EIGRP の設定

EIGRP に関する情報

EIGRP は IGRP のシスコ独自の拡張バージョンです。EIGRP は IGRP と同じディスタンス ベクトル アルゴリズムおよび距離情報を使用しますが、EIGRP では収束性および動作効率が大幅に改善されています。

コンバージェンス テクノロジーには、拡散更新アルゴリズム(DUAL)と呼ばれるアルゴリズムが採用されています。DUAL を使用すると、ルート計算の各段階でループが発生しなくなり、トポロジの変更に関連するすべてのデバイスを同時に同期できます。トポロジ変更の影響を受けないルータは、再計算に含まれません。

IP EIGRP を導入すると、ネットワークの幅が広がります。RIP の場合、ネットワークの最大幅は 15 ホップです。EIGRP メトリックは数千ホップをサポートするほど大きいため、ネットワークを拡張するときに問題となるのは、トランスポート レイヤのホップ カウンタだけです。IP パケットが 15 台のルータを経由し、宛先方向のネクスト ホップが EIGRP によって取得されている場合だけ、EIGRP は転送制御フィールドの値を増やします。RIP ルートを宛先へのネクスト ホップとして使用する場合、転送制御フィールドでは、通常どおり値が増加します。

EIGRP IPv6

スイッチは、IPv6 の Enhanced Interior Gateway Routing Protocol(EIGRP)をサポートしています。IPv6 の EIGRP は稼働するインターフェイス上で設定されるため、グローバルな IPv6 アドレスは不要です。Network Essentials を実行しているスイッチは EIGRPv6 スタブルーティングのみをサポートします。

EIGRP IPv6 インスタンスでは、実行する前に暗示的または明示的なルータ ID が必要です。暗示的なルータ ID はローカルの IPv6 アドレスを基にして作成されるため、すべての IPv6 ノードには常に使用可能なルータ ID があります。ただし、EIGRP IPv6 は IPv6 ノードのみが含まれるネットワークで稼働するため、使用可能な IPv6 ルータ ID がない場合があります。

IPv6 用の EIGRP の設定については、「IPv6 用の EIGRP の設定」を参照してください。

IPv6 用の EIGRP の詳細については、Cisco.com の『Cisco IOS IPv6 Configuration Library』を参照してください。

EIGRP の機能

EIGRP には次の機能があります。

  • 高速コンバージェンス

  • 差分更新:宛先のステートが変更された場合、ルーティング テーブルの内容全体を送信する代わりに差分更新を行い、EIGRP パケットに必要な帯域幅を最小化します。

  • 低い CPU 使用率:完全更新パケットを受信ごとに処理する必要がないため、CPU 使用率が低下します。

  • プロトコルに依存しないネイバー探索メカニズム:このメカニズムを使用し隣接ルータに関する情報を取得します。

  • 可変長サブネット マスク(VLSM)

  • 任意のルート集約

  • 大規模ネットワークへの対応

EIGRP コンポーネント

EIGRP には次に示す 4 つの基本コンポーネントがあります。

  • ネイバー探索および回復:直接接続されたネットワーク上の他のルータに関する情報を動的に取得するために、ルータで使用されるプロセスです。また、ネイバーが到達不能または動作不能になっていることを検出するためにも使用されます。ネイバー探索および回復は、サイズの小さな hello パケットを定期的に送信することにより、わずかなオーバーヘッドで実現されます。hello パケットが受信されているかぎり、Cisco ISO ソフトウェアは、ネイバーが有効に機能していると学習します。このように判別された場合、隣接ルータはルーティング情報を交換できます。

  • Reliable Transport Protocol:EIGRP パケットをすべてのネイバーに確実に、順序どおりに配信します。マルチキャスト パケットとユニキャスト パケットが混在した伝送もサポートされます。EIGRP パケットには確実に送信する必要があるものと、そうでないものがあります。効率化のため、信頼性は必要時にのみ提供されます。たとえば、マルチキャスト機能があるマルチアクセス ネットワーク(イーサネットなど)では、すべてのネイバーにそれぞれ hello パケットを確実に送信する必要はありません。そのため、EIGRP は、1 つのマルチキャスト hello を送信し、パケットに確認応答が必要ないという通知をそのパケットに含めます。他のタイプのパケット(アップデートなど)の場合は、確認応答(ACK パケット)を要求します。信頼性の高い伝送であれば、ペンディング中の未確認応答パケットがある場合、マルチキャスト パケットを迅速に送信できます。このため、リンク速度が変化する場合でも、コンバージェンス時間を短く保つことができます。

  • DUAL 有限状態マシンには、すべてのルート計算の決定プロセスが組み込まれており、すべてのネイバーによってアドバタイズされたすべてのルートが追跡されます。DUAL は距離情報(メトリックともいう)を使用して、効率的な、ループのないパスを選択し、さらに DUAL は適切な後継ルータに基づいて、ルーティング テーブルに挿入するルートを選択します。後継ルータは、宛先への最小コスト パス(ルーティング ループに関連しないことが保証されている)を持つ、パケット転送に使用される隣接ルータです。適切な後継ルータが存在しなくても、宛先にアドバタイズするネイバーが存在する場合は再計算が行われ、この結果、新しい後継ルータが決定されます。ルートの再計算に要する時間によって、コンバージェンス時間が変わります。再計算はプロセッサに負荷がかかるため、必要でない場合は、再計算しないようにしてください。トポロジが変更されると、DUAL はフィジブル サクセサの有無を調べます。適切なフィジブル サクセサが存在する場合は、それらを探して使用し、不要な再計算を回避します。

  • プロトコル依存モジュールは、ネットワーク層プロトコル固有のタスクを実行します。たとえば、IP EIGRP モジュールは、IP でカプセル化された EIGRP パケットを送受信します。また、EIGRP パケットを解析したり、DUAL に受信した新しい情報を通知したりします。EIGRP は DUAL にルーティング決定を行うように要求しますが、結果は IP ルーティング テーブルに格納されます。EIGRP は、他の IP ルーティング プロトコルによって取得したルートの再配信も行います。

EIGRP NSF

デバイススタックは、次の 2 つのレベルの EIGRP ノンストップ フォワーディングをサポートします。

  • EIGRP NSF 認識

  • EIGRP NSF 対応

EIGRP NSF 認識

隣接ルータが NSF 対応である場合、レイヤ 3 デバイスでは、ルータに障害が発生してプライマリ RP がバックアップ RP によって引き継がれる間、または処理を中断させずにソフトウェアアップグレードを行うためにプライマリ RP を手動でリロードしている間、隣接ルータからパケットを転送し続けます。この機能をディセーブルにできません。

EIGRP NSF 対応

EIGRP NSF 対応のアクティブスイッチが再起動したとき、または新しいアクティブスイッチが起動して NSF が再起動したとき、このデバイスにはネイバーが存在せず、トポロジテーブルは空の状態です。デバイスは、デバイススタックに対するトラフィックを中断することなく、インターフェイスの起動、ネイバーの再取得、およびトポロジテーブルとルーティングテーブルの再構築を行う必要があります。EIGRP ピアルータは新しいアクティブスイッチから学習したルートを維持し、NSF の再起動処理の間トラフィックの転送を継続します。

ネイバーによる隣接リセットを防ぐために、新しいアクティブスイッチは EIGRP パケットヘッダーの新しい Restart(RS)ビットを使用して再起動を示します。これを受信したネイバーは、ピア リスト内のスタックと同期を取り、スタックとの隣接関係を維持します。続いてネイバーは、RS ビットがセットされているアクティブスイッチにトポロジテーブルを送信して、自身が NSF 認識デバイスであることおよび新しいアクティブスイッチを補助していることを示します。

スタックのピアネイバーの少なくとも 1 つが NSF 認識デバイスであれば、アクティブスイッチはアップデート情報を受信してデータベースを再構築します。各 NSF 認識ネイバーは、最後のアップデート パケットに End of Table(EOT)マーカーを付けて送信して、テーブル情報の最後であることを示します。アクティブスイッチは、EOT マーカーを受信したときにコンバージェンスを認識し、続いてアップデートの送信を始めます。アクティブスイッチがネイバーからすべての EOT マーカーを受信した場合、または NSF コンバージタイマーが期限切れになった場合、EIGRP は RIB にコンバージェンスを通知し、すべての NSF 認識ピアにトポロジテーブルをフラッディングします。

EIGRP スタブ ルーティング

EIGRP スタブルーティング機能は、ネットワークの安定性を高め、リソース利用率を抑え、スタブデバイス構成を簡素化します。

スタブルーティングは一般にハブアンドスポーク型のネットワークトポロジで使用されます。ハブアンドスポーク型ネットワークでは、1 つ以上のエンド(スタブ)ネットワークが 1 台のリモートデバイス(スポーク)に接続され、そのリモートデバイスは 1 つ以上のディストリビューション デバイス(ハブ)に接続されています。リモートデバイスは、1 つ以上のディストリビューション デバイスに隣接しています。IP トラフィックがリモートデバイスに到達するための唯一のルートは、ディストリビューション デバイスを経由するものです。このタイプの設定は、一般的に、ディストリビューション デバイスが WAN に直接接続されている WAN トポロジで使用されます。ディストリビューション デバイスは、多くの場合、多数のリモートデバイスに接続できます。ハブアンドスポーク型トポロジでは、リモートデバイスがすべての非ローカルトラフィックをディストリビューション デバイスに転送する必要があります。これにより、リモートデバイスが完全なルーティングテーブルを保有する必要はなくなります。一般に、ディストリビューション デバイスはデフォルトルート以外の情報をリモートデバイスに送信する必要はありません。

EIGRP スタブルーティング機能を使用する場合、EIGRP を使用するように、ディストリビューション デバイスおよびリモートデバイスを設定し、さらにリモートデバイスだけをスタブとして設定する必要があります。指定されたルートのみが、リモート(スタブ)デバイスから伝播されます。スタブデバイスは、サマリー、接続されているルート、再配布されたスタティックルート、外部ルート、および内部ルートに対するクエリーすべてに、応答として「inaccessible」というメッセージを返します。スタブとして設定されているデバイスは、特殊なピア情報パケットをすべての隣接デバイスに送信して、そのステータスをスタブデバイスとして報告します。

スタブステータスの情報を伝えるパケットを受信したネイバーはすべて、スタブデバイスにルートのクエリーを送信しなくなり、スタブピアを持つデバイスはそのピアのクエリーを送信しなくなります。スタブデバイスは、ディストリビューション デバイスを使用して適切なアップデートをすべてのピアに送信します。

次の図は、単純なハブアンドスポーク型ネットワークを示しています。

図 1. 単純なハブアンドスポーク型ネットワーク

ルートがリモートデバイスにアドバタイズされることを、スタブルーティング機能自体が回避することはありません。上の例では、リモートデバイスはディストリビューション デバイスを経由してのみ企業ネットワークおよびインターネットにアクセスできます。リモートデバイスが完全なルートテーブルを保有しても機能面での意味はありません。これは、企業ネットワークとインターネットへのパスは常にディストリビューション デバイスを経由するためです。ルートテーブルが大きくなると、リモートデバイスに必要なメモリ量が減るだけです。帯域幅とメモリは、ディストリビューション デバイスのルートを集約およびフィルタリングすることによって節約できます。リモートデバイスは、宛先に関係なく、ディストリビューション デバイスにすべての非ローカルトラフィックを送信する必要があるため、他のネットワークから学習されたルートを受け取る必要がありません。真のスタブネットワークが望ましい場合は、ディストリビューション デバイスがリモートデバイスにデフォルトルートだけを送信するように設定する必要があります。EIGRP スタブルーティング機能では、ディストリビューション デバイスでの集約を自動的に有効にしません。ほとんどの場合、ネットワーク管理者が、ディストリビューション デバイスにサマライズを設定する必要があります。


(注)  


ディストリビューション デバイスがリモートデバイスにデフォルトルートだけを送信するように設定する場合、リモートデバイスで ip classless コマンドを使用する必要があります。デフォルトでは、EIGRP スタブルーティング機能をサポートするシスコのすべてのイメージで ip classless コマンドが有効になっています。


EIGRP スタブルーティング機能がない場合、ディストリビューション デバイスからリモートデバイスに送信されたルートがフィルタリングまたは集約された後でも、問題が発生することがあります。企業ネットワーク内でルートが失われると、EIGRP はクエリーをディストリビューション デバイスに送信できます。ルートがサマライズされている場合でも、ディストリビューション デバイスが代わりにリモートデバイスにクエリーを送信します。ディストリビューション デバイスとリモートデバイスの間の通信(WAN リンクを介した)に問題がある場合、EIGRP Stuck In Active(SIA)状態が発生し、ネットワークのどこかで不安定になる可能性があります。EIGRP スタブルーティング機能を使用することにより、ネットワーク管理者はリモートデバイスへクエリーが送信されないようにできます。

EIGRPv6 スタブ ルーティング

EIGRPv6 スタブ ルーティング機能は、エンド ユーザーの近くにルーテッド トラフィックを移動することでリソースの利用率を低減させます。

EIGRPv6 スタブ ルーティングを使用するネットワークでは、ユーザーに対する IPv6 トラフィックの唯一の許容ルートは、EIGRPv6 スタブ ルーティングを設定しているスイッチ経由のみです。スイッチは、ユーザー インターフェイスとして設定されているインターフェイスまたは他のデバイスに接続されているインターフェイスにルーテッド トラフィックを送信します。

EIGRPv6 スタブ ルーティングを使用しているときは、EIGRPv6 を使用してスイッチだけをスタブとして設定するように、ディストリビューションルータおよびリモート ルータを設定する必要があります。指定したルートだけがスイッチから伝播されます。スイッチは、サマリー、接続ルート、およびルーティング アップデートに対するすべてのクエリーに応答します。

スタブ ルータの状態を通知するパケットを受信した隣接ルータは、ルートについてはスタブ ルータに照会しません。また、スタブ ピアを持つルータは、そのピアについては照会しません。スタブ ルータは、ディストリビューション ルータを使用して適切なアップデートをすべてのピアに送信します。

次の図では、スイッチ B は EIGRPv6 スタブ ルータとして設定されています。スイッチ A および C は残りの WAN に接続されています。スイッチ B は、接続ルート、スタティック ルート、再配布ルート、およびサマリー ルートをスイッチ A と C にアドバタイズします。 スイッチ B は、スイッチ A から学習したルートをアドバタイズしません(逆の場合も同様です)。

図 2. EIGRP スタブ ルータ設定

EIGRPv6 スタブ ルーティングの詳細については、『Cisco IOS IP Configuration Guide, Volume 2 of 3: Routing Protocols, Release 12.4』の「Implementing EIGRP for IPv6」を参照してください。

EIGRP の設定方法

EIGRP ルーティング プロセスを作成するには、EIGRP をイネーブルにし、ネットワークを関連付ける必要があります。EIGRP は指定されたネットワーク内のインターフェイスにアップデートを送信します。インターフェイス ネットワークを指定しないと、どの EIGRP アップデートでもアドバタイズされません。


(注)  


ネットワーク上に IGRP 用に設定されているルータがあり、この設定を EIGRP に変更する場合は、IGRP と EIGRP の両方が設定された移行ルータを指定する必要があります。この場合は、この次の項に記載されているステップ 1 ~ 3 を実行し、さらに「スプリット ホライゾンの設定」も参照してください。ルートを自動的に再配信するには、同じ AS 番号を使用する必要があります。


EIGRP のデフォルト設定

表 1. EIGRP のデフォルト設定

機能

デフォルト設定

自動サマリー

ディセーブル。

デフォルト情報

再配信中は外部ルートが許可され、EIGRP プロセス間でデフォルト情報が渡されます。

デフォルト メトリック

デフォルト メトリックなしで再配信できるのは、接続されたルートおよびインターフェイスのスタティック ルートだけです。デフォルト メトリックは次のとおりです。

  • 帯域幅:0 以上の kb/s

  • 遅延(10 マイクロ秒):0 または 39.1 ナノ秒の倍数である任意の正の数値

  • 信頼性:0 ~ 255 の任意の数値(255 の場合は信頼性が 100%)

  • 負荷:0 ~ 255 の数値で表される有効帯域幅(255 の場合は 100% の負荷)

  • MTU:バイトで表されたルートの MTU サイズ(0 または任意の正の整数)

ディスタンス

内部距離:90

外部距離:170

EIGRP の隣接関係変更ログ

ディセーブル。隣接関係の変更はロギングされません。

IP 認証キーチェーン

認証なし

IP 認証モード

認証なし

IP 帯域幅比率

50%

IP hello 間隔

低速非ブロードキャスト マルチアクセス(NBMA)ネットワークの場合:60 秒、それ以外のネットワークの場合:5 秒

IP ホールドタイム

低速 NBMA ネットワークの場合:180 秒、それ以外のネットワークの場合:15 秒

IP スプリットホライズン

イネーブル。

IP サマリー アドレス

サマリー集約アドレスは未定義

メトリック重み

tos:0、k1 および k3:1、k2、k4、および k5:0

ネットワーク

指定なし

ノンストップ フォワーディング(NSF)認識

レイヤ 3 スイッチでは、ハードウェアやソフトウェアの変更中に、隣接する NSF 対応ルータからのパケットを転送し続けることができます。

NSF 対応

ディセーブル。

(注)  

 

デバイスは EIGRP NSF 対応ルーティングを IPv4 に対してサポートします。

オフセットリスト

ディセーブル。

ルータ EIGRP

ディセーブル。

メトリック設定

ルート マップにはメトリック設定なし

トラフィック共有

メトリックの比率に応じて配分

バリアンス

1(等コスト ロード バランシング)

基本的な EIGRP パラメータの設定

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

enable

例:


Device>enable

特権 EXEC モードを有効にします。

  • パスワードを入力します(要求された場合)。

ステップ 2

configure terminal

例:


Device#configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

router eigrp autonomous-system

例:


Device(config)#router eigrp 10

EIGRP ルーティング プロセスをイネーブルにし、ルータ コンフィギュレーション モードを開始します。AS 番号によって他の EIGRP ルータへのルートを特定し、ルーティング情報をタグ付けします。

ステップ 4

nsf

例:


Device(config-router)#nsf

(任意)EIGRP NSF をイネーブルにします。アクティブスイッチとそのすべてのピアでこのコマンドを入力します。

ステップ 5

network network-number

例:


Device(config-router)#network 192.168.0.0

ネットワークを EIGRP ルーティング プロセスに関連付けます。EIGRP は指定されたネットワーク内のインターフェイスにアップデートを送信します。

ステップ 6

eigrp log-neighbor-changes

例:


Device(config-router)#eigrp log-neighbor-changes

(任意)EIGRP 隣接関係変更のロギングをイネーブルにし、ルーティング システムの安定性をモニターします。

ステップ 7

metric weights tos k1 k2 k3 k4 k5

例:


Device(config-router)#metric weights 0 2 0 2 0 0

(任意)EIGRP メトリックを調整します。デフォルト値はほとんどのネットワークで適切に動作するよう入念に設定されていますが、調整することも可能です。

注意    

 

メトリックを設定する作業は複雑です。熟練したネットワーク設計者の指導がない場合は、行わないでください。

ステップ 8

offset-list [access-list number | name] {in | out} offset [type number]

例:


Device(config-router)#offset-list 21 out 10

(任意)オフセット リストをルーティング メトリックに適用し、EIGRP によって取得したルートへの着信および発信メトリックを増加します。アクセス リストまたはインターフェイスを使用し、オフセット リストを制限できます。

ステップ 9

auto-summary

例:


Device(config-router)#auto-summary

(任意)ネットワークレベル ルートへのサブネット ルートの自動サマライズをイネーブルにします。

ステップ 10

interfaceinterface-id

例:


Device(config-router)#interface gigabitethernet 1/0/1

インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始し、設定するレイヤ 3 インターフェイスを指定します。

ステップ 11

ip summary-address eigrp autonomous-system-number address mask

例:


Device(config-if)#ip summary-address eigrp 1 192.168.0.0 255.255.0.0

(任意)サマリー集約を設定します。

ステップ 12

end

例:


Device(config-if)#end

特権 EXEC モードに戻ります。

ステップ 13

show ip protocols

例:


Device#show ip protocols

入力を確認します。

NSF 認識の場合、出力に次のように表示されます。

*** IP Routing is NSF aware *** EIGRP NSF enabled

ステップ 14

copy running-config startup-config

例:


Device#copy running-config startup-config 

(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。

EIGRP インターフェイスの設定

インターフェイスごとに、他の EIGRP パラメータを任意で設定できます。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

enable

例:


Device>enable

特権 EXEC モードを有効にします。

  • パスワードを入力します(要求された場合)。

ステップ 2

configure terminal

例:


Device#configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

interfaceinterface-id

例:


Device(config)#interface gigabitethernet 1/0/1

インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始し、設定するレイヤ 3 インターフェイスを指定します。

ステップ 4

ip bandwidth-percent eigrp percent

例:


Device(config-if)#ip bandwidth-percent eigrp 60

(任意)インターフェイスで EIGRP が使用できる帯域幅の割合を設定します。デフォルト値は 50% です。

ステップ 5

ip summary-address eigrp autonomous-system-number address mask

例:


Device(config-if)#ip summary-address eigrp 109 192.161.0.0 255.255.0.0

(任意)指定されたインターフェイスのサマリー集約アドレスを設定します(auto-summary がイネーブルの場合は、通常設定する必要はありません)。

ステップ 6

ip hello-interval eigrp autonomous-system-number seconds

例:


Device(config-if)#ip hello-interval eigrp 109 10

(任意)EIGRP ルーティング プロセスの hello 時間間隔を変更します。指定できる範囲は 1 ~ 65535 秒です。低速 NBMA ネットワークの場合のデフォルト値は 60 秒、その他のすべてのネットワークでは 5 秒です。

ステップ 7

ip hold-time eigrp autonomous-system-number seconds

例:


Device(config-if)#ip hold-time eigrp 109 40

(任意)EIGRP ルーティング プロセスのホールド時間間隔を変更します。指定できる範囲は 1 ~ 65535 秒です。低速 NBMA ネットワークの場合のデフォルト値は 180 秒、その他のすべてのネットワークでは 15 秒です。

注意    

 

ホールド タイムを調整する前に、シスコのテクニカルサポートにお問い合わせください。

ステップ 8

no ip split-horizon eigrp autonomous-system-number

例:


Device(config-if)#no ip split-horizon eigrp 109

(任意)スプリット ホライズンをディセーブルにし、ルート情報が情報元インターフェイスからルータによってアドバタイズされるようにします。

ステップ 9

end

例:


Device(config)#end

特権 EXEC モードに戻ります。

ステップ 10

show ip eigrp interface

例:


Device#show ip eigrp interface

EIGRP がアクティブであるインターフェイス、およびそれらのインターフェイスに関連する EIGRP の情報を表示します。

ステップ 11

copy running-config startup-config

例:


Device#copy running-config startup-config 

(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。

IPv6 の EIGRP の設定

IPv6 EIGRP を実行するようにスイッチを設定する前に、 ip routing global configuration グローバル コンフィギュレーション コマンドを入力してルーティングを有効にし、ipv6 unicast-routing global グローバル コンフィギュレーション コマンドを入力して IPv6 パケットの転送を有効にし、IPv6 EIGRP を有効にするレイヤ 3 インターフェイス上で IPv6 を有効にします。

明示的なルータ ID を設定するには、show ipv6 eigrp コマンドを使用して設定済みのルータ ID を確認してから、router-id コマンドを使用します。

EIGRP IPv4 の場合と同様に、EIGRPv6 を使用して EIGRP IPv6 インターフェイスを指定し、これらのサブセットを受動インターフェイスとして選択できます。passive-interface コマンドを使用してインターフェイスをパッシブに設定してから、選択したインターフェイスで no passive-interface コマンドを使用してこれらのインターフェイスをアクティブにします。受動インターフェイスでは、EIGRP IPv6 を設定する必要がありません。

設定手順の詳細については、Cisco.com で『Cisco IOS IPv6 Configuration Library』の「Implementing EIGRP for IPv6」の章を参照してください。

EIGRP ルート認証の設定

EIGRP ルート認証を行うと、EIGRP ルーティング プロトコルからのルーティング アップデートに関する MD5 認証が可能になり、承認されていない送信元から無許可または問題のあるルーティング メッセージを受け取ることがなくなります。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

enable

例:


Device>enable

特権 EXEC モードを有効にします。

  • パスワードを入力します(要求された場合)。

ステップ 2

configure terminal

例:


Device#configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

interface interface-id

例:


Device(config)#interface gigabitethernet 1/0/1

インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始し、設定するレイヤ 3 インターフェイスを指定します。

ステップ 4

ip authentication mode eigrp autonomous-systemmd5

例:


Device(config-if)#ip authentication mode eigrp 104 md5

IP EIGRP パケットの MD5 認証をイネーブルにします。

ステップ 5

ip authentication key-chain eigrp autonomous-system key-chain

例:


Device(config-if)#ip authentication key-chain eigrp 105 chain1

IP EIGRP パケットの認証をイネーブルにします。

ステップ 6

exit

例:


Device(config-if)#exit

グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。

ステップ 7

key chain name-of-chain

例:


Device(config)#key chain chain1

キー チェーンを識別し、キーチェーン コンフィギュレーション モードを開始します。ステップ 4 で設定した名前を指定します。

ステップ 8

key number

例:


Device(config-keychain)#key 1

キーチェーン コンフィギュレーション モードで、キー番号を識別します。

ステップ 9

key-string text

例:


Device(config-keychain-key)#key-string key1

キーチェーン コンフィギュレーション モードで、キー ストリングを識別します。

ステップ 10

accept-lifetime start-time {infinite | end-time | duration seconds}

例:


Device(config-keychain-key)#accept-lifetime 13:30:00 Jan 25 2011 duration 7200

(任意)キーを受信できる期間を指定します。

start-time および end-time 構文には、hh:mm:ss Month date year または hh:mm:ss date Month year のいずれかを使用できます。デフォルトは、デフォルトの start-time 以降、無制限です。指定できる最初の日付は 1993 年 1 月 1 日です。デフォルトの end-time および duration infinite です。

ステップ 11

send-lifetime start-time {infinite | end-time | duration seconds}

例:


Device(config-keychain-key)#send-lifetime 14:00:00 Jan 25 2011 duration 3600

(任意)キーを送信できる期間を指定します。

start-time および end-time 構文には、hh:mm:ss Month date year または hh:mm:ss date Month year のいずれかを使用できます。デフォルトは、デフォルトの start-time 以降、無制限です。指定できる最初の日付は 1993 年 1 月 1 日です。デフォルトの end-time および duration infinite です。

ステップ 12

end

例:


Device(config)#end

特権 EXEC モードに戻ります。

ステップ 13

show key chain

例:


Device#show key chain

認証キーの情報を表示します。

ステップ 14

copy running-config startup-config

例:


Device#copy running-config startup-config 

(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。

EIGRP のモニタリングおよびメンテナンス

ネイバー テーブルからネイバーを削除できます。さらに、各種 EIGRP ルーティング統計情報を表示することもできます。下の図に、ネイバーを削除し、統計情報を表示する特権 EXEC コマンドを示します。

表 2. IP EIGRP の clear および show コマンド

コマンド

目的

clear ip eigrp neighbors [if-address | interface]

ネイバー テーブルからネイバーを削除します。

show ip eigrp interface [interface] [as number]

EIGRP に設定されているインターフェイスに関する情報を表示します。

show ip eigrp neighbors [type-number]

EIGRP によって検出されたネイバーを表示します。

show ip eigrp topology [autonomous-system-number]  | [[ip-address] mask]]

指定されたプロセスの EIGRP トポロジ テーブルを表示します。

show ip eigrp traffic [autonomous-system-number]

すべてまたは指定された EIGRP プロセスの送受信パケット数を表示します。

EIGRP の機能情報

次の表に、このモジュールで説明した機能に関するリリース情報を示します。この表は、ソフトウェア リリース トレインで各機能のサポートが導入されたときのソフトウェアリリースだけを示しています。その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連のソフトウェアリリースでもサポートされます。

表 3. EIGRP 機能の機能情報

リリース

機能情報

Cisco IOS XE Fuji 16.9.2

この機能が導入されました。