次の Cisco サービス統合型ルータ(ISR)MTP は、メディア IP アドレス バージョンが一致しないデバイスの IPv4 と IPv6 のメディア変換をサポートしています。
Cisco IOS リリース IOS XE Everest 16.6.1 以降でこれらの MTP がサポートされます。
IPv4 と IPv6 のアドレス変換
2 つのデバイスでサポートされている IP アドレッシング バージョンが一致しない場合、Unified CM は音声メディア ストリームを IPv4 から IPv6(または IPv6 から IPv4)に変換する MTP リソースを動的に挿入します。動的に挿入された
MTP はパススルー コーデックをサポートするため、音声コールだけでなく、ビデオ コールおよび暗号化されたコールにも対応できます。パススルー コーデックは、動的に挿入されたすべての MTP で設定する必要があります。パススルー コーデックの使用を有効にするには、標準コーデックとパススルー
コーデックの両方で MTP を設定します。
静的に割り当てられた MTP を Unified CM トランクに設定することもできます([MTPが必要(MTP required)] チェックボックスをオンにする)。トランクの静的に定義された MTP はパススルー コーデックをサポートせず、単一の設定済みコーデック(G.711 または G.729)のみをサポートします。このため、G.711 または G.729 音声コール、および
T.38 FAX コールのみにこのトランクを使用するすべてのコールが制限されます。静的に割り当てられたこの MTP は、音声メディア ストリームを IPv4 から IPv6(または IPv6 から IPv4)に変換することもできます。
動的または静的にコール パスに挿入されるように、Cisco IOS MTP を各デバイス(電話またはトランク)のメディア リソース グループ(MRG)に関連付ける必要があります。
次の Cisco IOS 設定は、ソフトウェア MTP の例です。sccp local GigabitEthernet0/0 コマンドは、SCCP シグナリングとメディア アドレスの両方を対象に、このインターフェイスの IPv4 および IPv6 アドレスを MTP に関連付けます。
interface GigabitEthernet0/0
ip address 192.168.1.5 255.255.255.0
! MTP's IPv4 address
ipv6 address 2001:0db8:101:1:1::5/64
! MTP's IPv6 address
!
sccp local GigabitEthernet0/0
sccp ccm 192.168.0.15 identifier 1 version 7.0
! Unified CM's IPv4 address
sccp ccm 2001: 0db8:101:1::15 identifier 2 version 7.0
! Unified CM's IPv6 address
sccp
!
sccp ccm group 1
associate ccm 1 priority 1
associate ccm 2 priority 2
associate profile 1 register MTP-1
!
dspfarm profile 1 mtp
codec g711ulaw
codec pass-through
maximum sessions software 100
associate application SCCP
!
次の図では、MTP が 2 つのデバイス間に挿入され、IPv4 を IPv6(または IPv6 を IPv4)に変換しています。ただし、両方のデバイスのメディア リソース グループに利用可能な MTP リソースが含まれている可能性があるため、Unified
CM は使用する MTP を決める必要があります。Unified CM は、[メディア用のIPアドレッシングモード設定(IP Addressing Mode Preference for Media)] のクラスタ全体の設定を使用して、IPv4
と IPv6 の変換に使用する MTP を決定します。
クラスタ全体の [メディア用のIPアドレッシングモード設定(IP Addressing Mode Preference for Media)] を [IPv6] に設定すると、Unified CM は IPv4 デバイスに関連付けられている MTP
を選択します。
逆に、クラスタ全体の [メディア用のIPアドレッシングモード設定(IP Addressing Mode Preference for Media)] を [IPv4] に設定すると、Unified CM は IPv6 デバイスに関連付けられている
MTP を選択します。
アドレッシング モードがクラスタ全体の [メディア用のIPアドレッシングモード設定(IP Addressing Mode Preference for Media)] と一致しないデバイスを選択することで、Unified CM は、クラスタ内の
2 つのデバイス間の最長コール レッグに一致するクラスタ全体のメディア設定値を選択します。
(注) |
優先されるデバイスの MTP を使用できない場合は、最後の手段として他のデバイスの MTP が使用されます。MTP を利用できない場合、コールは失敗します。
|
トランスコーダ DSP リソースをハードウェア MTP として使用することもできます。トランスコーディング リソースとソフトウェア MTP の両方が同じメディア リソース グループに存在する場合、Unified CM はこれらのメディア リソースをラウンドロビン方式で使用して
IPv4 と IPv6 を変換します。トランスコーディングのみを目的にトランスコーディング DSP を優先順位付けするには、ソフトウェア MTP とハードウェア MTP を別のメディア リソース グループ(MRG)に配置し、メディア リソース
グループ リスト(MRGL)のトランスコーダ MRG よりもこの MRG が優先される(上位になる)ようにします。
必要な MTP の数は、IPv4 から IPv6 へのメディア ヘッダー アドレッシング カンバセーションが必要なトラフィックに基づきます。最悪の場合、必要な MTP の数は稼働中の IPv6 専用デバイスと同数です。MTP は IPv4 専用電話が展開されているサイトに配置する必要があります。IPv6
専用サイトの場合、MTP はサーバが展開されている場所(たとえばデータセンター)に配置する必要があります。MTP は IPv4 および IPv6 アドレスが使用可能な場所に配置する必要があります。IPv6 専用デバイスへの迅速な移行によって MTP
をネットワークから段階的に排除することが推奨されます。