接続障害管理について

表 1. 機能の履歴
機能名 リリース情報 説明
Cisco IOS XE Catalyst SD-WAN デバイス におけるイーサネット接続障害管理サポート

Cisco IOS XE Catalyst SD-WAN リリース 17.4.1a

Cisco vManage リリース 20.4.1

イーサネット接続障害管理機能は、キャリア イーサネット ネットワーク リンクのモニタリングに役立ちます。

イーサネット CFM について

イーサネット接続障害監理(CFM)は、サービスインスタンスごとのエンドツーエンド イーサネット レイヤの運用、保守、管理プロトコルです。大規模なイーサネット メトロポリタンエリア(MAN)およびワイドエリアネットワーク(WAN)向けのプロアクティブな接続モニタリング、障害検証、および障害分離機能が組み込まれています。サービスプロバイダーのネットワークは大規模で複雑であり、幅広いユーザーベースがありますOAM プロトコルは、障害を切り分け、タイムリーに障害に対処するのに役立ちます。

Cisco Catalyst SD-WAN での CFM の仕組み

プロバイダーエッジルータと顧客宅内機器(CPE)がキャリア イーサネット ネットワークを介して接続されているネットワークでは、リンクの切断を監視する必要があります。キャリア イーサネット ネットワークで CFM がサポートされているため、CFM メッセージがプロバイダーエッジと CPE 間で交換され、CFM プロトコルはプロバイダーエッジがネットワーク内のリンク障害を認識できるようにします。

Cisco Catalyst SD-WAN の CFM は、次のインターフェイスタイプでサポートされています。

  • VDSL インターフェイス

  • SHDSL インターフェイス

  • GigabitEthernet インターフェイス

次のコンポーネントは、Cisco Catalyst SD-WAN で CFM の機能をサポートします。

ダウン メンテナンス エンド ポイント

メンテナンスドメインは、ネットワークの管理を行うための管理空間です。ドメインは、単一のエンティティによって所有および運用され、一連の内部ドメインポートとその境界によって定義されます。メンテナンス アソシエーションとは、メンテナンスドメイン内で一意に識別されるサービスを指します。CFM プロトコルは、メンテナンス アソシエーション内で動作します。

メンテナンスエンドポイント(MEP)は、メンテナンスドメイン内で CFM に参加するインターフェイス上の境界点です。MEP より低いレベルのフレームはすべて廃棄され、高いレベルのフレームはすべて転送されます。MEP はメンテナンスドメイン(レベル)およびサービス(S-VLAN またはイーサネット仮想回線(EVC))ごとに定義されます。ドメインのエッジに存在して境界を定義し、CFM メッセージをその境界内に限定します。MEP は CFM 連続性チェックメッセージ(CCM)をプロアクティブに送信し、管理者の要求に応じてトレースルートとループバックメッセージを送信できます。

ダウン MEP は、MEP が設定されているポートに接続された回線を経由して、CFM フレームを送受信します。リレー側からの CFM フレームの場合、ダウン MEP はそのレベル以下のフレームを破棄します。回線側から CFM フレームを受信した場合、ダウン MEP は他の下位レベルのダウン MEP へのトラフィックを除いて、同じレベルのすべてのフレームは処理し、それより低いレベルのフレームは廃棄します。より高いレベルの CFM フレームはすべて、リレー側と回線側のどちらから受信した場合も、透過的に転送します。

サブインターフェイスごとにダウン MEP を展開するには、最初に EVC+VLAN メンテナンス アソシエーションを作成し、サブインターフェイスで VLAN ID を設定してから、そのサブインターフェイスの親インターフェイスでダウン MEP を設定する必要があります。

イーサネット CFM とイーサネット OAM の相互作用

イーサネット仮想回線

Metro Ethernet Forum によって定義されているように、イーサネット仮想回線(EVC)は、ポートレベルのポイントツーポイントまたはマルチポイントツーマルチポイントのレイヤ 2 回線です。エッジデバイスは EVC ステータスを使用して、サービス プロバイダー ネットワークへの代替パスを検索したり、場合によっては、イーサネット経由や非同期転送モード(ATM)などの別の代替サービス経由でバックアップパスにフォールバックしたりします。

OAM マネージャ

OAM マネージャは、OAM プロトコル間でデータのやりとりを効率化するためのインフラストラクチャ要素です。OAM マネージャには、2 つのインターワーキング OAM プロトコル(ここでは、イーサネット CFM とイーサネット OAM)が必要です。相互作用は、OAM マネージャから CFM プロトコルへの単方向で、ユーザ ネットワーク インターフェイス(UNI)のポート ステータス情報のみが交換されます。その他に、次のポートステータスの値を利用できます。

  • REMOTE_EE:リモート超過エラー

  • LOCAL_EE:ローカル超過エラー

  • TEST:リモートまたはローカル ループバック

CFM は、ポート ステータス情報を受信した後、CFM ドメイン全体にこのステータスを伝達します。

SNMP トラップ

MEP は 2 種類の Simple Network Management Protocol(SNMP)トラップを生成します。連続性チェック(CC)トラップとクロスチェックトラップです。

連続性チェックトラップ:
  • MEP up:新しい MEP が検出されたとき、リモートポートのステータスが変更されたとき、または検出済みの MEP との接続が中断後、回復したときに送信されます。

  • MEP down:タイムアウトまたは last gasp イベントの発生時に送信されます。

  • Cross-connect:サービス ID が VLAN と一致しない場合に送信されます。

  • Loop:MEP が独自の連続性チェックメッセージ(CCM)を受信したときに送信されます。

  • Configuration error:MEP が重複する MPID を持つ連続性チェックを受信したときに送信されます。

クロスチェックトラップ:
  • Service up:予定のリモート MEP が、すべて時間どおりに起動した場合に送信されます。

  • MEP missing:予定の MEP がダウンしている場合に送信されます。

  • Unknown MEP:予期しない MEP から CCM が受信された場合に送信されます。

イーサネット CFM の設定に関する制約事項

  • CFM は Cisco SD-WAN Manager の CLI を介してのみ設定できます。したがって、CFM 実行ファイルにアクセスして、デバイスの SSH ターミナルにおけるリンク障害の検出、検証、および分離に対応できます。

  • UP MEP およびメンテナンス中間ポイント(MIP)はサポートされていません。

  • CFM によるレイヤ 2 トレースルートや ping などの CFM トラブルシューティング機能は、Cisco SD-WAN Manager でサポートされていません。この機能はデバイス上でのみ実行できます。

Cisco SD-WAN Manager の CLI テンプレートを使用したイーサネット CFM の設定

次のコマンドを使用して、イーサネット CFM を設定します。

  1. CFM の CFM IEEE バージョンを有効にする場合:

    Device(config)# ethernet cfm ieee

  2. デバイスの CFM 処理をグローバルに有効にする場合:

    Device(config)# ethernet cfm global

  3. トレースルートメッセージによって取得された CFM データのキャッシングを有効にする場合:

    Device(config)# ethernet cfm traceroute cache

  4. イーサネット CFM の syslog メッセージを有効にする場合:

    Device(config)# ethernet cfm logging

  5. イーサネット CFM 連続性チェックイベントで SNMP トラップの生成を有効にする場合:

    Device(config)# snmp-server enable traps ethernet cfm cc

  6. 静的に設定された MEP と CCM 経由で取得された MEP の間でのクロスチェック操作に関連した、イーサネット CFM 連続性チェックイベントで、SNMP トラップの作成を有効にする場合:

    csnmp-server enable traps ethernet cfm crosscheck

  7. EVC を定義し、EVC コンフィギュレーション モードを開始する場合:

    Device(config)# ethernet evc evc-id

  8. 特定のメンテナンスレベルで CFM メンテナンスドメインを定義し、CFM コンフィギュレーション モードに切り替える場合:

    Device(config)# ethernet cfm domain domain-name level level-id

  9. 送信元 ID TLV とネイバー デバイスのタイプ、長さ、値などの属性を指定する場合:

    Device(config)# sender-id chassis

  10. メンテナンスドメイン内にメンテナンス アソシエーションを設定し、イーサネット CFM サービスのコンフィギュレーション モードに切り替える場合:

    Device(config-ecfm)# service short-ma-name evc evc-name vlan vlanid direction down

  11. オフロードサンプリングを設定する場合:

    Device(config)# offload sampling sample

  12. CCM の送信を有効にする場合:

    Device(config-ecfm-srv)# continuity-check

  13. CCM の送信間隔を設定する場合(デフォルトの間隔は 10 秒):

    Device(config-ecfm-srv)# continuity-check [interval cc-interval]

  14. インターフェイスで MEP ドメインと ID を設定する場合:

    Device(config)# interface interface-name

    Device(config-if)# cfm mep domain domain-name mpid id service service-name

各コマンドの実行目的の詳細については、『Configuring Ethernet CFM』[英語] を参照してください。

設定例

次の設定例は、EVC+VLAN メンテナンス アソシエーションのサブインターフェイスごとに CFM を設定する方法を示しています。


config-transaction
 ethernet cfm ieee
 ethernet cfm global
 ethernet evc USER-SERVICE
 !
 ethernet cfm domain USER level 7
  service USER-SERVICE evc USER-SERVICE vlan 112 direction down
   continuity-check
   continuity-check interval 10s
   continuity-check loss-threshold 3
 !
 ethernet cfm logging 
 !
 interface GigabitEthernet0/0/1
  no ip address
  speed 100
  no negotiation auto
  ethernet cfm mep domain USER mpid 1562 service USER-SERVICE
   cos 2
 !
 interface GigabitEthernet0/0/1.112
  description NAME 2286884663
   encapsulation dot1Q 112
   ip address 192.0.2.1 255.255.255.0

次の設定例は、ポート メンテナンス アソシエーションの物理インターフェイスごとに CFM を設定する方法を示しています。


config-transaction
 ethernet cfm ieee
 ethernet cfm global
 ethernet cfm traceroute cache
 ethernet cfm domain USER level 1
  sender-id chassis
  service USER-SERVICE port
   continuity-check
   continuity-check interval 1m
   sender-id chassis
 !
 ethernet cfm logging
 !
 interface Ethernet0/1/0
  no ip address
  load-interval 30
  speed [10/100/1000]
  duplex [half/full]
  ethernet oam mode passive
  ethernet oam remote-loopback supported
  ethernet oam
  ethernet cfm mep domain USER mpid 101 service USER-SERVICE
   alarm notification all
 !
 interface Ethernet0/1/0.101
  encapsulation dot1Q 101
  pppoe enable group global
  pppoe-client dial-pool-number 1
  no cdp enable
  ethernet loopback permit external

この設定は、Cisco SD-WAN Manager の CLI テンプレートおよび CLI アドオンテンプレートで使用できます。

Cisco SD-WAN Manager の CLI アドオンテンプレートの詳細については、「Create a CLI Add-On Feature Template」[英語] を参照してください。