イノベーションの転換期の渦中で… IPネットワーキング新時代の幕開け

INDEX

  1. 大きな期待
  2. 変化の予感
  3. IP ネットワーキングの新時代
  4. ルータの強化
  5. 中断を最小限に減らす
  6. MPLS の成熟
  7. ソフトウェアの強化
  8. さらに前進

MPLS の成熟

IP がシンプルなコネクションレスプロトコルとして作られたとすれば、MPLS はパスを事前に決め、プライオリティ QoS を MPLS ラベルに付与することによって、決定的なパフォーマンスと振る舞いの類似性を IP に与えることができる。パフォーマンスまたはその他の管理標準に基づいて、ネットワークを通るパスを事前に選択する MPLS トラフィックエンジニアリングは、もうひとつの MPLS のアプリケーションである。

歴史を振り返ると、ビジョンは標準プロセスと相互運用性試験といった現実に向き合うことで、インプリメンテーションが遅れてしまうことがしばしば起こりうる。同様に、業界が長年にわたって MPLS を大きく発展させてきた事実がある反面、MPLS を全面的に活用するのに必要な鍵となるスタンダードが具体化したことで、ようやくコントロールプレーンのプロトコルを大規模に導入する準備が整ってきたのは極めて最近のことなのである。

ここには、MPLS を通じたレイヤ2 のトンネリングおよびインターワーキングに関する IETF (Internet Engineering Task Force) スタンダードが含まれている。これは、長年にわたってキャリアに相応の収益をもたらしてきた旧来型のレイヤ2 加入者サービス、すなわちフレームリレーや ATM が、今では IP/MPLS バックボーンでさらに新しい IP サービスとも協調的に融合できることを意味している。同じ、あるいは異なる種類のエンドポイント間 (たとえば IP/MPLS バックボーンを経由して、フレームリレーからフレームリレーへ、またはフレームリレーからイーサネットへなど) でのトンネリングを含むこのような機能のためのスタンダードが用意されたのである。

IP/MPLS 統合型ネットワークにおけるサービスのプロビジョニングや管理をさらに簡単にするために、ようやく MPLS ベースの IP ネットワーク上で Operations、Administration、Maintenance (OAM : 運用管理と保守) 機能が使えるようになった。MPLS 管理ツールは、たとえば MPLS ベースの IP VPN サービスなど、サービスプロバイダが加入者のインタフェースに縛られずにサービスレベルを保証する一方で、統合型ネットワーク環境で MPLS を通ってトンネリングする伝統的なレイヤ2 のサービスに対する SLA をも満たすことができるのである。

次ページへ