM マッピングを設定するには、いくつかのグローバル コマンドを設定する必要がありますが、チャネルごとに特定の設定をする必要はありません。 追加チャネルが追加された場合も、SSM マッピングの設定は変更しません。 DNS ベースの SSM マッピングが設定されるときに、1 つまたは複数の DNS サーバによって、マッピングが全体的に処理されます。 DNS ベースの SSM マッピングで、設定および冗長性管理に使用されるすべての DNS テクニックを必要なエントリに適用できます。