音声とビデオのプロトコルのインスペクション

ここでは、音声とビデオのプロトコルのアプリケーション インスペクションについて説明します。特定のプロトコルに関してインスペクションを使用する必要がある理由、およびインスペクションを適用する全体的な方法については、アプリケーション レイヤ プロトコル インスペクションの準備を参照してください。

CTIQBE インスペクション

CTIQBE プロトコル インスペクションは、NAT、PAT、および双方向 NAT をサポートします。これによって、Cisco IP SoftPhone と他の Cisco TAPI/JTAPI アプリケーションが Cisco CallManager と連動し、ASA を経由してコール セットアップを行えるようになります。

TAPI と JTAPI は、多くの Cisco VoIP アプリケーションで使用されます。CTIQBE は、Cisco TSP が Cisco CallManager と通信するために使用されます。

CTIQBE インスペクションをイネーブルにする方法については、アプリケーション レイヤ プロトコル インスペクションの設定を参照してください。

CTIQBE インスペクションの制限事項

CTIQBE コールのステートフル フェールオーバーはサポートされていません。

次に、CTIQBE アプリケーション インスペクションを特定の事例で使用する際に、特別に注意が必要な事項をまとめます。

  • 2 つの Cisco IP SoftPhone が異なる Cisco CallManager に登録されていて、各 CallManager が ASA の異なるインターフェイスに接続されている場合、これら 2 つの電話間のコールは失敗します。

  • Cisco IP SoftPhone と比較して Cisco CallManager の方がセキュリティの高いインターフェイス上に配置されている状態で、NAT または外部 NAT が Cisco CallManager IP アドレスに必要な場合、マッピングはスタティックである必要があります。Cisco IP SoftPhone では Cisco CallManager IP アドレスを PC 上の Cisco TSP コンフィギュレーションで明示的に指定することが必要なためです。

  • PAT または外部 PAT を使用しているときに Cisco CallManager の IP アドレスを変換する場合、Cisco IP SoftPhone を正常に登録するためには、TCP ポート 2748 を PAT(インターフェイス)アドレスの同一ポートに対してスタティックにマッピングする必要があります。CTIQBE 受信ポート(TCP 2748)は固定されていて、Cisco CallManager、Cisco IP SoftPhone、Cisco TSP のいずれにおいてもユーザーによる設定はできません。

H.323 インスペクション

H.323 インスペクションは RAS、H.225、H.245 をサポートし、埋め込まれた IP アドレスとポートをすべて変換する機能を備えています。ステートのトラッキングとフィルタリングを実行し、インスペクション機能のアクティベーションをカスケードできます。H.323 インスペクションは、電話番号のフィルタリング、T.120 のダイナミック制御、H.245 のトンネル機能制御、HSI グループ、プロトコルのステートトラッキング、H.323 通話時間制限の適用、T.38 Fax、音声/ビデオ制御をサポートします。

H.323 検査はデフォルトではイネーブルです。デフォルト以外の処理が必要な場合にのみ設定する必要があります。

ここでは、H.323 アプリケーション インスペクションについて説明します。

H.323 インスペクションの概要

H.323 インスペクションは、Cisco CallManager などの H.323 準拠のアプリケーションをサポートします。H.323 は、国際電気通信連合によって定義されている、LAN を介したマルチメディア会議用のプロトコル群です。ASA は、H.323 v3 機能の同一コール シグナリング チャネルでの複数コールを含めて、H.323 を Version 6 までサポートします。

H.323 インスペクションをイネーブルにした場合、ASA は、H.323 Version 3 で導入された機能である同一コール シグナリング チャネルでの複数コールをサポートします。この機能によってセットアップ時間が短縮され、ASA でのポート使用が減少します。

H.323 インスペクションの 2 つの主要機能は次のとおりです。

  • H.225 と H.245 の両メッセージ内に埋め込まれている必要な IPv4 アドレスを NAT 処理します。H.323 メッセージは PER 符号化形式で符号化されているため、ASA では ASN.1 デコーダを使用して H.323 メッセージを復号化します。

  • ネゴシエートされた H.245 と RTP/RTCP 接続をダイナミックに割り当てます。RAS を使用すると、H.225 接続もダイナミックに割り当てることができます。

H.323 の動作

H.323 のプロトコルのコレクションは、合計で最大 2 つの TCP 接続と 4 ~ 8 つの UDP 接続を使用できます。FastConnect は 1 つの TCP 接続だけを使用し、RAS は登録、アドミッション、およびステータス用に 1 つの UDP 接続を使用します。

H.323 クライアントは、最初に TCP ポート 1720 を使用して、H.323 サーバーへの TCP 接続を確立し、Q.931 コール セットアップを要求します。H.323 端末は、コール セットアップ プロセスの一部として、H.245 TCP 接続に使用するため、クライアントに 1 つのポート番号を供給します。H.323 ゲートキーパーが使用されている環境では、初期パケットは UDP を使用して送信されます。

H.323 インスペクションは、Q.931 TCP 接続をモニターして、H.245 ポート番号を決定します。H.323 端末が、FastConnect を使用していない場合は、ASA が H.225 メッセージのインスペクションに基づいて、H.245 接続をダイナミックに割り当てます。RAS を使用すると、H.225 接続もダイナミックに割り当てることができます。

各 H.245 メッセージ内で、H.323 エンドポイントが、後続の UDP データ ストリームに使用するポート番号を交換します。H.323 インスペクションは、H.245 メッセージを調査して、ポート番号を識別し、メディア交換用の接続をダイナミックに作成します。RTP はネゴシエートされたポート番号を使用し、RTCP はその次に高いポート番号を使用します。

H.323 制御チャネルは、H.225、H.245、および H.323 RAS を処理します。H.323 インスペクションでは、次のポートが使用されます。

  • 1718:ゲートキーパー検出 UDP ポート

  • 1719:RAS UDP ポート

  • 1720:TCP 制御ポート

RAS シグナリング用に予約済み H.323 ポート 1719 のトラフィックを許可する必要があります。さらに、H.225 コール シグナリング用に、予約済み H.323 ポート 1720 のトラフィックを許可する必要があります。ただし、H.245 シグナリング ポートは、H.225 シグナリングのエンドポイント間でネゴシエートされます。H.323 ゲートキーパーの使用時、ASA は、ACF メッセージと RCF メッセージのインスペクションに基づいて H.225 接続を開きます。

H.225 メッセージを検査した後、ASA は H.245 チャネルを開き、H.245 チャネルで送信されるトラフィックも検査します。ASA を通過するすべての H.245 メッセージは、H.245 アプリケーション インスペクションを受けます。このインスペクションでは、埋め込み IP アドレスが変換され、H.245 メッセージでネゴシエートされたメディア チャネルが開かれます。

H.323 インスペクションを受けるパケットが通る各 UDP 接続は、H.323 接続としてマークされ、[Configuration] > [Firewall] > [Advanced] > [Global Timeouts] ペインで設定された H.323 タイムアウト値でタイムアウトします。


(注)  


Gatekeeper がネットワーク内にある場合は、H.323 エンドポイント間のコール セットアップをイネーブルにできます。ASA には、RegistrationRequest/RegistrationConfirm(RRQ/RCF)メッセージに基づいてコールのピンホールを開くオプションが含まれています。これらの RRQ/RCF メッセージはゲートキーパーとの間で送信されるため、コール側エンドポイントの IP アドレスは不明であり、ASA は送信元 IP アドレス/ポート 0/0 を通じてピンホールを開けます。デフォルトでは、このオプションは無効になっています。


H.245 メッセージでの H.239 サポート

ASA は、2 つの H.323 エンドポイントの間に存在します。2 つの H.323 エンドポイントが、スプレッドシート データなどのデータ プレゼンテーションを送受信できるようにテレプレゼンテーション セッションをセットアップするとき、ASA はエンドポイント間で H.239 ネゴシエーションが成功することを保証します。

H.239 は、H.300 シリーズ エンドポイントが 1 回のコールで追加ビデオ チャネルを開くことができる機能を提供する規格です。コールで、エンドポイント(ビデオ電話など)はビデオ用チャネルとデータ プレゼンテーション用チャネルを送信します。H.239 ネゴシエーションは H.245 チャネルで発生します。

ASA が追加メディア チャネル用とメディア制御チャネル用のピンホールを開きます。エンドポイントは、オープン論理チャネル メッセージ(OLC)を使用して新しいチャネルの作成を通知します。メッセージ拡張は H.245 バージョン 13 の一部です。

テレプレゼンテーション セッションの復号化と符号化は、デフォルトでイネーブルにされています。H.239 の符号化と復号化は ASN.1 コーダによって実行されます。

H.323 インスペクションの制限事項

H.323 インスペクションは、Cisco Unified Communications Manager(CUCM)7.0 でテストおよびサポートされています。CUCM 8.0 以降ではサポートされません。H.323 インスペクションは、他のリリースや製品で機能する場合があります。

H.323 アプリケーション インスペクションの使用に関して、次の既知の問題および制限があります。

  • PAT は拡張 PAT または per-session PAT を除きサポートされます。

  • スタティック PAT は、H.323 メッセージのオプション フィールドに埋め込まれた IP アドレスを正しく変換できないことがあります。この問題が発生した場合は、H.323 でスタティック PAT を使用しないでください。

  • 同じセキュリティ レベルのインターフェイス間の NAT ではサポートされません。

  • NAT64 ではサポートされません。

  • H.323 インスペクションを使用する NAT は、エンドポイントで直接実行される場合には、NAT と互換性がありません。エンドポイントで NAT を実行する場合、H.323 インスペクションは無効にしてください。

H.323 インスペクション ポリシー マップの設定

ネットワークに対してデフォルトのインスペクション動作が十分でない場合は、H.323 インスペクション ポリシー マップを作成して H.323 インスペクションのアクションをカスタマイズできます。

オプションとして、H.323 インスペクション クラス マップを作成し、H.323 インスペクションのトラフィック クラスを定義できます。他のオプションとしては、H.323 インスペクション ポリシー マップでトラフィック クラスを直接定義することもできます。クラス マップを作成することとインスペクション マップでトラフィックの照合を直接定義することの違いは、クラス マップでは複雑な照合基準を作成でき、クラス マップを再利用できるという点です。この手順ではインスペクション マップについて説明しますが、クラス マップで使用される一致基準は、[Inspection] タブに関する手順で説明されているものと同じです。[Configuration] > [Firewall] > [Objects] > [Class Maps] > [H.323] を選択するか、またはインスペクション マップの設定時に作成することによって、H.323 クラス マップを設定できます。


ヒント


以下で説明する手順に加えて、サービス ポリシーの作成中にインスペクション マップを設定できます。マップの内容は、作成方法に関係なく同じです。


始める前に

一部のトラフィック照合オプションでは、照合のために正規表現を使用します。これらのテクニックの 1 つを使用する場合は、最初に正規表現または正規表現のクラス マップを作成します。

手順


ステップ 1

[Configuration] > [Firewall] > [Objects] > [Inspect Maps] > [H.323] を選択します。

ステップ 2

次のいずれかを実行します。

  • [Add] をクリックして、新しいマップを追加します。

  • 内容を表示するマップを選択します。セキュリティ レベルを直接変更することも、[Customize] をクリックしてマップを編集することもできます。この後の手順では、マップをカスタマイズまたは追加するものとします。

ステップ 3

新しいマップの場合、名前(最大 40 文字)と説明を入力します。マップを編集するときは、変更できるのは説明のみです。

ステップ 4

[H.323 Inspect Map] ダイアログ ボックスの [Security Level] ビューで、必要なコンフィギュレーションと最もよく一致するレベルを選択します。デフォルトのレベルは [Low] です。

プリセット レベルのいずれかが要件と一致する場合、以上で終了です。[OK] をクリックし、残りの手順をスキップして、H.323 インスペクションのサービス ポリシー ルールでマップを使用します。

ヒント

 

[Phone Number Filtering] ボタンは着信側または発信側のインスペクションを設定するためのショートカットです。これについては、後で説明します。

ステップ 5

設定をさらにカスタマイズする必要がある場合は、[Details] をクリックし、次の手順を実行します。

  1. [State Checking] タブをクリックし、RAS および H.225 メッセージの状態遷移のチェックをイネーブルにするかどうか選択します。

    また、RCF メッセージをチェックして、RRQ メッセージ内のコール シグナリング アドレスのピンホールを開くこともできます。これにより、ゲートキーパーがネットワーク内にある場合に H.323 エンドポイント間のコール セットアップがイネーブルになります。RegistrationRequest/RegistrationConfirm(RRQ/RCF)メッセージに基づいてコールのピンホールを開くには、このオプションを使用します。これらの RRQ/RCF メッセージはゲートキーパーとの間で送信されるため、コール側エンドポイントの IP アドレスは不明であり、ASA は送信元 IP アドレス/ポート 0/0 を通じてピンホールを開けます。デフォルトでは、このオプションは無効になっています。

  2. [Call Attributes] タブをクリックし、コールの制限時間(最大 1193 時間)を適用するかどうか、またはコールのセットアップ中に発信側番号と着信側番号の存在を強制するかどうかを選択します。

    また、H.460.18 に従って、H.225 SETUP メッセージの前に H.225 FACILITY メッセージが到着することを許可できます。H.323/H.225 の使用時に、接続が完了前に閉じられているコール セットアップの問題が発生した場合は、このオプションを選択して初期のメッセージを許可します。また、必ず H.323 RAS と H.225 の両方にインスペクションをイネーブルにしてください(デフォルトではどちらもイネーブルになっています)。

  3. [Tunneling and Protocol Conformance] タブをクリックし、H.245 トンネリングをチェックするかどうかを選択します。接続をドロップするか、ロギングすることができます。

    ピンホールに流れる RTP パケットがプロトコルに準拠していることをチェックするかどうかを選択することもできます。また、準拠をチェックする場合は、シグナリング交換に基づいてペイロードを音声またはビデオに限定するかどうかを選択できます。

ステップ 6

必要に応じて、[HSI Group Parameters] タブをクリックし、HSI グループを定義します。

  1. 次のいずれかを実行します。

    • [Add] をクリックして、新しいグループを追加します。

    • 既存のグループを選択して、[Edit] をクリックします。

  2. グループ ID (0 ~ 2147483647)と HSI の IP アドレスを指定します。

  3. HSI グループにエンドポイントを追加するには、IP アドレスを入力し、エンドポイントが ASA への接続に使用するインターフェイスを選択して、[Add>>] をクリックします。不要になったエンドポイントを削除します。グループあたり最大 10 個のエンドポイントを設定できます。

  4. [OK] をクリックして、グループを追加します。必要に応じてプロセスを繰り返します。

ステップ 7

[Inspections] タブをクリックし、トラフィックの特性に基づいて実装する特定のインスペクションを定義します。

トラフィック一致基準は、H.323 クラス マップをベースにするか、インスペクション マップで一致を直接設定するか、またはこの両方によって定義できます。

  1. 次のいずれかを実行します。

    • [Add] をクリックして、新しい基準を追加します。

    • 既存の基準を選択し、[Edit] をクリックします。

  2. [Single Match] を選択して基準を直接定義するか、または [Multiple Match] を選択して基準を定義する H.323 クラス マップを選択します。

  3. 基準をここで定義した場合は、基準の一致タイプとして [Match] (トラフィックは基準と一致する必要がある)または [No Match] (トラフィックは基準と異なる必要がある)を選択します。次に、基準を以下のように設定します。

    • [Called Party]:選択した正規表現または正規表現クラスに対して H.323 の着信側を照合します。

    • [Calling Party]:選択した正規表現または正規表現クラスに対して H.323 の発信側を照合します。

    • [Media Type]:メディア タイプ(音声、ビデオ、データ)を照合します。

  4. トラフィックの照合で実行するアクションを選択します。発信側または着信側を照合する場合は、パケットをドロップするか、接続をドロップするか、接続をリセットできます。メディア タイプの照合の場合、アクションは常にパケットのドロップです。このアクションではロギングをイネーブルにすることができます。

  5. [OK] をクリックして、インスペクションを追加します。必要に応じてプロセスを繰り返します。

ステップ 8

[H.323 Inspect Map] ダイアログ ボックスで [OK] をクリックします。

これで、このインスペクション マップを H.323 インスペクションのサービス ポリシーで使用できるようになります。


次のタスク

マップを使用するためのインスペクション ポリシーを設定できるようになりました。アプリケーション レイヤ プロトコル インスペクションの設定 を参照してください。

MGCP インスペクション

MGCP インスペクションは、デフォルトのインスペクション ポリシーでイネーブルになっていないため、このインスペクションが必要な場合はイネーブルにする必要があります。ただし、デフォルトの inspect クラスにはデフォルトの MGCP ポートが含まれているので、デフォルトのグローバル インスペクション ポリシーを編集するだけで MGCP インスペクションを追加できます。または、たとえばインターフェイス固有のポリシーなど、必要に応じて新しいサービス ポリシーを作成することもできます。

ここでは、MGCP アプリケーション インスペクションについて説明します。

MGCP インスペクションの概要

MGCP は、メディア ゲートウェイ コントローラまたはコールエージェントと呼ばれる外部コール制御要素からメディアゲートウェイを制御するために使用されます。メディア ゲートウェイは一般に、電話回線を通じた音声信号と、インターネットまたは他のパケット ネットワークを通じたデータ パケットとの間の変換を行うネットワーク要素です。NAT および PAT を MGCP とともに使用すると、限られた外部(グローバル)アドレスのセットで、内部ネットワークの多数のデバイスをサポートできます。メディア ゲートウェイの例は次のとおりです。

  • トランキング ゲートウェイ。電話ネットワークと Voice over IP ネットワークとの間のインターフェイスです。このようなゲートウェイは通常、大量のデジタル回線を管理します。

  • 住宅用ゲートウェイ。従来のアナログ(RJ11)インターフェイスを Voice over IP ネットワークに提供します。住宅用ゲートウェイの例としては、ケーブル モデムやケーブル セットトップ ボックス、xDSL デバイス、ブロードバンド ワイヤレス デバイスなどがあります。

  • ビジネス ゲートウェイ。従来のデジタル PBX(構内交換機)インターフェイスまたは統合 soft PBX インターフェイスを Voice over IP ネットワークに提供します。

MGCP メッセージは UDP を介して送信されます。応答はコマンドの送信元アドレス(IP アドレスと UDP ポート番号)に返送されますが、コマンド送信先と同じアドレスからの応答は到達しない場合があります。これは、複数のコール エージェントがフェールオーバー コンフィギュレーションで使用されているときに、コマンドを受信したコール エージェントが制御をバックアップ コール エージェントに引き渡し、バックアップ コール エージェントが応答を送信する場合に起こる可能性があります。次の図は、NAT と MGCP を使用する方法を示しています。

図 1. NAT と MGCP の使用

MGCP エンドポイントは、物理または仮想のデータ送信元および宛先です。メディア ゲートウェイには、他のマルチメディア エンドポイントとのメディア セッションを確立して制御するために、コール エージェントが接続を作成、変更、および削除できるエンドポイントが含まれています。また、コール エージェントは、特定のイベントを検出してシグナルを生成するようにエンドポイントに指示できます。エンドポイントは、サービス状態の変化を自動的にコール エージェントに伝達します。

  • 通常、ゲートウェイは UDP ポート 2427 をリッスンしてコール エージェントからのコマンドを受信します。

  • コール エージェントがゲートウェイからのコマンドを受信するポート。通常、コール エージェントは UDP ポート 2727 をリッスンしてゲートウェイからコマンドを受信します。


(注)  


MGCP インスペクションでは、MGCP シグナリングと RTP データで異なる IP アドレスを使用することはサポートされていません。一般的かつ推奨される方法は、ループバック IP アドレスや仮想 IP アドレスなどの復元力のある IP アドレスから RTP データを送信することです。ただし、ASA は、MGCP シグナリングと同じアドレスから RTP データを受信する必要があります。


MGCP インスペクション ポリシー マップの設定

ASA がピンホールを開く必要のあるコール エージェントとゲートウェイがネットワークに複数ある場合は、MGCP マップを作成します。作成した MGCP マップは、MGCP インスペクションをイネーブルにすると適用できます。

手順


ステップ 1

[Configuration] > [Firewall] > [Objects] > [Inspect Maps] > [MGCP] を選択します。

ステップ 2

次のいずれかを実行します。

  • [Add] をクリックして、新しいマップを追加します。

  • マップを選択して [Edit] をクリックします。

ステップ 3

新しいマップの場合、名前(最大 40 文字)と説明を入力します。マップを編集するときは、変更できるのは説明のみです。

ステップ 4

(任意)[Command Queue] タブをクリックし、MGCP コマンド キューで許容されるコマンドの最大数を指定します。デフォルトは 200 で、使用できる範囲は 1 ~ 2147483647 です。

ステップ 5

[Gateways and Call Agents] タブをクリックし、マップのゲートウェイとコール エージェントのグループを設定します。

  1. [Add] をクリックして新しいグループを作成するか、グループを選択して [Edit] をクリックします。

  2. コール エージェント グループの [Group ID] を入力します。コール エージェント グループで、1 つ以上のコール エージェントを 1 つ以上の MGCP メディア ゲートウェイと関連付けます。0 ~ 2147483647 の範囲の値を指定できます。

  3. 関連付けられているコール エージェントによって制御されるメディア ゲートウェイの IP アドレスをグループに追加するには、それらの IP アドレスを [Gateway to Be Added] に入力し、[Add>>] をクリックします。使用しなくなったゲートウェイを削除します。

    メディア ゲートウェイは一般に、電話回線を通じた音声信号と、インターネットまたは他のパケット ネットワークを通じたデータ パケットとの間の変換を行うネットワーク要素です。通常、ゲートウェイはコマンドを、コール エージェントのデフォルト MGCP ポート(UDP 2727)に送信します。

  4. MGCP メディア ゲートウェイを制御するコール エージェントの IP アドレスを追加するには、それらの IP アドレスを [Call Agent to Be Added] に入力し、[Add>>] をクリックします。不要になったエージェントを削除します。

    通常、コール エージェントはコマンドを、ゲートウェイのデフォルト MGCP ポート(UDP 2427)に送信します。

  5. [MGCP Group] ダイアログボックスで [OK] をクリックします。必要に応じてプロセスを繰り返し、他のグループを追加します。

ステップ 6

[MGCP Inspect Map] ダイアログ ボックスで [OK] をクリックします。

これで、このインスペクション マップを MGCP インスペクション サービス ポリシーで使用できるようになります。


次のタスク

マップを使用するためのインスペクション ポリシーを設定できるようになりました。アプリケーション レイヤ プロトコル インスペクションの設定 を参照してください。

RTSP インスペクション

RTSP インスペクションはデフォルトでイネーブルになっています。デフォルト以外の処理が必要な場合にのみ設定する必要があります。ここでは、RTSP アプリケーション インスペクションについて説明します。

RTSP インスペクションの概要

RTSP インスペクション エンジンを使用することにより、ASA は RTSP パケットを通過させることができます。RTSP は、RealAudio、RealNetworks、Apple QuickTime 4、RealPlayer、および Cisco IP/TV の各接続で使用されます。


(注)  


Cisco IP/TV では、RTSP TCP ポート 554 および 8554 を使用します。


RTSP アプリケーションは、制御チャネルとしての TCP(例外的に UDP)とともに予約済みポート 554 を使用します。ASA は、RFC 2326 に準拠して、TCP だけをサポートします。この TCP 制御チャネルは、クライアント上で設定されているトランスポート モードに応じて、音声/ビデオ トラフィックの送信に使用されるデータ チャネルのネゴシエーションに使用されます。

サポートされている RDT トランスポートは、rtp/avp、rtp/avp/udp、x-real-rdt、x-real-rdt/udp、x-pn-tng/udp です。

ASA は、ステータス コード 200 の SETUP 応答メッセージを解析します。SETUP 応答メッセージが、着信方向に移動している場合、サーバーは ASA との相対位置関係で外部に存在することになるため、サーバーから着信する接続に対してダイナミック チャネルを開くことが必要になります。この応答メッセージがアウトバウンド方向である場合、ASA は、ダイナミック チャネルを開く必要はありません。

RTSP インスペクションは、PAT またはデュアル NAT をサポートしていません。また、ASA は、RTSP メッセージが HTTP メッセージ内に隠される HTTP クローキングを認識できません。

RealPlayer 設定要件

RealPlayer を使用するときは、転送モードを正しく設定することが重要です。ASA では、サーバーからクライアントに、またはその逆に access-list コマンドを追加します。RealPlayer の場合、[Options] > [Preferences] > [Transport] > [RTSP Settings] をクリックして転送モードを変更します。

RealPlayer で TCP モードを使用する場合は、[Use TCP to Connect to Server] チェックボックスおよび [Attempt to use TCP for all content] チェックボックスをオンにします。ASA で、インスペクション エンジンを設定する必要はありません。

RealPlayer で UDP モードを使用する場合、[Use TCP to Connect to Server] および [Attempt to use UDP for static content] チェックボックスをオンにします。マルチキャストでの使用ができないライブ コンテンツについては、ASA で、inspect rtsp コマンドを追加します。

RSTP インスペクションの制限事項

RSTP インスペクションには次の制限が適用されます。

  • ASA は、マルチキャスト RTSP または UDP による RTSP メッセージをサポートしません。

  • ASA には、RTSP メッセージが HTTP メッセージ内に隠されている HTTP クローキングを認識する機能はありません。

  • 埋め込み IP アドレスが HTTP メッセージまたは RTSP メッセージの一部として SDP ファイル内に含まれているため、ASA は、RTSP メッセージに NAT を実行できません。パケットはフラグメント化できますが、ASA ではフラグメント化されたパケットに対して NAT を実行することはできません。

  • Cisco IP/TV では、メッセージの SDP 部分に対して ASA が実行する変換の数は、Content Manager にあるプログラム リストの数に比例します(各プログラム リストには、少なくとも 6 個の埋め込み IP アドレスを含めることができます)。

  • Apple QuickTime 4 または RealPlayer 用の NAT を設定できます。Cisco IP/TV は、ビューアと Content Manager が外部ネットワークにあり、サーバーが内部ネットワークにあるときにだけ NAT を使用できます。

RTSP インスペクション ポリシー マップの設定

ネットワークに対してデフォルトのインスペクション動作が十分でない場合は、RTSP インスペクション ポリシー マップを作成して RTSP インスペクションのアクションをカスタマイズできます。

オプションとして、RTSP インスペクション クラス マップを作成し、RTSP インスペクションのトラフィック クラスを定義できます。他のオプションとしては、RTSP インスペクション ポリシー マップでトラフィック クラスを直接定義することもできます。クラス マップを作成することとインスペクション マップでトラフィックの照合を直接定義することの違いは、クラス マップでは複雑な照合基準を作成でき、クラス マップを再利用できるという点です。この手順ではインスペクション マップについて説明しますが、クラス マップで使用される一致基準は、[Inspection] タブに関する手順で説明されているものと同じです。[Configuration] > [Firewall] > [Objects] > [Class Maps] > [RTSP] を選択するか、またはインスペクション マップの設定時に作成することによって、RTSP クラス マップを設定できます。


ヒント


以下で説明する手順に加えて、サービス ポリシーの作成中にインスペクション マップを設定できます。マップの内容は、作成方法に関係なく同じです。


始める前に

一部のトラフィック照合オプションでは、照合のために正規表現を使用します。これらのテクニックの 1 つを使用する場合は、最初に正規表現または正規表現のクラス マップを作成します。

手順


ステップ 1

[Configuration] > [Firewall] > [Objects] > [Inspect Maps] > [RTSP] を選択します。

ステップ 2

次のいずれかを実行します。

  • [Add] をクリックして、新しいマップを追加します。

  • マップを選択し、[Edit] をクリックします。

ステップ 3

新しいマップの場合、名前(最大 40 文字)と説明を入力します。マップを編集するときは、変更できるのは説明のみです。

ステップ 4

[Parameters] タブをクリックし、必要なオプションを設定します。

  • [Enforce Reserve Port Protection]:メディア ポート ネゴシエーション中の予約済みポートの使用を制限するかどうか。

  • [Maximum URL Length]:メッセージで使用できる URL の最大長(0 ~ 6000)。

ステップ 5

[Inspections] タブをクリックし、トラフィックの特性に基づいて実装する特定のインスペクションを定義します。

トラフィック一致基準は、RTSP クラス マップをベースにするか、インスペクション マップで一致を直接設定するか、またはこの両方によって定義できます。

  1. 次のいずれかを実行します。

    • [Add] をクリックして、新しい基準を追加します。

    • 既存の基準を選択し、[Edit] をクリックします。

  2. [Single Match] を選択して基準を直接定義するか、または [Multiple Match] を選択して基準を定義する RTSP クラス マップを選択します。

  3. 基準をここで定義した場合は、基準の一致タイプとして [Match] (トラフィックは基準と一致する必要がある)または [No Match] (トラフィックは基準と異なる必要がある)を選択します。たとえば、文字列「example.com」で [No Match] を選択した場合、「example.com」を含むトラフィックはすべてクラス マップの対象外になります。次に、基準を以下のように設定します。

    • [URL Filter]:選択した正規表現または正規表現クラスに対して URL を照合します。

    • [Request Method]:announce、describe、get_parameter、options、pause、play、record、redirect、setup、set_parameters、teardown のいずれかの要求方式と照合します。

  4. トラフィックの照合で実行するアクションを選択します。URL の照合の場合は、接続をドロップするかロギングし、ドロップした接続のロギングをイネーブルにすることができます。要求方式の照合の場合は、レート制限(パケット/秒)を適用できます。

  5. [OK] をクリックして、インスペクションを追加します。必要に応じてプロセスを繰り返します。

ステップ 6

[RTSP Inspect Map] ダイアログ ボックスの [OK] をクリックします。

これで、RTSP インスペクション サービス ポリシーでインスペクション マップを使用できるようになります。


次のタスク

マップを使用するためのインスペクション ポリシーを設定できるようになりました。アプリケーション レイヤ プロトコル インスペクションの設定 を参照してください。

SIP インスペクション

SIP は、インターネット会議、テレフォニー、プレゼンス、イベント通知、およびインスタント メッセージングに広く使用されているプロトコルです。テキストベースの性質とその柔軟性により、SIP ネットワークは数多くのセキュリティ脅威にさらされます。

SIP アプリケーション インスペクションでは、メッセージ ヘッダーおよび本文のアドレス変換、ポートの動的なオープン、および基本的な健全性チェックが行われます。SIP メッセージの健全性を実現するアプリケーション セキュリティおよびプロトコルへの準拠と、SIP ベースの攻撃の検出もサポートされます。

SIP インスペクションはデフォルトでイネーブルになっています。これは、デフォルト以外の処理が必要な場合、または暗号化されたトラフィックのインスペクションをイネーブルにするために TLS プロキシを設定する場合にのみ設定する必要があります。ここでは、 SIP インスペクションについてより詳細に説明します。

SIP インスペクションの概要

IETF で定義されている SIP により、特に 2 者間の音声会議などのコール処理セッションまたは「コール」が使用可能になります。SIP は SDP と連携して通話処理を行います。SDP は、メディア ストリーム用のポートを指定します。SIP を使用することにより、ASA は SIP VoIP ゲートウェイおよび VoIP プロキシ サーバーをサポートできます。SIP と SDP の定義は、次の RFC に記載されています。

  • SIP:Session Initiation Protocol、RFC 3261

  • SDP:Session Description Protocol、RFC 2327

ASA 経由の SIP コールをサポートする場合は、シグナリング メッセージは予約済みの宛先ポート(UDP/TCP 5060)経由で送信され、メディア ストリームはダイナミックに割り当てられるため、メディア接続アドレスのシグナリング メッセージ、メディア ポート、およびメディアの初期接続を検査する必要があります。また、SIP は、IP パケットのユーザーデータ部分に IP アドレスを埋め込みます。ASA がサポートする SIP 要求 URI の最大長は 255 であることに注意してください。

インスタント メッセージング(IM)アプリケーションでは、SIP拡張機能(RFC 3428で定義されている)および SIP 固有のイベント通知(RFC 3265 で定義されている)も使用します。ユーザーがチャット セッション(登録/サブスクリプション)を開始した後、ユーザーが互いにチャットするときに、IM アプリケーションでは、MESSAGE/INFO 方式 202 Accept 応答を使用します。たとえば、2 人のユーザーはいつでもオンラインになる可能性がありますが、何時間もチャットをすることはありません。そのため、SIP インスペクション エンジンは、設定されている SIP タイムアウト値に従ってタイムアウトするピンホールを開きます。この値は、登録継続時間よりも 5 分以上長く設定する必要があります。登録継続時間は Contact Expires 値で定義し、通常 30 分です。

MESSAGE/INFO 要求は、通常、ポート 5060 以外の動的に割り当てられたポートを使用して送信されるため、SIP インスペクション エンジンを通過する必要があります。


(注)  


SIP インスペクションは、チャット機能のみをサポートします。ホワイトボード、ファイル転送、アプリケーション共有はサポートされていません。RTC Client 5.0 はサポートされていません。


SIP インスペクションの制限事項

SIP インスペクションは、Cisco Unified Communications Manager(CUCM)7.0、8.0、8.6、および 10.5 でテストされ、サポートされています。CUCM 8.5 または 9.x.ではサポートされません。SIP インスペクションは、他のリリースや製品で機能する場合があります。

SIP 電話機が Call Manager に接続していないことを確認したら、次の CLI コマンドを使用して未処理の TCP セグメントの最大数を増やすことができます。sysopt connection tcp-max-unprocessed-seg 6-24 。デフォルトは 6 であるため、より大きな数値を試してください。

SIP インスペクションは、T.38 MIME インターネット ファクシミリ プロトコル (IFP) をサポートしていません。SIP インスペクションは、T.38 MIME オーディオ サブタイプを使用する SIP 招待をドロップします。このタイプを許可する必要がある場合は、SIP インスペクションを無効にして、RTP ストリームを許可するアクセス コントロール ルールを作成します。

SIP インスペクションの NAT 制限事項

  • SIP インスペクションは、埋め込まれた IP アドレスに NAT を適用します。ただし、送信元と宛先両方のアドレスを変換するように NAT を設定している場合、外部アドレス(「trying」応答メッセージの SIP ヘッダー内の「from」)は書き換えられません。そのため、宛先アドレスの変換を回避するように SIP トラフィックを使用している場合は、オブジェクト NAT を使用する必要があります。

  • セキュリティ レベルが同じインターフェイス、または低セキュリティ レベル(送信元)から高セキュリティ レベル(宛先)に至るインターフェイスに対しては NAT または PAT を設定しないでください。この設定はサポートされません。

  • 対象となるトラフィック クラス (つまり、inspection_default 以外のトラフィック クラス) に SIP インスペクションを設定する場合は、双方向 ACL を使用し、5060 宛先ポートのみを指定するようにしてください。そうしないと、IP パケットが正しく変換されても、SIP ヘッダーの IP アドレスが変換されない NAT の問題が発生する可能性があります。

  • SIP 招待の VIA ヘッダーにマッピングアドレスをハードコーディングする場合は、SIP インスペクションを有効にしないでください。静的 NAT を使用して送信元クライアントアドレスを変換し、デフォルトルートのインターフェイスがクライアントの使用する接続ルートのインターフェイスと異なる場合、問題が発生する可能性があります。

SIP インスペクションの PAT 制限事項

PAT を SIP で使用する場合、次の制限事項が適用されます。

  • ASA で保護されているネットワークの SIP プロキシにリモート エンドポイントを登録しようとすると、次のような一定の条件下で登録が失敗します。

    • PAT がリモート エンドポイント用に設定されている。

    • SIP レジストラ サーバーが外部ネットワークにある。

    • エンドポイントからプロキシ サーバーに送信された REGISTER メッセージの接続先フィールドにポートが設定されていない。

  • SDP 部分の所有者/作成者フィールド(o=)の IP アドレスが接続フィールド(c=)の IP アドレスと異なるパケットを SIP デバイスが送信すると、o= フィールドの IP アドレスが正しく変換されない場合があります。これは、o= フィールドでポート値を提供しない SIP プロトコルの制限によるものです。PAT では、変換するためにポートが必要なので、変換は失敗します。

  • PAT を使用する場合は、ポートを持たない内部 IP アドレスを含む SIP ヘッダー フィールドは変換されない可能性があるため、内部 IP アドレスが外部に漏れます。この漏出を避けるには、PAT の代わりに NAT を設定します。

デフォルトの SIP インスペクション

SIP インスペクションはデフォルトでイネーブルになっており、次を含むデフォルトのインスペクション ポリシー マップを使用します。

  • SIP インスタント メッセージ(IM)の拡張機能:イネーブル

  • SIP トラフィック以外の SIP ポート使用:禁止

  • サーバーとエンドポイントの IP アドレスの非表示:ディセーブル

  • ソフトウェアのバージョンと SIP 以外の URI をマスク:ディセーブル

  • 1 以上の宛先ホップ カウントを保証:イネーブル

  • RTP 準拠:適用強制しない

  • SIP 準拠:ステート チェックとヘッダー検証を実行しない

暗号化されたトラフィックのインスペクションがイネーブルになっていないことにも注意してください。暗号化されたトラフィックを検査するには、TLS プロキシを設定する必要があります。

SIP インスペクション ポリシー マップの設定

ネットワークに対してデフォルトのインスペクション動作が十分でない場合は、SIP インスペクション ポリシー マップを作成して SIP インスペクションのアクションをカスタマイズできます。

オプションとして、SIP インスペクション クラス マップを作成し、SIP インスペクションのトラフィック クラスを定義できます。他のオプションとしては、SIP インスペクション ポリシー マップでトラフィック クラスを直接定義することもできます。クラス マップを作成することとインスペクション マップでトラフィックの照合を直接定義することの違いは、クラス マップでは複雑な照合基準を作成でき、クラス マップを再利用できるという点です。この手順ではインスペクション マップについて説明しますが、クラス マップで使用される一致基準は、[Inspection] タブに関する手順で説明されているものと同じです。[Configuration] > [Firewall] > [Objects] > [Class Maps] > [SIP] を選択するか、またはインスペクション マップの設定時に作成することによって、SIP クラス マップを設定できます。


ヒント


以下で説明する手順に加えて、サービス ポリシーの作成中にインスペクション マップを設定できます。マップの内容は、作成方法に関係なく同じです。


始める前に

一部のトラフィック照合オプションでは、照合のために正規表現を使用します。これらのテクニックの 1 つを使用する場合は、最初に正規表現または正規表現のクラス マップを作成します。

手順


ステップ 1

[Configuration] > [Firewall] > [Objects] > [Inspect Maps] > [SIP] を選択します。

ステップ 2

次のいずれかを実行します。

  • [Add] をクリックして、新しいマップを追加します。

  • 内容を表示するマップを選択します。セキュリティ レベルを直接変更することも、[Customize] をクリックしてマップを編集することもできます。この後の手順では、マップをカスタマイズまたは追加するものとします。

ステップ 3

新しいマップの場合、名前(最大 40 文字)と説明を入力します。マップを編集するときは、変更できるのは説明のみです。

ステップ 4

[SIP Inspect Map] ダイアログ ボックスの [Security Level] ビューで、必要なコンフィギュレーションと最もよく一致するレベルを選択します。デフォルトのレベルは [Low] です。

プリセット レベルのいずれかが要件と一致する場合、以上で終了です。[OK] をクリックし、残りの手順をスキップして、SIP インスペクションのサービス ポリシー ルールでマップを使用します。

ステップ 5

設定をさらにカスタマイズする必要がある場合は、[Details] をクリックし、次の手順を実行します。

  1. [Filtering] タブをクリックし、SIP インスタント メッセージング(IM)拡張機能をイネーブルにするかどうか、または SIP ポート上の SIP 以外のトラフィックを許可するかどうかを選択します。

  2. [IP Address Privacy] タブをクリックし、サーバーとエンドポイントの IP アドレスを非表示にするかどうかを選択します。

  3. [Hop Count] タブをクリックし、宛先へのホップ数が 0 より大きいことを確認するかどうかを選択します。これにより、宛先に到達するまで 0 にすることができない Max-Forwards ヘッダーの値がチェックされます。また、不適合なトラフィックに対して実行するアクション(パケットのドロップ、接続のドロップ、リセット、またはログ)と、ロギングをイネーブルまたはディセーブルのどちらにするかを選択する必要もあります。

  4. [RTP Conformance] タブをクリックし、ピンホールに流れる RTP パケットがプロトコルに準拠していることをチェックするかどうかを選択します。また、準拠をチェックする場合は、シグナリング交換に基づいてペイロードを音声またはビデオに限定するかどうかを選択できます。

  5. [SIP Conformance] タブをクリックし、状態遷移チェックとヘッダー フィールドの厳密な検証をイネーブルにするかどうかを選択します。選択したオプションごとに、不適合なトラフィックに対して実行するアクション(パケットのドロップ、接続のドロップ、リセット、またはログ)と、ロギングをイネーブルまたはディセーブルのどちらにするかを選択します。

  6. [Field Masking] タブをクリックし、Alert-Info および Call-Info ヘッダーの SIP 以外の URI を検査するかどうかと、User-Agent および Server ヘッダーのサーバーとエンドポイントのソフトウェア バージョンを検査するかどうか選択します。選択したオプションごとに、実行するアクション(マスクまたはログ記録)を選択し、ロギングをイネーブルにするかディセーブルにするかを選択します。

  7. [TVS Server] タブをクリックし、信頼検証サービス サーバーを指定します。信頼検証サービス サーバーは、HTTPS の確立時に Cisco Unified IP Phone がアプリケーション サーバーを認証できるようにします。最大 4 台のサーバーを識別できます。カンマで区切られた IP アドレスを入力します。SIP インスペクションは登録された電話機ごとに各サーバーに対するピンホールを開き、電話機はどれを使用するかを決定します。

    CUCM サーバーで信頼検証サービス サーバーを設定します。設定でデフォルト以外のポートを使用する場合は、ポート番号(1026 ~ 32768)を入力します。デフォルト ポートは 2445 です。

ステップ 6

[Inspections] タブをクリックし、トラフィックの特性に基づいて実装する特定のインスペクションを定義します。

トラフィック一致基準は、SIP クラス マップをベースにするか、インスペクション マップで一致を直接設定するか、またはこの両方によって定義できます。

  1. 次のいずれかを実行します。

    • [Add] をクリックして、新しい基準を追加します。

    • 既存の基準を選択し、[Edit] をクリックします。

  2. [Single Match] を選択して基準を直接定義するか、または [Multiple Match] を選択して基準を定義する SIP クラス マップを選択します。

  3. 基準をここで定義した場合は、基準の一致タイプとして [Match] (トラフィックは基準と一致する必要がある)または [No Match] (トラフィックは基準と異なる必要がある)を選択します。たとえば、文字列「example.com」で [No Match] を選択した場合、「example.com」を含むトラフィックはすべてクラス マップの対象外になります。次に、基準を以下のように設定します。

    • [Called Party] :選択した正規表現または正規表現クラスに対して、To ヘッダーで指定された着信側を照合します。

    • [Calling Party] :選択した正規表現または正規表現クラスに対して、From ヘッダーで指定された発信側を照合します。

    • [Content Length] :指定された長さ(0 ~ 65536 バイト)より長い SIP コンテンツ ヘッダーを照合します。

    • [Content Type] :Content Type ヘッダー、つまり SDP タイプか、選択した正規表現または正規表現クラスと一致するタイプを照合します。

    • [IM Subscriber] :選択した正規表現または正規表現クラスに対して SIP IM サブスクライバを照合します。

    • [Message Path] :選択した正規表現または正規表現クラスに対して SIP Via ヘッダーを照合します。

    • [Request Method] :ack、bye、cancel、info、invite、message、notify、options、prack、refer、register、subscribe、unknown、update のいずれかの SIP 要求方式を照合します。

    • [Third-Party Registration] :選択した正規表現または正規表現クラスに対してサード パーティ登録の要求者を照合します。

    • [URI Length] :指定された長さ(0 ~ 65536 バイト)を超えている、選択したタイプ(SIP または TEL)の SIP ヘッダーの URI を照合します。

  4. 一致するトラフィックに対して実行するアクション(パケットのドロップ、接続のドロップ、リセット、ログ)と、ログをイネーブルまたはディセーブルのどちらにするかを選択します。「invite」および「register」に一致する要求方式の場合は、レート制限(パケット/秒)も適用できます。

  5. [OK] をクリックして、インスペクションを追加します。必要に応じてプロセスを繰り返します。

ステップ 7

[SIP Inspect Map] ダイアログ ボックスの [OK] をクリックします。

これで、このインスペクション マップを SIP インスペクションのサービス ポリシーで使用できるようになります。


次のタスク

マップを使用するためのインスペクション ポリシーを設定できるようになりました。アプリケーション レイヤ プロトコル インスペクションの設定 を参照してください。

Skinny(SCCP)インスペクション

SCCP(Skinny)アプリケーション インスペクションでは、パケット データ、ピンホールの動的開放に埋め込まれている IP アドレスとポート番号を変換します。また、追加のプロトコル準拠チェックと基本的なステート トラッキングも行います。

SCCP インスペクションはデフォルトではイネーブルです。これは、デフォルト以外の処理が必要な場合、または暗号化されたトラフィックのインスペクションをイネーブルにするために TLS プロキシを設定する場合にのみ設定する必要があります。

ここでは、SCCP アプリケーション インスペクションについて説明します。

SCCP インスペクションの概要

Skinny(SCCP)は、VoIP ネットワークで使用される簡易プロトコルです。SCCP を使用する Cisco IP Phone は、H.323 環境でも使用できます。Cisco CallManager と併用すると、SCCP クライアントは、H.323 準拠端末と同時使用できます。

ASA は、SCCP に対して PAT と NAT をサポートします。IP 電話で使用できるグローバル IP アドレスよりも IP 電話が多い場合は、PAT が必要です。Skinny アプリケーション インスペクションは、SCCP シグナリング パケットの NAT と PAT をサポートすることで、すべての SCCP シグナリング パケットとメディア パケットが ASA を通過できるようにします。

Cisco CallManager と Cisco IP Phones 間の通常のトラフィックは SCCP を使用しており、特別な設定をしなくても SCCP インスペクションによって処理されます。ASA は、TFTP サーバーの場所を Cisco IP Phone とその他の DHCP クライアントに送信することで、DHCP オプション 150 および 66 もサポートします。Cisco IP Phone では、デフォルト ルートを設定する DHCP オプション 3 を要求に含めることもできます。


(注)  


ASA は、SCCP プロトコル バージョン 22 以前が稼働している Cisco IP Phone からのトラフィックのインスペクションをサポートします。


Cisco IP Phone のサポート

Cisco CallManager が Cisco IP Phone と比べて高セキュリティ インターフェイスにあるトポロジでは、NAT が Cisco CallManager の IP アドレスに必要な場合、マッピングはスタティックである必要があります。これは、Cisco IP Phone では Cisco CallManager の IP アドレスをコンフィギュレーションで明示的に指定する必要があるためです。スタティック アイデンティティ エントリにより、セキュリティの高いインターフェイス上の Cisco CallManager は Cisco IP Phone からの登録を受け入れることができます。

Cisco IP Phone では、TFTP サーバーにアクセスして、Cisco CallManager サーバーに接続するために必要な設定情報をダウンロードする必要があります。

TFTP サーバーと比較して Cisco IP Phone の方がセキュリティの低いインターフェイス上にある場合は、ACL を使用して UDP ポート 69 の保護された TFTP サーバーに接続する必要があります。TFTP サーバーに対してはスタティック エントリが必要ですが、識別スタティック エントリにする必要はありません。NAT を使用する場合、識別スタティック エントリは同じ IP アドレスにマッピングされます。PAT を使用する場合は、同じ IP アドレスとポートにマッピングされます。

Cisco IP Phone が TFTP サーバーおよび Cisco CallManager と比べてセキュリティの高いインターフェイス上にある場合、Cisco IP Phone が接続を開始できるようにするために、ACL やスタティック エントリは必要ありません。

SCCP インスペクションの制限事項

SCCP インスペクションは、Cisco Unified Communications Manager(CUCM)7.0、8.0、8.6、および 10.5 でテストされ、サポートされています。CUCM 8.5 または 9.x.ではサポートされません。SCCP インスペクションは、他のリリースや製品で機能する場合があります。

内部の Cisco CallManager のアドレスが NAT または PAT 用に別の IP アドレスかポートを設定している場合、ASA は TFTP を経由して転送するファイルの内容に対して NAT または PAT をサポートしていないため、外部の Cisco IP Phone 用の登録は失敗します。ASA は TFTP メッセージの NAT をサポートし、TFTP ファイル用にピンホールを開きますが、ASA は電話の登録中に TFTP によって転送された Cisco IP Phone のコンフィギュレーション ファイルに埋め込まれた Cisco CallManager の IP アドレスとポートを変換することはできません。


(注)  


ASA は、コール セットアップ中のコールを除き、SCCP コールのステートフル フェールオーバーをサポートします。


デフォルトの SCCP インスペクション

SCCP インスペクションは、次のデフォルト値を使用してデフォルトでイネーブルになっています。

  • 登録:適用強制しない

  • メッセージの最大 ID:0x181

  • プレフィックスの長さの最小値:4

  • メディア タイムアウト:00:05:00

  • シグナリング タイムアウト:01:00:00

  • RTP 準拠:適用強制しない

Skinny(SCCP)インスペクション ポリシー マップの設定

メッセージがパラメータに違反したときのアクションを指定するには、SCCP インスペクション ポリシー マップを作成します。作成したインスペクション ポリシー マップは、SCCP インスペクションをイネーブルにすると適用できます。

手順


ステップ 1

[Configuration] > [Firewall] > [Objects] > [Inspect Maps] > [SCCP (Skinny)] を選択します。

ステップ 2

次のいずれかを実行します。

  • [Add] をクリックして、新しいマップを追加します。

  • 内容を表示するマップを選択します。セキュリティ レベルを直接変更することも、[Customize] をクリックしてマップを編集することもできます。この後の手順では、マップをカスタマイズまたは追加するものとします。

ステップ 3

新しいマップの場合、名前(最大 40 文字)と説明を入力します。マップを編集するときは、変更できるのは説明のみです。

ステップ 4

[SCCP (Skinny) Inspect Map] ダイアログ ボックスの [Security Level] ビューで、必要なコンフィギュレーションと最もよく一致するレベルを選択します。デフォルトのレベルは [Low] です。

プリセット レベルのいずれかが要件と一致する場合、以上で終了です。[OK] をクリックし、残りの手順をスキップして、SCCP インスペクションのサービス ポリシー ルールでマップを使用します。

ステップ 5

設定をさらにカスタマイズする必要がある場合は、[Details] をクリックし、次の手順を実行します。

  1. [Parameters] タブをクリックし、次のオプションから選択します。

    • [Enforce endpoint registration] :コールを発信または着信する前に Skinny エンドポイントを登録する必要があるかどうか。

    • [Maximum Message ID] :許可される最大の SCCP ステーション メッセージ ID。デフォルトの最大値は 0x181 です。16 進数値は 0x0 ~ 0xffff です。

    • [SCCP Prefix Length] :最大および最小の SCCP プレフィックス長。デフォルトの最小値は 4 で、デフォルトの最大値はありません。

    • [Timeouts]メディアおよびシグナリング接続のタイムアウトを設定するかどうか、およびそれらのタイムアウト値。デフォルトはメディアの場合は 5 分、シグナリングの場合は 1 時間です。

  2. [RTP Conformance] タブをクリックし、ピンホールに流れる RTP パケットがプロトコルに準拠していることをチェックするかどうかを選択します。また、準拠をチェックする場合は、シグナリング交換に基づいてペイロードを音声またはビデオに限定するかどうかを選択できます。

ステップ 6

(任意)[Message ID Filtering] タブをクリックし、SCCP メッセージのステーション メッセージ ID フィールドに基づいてドロップするトラフィックを指定します。

  1. 次のいずれかを実行します。

    • [Add] をクリックして、新しい基準を追加します。

    • 既存の基準を選択し、[Edit] をクリックします。

  2. 基準の一致タイプとして、[Match] (トラフィックは基準と一致する必要がある)または [No Match] (トラフィックは基準と異なる必要がある)を選択します。

  3. [Value] フィールドで、0x0 ~ 0xffff の 16 進数のステーション メッセージ ID の値に基づいてトラフィックを指定します。1 つのメッセージ ID の値を入力するか、ID の範囲の開始値と終了値を入力します。

  4. ロギングをイネーブルまたはディセーブルにするかどうかを選択します。アクションは常にパケットのドロップです。

  5. [OK] をクリックして、フィルタを追加します。必要に応じてプロセスを繰り返します。

ステップ 7

[SCCP (Skinny) Inspect Map] ダイアログ ボックスの [OK] をクリックします。

これで、このインスペクション マップを SCCP インスペクション サービス ポリシーで使用できるようになります。


次のタスク

マップを使用するためのインスペクション ポリシーを設定できるようになりました。アプリケーション レイヤ プロトコル インスペクションの設定 を参照してください。

STUN インスペクション

RFC 5389 で定義されている Session Traversal Utilities for NAT(STUN)は、プラグインが不要になるように、ブラウザベースのリアルタイム コミュニケーション用に WebRTC クライアントによって使用されます。WebRTC クライアントは、多くの場合、クラウド STUN サーバーを使用してパブリック IP アドレスおよびポートを学習します。WebRTC は、Interactive Connectivity Establishment(ICE、RFC 5245)を使用してクライアント間の接続を確認します。これらのクライアントは、TCP やその他のプロトコルを使用することもできますが、通常、UDP を使用します。

ファイアウォールは、多くの場合、発信 UDP トラフィックをブロックするため、Cisco Spark などの WebRTC 製品が接続を完了できないことがあります。STUN インスペクションでは、STUN エンドポイント用のピンホールが開かれ、STUN と ICES の基本コンプライアンスが適用されます。これにより、両側で接続チェックが確認応答された場合にクライアントの通信が許可されます。このため、これらのアプリケーションをイネーブルにするためにアクセス ルールで新しいポートを開く必要がなくなります。

デフォルトのインスペクション クラスで STUN インスペクションをイネーブルにすると、STUN トラフィックに関して TCP/UDP ポート 3478 が監視されます。このインスペクションは、IPv4 アドレスと TCP/UDP のみをサポートします。

STUN インスペクションには NAT に関するいくつかの制限があります。WebRTC トラフィックについては、スタティック NAT/PAT44 がサポートされます。Cisco Spark はピンホールを必要としないので、Spark は追加のタイプの NAT をサポートできます。また、ダイナミック NAT/PAT を含む NAT/PAT64 を Cisco Spark で使用することもできます。

ピンホールが複製されるとき、STUN インスペクションはフェールオーバー モードとクラスタ モードでサポートされます。ただし、トランザクション ID はノード間で複製されません。STUN 要求の受信後にノードに障害が発生し、別のノードが STUN 応答を受信した場合、STUN 応答はドロップされます。


(注)  


STUN インスペクションでは、要求と応答を照合するためにトランザクション ID が使用されます。デバッグを使用して接続のドロップをトラブルシューティングする場合は、システムがデバッグ出力の ID の形式(エンディアンネス)を変更するため、pcap で表示される ID と直接比較されないことに注意してください。


STUN インスペクションのイネーブル化の詳細については、アプリケーション レイヤ プロトコル インスペクションの設定 を参照してください。

音声とビデオのプロトコル インスペクションの履歴

機能名

リリース

機能情報

SIP、SCCP、および TLS プロキシでの IPv6 のサポート

9.3(1)

SIP、SCCP、および TLS プロキシ(SIP または SCCP を使用)を使用している場合、IPv6 トラフィックを検査できるようになりました。

変更された ASDM 画面はありません。

SIP での信頼検証サービス、NAT66、CUCM 10.5、およびモデル 8831 電話機のサポート。

9.3(2)

SIP インスペクションで信頼検証サービス用サーバを設定できるようになりました。NAT66 も使用できます。SIP インスペクションは CUCM 10.5 でテスト済みです。

SIP インスペクション ポリシー マップに信頼検証サービス サーバーのサポートが追加されました。

複数のコアを搭載した ASA での SIP インスペクションのパフォーマンスが向上。

9.4(1)

複数のコアで ASA を通過する SIP シグナリングチングが複数存在する場合の SIP インスペクション パフォーマンスが向上しました。ただし、TLS、電話、または IME プロキシを使用する場合、パフォーマンスの向上は見られません。

変更された ASDM 画面はありません。

ASA クラスタリングでの SIP インスペクションのサポート

9.4(1)

ASA クラスタで SIP インスペクションを設定できます。制御フローは、任意のユニットで作成できますが(ロード バランシングのため)、その子データ フローは同じユニットに存在する必要があります。TLS プロキシ設定はサポートされていません。

変更された画面はありません。

電話プロキシおよび UC-IME プロキシに対する SIP インスペクションのサポートが削除されました。

9.4(1)

SIP インスペクションを設定する際、電話プロキシまたは UC-IME プロキシは使用できなくなります。暗号化されたトラフィックを検査するには、TLS プロキシを使用します。

[Select SIP Inspect Map service policy] ダイアログボックスから [Phone Proxy] と [UC-IME Proxy] が削除されました。

H.460.18 互換性に関連する H.225 SETUP メッセージの前に着信する H.255 FACILITY メッセージに対する H.323 インスペクションのサポート。

9.6(1)

H.225 FACILITY メッセージが H.225 SETUP メッセージの前に着信する(これは、エンドポイントが H.460.18 に準拠する場合に発生する場合があります)ことを許可するように H.323 インスペクション ポリシー マップを設定できるようになりました。

H.323 インスペクション ポリシー マップの [Call Attributes] タブにオプションが追加されました。

Session Traversal Utilities for NAT(STUN)インスペクション

9.6(2)

Cisco Spark を含む WebRTC アプリケーションの STUN トラフィックを検査できるようになりました。インスペクションでは、リターン トラフィックに必要なピンホールが開きます。

[Add/Edit Service Policy] ダイアログボックスの [Rule Actions] > [Protocol Inspection] タブにオプションが追加されました。

TLS プロキシでの TLSv1.2 と Cisco Unified Communications Manager 10.5.2 のサポート。

9.7(1)

暗号化 SIP 用の TLS プロキシでの TLSv1.2、または Cisco Unified Communications Manager 10.5.2 での SCCP インスペクションを使用できるようになりました。TLS プロキシは、client cipher-suite コマンドの一部として追加された TLSv1.2 暗号スイートをサポートします。

変更された画面はありません。

SCCP(Skinny)インスペクションでは、TLS プロキシが廃止されました。

9.13(1)

tls-proxy キーワード、および SCCP/Skinny 暗号化インスペクションのサポートは廃止されました。このキーワードは今後のリリースで inspect skinny コマンドから削除される予定です。

SCCP(Skinny)インスペクションでは、TLS プロキシのサポートがなくなりました。

9.14(1)

tls-proxy キーワード、および SCCP/Skinny 暗号化インスペクションのサポートは削除されました。

デフォルトの SIP インスペクション ポリシー マップは、非 SIP トラフィックをドロップします。

9.16(1)

SIP インスペクションされるトラフィックでは、現在、デフォルトでは非 SIP トラフィックがドロップされます。以前のデフォルトでは、SIP のインスペクション対象ポートで非 SIP トラフィックが許可されていました。

デフォルトの SIP ポリシーマップが変更され、no traffic-non-sip コマンドが追加されました。