設定作業
ここでは、ギガビット イーサネットおよびファスト イーサネット SPA の設定方法と設定の確認方法について説明します。システム イメージと設定ファイルの管理については、次を参照してください。
必要な設定タスク
ここでは、ギガビット イーサネット SPA を設定するために必要な手順を示します。必須のコンフィギュレーション コマンドの中には、ネットワークに最適なデフォルト値を提供するものがあります。そのデフォルト値がネットワークに適している場合は、そのコマンドを設定する必要はありません。このようなコマンドの説明カラムには、「(必要に応じて)」と示されています。
ファスト イーサネットまたはギガビット イーサネット SPA を設定する手順は、次のとおりです。
手順の概要
- Router# configure terminal
- 次のいずれかを実行します。
- Router(config)# interface gigabitethernet slot /subslot /port. subinterface-number ]
- Router(config)# interface tengigabitethernet slot /subslot /port. subinterface-number ]
- Router(config-if)# ip address ip-address mask {secondary } | dhcp {client-id interface-name }{hostname host-name }]
- Router(config-if)# mtu bytes
- Router(config-if)# standby [group-number ] ip [ip-address [secondary ]]
- Router(config-if)# no shutdown
手順の詳細
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 |
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
次のいずれかを実行します。
例:
例:
|
設定するギガビット イーサネット、10 ギガビット イーサネット、ファスト イーサネット インターフェイスを指定します。
|
ステップ 3 |
Router(config-if)# ip address ip-address mask {secondary } | dhcp {client-id interface-name }{hostname host-name }] |
IP バージョン 4(IPv4)を使用するインターフェイスのプライマリまたはセカンダリ Internet Protocol(IP)アドレスを設定します。
|
ステップ 4 |
Router(config-if)# mtu bytes |
(必要に応じて)インターフェイスの最大パケット サイズを指定します。
デフォルトは 1500 バイトです。範囲は 1500 ~ 9216 です。 |
ステップ 5 |
Router(config-if)# standby [group-number ] ip [ip-address [secondary ]] |
(HSRP 設定の場合に限り必須)HSRP グループの番号および仮想 IP アドレスを使用して、HSRP グループを作成(またはイネーブルに)します。
このコマンドは HSRP をイネーブルにしますが、それ以上の設定は行いません。HSRP 設定の詳細については、ご使用の Cisco IOS ソフトウェア リリースに対応する『Cisco IP Configuration Guide』の HSRP の項を参照してください。 |
ステップ 6 |
Router(config-if)# no shutdown |
インターフェイスをイネーブルにします。 |
SPA のインターフェイス アドレスの指定
SPA インターフェイス ポートの番号は、左から右に向かって「0」から順に付けられます。単一ポートの SPA では、ポート番号 0 のみを使用します。SPA インターフェイスを設定またはモニタするには、CLI(コマンドライン インターフェイス)で SIP、SPA、およびインターフェイスの物理位置を指定する必要があります。インターフェイス アドレスのフォーマットは、slot/ subslot/ port です。
-
slot:Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの、SIP が搭載されているシャーシ スロット番号を指定します。
-
subslot:SPA が搭載された SIP のセカンダリ スロットを指定します。
-
port:SPA の各インターフェイス ポートの番号を指定します。
次に、シャーシ スロット 0 に SIP(0)が搭載されていて、その最初のサブスロットに SPA が搭載されている場合、この SPA の最初のインターフェイス(0)を指定する例を示します。
Router(config)# interface GigabitEthernet 0/0/0
interface GigabitEthernet0/0/0
no ip address
shutdown
negotiation auto
no cdp enable
インターフェイスの MAC アドレスの変更
ギガビット イーサネット SPA は、ポートごとにデフォルト MAC アドレスを使用します。このアドレスは、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータのバックプレーン上にある電気的に消去可能でプログラミング可能な ROM(EEPROM)に格納された基本アドレスから取得されます。
インターフェイスのデフォルト MAC アドレスをユーザ定義アドレスに変更するには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
コマンド |
目的 |
---|---|
Router(config-if)# mac-address ieee-address |
インターフェイスのデフォルト MAC アドレスをユーザ定義アドレスに変更します。
|
インターフェイスのデフォルト MAC アドレスに戻すには、このコマンドの no 形式を使用します。
MAC アドレスの確認
インターフェイスの MAC アドレスを確認するには、show interfaces gigabitethernet 特権 EXEC コマンドを使用して、「address is」フィールドの値を調べます。
次に、Cisco ASR 1000 ルータのスロット 2 に SIP が搭載されていて、そのサブスロット 0 に SPA が搭載されている場合、この SPA のインターフェイス 1 の MAC アドレスが 000a.f330.2e40 である例を示します。
Router# show interfaces gigabitethernet 2/0/1
GigabitEthernet2/0/1 is up, line protocol is up
Hardware is SPA-1X10GE-L-V2, address is 000a.f330.2e40 (bia 000a.f330.2e40)
Internet address is 2.2.2.1/24
MTU 1500 bytes, BW 1000000 Kbit, DLY 10 usec,
reliability 255/255, txload 1/255, rxload 1/255
Encapsulation ARPA, loopback not set
Keepalive not supported
Full-duplex, 1000Mb/s, link type is force-up, media type is SX
output flow-control is on, input flow-control is on
(Additional output removed for readability)
MAC アドレス アカウンティング統計情報の収集
インターフェイスで MAC アドレス アカウンティングを有効にするには、ip accounting mac-address [input | output ] コマンドを入力します。MAC アドレス アカウンティングを有効にすると、show interfaces mac-accounting コマンドを入力することで、MAC アドレス統計情報が表示されます。
Hot Standby Router Protocol の設定
Hot Standby Router Protocol(HSRP)を使用すると、個々のルータの可用性に依存することなくホストから IP トラフィックがルーティングされるため、ネットワーク可用性が高まります。ルータのグループで HSRP を使用して、アクティブ ルータとスタンバイ ルータを選択します(アクティブ ルータとは、パケット転送用に選択されているルータのことです。スタンバイ ルータとは、アクティブ ルータで障害が発生したときや、プリセット条件が満たされたときに、ルーティング処理を引き継ぐルータのことです)。
HSRP は、standby [group-number ] ip [ip-address [secondary ]] コマンドを入力することで、インターフェイスで有効になります。standby コマンドは、さまざまな HSRP 要素を設定する場合にも使用します。このマニュアルでは、複雑な HSRP 設定は扱いません。HSRP 設定の詳細については、ご使用の Cisco IOS XE ソフトウェア リリースに対応する『Cisco IP Configuration Guide』の HSRP の項を参照してください。次の HSRP 設定では、ギガビット イーサネット ポート 2/1/0 のスタンバイ グループ 2 にプライオリティ 110 が設定されています。また、このポートにスイッチオーバーが発生した場合に、プリエンプティブな遅延が発生するように設定されています。
Router(config)#
interface GigabitEthernet 2/1/0
Router(config-if)#
standby 2 ip 120.12.1.200
Router(config-if)#
standby 2 priority 110
Router(config-if)#
standby 2 preempt
HSRP の確認
HSRP 情報を確認するには、EXEC モードで show standby コマンドを使用します。
Router# show standby
Ethernet0 - Group 0
Local state is Active, priority 100, may preempt
Hellotime 3 holdtime 10
Next hello sent in 0:00:00
Hot standby IP address is 198.92.72.29 configured
Active router is local
Standby router is 198.92.72.21 expires in 0:00:07
Standby virtual mac address is 0000.0c07.ac00
Tracking interface states for 2 interfaces, 2 up:
UpSerial0
UpSerial1
インターフェイスの MTU サイズの変更
Cisco IOS ソフトウェアは、プロトコル スタックのレベルに応じて、3 つの異なるタイプの設定可能な最大伝送単位(MTU)オプションをサポートします。
- インターフェイス MTU:ネットワークから着信したトラフィックが、SPA によって調べられます。インターフェイス タイプごとに、サポートされるインターフェイス MTU サイズおよびデフォルト値は異なります。インターフェイス MTU は、ドロップされる前にインターフェイスで受信可能な最大パケット サイズ(バイト数)を定義します。フレームがインターフェイス MTU サイズよりも小さく、インターフェイス タイプの最小フレーム サイズ(イーサネットの場合は 64 バイトなど)以上である場合、フレームの処理は継続されます。
- IP MTU:インターフェイスまたはサブインターフェイスで設定できます。IP パケットが IP MTU サイズを超過すると、パケットは分割されます。
- タグまたはマルチプロトコル ラベル スイッチング(MPLS)MTU:インターフェイスまたはサブインターフェイスに設定できます。最大 6 つの異なるラベル(タグ ヘッダー)をパケットに付加できます。ラベルの最大数は、Cisco IOS ソフトウェア リリースによって異なります。
カプセル化方式および MPLS MTU ラベル数に応じて、パケットに余分なオーバーヘッドが追加されます。たとえば、サブネットワーク アクセス プロトコル(SNAP)カプセル化の場合は 8 バイト ヘッダーが追加されますが、dot1q カプセル化の場合は 2 バイト ヘッダーが追加されます。また、MPLS ラベルごとに、4 バイト ヘッダーが追加されます(ラベル数 n X 4 バイト)。
Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータのギガビット イーサネット SPA の場合、デフォルトの MTU サイズは 1500 バイトです。設定可能な MTU の最大値は 9216 バイトです。SPA は追加オーバーヘッドを格納できるように、設定された MTU サイズに 22 バイトを自動的に追加します。
(注) |
Cisco ASR 1000 シリーズ ルート プロセッサ 1(RP1)、2RU、および 2RU 固定シャーシでは、管理イーサネット インターフェイス(インターフェイス gigabitethernet 0)の MTU サイズは 2370 バイトに制限されています。 |
インターフェイス MTU の設定時の注意事項
Cisco ASR 1000 シリーズ ルータのギガビット イーサネット SPA にあるインターフェイスの MTU サイズを設定する際には、次のガイドラインを参考にしてください。
- デフォルトのインターフェイス MTU サイズは、1,500 バイト パケットに、次に示す追加オーバーヘッドを格納するための追加の 22 バイトを加えた値です。
- レイヤ 2 ヘッダー:14 バイト
- dot1q ヘッダー:4 バイト
- CRC:4 バイト
- MPLS を使用している場合は、mpls mtu コマンドをインターフェイス MTU 以下の値に設定してください。
- MPLS ラベルを使用している場合は、MPLS ラベルを格納できるように、デフォルトのインターフェイス MTU サイズを増加させる必要があります。MPLS ラベル数が 1 増えるごとに、パケットに 4 バイトのオーバーヘッドが追加されます。
インターフェイス MTU の設定作業
インターフェイスの MTU サイズを変更するには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
コマンド |
目的 |
---|---|
Router(config-if)# mtu bytes |
インターフェイスの最大パケット サイズを設定します。
デフォルトは 1,500 バイト、設定可能な最大 MTU は 9,216 バイトです。 |
デフォルトの MTU サイズに戻すには、このコマンドの no 形式を使用します。
MTU サイズの確認
インターフェイスの MTU サイズを確認するには、show interfaces gigabitethernet 特権 EXEC コマンドを使用して、[MTU] フィールドの値を調べます。
次に、Cisco ASR 1000 ルータのスロット 2 に SIP が搭載され、SIP の上部サブスロット(0)にギガビット イーサネット SPA が搭載されている場合、この SPA のインターフェイス ポート 1(2 番めのポート)の MTU サイズが 1,500 バイトである例を示します。
Router# show interfaces gigabitethernet 2/0/1
GigabitEthernet2/0/1 is up, line protocol is up
Hardware is SPA-1X10GE-L-V2, address is 000a.f330.2e40 (bia 000a.f330.2e40)
Internet address is 2.2.2.1/24
MTU 1500 bytes
, BW 1000000 Kbit, DLY 10 usec,
reliability 255/255, txload 1/255, rxload 1/255
Encapsulation ARPA, loopback not set
Keepalive not supported
QoS 分類
物理レベル インターフェイス モジュール(PLIM)は、メディア インターフェイスとフォワーディング エンジン間のデータ パスに位置するハードウェア コンポーネントです。
QoS を設定するには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
コマンド |
目的 |
---|---|
Router(config-if)# plim qos input map ip {precedence-based | precedence precedence-value queue low-latency } |
IP プレシデンス ビットの値に沿って着信 IP トラフィックを分類し、トラフィックを適切なキューに割り振ります。
設定した値を削除するには、このコマンドの no 形式を使用します。 |
Router(config-if)# plim qos input map ipv6 all queue low-latency | 0 |
すべての IPv6 パケットを、高優先度または低優先度として分類します。
no を指定した形式でこのコマンドを実行すると、デフォルトの IPv6 の分類がすべて無効になります。このコマンドを使用しない場合は、コマンドは無効になります。 |
Router(config-if)# plim qos input map ipv6 tc [tc-value | tc-range ] queue low-latency | 0 |
トラフィック クラス ビットの値に基づいて着信 IPv6 トラフィックを分類し、トラフィックを適切なキューに割り振ります。
no を指定した形式でこのコマンドを実行すると、デフォルトの DSCP EF に沿って分類が行われるように設定されます。 デフォルトでは、トラフィック クラスの値が ef に等しい IPv6 トラフィックに優先度の高いキューが使用され、それ以外のトラフィックには優先度の低いキューが使用されます。分類には、トラフィック クラスのオクテットにおける最上位の 6 ビットのみが使用されます。 |
Router(config-if)# plim qos input map mpls all queue low-latency | 0 |
すべての MPLS パケットを、高優先度または低優先度として分類します。
このコマンドの no 形式を使用すると、MPLS の分類が無効化されます。デフォルトではこのコマンドは使用されず、コマンドが無効になります。 |
Router(config-if)# plim qos input map mpls exp exp-value | exp-range queue low-latency | 0 |
exp ビットの値に沿って着信 MPLS トラフィックを分類し、トラフィックを適切なキューに割り振ります。
デフォルトでは、このコマンドを使用しないと、MPLS EXP の範囲 6 ~ 7 が、ギガビット イーサネット SPA によって高優先度に分類されます。 no を指定した形式でこのコマンドを実行すると、デフォルトの exp 範囲 6 ~ 7 に沿って分類が行われるように設定されます。 |
Router(config-if)# plim qos input queue low-latency | 0 pause [enable | threshold percent ] |
フロー制御のステータスに応じたイーサネット ポーズ フレームの生成を有効にします。
デフォルトの場合、このコマンドを使用しないと、low latency キューに対して、ポーズ フレームの生成が有効になります。 no を指定した形式でこのコマンドを実行すると、キューに対するポーズ フレームの生成が無効になります。 |
Router(config-if)# plim qos input [bandwidth value_in_Kbps [low-latency]] [weight weight ] |
優先度とは関係なく、すべてのポートを指定します。もしくは、優先度のみを指定(low-latency )し、最低限の帯域保証を許容します。この場合の帯域保証とは、要求される最低限の帯域幅、超過スケジューリングの際に割り当てられるウェイトの値を意味します。 デフォルト モード(このコマンドを使用しない場合)では、最小値でのスケジューリングが off になっており、超過スケジューリングのみが動作します。この場合、インターフェイスの帯域幅に対しては、デフォルトの比例配分のウェイトが使用されます。 no を指定した形式でこのコマンドを実行すると、インターフェイスにデフォルトの最低限の帯域幅とウェイトが設定されます。 |
ポート レベルまたは物理レベル QoS の分類
ポート レベル、または物理レベルの分類に対しては、次のコマンドを使用します。
コマンド |
目的 |
---|---|
Router(config-if)# plim qos input map ip all queue low-latency | 0 |
すべての IPv4 パケットの優先度を高もしくは低に指定することを、ユーザに許可します。
no を指定した形式でこのコマンドを実行すると、すべての IPv4 の分類が無効になります。デフォルトではこのコマンドは使用されず、コマンドが無効になります。 |
Router(config-if)# plim qos input map ip dscp-based |
IP DSCP ベースの分類を有効にします。 デフォルトでは、このコマンドを使用しない場合、ギガビット イーサネット SPA で、Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータの IP プレシデンス ベースでの分類が有効になります。 no を指定した形式でこのコマンドを実行すると、IP DSCP ベースの分類が完全に無効になります。 |
Router(config-if)# plim qos input map ip dscp dscp-value | dscp-range queue low-latency | 0 0 |
IP DSCP の値や範囲の指定を、ユーザに許可します。
デフォルトの場合、このコマンドを使用しないと、ギガビット イーサネット SPA では、DSCP の cs6-cs7 が高優先度に分類されます。 no を指定した形式でこのコマンドを実行すると、IP DSCP の値や範囲が削除されます。 |
カプセル化タイプの設定
ギガビット イーサネット SPA のインターフェイスは、デフォルトで高等研究計画局(ARPA)カプセル化をサポートします。これらのインターフェイスでは、フレームを送信するためにサービス アクセス ポイント(SAP)または SNAP カプセル化を設定することはできません。ただし、SAP および SNAP カプセル化を使用するフレームは正常に受信されます。
SPA インターフェイスでサポートされるその他のカプセル化方式は、仮想 LAN(VLAN)の場合、IEEE 802.1Q カプセル化だけです。
インターフェイスでの自動ネゴシエーションの設定
ファスト イーサネットおよびギガビット イーサネット インターフェイスは、自動ネゴシエーションと呼ばれる接続設定アルゴリズムを使用します。 ローカルおよびリモート デバイスは自動ネゴシエーションを使用して、リンクを介した通信設定の互換性を保つことができます。各デバイスは自動ネゴシエーションを使用して送信機能をアドバタイズし、リンクで使用する設定について合意します。
Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータのギガビット イーサネット インターフェイスでは、自動ネゴシエーションが有効な場合、フロー コントロールが自動ネゴシエーションされます。自動ネゴシエーションはデフォルトでイネーブルです。
自動ネゴシエーションに関して、次の注意事項に従う必要があります。
- リンクの一端で自動ネゴシエーションがディセーブルである場合は、リンクの反対側でもディセーブルにする必要があります。リンクの一端で自動ネゴシエーションがディセーブルであるにもかかわらず、反対側でイネーブルである場合、リンクは両端で適切に起動しません。
- 自動ネゴシエーションは、Cisco ASR1000-SIP10 の 10 ポート ギガビット イーサネットではサポートされていません。
- フロー制御はデフォルトでイネーブルです。
- 自動ネゴシエーションがリンク両端でディセーブルな場合、フロー制御は有効です。
自動ネゴシエーションの無効化
Cisco ASR1000-SIP10 のファスト イーサネット インターフェイスおよびギガビット イーサネット インターフェイスでは、自動ネゴシエーションが自動的に有効になりますが、無効にもできます。自動ネゴシエーション中には、使用中のメディア(光ファイバ、銅線)に応じて、フロー制御、速度、デュプレックスのアドバタイズが行われます。自動ネゴシエーションが無効化されたリンクにインターフェイスが接続されている場合は、リンクの反対側で自動ネゴシエーションを再度有効にするか、可能であれば、ファスト イーサネットまたはギガビット イーサネット SPA で自動ネゴシエーションを無効にする必要があります。リンクの一端でだけ自動ネゴシエーションが無効になっている場合は、リンクの両端が適切に起動しません。
速度およびデュプレックス設定は自動ネゴシエーションを使用してアドバタイズされます。一方、ネゴシエートされるのは、次の値のみになります。
- ファスト イーサネット SPA の場合:100 Mbps(速度および全二重モード)。
- RJ-45 銅線インターフェイスを使用するギガビット イーサネット SPA の場合:1000 Mbps(速度と全二重モード)。光ファイバ インターフェイスを使用する場合は、回線速度はネゴシエートされません。
ユーザにとっては、これらの設定はネゴシエートされたというよりは、自動ネゴシエーションを使用して有効化されたと見なされます。光ファイバ用に 1000Base-X、IEEE 1000Base-X 標準をサポートするギガビット イーサネット SPA 向け SFP では、回線速度のネゴシエーションはサポートされていません。
自動ネゴシエーションを無効にするには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
コマンド |
目的 |
---|---|
Router(config-if)# no negotiation auto |
Cisco ASR1000-SIP10 のファスト イーサネットまたはギガビット イーサネット SPA インターフェイスで、自動ネゴシエーションを無効にします。フロー制御はアドバタイズされません。 |
速度およびデュプレックスの設定
2 ポート ギガビット イーサネット SPA のファスト イーサネット、もしくは RJ-45 インターフェイスで自動ネゴシエーションがオフになっている場合、速度とデュプレックスの設定を手動で指定することができます。
(注) |
SFP-GE-T を使用している場合は、速度とデュプレックスの両方を設定する必要があります。 |
(注) |
Cisco ASR 1002-X ルータでは、銅線(SFP)ポートのフロー制御は、デュプレックス設定に関係なくオンになります。一方、Cisco ASR 1002 ルータでは、銅線 SFP ポートのフロー制御は、デュプレックス設定が半二重のときにオフになります。 |
ファスト イーサネットまたはギガビット イーサネット インターフェイスで速度を設定するには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで speed コマンドを使用します。デフォルト設定に戻すには、このコマンドの no 形式を使用します。
コマンド |
目的 |
---|---|
Router(config-if)# speed {10 | 100 | 1000 } |
インターフェイスを 10 Mbps、100 Mbps、1000 Mbps で伝送するように設定します。(「1000 」のキーワードが有効なのは、ギガビット イーサネットの場合だけです) |
インターフェイス上でデュプレックスの動作を設定するには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで duplex コマンドを使用します。デフォルト値に戻すには、このコマンドの no 形式を使用します。
コマンド |
目的 |
---|---|
Router(config-if)# duplex {full | half } |
全二重または半二重の動作を指定します。 |
メディア タイプの設定
2 ポート ギガビット イーサネット SPA では、RJ-45 および光ファイバ ポートをサポートしています。対象のポートに対して、RJ-45 か光ファイバ ポートを選択するには、media-type 設定コマンドを使用します。
コマンド |
目的 |
---|---|
Router(config-if)# media-type {10baset | 100baset | rj45 | gbic } |
インターフェイスの物理的な接続を指定します。 |
自動ネゴシエーションの有効化
ファスト イーサネットまたはギガビット イーサネット インターフェイスで自動ネゴシエーションを再度有効にするには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
コマンド |
目的 |
---|---|
Router(config-if)# negotiation auto |
Cisco ASR1000-SIP10 のファスト イーサネット SPA インターフェイス、または Cisco ASR1000-SIP10 のギガビット イーサネット SPA インターフェイスで自動ネゴシエーションを有効にします。フロー制御がアドバタイズされます。 |
VLAN でのサブインターフェイスの設定
(注) |
Cisco IOS XE リリース 2.5 より前のソフトウェア リリースでは、イーサネット SPA ごとに 802.1Q VLAN インターフェイスを 8100 しか設定できません。Cisco IOS XE リリース 2.5 以降では、hw-module subslot ethernet vlan unlimited コマンドを使用することで、システムのデフォルトを増やし、各 SPA のポートごとに dot1q VLAN を最大 4094 設定できるようになります。デフォルトの VLAN は 8100 です。 |
VLAN のファスト イーサネット SPA インターフェイスおよびギガビット イーサネット SPA インターフェイスのサブインターフェイスを設定するには、IEEE 802.1Q カプセル化を使用します。Cisco ASR1000-SIP10 の 2 ポート ギガビット イーサネット SPA インターフェイスおよびサブインターフェイスでは、デフォルトで Cisco Discovery Protocol(CDP)が無効になっています。
VLAN の SPA サブインターフェイスを設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
手順の概要
- Router(config)# hw-module subslot slot / subslot ethernet vlan unlimited
- 次のいずれかを実行します。
- Router(config)# interface gigabitethernet slot /subslot /port. subinterface-number
- Router(config)# interface tengigabitethernet slot /subslot /port. subinterface-number
- Router(config-subif)# encapsulation dot1q vlan-id
- Router(config-if)# ip address ip-address mask [secondary ]
手順の詳細
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 |
Router(config)# hw-module subslot slot / subslot ethernet vlan unlimited |
(任意)各イーサネット SPA のポートごとに、dot1q VLAN を最大 4094 設定可能にします。
|
ステップ 2 |
次のいずれかを実行します。
|
設定するギガビット イーサネット インターフェイスを指定します。
|
ステップ 3 |
Router(config-subif)# encapsulation dot1q vlan-id |
カプセル化フォーマットを IEEE 802.1Q(「dot1q」)として定義します。vlan-id は VLAN の番号(1 ~ 4094)です。 |
ステップ 4 |
Router(config-if)# ip address ip-address mask [secondary ] |
インターフェイスのプライマリまたはセカンダリ IP アドレスを設定します。
|
VLAN の分類
(注) |
hw-module subslot ethernet vlan unlimited コマンドが設定されている場合、CoS ビット 6 ~ 7 が高優先度に分類されるデフォルトの設定が引き続きサポートされます。ただし、plim qos input map cos queue コマンドで、CoS 値の優先度の分類の高低を、ユーザが定義することはサポートされていません。 |
VLAN スケールの設定を有効にする際の警告メッセージの追加
Cisco IOS XE リリース 2.1.0S 以降では、VLAN スケール構成を有効にした場合、警告メッセージが表示されます。
以前の動作
hw-module subslot slot/subslot ethernet vlan unlimited コマンドを使用して、VLAN スケール構成を有効にする場合、VLAN のカスタム COS 設定が失われますが、情報メッセージは表示されませんでした。
新しい動作
Cisco IOS XE リリース 2.1.0S 以降では、hw-module subslot slot/subslot ethernet vlan unlimited コマンドを使用して、VLAN スケール構成を有効にすると、VLAN COS ビットの分類が失われることを示す警告メッセージが表示されるようになりました。
次の例は、出力結果のサンプルです。 hw-module subslot slot/subslot ethernet vlan unlimited command displaying a warning message.
Router(config)# hw-module subslot 1/3 ethernet vlan unlimited
%VLAN input classification in subslot 1/3 will not be available.
VLAN の分類を指定するには、サブインターフェイス コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
コマンド |
目的 |
---|---|
Router(config-subif)# plim qos input map cos enable |
802.1q VLAN COS ビットにもとづいたパケットの分類を有効にします。 デフォルトでは、このコマンドはギガビット イーサネット SPA で有効になっています。 no を指定した形式でこのコマンドを実行すると、COS の分類が完全に無効になります。 このコマンドは dot1q サブインターフェイス コンフィギュレーション モードで使用されます。同モードは、メイン物理インターフェイスまたはギガビット イーサチャネル(GEC)リンク バンドルのいずれでも利用できます。 |
Router(config-subif)# plim qos input map cos cos-value | cos-range queue low-latency | 0 0 |
COS の値もしくは範囲を、高優先順位(low-latency )、または低優先順位(0 )に指定することを、ユーザに許可します。 デフォルトでは、このコマンドが使用されない場合、COS の値が 6 ~ 7 に該当すると、高優先度に分類されます。デフォルトの動作がサポートされるのは、hw-module subslot ethernet vlan unlimited コマンドが設定されている場合のみです。 no を指定した形式でこのコマンドを実行すると、デフォルト値(COS 優先度の値が 6 ~ 7)に従って分類が行われるように設定されます。 このコマンドは、メイン物理インターフェイスまたはギガビット イーサチャネル(GEC)リンク バンドルのいずれでも、VLAN サブインターフェイス コンフィギュレーション モードで利用できます。 |
VLAN のサブインターフェイス設定の確認
VLAN のサブインターフェイスの設定およびステータスを確認するには、show vlans 特権 EXEC コマンドを使用します。
次に、VLAN 200 に搭載された SPA のポート 0 のサブインターフェイス 1 のステータス例を示します。
Router# show vlans
VLAN ID:200 (IEEE 802.1Q Encapsulation)
Protocols Configured: Received: Transmitted:
IP 0 2
VLAN trunk interfaces for VLAN ID 200:
GigabitEthernet4/1/0.1 (200)
IP:12.200.21.21
Total 0 packets, 0 bytes input
Total 2 packets, 120 bytes output
設定の保存
実行コンフィギュレーションを NVRAM(不揮発性 RAM)に保存するには、特権 EXEC コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
コマンド |
目的 |
---|---|
Router# copy running-config startup-config |
新しい設定を NVRAM に書き込みます。 |
システム イメージおよびコンフィギュレーション ファイルの管理については、ご使用の Cisco IOS ソフトウェア リリースに対応する『Cisco IOS Configuration Fundamentals Configuration Guide』および『Cisco IOS Configuration Fundamentals Command Reference』を参照してください。
SPA のインターフェイスのシャットダウンおよび再起動
SPA の任意のインターフェイス ポートは、個別にシャットダウンしたり再起動したりすることができます。インターフェイスをシャットダウンすると、トラフィックが停止し、インターフェイスは「管理上のダウン」状態になります。
ギガビット イーサネット SPA での活性挿抜(OIR)に関する制限はありません。ギガビット イーサネット SPA は、いつでも SIP から取り外すことができます。任意のタイプの SPA が搭載された SIP を、いつでもルータから取り外すことができます。
SPA の OIR の準備を行っている場合は、SPA を非アクティブにする前に、各インターフェイスを個別にシャットダウンする必要はありません。 hw-module subslot stop コマンドを使用すると、インターフェイスのトラフィックが自動的に停止し、SPA とともにインターフェイスが非アクティブになって、活性挿抜を実行できるようになります。
同様に、SPA または SIP の OIR 後に、SPA のインターフェイスを個別に再起動する必要はありません。
SPA のインターフェイスをシャットダウンするには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
コマンド |
目的 |
---|---|
Router(config-if)# shutdown |
インターフェイスをディセーブルにします。 |
SPA のインターフェイスを再起動するには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
コマンド |
目的 |
---|---|
Router(config-if)# no shutdown |
ディセーブルにされたインターフェイスを再起動します。 |