イノベーションの転換期の渦中で… IPネットワーキング新時代の幕開け

INDEX

  1. 大きな期待
  2. 変化の予感
  3. IP ネットワーキングの新時代
  4. ルータの強化
  5. 中断を最小限に減らす
  6. MPLS の成熟
  7. ソフトウェアの強化
  8. さらに前進

変化の予感

今、この業界で変化の機が熟しているのはなぜなのか?

サービスプロバイダの第一の願いは、IP ネットワークでもっと大きな収益を上げたいということである。それを実現する 1つの方法は、さらに料金収入を拡大してくれるような新サービスの提供である。現時点における市場は、ベストエフォート型のデータネットワーキングサービスに対する料金を急速に下落させているからだ。伝統的なベストエフォート型サービスと“プレミア (premium) ”サービス (帯域、遅延、ジッタ、およびパケット損失を厳密に保証するサービス) をネットワーク上で組み合わせるには、その基礎として 99.999% (“ファイブナイン [five nines] ”) あるいはそれ以上の可用性や、無停止でのシステム拡張、高度な高速パケットプロセッサを使ってきめ細かなトラフィックの分類やキューイングができる能力を持ったルータアーキテクチャが必要なのである。

新しい Cisco CRS-1 キャリアルーティングシステムは、インタフェース、プロセッサ、およびシステム容量を中断せずに拡張できる大規模分散型の“service-aware”アーキテクチャによって、それらの能力を全て提供することができる。つまり、リソースの完全なパーティショニングをサポートし、ワイヤスピードでディープパケットインスペクション (deep-packet inspection) を可能にするパケットフォワーディングメカニズムを提供。その結果、インタフェースごとに数千のキューでトラフィックが処理できる可能性を拓くのである。

「これは、シスコにとっても非常に大きな差別化要因となります」とマサチューセッツ州ボストンを本拠とするネットワークキング調査会社ヤンキー・グループの通信ネットワーク・インフラストラクチャ・グループのプログラム・マネージャーであるマーク・ビーバリッチ (Mark Bieberich) は言う。

「CRS-1 は、パーティショニングの能力を利用し、特定のサービスまたはネットワーク機能に対して QoS やトラフィック管理を適用することができるのです。すでに多くのサービスプロバイダがミッションクリティカルなフレームリレー、ATM、および専用線のトラフィックを IP/MPLS ネットワークへと移行し始めました。さらにこの趨勢の中で、IP/MPLS ネットワークはこれらのサービスに対する SLA (Service Level Agreement) に適合していなければいけないものとなっていくのです」

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