レイヤ 2 traceroute ユーティリティの概要
レイヤ 2 traceroute ユーティリティは、送信元装置から宛先装置までパケットが通過するレイヤ 2 パスを識別します。レイヤ 2 traceroute は、ユニキャストの送信元および宛先 Media Access Control(MAC; メディア アクセス制御)アドレスだけをサポートします。このユーティリティは、パス上の各スイッチの持つ MAC アドレス テーブルを使用して、パスを特定します。レイヤ 2 traceroute ユーティリティは、レイヤ 2 traceroute をサポートしない装置をパス上で検出すると、レイヤ 2 トレース クエリーを送信し続け、これらのクエリーをタイムアウトにします。
レイヤ 2 traceroute ユーティリティが識別できるのは、送信元装置から宛先装置までのパスだけです。パケットが送信元ホストから送信元装置に到達するパスや、宛先装置から宛先ホストへのパスは識別できません。
使用上の注意事項
レイヤ 2 traceroute ユーティリティを使用する際は、次の注意事項に従ってください。
• ネットワーク内のすべての装置で、Cisco Discovery Protocol(CDP)をイネーブルにする必要があります。CDP をディセーブルにすると、レイヤ 2 traceroute ユーティリティが正しく動作しません。レイヤ 2 パス内のいずれかの装置が CDP に対してトランスペアレントであると、レイヤ 2 traceroute ユーティリティはパス上でこの装置を識別できません。
(注) CDP の詳細については、第 44 章「CDP の設定」 を参照してください。
• ping 特権 EXEC コマンドを使用して接続をテストできれば、このスイッチは別のスイッチから到達可能であると定義できます。レイヤ 2 パス内のすべての装置は、互いに到達可能である必要があります。
• パス内で識別可能な最大ホップ数は 10 です。
• traceroute mac または traceroute mac ip 特権 EXEC コマンドは、送信元装置から宛先装置までのレイヤ 2 パス上にないスイッチで実行できます。パス内のすべての装置は、このスイッチから到達可能である必要があります。
• traceroute mac コマンドの出力結果としてレイヤ 2 パスが表示されるのは、指定の送信元および宛先 MAC アドレスが、同一の VLAN に属している場合だけです。指定した送信元および宛先 MAC アドレスが、それぞれ異なる VLAN に属している場合は、レイヤ 2 パスは識別されず、エラー メッセージが表示されます。
• マルチキャストの送信元または宛先 MAC アドレスを指定すると、パスは識別されず、エラー メッセージが表示されます。
• 送信元または宛先 MAC アドレスが複数の VLAN に属する場合は、送信元および宛先 MAC アドレスの両方が属している VLAN を指定する必要があります。VLAN を指定しないと、パスは識別されず、エラー メッセージが表示されます。
• traceroute mac ip コマンドの出力結果にレイヤ 2 パスが表示されるのは、指定の送信元および宛先 IP アドレスが同一のサブネットに属している場合です。IP アドレスを指定すると、レイヤ 2 traceroute ユーティリティは Address Resolution Protocol(ARP; アドレス解決プロトコル)を使用して、IP アドレスと、これに対応する MAC アドレスおよび VLAN ID を関連付けます。
– 指定の IP アドレスに対する ARP エントリが存在する場合は、レイヤ 2 traceroute ユーティリティはこれに関連付けられた MAC アドレスを使用して、レイヤ 2 パスを識別します。
– ARP エントリが存在しない場合は、レイヤ 2 traceroute ユーティリティは ARP クエリーを送信し、この IP アドレスの解決を試みます。IP アドレスが解決されない場合は、パスは識別されず、エラー メッセージが表示されます。
• 複数の装置がハブを介して 1 つのポートに接続されている場合は(1つのポート上で複数の CDP ネイバーが検出された場合など)、レイヤ 2 traceroute ユーティリティはこのホップで終了し、エラー メッセージが表示されます。
• レイヤ 2 traceroute ユーティリティは、トークン リング VLAN ではサポートされません。
レイヤ 2 traceroute ユーティリティの使用
パケットが通過した送信元装置から宛先装置までのレイヤ 2 パスを表示するには、特権 EXEC モードで、次のいずれかの作業を行います。
|
|
Router#
traceroute mac [
interface
type interface_number ]
source_mac_address [
interface
type interface_number ]
destination_mac_address [
vlan
vlan_id ] [
detail ]
|
MAC アドレスを使用して、パケットがネットワーク上で通過したパスを追跡します。 |
Router#
traceroute mac ip {
source_ip_address |
source_hostname } {
destination_ip_address |
destination_hostname } [
detail ]
|
IP アドレスを使用して、パケットがネットワーク上で通過したパスを追跡します。 |
次の例は、traceroute mac および traceroute mac ip コマンドを使用して、パケットが宛先に到達するまでに通過したネットワーク上の物理パスを表示します。
Router# traceroute mac 0000.0201.0601 0000.0201.0201
Source 0000.0201.0601 found on con6[WS-C2950G-24-EI] (2.2.6.6)
con6 (2.2.6.6) :Fa0/1 => Fa0/3
con5 (2.2.5.5 ) : Fa0/3 => Gi0/1
con1 (2.2.1.1 ) : Gi0/1 => Gi0/2
con2 (2.2.2.2 ) : Gi0/2 => Fa0/1
Destination 0000.0201.0201 found on con2[WS-C3550-24] (2.2.2.2)
Router# traceroute mac 0001.0000.0204 0001.0000.0304 detail
Source 0001.0000.0204 found on VAYU[WS-C6509] (2.1.1.10)
1 VAYU / WS-C6509 / 2.1.1.10 :
Gi6/1 [full, 1000M] => Po100 [auto, auto]
2 PANI / WS-C6509 / 2.1.1.12 :
Po100 [auto, auto] => Po110 [auto, auto]
3 BUMI / WS-C6509 / 2.1.1.13 :
Po110 [auto, auto] => Po120 [auto, auto]
4 AGNI / WS-C6509 / 2.1.1.11 :
Po120 [auto, auto] => Gi8/12 [full, 1000M] Destination 0001.0000.0304 found on AGNI[WS-C6509] (2.1.1.11) Layer 2 trace completed.