VXLAN BGP EVPN 中の DHCP リレーの概要
DHCP リレーは、ホストと DHCP サーバ間で DHCP パケットを転送するために使用されます。VXLAN VTEP は、マルチテナント VXLAN 環境で DHCP リレー サービスを提供することにより、リレー エージェントとして動作できます。
DHCP リレーを使用する場合、DHCP メッセージは同じスイッチ内を双方向に送信されることが必要です。DHCP リレーの GiAddr(ゲートウェイ IP アドレス)は一般に、スコープの選択と DHCP 応答メッセージに使用されます。分散 IP エニーキャスト ゲートウェイを備えた VXLAN ファブリックでは、DHCPメッセージは、それぞれのゲートウェイ IP アドレス(GiAddr)をホストする任意のスイッチに返すことができます。
ソリューションには、各スイッチのスコープ選択と一意の IP アドレスの異なる方法が必要です。スイッチごとの固有ループバック インターフェイスは、正しいスイッチに応答するための GiAddr になります。Option 82(dhcp option vpn)は、L2VNI に基づくスコープ選択に使用されます。
マルチテナント EVPN 環境で DHCP リレーは、オプション 82 の次のサブオプションを使用します。
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サブオプション 151(0x97):仮想サブネットの選択(RFC#6607 で定義)
MPLS-VPN および VXLAN EVPN マルチテナント環境中の DHCP サーバへの VRF 関連情報の伝達に使用されます。
- サブオプション 11(0xb):サーバ IDに のオーバーライド(RFC#5107 で定義)
サーバ識別子(サーバ ID)のオーバーライド サブオプションは、DHCP リレー エージェントによるサーバ ID オプションへの新しい値の指定を可能にし、これは DHCP サーバにより応答パケットに挿入されます。このサブオプションによって DHCP リレー エージェントは実際の DHCP サーバとして機能するようになり、たとえば renew 要求は DHCP サーバではなくリレー エージェントに直接届くようになります。サーバ ID オーバーライド サブオプションには着信インターフェイスの IP アドレスが含まれており、これはクライアントからアクセス可能なリレー エージェント上の IP アドレスです。この情報を使用して、DHCP クライアントは renew および release 要求パケットをすべてリレー エージェントへ送ります。リレー エージェントは適切なサブオプションをすべて付加した後、renew および release 要求パケットをオリジナルの DHCP サーバに転送します。この機能におけるシスコ独自の実装は、サブオプション 152(0x98)です。機能の制御には、ip dhcp relay sub-option type cisco コマンドを使用できます。
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サブオプション 5(0x5):リンクの選択(RFC#3527 で定義)
リンクの選択サブオプションが提供するのは、DHCP クライアントが存在するサブネット/リンクを、リレー エージェントとの通信に DHCP サーバが使用するゲートウェイ アドレス(giaddr)から分離するための機構です。リレー エージェントは正しいサブスクライバ サブネットにサブオプションを設定し、DHCP サーバはこの値を使用して giaddr 値ではなく IP アドレスを割り当てます。リレー エージェントは、giaddr を自身の IP アドレスに設定することで、DHCP メッセージがネットワーク上を転送できるようにします。この機能におけるシスコ独自の実装は、サブオプション 150(0x96)です。機能の制御には、ip dhcp relay sub-option type cisco コマンドを使用できます。