概要
ディザスタリカバリは、ネットワークのダウンタイムに対する保護策として追加の冗長性レイヤを提供する Cisco DNA Center の高可用性(HA)に基づいて構築されます。HA では、クラスタノードに障害が発生したときに、運用を接続されたクラスタノードに切り替えることで対処します。ディザスタリカバリでは、クラスタに障害が発生したときに、ネットワーク管理作業を接続されたクラスタ(転送先サイト)に移すことで対処します。
Cisco DNA Centerのディザスタリカバリの実装は、メインサイト、リカバリサイト、および監視サイトの 3 つのコンポーネントで構成されます。メインサイトとリカバリサイトは、常にアクティブまたはスタンバイのいずれかの役割を担います。アクティブサイトでネットワークが管理され、アクティブサイトで更新されたデータおよびマネージドサービスの最新のコピーがスタンバイサイトで維持されます。アクティブサイトがダウンすると、Cisco DNA Center で自動的にフェールオーバーが開始され、スタンバイサイトを新しいアクティブサイトにするための必要なタスクが実行されます。
実稼働環境でディザスタリカバリを設定して使用する方法については、この章のトピックを参照してください。
主な用語
次に、Cisco DNA Center のディザスタリカバリの実装について理解する上で重要な用語を示します。
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メインサイト:ディザスタリカバリシステムを設定するときに設定する 1 つ目のサイト。デフォルトでは、ネットワークを管理するアクティブサイトとして動作します。システムでサイトを設定する方法については、ディザスタリカバリの設定を参照してください。
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リカバリサイト:ディザスタリカバリシステムを設定するときに設定する 2 つ目のサイト。デフォルトでは、システムのスタンバイサイトとして機能します。
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監視サイト:ディザスタリカバリシステムを設定するときに設定する 3 つ目のサイト。このサイトは、仮想マシンまたは別のサーバにあり、データやマネージドサービスの複製には関与しません。このサイトには、現在アクティブなサイトにディザスタリカバリタスクを実行するために必要なクォーラムを割り当てる役割があります。これにより、サイトで障害が発生した場合のスプリットブレーン状況を回避できます。この状況は、2 メンバのシステムでサイトが相互に通信できない場合に発生する可能性があります。その場合、両方のサイトがそれぞれアクティブになろうとし、アクティブサイトが 2 つになります。Cisco DNA Center では、アクティブサイトが常に 1 つだけになるように、監視サイトを使用してアクティブサイトとスタンバイサイトを調停します。監視サイトの要件については、前提条件を参照してください。
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登録:ディザスタリカバリシステムにサイトを追加するには、最初にメインサイトの VIP などの情報を提供してシステムに登録する必要があります。リカバリサイトまたは監視サイトを登録する際は、メインサイトの登録時に生成されるトークンも提供する必要があります。詳細については、ディザスタリカバリの設定を参照してください。
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アクティブ設定:サイトをアクティブサイトとして確立するプロセス。該当するマネージドサービスのポートの公開などのタスクが含まれます。
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アクティブサイト:現在ネットワークを管理しているサイト。このサイトのデータは Cisco DNA Center によってスタンバイサイトに継続的に複製されます。
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スタンバイ設定:サイトをスタンバイサイトとして確立するプロセス。アクティブサイトのデータの複製の設定やスタンバイサイトのネットワークを管理するサービスの無効化などのタスクが含まれます。
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スタンバイ準備完了:分離されたサイトがスタンバイサイトになるための前提条件を満たすと、Cisco DNA Center によってこの状態に移行されます。このサイトをシステムのスタンバイサイトとして確立するには、[Action] 領域で [Rejoin] をクリックします。
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スタンバイサイト:アクティブサイトのデータおよびマネージドサービスの最新のコピーを保持するサイト。アクティブサイトがダウンすると、フェールオーバーが開始され、スタンバイサイトにアクティブサイトの役割が引き継がれます。
(注)
フェールオーバー後はアシュアランスが再起動され、新しいアクティブサイトで新規のデータセットが処理されます。アシュアランスデータの履歴は前のアクティブサイトから移行されません。
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フェールオーバー:Cisco DNA Center では 2 種類のフェールオーバーがサポートされます。
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システムトリガー:アクティブサイトがダウンしたことがわかった時点で、スタンバイサイトを新しいアクティブサイトとして確立するための必要なタスクが Cisco DNA Center で自動的に実行されます。これらのタスクは、イベントタイムラインでモニタできます。
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手動:手動でフェールオーバーを開始して現在のスタンバイサイトを新しいアクティブサイトとして指定できます。詳細については、手動フェールオーバーの開始を参照してください。
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分離:フェールオーバーの際に前のアクティブサイトがディザスタリカバリシステムから切り離されます。Cisco DNA Center のサービスが一時停止され、仮想 IP アドレス(VIP)のアドバタイズが停止します。その状態で、スタンバイサイトを新しいアクティブサイトとして確立するための必要なタスクが Cisco DNA Center で実行されます。
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一時停止:システムを構成するサイトを切り離してデータとサービスの複製を停止するために、一時的にディザスタリカバリシステムを停止します。詳細については、ディザスタリカバリシステムの一時停止を参照してください。
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再参加:フェールオーバーの発生後にスタンバイ準備完了または一時停止状態のサイトをディザスタリカバリシステムに新しいスタンバイサイトとして追加するには、
タブの [Action] 領域で [Rejoin] ボタンをクリックします。また、現在一時停止しているディザスタリカバリシステムを再起動する場合もこのボタンをクリックします。 -
DR のアクティブ化:システムのアクティブサイトとスタンバイサイトを作成するユーザ始動型の操作。この操作では、クラスタ内通信を設定し、サイトがディザスタリカバリの前提条件を満たしていることを確認し、2 つのサイト間でデータを複製します。
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登録解除:ディザスタリカバリシステム用に設定した 3 つのサイトを削除するには、[Action] 領域で [Deregister] ボタンをクリックします。前に入力したサイト設定を変更するには、この操作を実行する必要があります。
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再試行:前に失敗したアクションを再度実行するには、[Action] 領域で [Retry] ボタンをクリックします。
ディザスタリカバリの GUI のナビゲーション
次の表に、Cisco DNA Center のディザスタリカバリの GUI を構成するコンポーネントとその機能を示します。
引き出し線 |
説明 |
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1 |
[Monitoring] タブ:次の操作を実行する場合にクリックします。
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2 |
[Logical Topology]:サイトとそのメンバの現在のステータスを示すシステムのトポロジが表示されます。サイトの状態については、システムおよびサイトの状態を参照してください。 |
3 |
[Event Timeline]:システムのディザスタリカバリタスクについて、現在進行中のタスクと完了したタスクがすべて表示されます。詳細については、イベントタイムラインのモニタリングを参照してください。 |
4 |
[Configure] タブ:ディザスタリカバリシステムのサイト間の接続を確立するために必要な設定を入力する場合にクリックします。詳細については、ディザスタリカバリの設定を参照してください。 |
5 |
[Status] 領域:システムの現在のステータスを示します。システムの状態については、システムおよびサイトの状態を参照してください。 |
6 |
[Legend]:トポロジのアイコンの意味を示します。凡例を表示するには、[Disaster Recovery] ページの右下隅にある をクリックします。 |
7 |
[Action] 領域:現在開始できるディザスタリカバリタスクが表示されます。選択できるタスクは、サイトの設定が完了しているかどうかやシステムのステータスによって異なります。 |