OSPFv3 のルート再配布数制限の設定

OSPFv3 のルート再配布数の制限に関する制約事項

この機能は、IPv6 アドレスファミリについてのみサポートされています。

OSPFv3 のルート再配布数制限の前提条件

再配布するには、ネットワークで Open Shortest Path First バージョン 3(OSPFv3)を、別のプロトコルまたは別の OSPFv3 プロセスとともに設定する必要があります。

OSPFv3 のルート再配布数制限について

OSPFv3 は、別のプロトコルまたは別の OSPFv3 プロセスから OSPFv3 内に再配布できるプレフィックスの最大数をユーザーが定義する機能をサポートします。こうした制限により、デバイスが大量のルートの再配布でフラッディングを起こすことを回避できます。

たとえば、ボーダー ゲートウェイ プロトコル(BGP)の OSPFv3 への再配布が可能なネットワークで OSPFv3 に多数の IP ルートが送信されると、ネットワークで深刻なフラッディング状態になるおそれがあります。ルートの再配布数を制限すると、この潜在的な問題を回避できます。

OSPFv3 のルート再配布数制限を設定する方法

ここでは、OSPFv3 のルート再配布数制限の設定について説明します。


(注)  


以下の手順は相互に排他的です。つまり、再配布されるルートの数を制限するか、OSPFv3 に再配布されるルートの数に関する警告を要求するかのいずれかを実行できます。


OSPFv3 のルート再配布数の制限

このタスクでは、OSPFv3 のルート再配布数を制限する方法について説明します。ルート再配布数が設定された最大数に到達すると、これ以上のルートは再配信されません。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

enable

例:

Device> enable 

特権 EXEC モードを有効にします。

プロンプトが表示されたらパスワードを入力します。

ステップ 2

configure terminal

例:

Device# configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

router ospfv3 process-id

例:

Device(config)# router ospfv3 1

OSPFv3 ルーティング プロセスを設定します。

ステップ 4

address-family ipv6 [unicast]

例:

Device(config-router)# address-family ipv6 unicast

IPv6 アドレス ファミリ コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 5

redistribute protocol [process-id] [as-number] [include-connected {level-1 | level-1-2 | level-2} [ metric metric-value ] [ metric-type type-value] [nssa-only] [ tag tag-value] [ route-map map-tag]

例:

Device(config-router-af)# redistribute eigrp 10

ルートを 1 つのルーティング ドメインから他のルーティング ドメインに再配布します。

ステップ 6

redistribute maximum-prefix maximum [threshold]

例:

Device(config-router-af)# redistribute maximum-prefix 100 80

OSPFv3 への再配布が許可される IPv6 プレフィックスの最大数を設定します。

  • 引数 maximum のデフォルト値はありません。

  • threshold 値はデフォルトで 75% に設定されています。

(注)  

 

warning-only キーワードをこのコマンドで設定すると、再配布数の制限は設定されず、警告メッセージがログに記録されるようになります。

ステップ 7

exit-address-family

例:

Device(config-router-af)# exit-address-family

IPv6 アドレス ファミリ コンフィギュレーション モードを終了します。

ステップ 8

end

例:

Device(config-router)# end

ルータ コンフィギュレーション モードを終了します。

OSPFv3 へのルートの再配布数に関する警告メッセージの要求

OSPFv3 に再配布されるルートの数が設定制限を超えたときの警告メッセージを要求するには、次の手順を実行します。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

enable

例:

Device> enable 

特権 EXEC モードを有効にします。

プロンプトが表示されたらパスワードを入力します。

ステップ 2

configure terminal

例:

Device# configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

router ospfv3 process-id

例:

Device(config)# router ospfv3 1

OSPFv3 ルーティング プロセスを設定します。

ステップ 4

address-family ipv6 [unicast]

例:

Device(config-router)# address-family ipv6 unicast

IPv6 アドレス ファミリ コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 5

redistribute protocol [process-id] [as-number] [include-connected {level-1 | level-1-2 | level-2} [ metric metric-value ] [ metric-type type-value] [nssa-only] [ tag tag-value] [ route-map map-tag]

例:

Device(config-router-af)# redistribute eigrp 10

ルートを 1 つのルーティング ドメインから他のルーティング ドメインに再配布します。

ステップ 6

redistribute maximum-prefix maximum [threshold ] [warning-only]

例:

Device(config-router-af)# redistribute maximum-prefix 100 80 warning-only

IP プレフィックスの最大数が OSPFv3 内に再配布されたときに警告メッセージのログが記録されます。

  • warning-only キーワードが含まれているため、OSPFv3 へのプレフィックスの再配布数に制限は設定されません。

  • 引数 maximum のデフォルト値はありません。

  • threshold 値はデフォルトで 75% に設定されています。

  • ここでは、1000 の 80%(800 個のルート再配布)で警告する場合と、1000 個のルート再配布で警告する場合の、2 つの例について説明します。

ステップ 7

end

例:

Device(config-router)# end

ルータ コンフィギュレーション モードを終了します。

OSPFv3 のルート再配布数制限の設定例

ここでは、OSPFv3 のルート再配布数制限の設定例を示します。

例:OSPFv3 のルート再配布数の制限

次に、OSPFv3 プロセス 1 に再配布できるプレフィックスの最大数に 1200 を設定する例を示します。制限に達する前に、再配布されたプレフィックス数が 1200 の 80%(960 個のプレフィックス)に達すると、警告メッセージのログが記録されます。制限に達すると、もう 1 種類の警告メッセージがログに記録され、これ以降、プレフィックスは再配布されなくなります。

Device> enable
Device# configure terminal
Device(config)# router ospfv3 1
Device(config-router)# address-family ipv6
Device(config-router-af)# redistribute static subnets
Device(config-router-af)# redistribute maximum-prefix 1200 80

例:ルートの再配布数に関する警告メッセージの要求

次に、プレフィックスの再配布数が 600 の 85%(510 個のプレフィックス)に達した場合とルートの再配布数が 600 に達した場合にそれぞれ警告メッセージを記録するように設定する例を示します。ただし、再配布されるルート数は制限されません。

Device> enable
Device# configure terminal 
Device(config)# router ospfv3 11
Device(config-router)# address-family ipv6
Device(config-router-af)# redistribute eigrp 10 subnets
Device(config-router-af)# redistribute maximum-prefix 600 85 warning-only

OSPFv3 のルート再配布数制限のモニタリング

ルート再配布数制限をモニターするには、次の表の特権 EXEC コマンドを使用します。

表 1. OSPFv3 のルート再配布数制限をモニターするためのコマンド

コマンド

目的

show ipv6 ospf [process-id]

または

show ospfv3 ipv6 [process-id]

OSPFv3 ルーティング プロセスに関する一般情報を表示します。出力には、プレフィックスの再配布数の最大制限値と、警告メッセージが生成されるしきい値が含まれます。

その他の参考資料

関連資料

関連項目 マニュアル タイトル

この章で使用するコマンドの完全な構文および使用方法の詳細。

次のドキュメントのルーティングに関する項を参照してください:Command Reference (Catalyst 9200 Series Switches)

OSPFv3 のルート再配布数制限の機能情報

次の表に、このモジュールで説明した機能に関するリリース情報を示します。この表は、ソフトウェア リリース トレインで各機能のサポートが導入されたときのソフトウェアリリースだけを示しています。その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連のソフトウェアリリースでもサポートされます。

表 2. OSPFv3 のルート再配布数制限の機能情報

機能名

リリース

機能情報

OSPFv3 のルート再配布数の制限

Cisco IOS XE Gibraltar 16.11.1

OSPFv3 は、別のプロトコルまたは別の OSPFv3 プロセスから OSPFv3 内に再配布できるプレフィックスの最大数をユーザーが定義する機能をサポートします。こうした制限により、デバイスが大量のルートの再配布でフラッディングを起こすことを回避できます。