PTP の設定

この章では、Cisco NX-OS デバイスで高精度時間プロトコル(PTP)を設定する方法について説明します。

この章は、次の項で構成されています。

PTP について

PTP は、ネットワークに分散したノード間で時刻同期を行うプロトコルで、IEEE 1588 に定義されています。PTP を使用すると、イーサネット ネットワークを介して 1 マイクロ秒未満の精度で、分散したクロックを同期できます。

PTP システムは、PTP および非 PTP デバイスの組み合わせで構成できます。PTP デバイスには、オーディナリ クロック、境界クロック、およびトランスペアレント クロックが含まれます。非 PTP デバイスには、通常のネットワーク スイッチやルータなどのインフラストラクチャ デバイスが含まれます。

PTP は、システムのリアルタイム PTP クロックが相互に同期する方法を指定する分散プロトコルです。これらのクロックは、グランドマスター クロック(階層の最上部にあるクロック)を持つマスター/スレーブ同期階層に編成され、システム全体の時間基準を決定します。同期は、タイミング情報を使用して階層のマスターの時刻にクロックを調整するメンバーと、PTP タイミング メッセージを交換することによって実現されます。PTP は、PTP ドメインと呼ばれる論理範囲内で動作します。

PTP は次の機能をサポートしています。

  • マルチキャスト PTP 転送:マルチキャスト転送モードでは、PTP はデバイス間の通信に IEEE 1588 標準に従ってマルチキャスト宛先 IP アドレス 224.0.1.129 を使用します。送信元 IP アドレスの場合、PTP ドメインでユーザが設定可能なグローバル IP アドレスを使用します。

  • PTP マルチキャスト設定は、L2 または L3 の物理インターフェイスでのみサポートされます。PTP は、ポートチャネル、SVI、トンネルなどの仮想インターフェイスではサポートされません。

  • IP over UDP over PTP カプセル化:PTP は、IP 上のトランスポート プロトコルとして UDP を使用します。PTP はイベント メッセージに UDP ポート 319 を使用し、デバイス間の一般的なメッセージ通信に 320 を使用します。

  • PTP プロファイル:PTP はデフォルト(1588)および SMPTE 2059-2 プロファイルをサポートします。すべての同期要求間隔と遅延要求間隔が異なります。デフォルトプロファイルの詳細については、IEEE 1588 を参照してください。SMPTE 2059-2 の詳細については、それぞれの仕様を参照してください。

  • パス遅延測定:マスターとスレーブのデバイス間の遅延を測定する遅延要求および応答メカニズムをサポートします。

  • メッセージ間隔:デバイス間でアナウンス、同期、および遅延要求メッセージを送信する必要がある間隔を設定できます。

  • ベスト マスター クロック(BMC)の選択:BMC アルゴリズムは、1588 仕様に従って受信したアナウンス メッセージに基づいて、PTP 対応インターフェイスのマスター、スレーブ、およびパッシブ状態を選択するために使用されます。

PTP デバイス タイプ

PTP デバイス タイプは設定可能で、クロック タイプの設定に使用できます。

クロック

次のクロックは、一般的な PTP デバイスです。

オーディナリ クロック

エンド ホストと同様に、単一の物理ポートに基づいてネットワークと通信します。オーディナリ クロックはグランドマスター クロックとして動作できます。

境界クロック

通常、複数の物理ポートがあり、各ポートはオーディナリ クロックのポートのように動作します。ただし、各ポートはローカル クロックを共有し、クロックのデータ セットはすべてのポートに共通です。各ポートは、境界クロックのその他すべてのポートから使用可能な最善のクロックに基づいて、個々の状態を、マスター(それに接続されている他のポートを同期する)またはスレーブ(ダウンストリーム ポートに同期する)に決定します。同期とマスター/スレーブ階層の確立に関するメッセージは、境界クロックのプロトコル エンジンで終了し、転送されません。

トランスペアレント クロック

通常のスイッチやルータなどのすべての PTP メッセージを転送しますが、スイッチでのパケットの滞留時間(パケットがトランスペアレント クロックを通過するために要した時間)と、場合によってはパケットの入力ポートのリンク遅延を測定します。トランスペアレント クロックはグランドマスター クロックに同期する必要がないため、ポートの状態はありません。

次の 2 種類のトランスペアレント クロックがあります。

エンドツーエンド トランスペアレント クロック

PTP メッセージの滞留時間を測定し、PTP メッセージまたは関連付けられたフォローアップ メッセージの修正フィールドの時間を収集します。

ピアツーピア トランスペアレント クロック

PTP メッセージの滞留時間を測定し、各ポートと、リンクを共有する他のノードの同じように装備されたポートとの間のリンク遅延を計算します。パケットの場合、この着信リンクの遅延は、PTP メッセージまたは関連付けられたフォローアップ メッセージの修正フィールドの滞留時間に追加されます。


(注)  


PTP は境界クロック モードのみで動作します。シスコでは、スイッチに接続された、同期を必要とするクロックが含まれるサーバを使用して、グランドマスター クロック(10 MHz)アップストリームを配置することを推奨します。

エンドツーエンド トランスペアレント クロック モードとピアツーピア トランスペアレント クロック モードはサポートされません。


クロック モード

IEEE 1588 規格は、PTP をサポートするデバイスが 1 ステップと 2 ステップで動作するための 2 つのクロックモードを指定しています。

1 ステップ モード:

1 ステップ モードでは、クロック同期メッセージに、マスター ポートがメッセージを送信した時刻が含まれます。ASIC は、同期メッセージがポートを出るときにタイムスタンプを追加します。

スレーブ ポートは、同期メッセージの一部として送信されるタイムスタンプを使用します。

2 ステップ モード:

2 ステップ モードでは、同期メッセージがポートを出た時刻は後続のフォローアップ メッセージで送信されます。これは、デフォルトのモードです。


(注)  


Cisco Nexus 3550-T リリース 10.2(3t)は 2 ステップ モードのみをサポートします。


PTP プロセス

PTP プロセスは、マスター/スレーブ階層の確立とクロックの同期の 2 つのフェーズで構成されます。

PTP ドメイン内では、オーディナリ クロックまたは境界クロックの各ポートが、次のプロセスに従ってステートを決定します。

  • 受信したすべての(マスター ステートのポートによって発行された)アナウンス メッセージの内容を検査します

  • 外部マスターのデータ セット(アナウンス メッセージ内)とローカル クロックで、優先順位、クロック クラス、精度などを比較します

  • 自身のステートがマスターまたはスレーブのいずれであるかを決定します

オーディナリ クロックと境界クロックは、Sync Delay_Req Follow_Up Delay_Resp イベント メッセージを使用してタイミング情報を生成し、伝えます。

これらのメッセージは、次のシーケンスで送信されます。

  1. マスターが、スレーブに Sync メッセージを送信し、それが送信された時刻(t1)を記録します。1 ステップ Sync メッセージの場合、メッセージはマスターから送り出された時刻を示します。2 ステップ メッセージの場合、この時刻は、後続の Follow-Up イベントメッセージで送信されます。

  2. スレーブは、Sync メッセージを受信し、受信した時刻 (t2)を記録します。

  3. マスターはスレーブに対し、タイムスタンプ t1 を、Follow_Up イベント メッセージに埋め込むことにより送信します。

  4. スレーブはマスターに対し、Delay_Req メッセージを送信し、送信した時刻 t3 を記録します。

  5. マスターは Delay_Req メッセージを受信し、受信した時刻、t4 を記録します。

  6. マスターはスレーブに対し、タイムスタンプ t4 を、Delay_Resp メッセージに埋め込むことによって送信します。

  7. このシーケンスの後、スレーブは 4 つすべてのタイムスタンプを所有します。これらのタイムスタンプを使用して、マスターに対するスレーブ クロックのオフセットと、2 つのクロック間のメッセージの平均伝達時間を計算できます。

    次の図は、タイミング情報を生成して通信する PTP プロセスのイベント メッセージを示しています。

    図 1. PTP プロセス
    タイミング情報を生成して伝達するイベントメッセージ

PTP のハイ アベイラビリティ

PTP のステートフル リスタートはサポートされません。リブート後に、実行中の構成が適用されます。

PTP の注意事項および制約事項


(注)  


スケールの情報については、リリース特定の『Cisco Nexus 3550-T Series NX-OS Verified Scalability Guide』を参照してください。


PTP 用 Cisco Nexus 3550 シリーズスイッチの注意事項と制約事項は次のとおりです。

  • PTP が正常に機能するには、最新の SUP およびラインカードの FPGA バージョンを使用する必要があります。

  • PTP はネットワークごとに 1 つのドメインに制限されます。

  • ユーザ データグラム プロトコル(UDP)上の PTP 転送がサポートされます。

  • PTP は境界クロック モードをサポートします。エンドツーエンド トランスペアレント クロック モードとピアツーピア トランスペアレント クロック モードはサポートされません。

  • PTP はポートチャネル メンバー ポートで有効にできます。

  • スレーブ ポートから受信したすべての管理メッセージは、すべてのPTP 対応ポートに転送されます。スレーブ ポートから受信した管理メッセージは処理されません。

  • Cisco Nexus 3550-T シリーズ スイッチに PTP を設定する場合は、clock protocol ptp vdc 1コマンドを使用して、PTP を使用するようにクロック プロトコルを設定します。NTPは、Cisco Nexus 9000 シリーズ スイッチに設定された PTP と共存できません。

  • PTP correction-range、PTP correction-range logging、および PTP mean-path-delay コマンドは、Cisco Nexus 3550-R ライン カードでサポートされます。

  • PTP は、ステートフル高可用性ではサポートされません。

  • PTP は、管理インターフェイスではサポートされません。

  • 各ポートは、サポートされている任意の PTP プロファイルを使用して個別に構成できます。異なる PTP プロファイルは、インターフェイス上で共存できます。デフォルトの 1588 と SMPTE-2059-2 プロファイルの組み合わせがサポートされています。

  • Cisco NX-OS 3550-Tリリース 10.2(3t) 以降、PTP メディア プロファイルは、Cisco Nexus 3550-T プラットフォーム スイッチでサポートされています。このプラットフォーム スイッチに関するいくつかの注意事項と制約事項を次に示します。

    • IPv4 マルチキャスト、2 ステップモード、および境界クロック機能を備えた PTPv2 がサポートされています。

    • +-500ns の修正範囲では、-3 ログ秒の PTP 同期間隔と PTP 遅延要求間隔が推奨されます。

    • ユニキャストやユニキャスト ネゴシエーションなどの他の PTP 機能はサポートされていません。

PTP のデフォルト設定

次の表に、PTP パラメータのデフォルト設定を示します。

表 1. デフォルトの PTP パラメータ
パラメータ デフォルト

PTP

ディセーブル

PTP バージョン

2

PTP ドメイン

0

クロックをアドバタイズする場合、PTP プライオリティ 1 値

255

クロックをアドバタイズする場合、PTP プライオリティ 2 値

255

PTP アナウンス間隔

1 ログ秒

PTP アナウンス タイムアウト

3 アナウンス間隔

PTP 遅延要求間隔

  • 0 ログ秒

PTP 同期間隔

  • – 2 ログ秒

PTP VLAN

デフォルト VLAN は 1 です。

PTP の設定

PTP のグローバルな設定

デバイスで PTP をグローバルにイネーブルまたはディセーブルにできます。また、ネットワーク内のどのクロックがグランドマスターとして選択される優先順位が最も高いかを判別するために、さまざまな PTP クロック パラメータを構成できます。


(注)  


PTP プロトコルによって更新されるローカル クロックのクロック プロトコル PTP vdc1 を常に設定する必要があります。設定は、show running-config clock_manager コマンドを使用して確認できます。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

グローバル設定モードを開始します。

ステップ 2

[no] feature ptp

例:

switch(config)# feature ptp

デバイス上で PTP を有効または無効にします。

(注)  

 

スイッチの PTP をイネーブルにしても、各インターフェイスの PTP はイネーブルになりません。

ステップ 3

(任意) [no] ptp domain number

例:

switch(config)# ptp domain 1
(任意)

このクロックで使用するドメイン番号を構成します。PTP ドメインを使用すると、1 つのネットワーク上で、複数の独立した PTP クロッキング サブドメインを使用できます。

指定できるの範囲は 0 ~ 127 です。

ステップ 4

(任意) [no] ptp priority1 value

例:

switch(config)# ptp priority1 1
(任意)

このクロックをアドバタイズするときに使用する priority1 の値を構成します。この値はベスト マスター クロック選択のデフォルトの基準(クロック品質、クロック クラスなど)を上書きします。低い値が優先されます。

value の範囲は 0 ~ 255 です。

(注)  

 

スイッチが外部グランド マスター クロックと同期するには、ローカル スイッチの PTP 優先順位の値を外部グランド マスター クロック の優先順位の値よりも大きく設定する必要があります。

ステップ 5

(任意) [no] ptp priority2 value

例:

switch(config)# ptp priority2 1
(任意)

このクロックをアドバタイズするときに使用する priority2 の値を構成します。この値は、デフォルトの基準では同等に一致する 2 台のデバイスのうち、どちらを優先するかを決めるために使用されます。たとえば、priority2 値を使用して、特定のスイッチが他の同等のスイッチよりも優先されるようにすることができます。

value の範囲は 0 ~ 255 です。

(注)  

 

スイッチが外部グランド マスター クロックと同期するには、ローカル スイッチの PTP 優先順位の値を外部グランド マスター クロック の優先順位の値よりも大きく設定する必要があります。

ステップ 6

[ no ] ptp management

例:

switch(config)# ptp management
switch(config-ptp-profile)#

PTP 管理パケットのサポートを設定します。このコマンドは、デフォルトでイネーブルになっています。

no :管理パケットのサポートを無効にします。

ステップ 7

(任意) [no] ptp delay tolerance { mean-path | reverse-path } variation

例:

switch(config)# ptp delay tolerance mean-path 50.5
switch(config)#
(任意)

PTP 遅延平均パス/リバース パスの許容差の変動を設定します。

mean-path :PTP BMC アルゴリズムによって計算された平均パス遅延(MPD)のスパイクを無視します。

reverse-path :PTP BMC アルゴリズムによって計算された(t4-t3)のスパイクを無視します。

variation ::スパイクの許容度を定義するパーセンテージ。単一の 10 進数の数値を使用します。範囲は 1.0〜100.0 です。

ステップ 8

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

実行中の構成を、スタートアップ構成にコピーします。

インターフェイスでの PTP の設定

PTP をグローバルにイネーブルにしても、デフォルトで、サポートされているすべてのインターフェイス上でイネーブルになりません。PTP インターフェイスは個別にイネーブルに設定する必要があります。

始める前に

スイッチ上でグローバルに PTP をイネーブルにし、PTP 通信の送信元 IP アドレスを設定したことを確認します。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

グローバル設定モードを開始します。

ステップ 2

interface ethernet slot/port

例:

switch(config)# interface ethernet 1/1
switch(config-if)#

PTP を有効にするインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

[no] ptp

例:

switch(config-if)# ptp

インターフェイスで PTP を有効または無効にします。

ステップ 4

(任意) [no] ptp announce {interval log-seconds | timeout count}

例:

switch(config-if)# ptp announce interval 3
(任意)

インターフェイス上の PTP アナウンス メッセージ間の間隔またはタイムアウトがインターフェイスで発生する前の PTP 間隔の数を設定します。

PTP アナウンス間隔の範囲は 0 ~ 4 ログ秒で、間隔のタイムアウトの範囲は 2 ~ 4 間隔です。

ステップ 5

(任意) [no] ptp delay-request minimum interval log-seconds

例:

switch(config-if)# ptp delay-request minimum interval -1
(任意)

ポートがマスター ステートの場合に PTP 遅延メッセージ間で許可される最小間隔を設定します。

範囲は log(–1)〜 log(6)秒です。ここで、log(–1)は毎秒 2 フレームです。

ステップ 6

(任意) [no] ptp delay-request minimum interval [smpte-2059-2] log-seconds

例:

switch(config-if)# ptp delay-request minimum interval smpte-2059-2-1
(任意)

ポートがマスター ステートの場合に PTP 遅延メッセージ間で許可される最小間隔を設定します。

表 2. PTP 遅延要求の最小間隔の範囲とデフォルト値

オプション

範囲

デフォルト値

smpte-2059-2

-4 〜 5 ログ秒

0 ログ秒

smpte-2059-2 オプションなし

–1 ~ 6 ログ秒(ここで、–1 = 2 フレーム毎秒)

0 ログ秒

ステップ 7

(任意) [no] ptp sync interval log-seconds

例:

switch(config-if)# ptp sync interval 1
(任意)

インターフェイス上の PTP 同期メッセージの送信間隔を設定します。

範囲は、log(–3)〜log(1)秒です。メディア関連のプロファイル情報については、 『メディア ソリューション ガイド向け Cisco NX-OS IP ファブリック』を参照してください。

ステップ 8

(任意) [no] ptp sync interval [ smpte-2059-2] log-seconds

例:

switch(config-if)# ptp sync interval smpte-2059-2 -1
(任意)

インターフェイス上の PTP 同期メッセージの送信間隔を設定します。

表 3. PTP 同期間隔の範囲とデフォルト値

オプション

範囲

デフォルト値

smpte-2059-2

-4 〜 -1 ログ秒

-2 ログ秒

smpte-2059-2 オプションなし

-3 〜 1 ログ秒

-2 ログ秒

ステップ 9

(任意) [no] ptp vlan vlan-id

例:

switch(config-if)# ptp vlan 1
(任意)

PTP をイネーブルにするインターフェイスの VLAN を指定します。インターフェイスの 1 つの VLAN でイネーブルにできるのは、1 つの PTP のみです。

指定できる範囲は 1 ~ 4094 です。

ステップ 10

(任意) show ptp brief

例:

switch(config-if)# show ptp brief
(任意)

PTP のステータスを表示します。

ステップ 11

(任意) show ptp port interface interface slot/port

例:

switch(config-if)# show ptp port interface ethernet 1/1
(任意)

PTP ポートのステータスを表示します。

ステップ 12

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config-if)# copy running-config startup-config
(任意)

実行中の構成を、スタートアップ構成にコピーします。

PTP プロファイルのデフォルト

次の表に、global コマンド ptp profile の設定時に自動的に設定されるコマンドの範囲とデフォルト値を示します。影響を受けるグローバル コマンドの範囲を、設定されたプロファイルで許可されている範囲を超えて変更することはできません。ただし、インターフェイス モードでは、ptp profile-override コマンドが設定されている場合は変更できます。

表 4. 範囲とデフォルト値

パラメータ

範囲またはコンフィギュレーション モード

デフォルトプロファイルでサポートされる値の範囲

デフォルト プロファイルのデフォルト値

インターフェイスで設定された「ptp profile-override」の値の範囲(デフォルトは設定されたプロファイルに基づく)

モード

グローバル

none

none

変更なし

domain

グローバル

0 ~ 63

0

変更なし

priority1

グローバル

0 ~ 255

255

変更なし

priority2

グローバル

0 ~ 255

255

変更なし

コスト

インターフェイス

設定不能

設定不能

0 ~ 255

トランスポート

インターフェイス

ipv4

ipv4

ethernet、ipv4

transmission

インターフェイス

multicast

multicast

変更なし

役割

インターフェイス

dynamic、master、slave

ダイナミック

変更なし

アナウンス間隔

インターフェイス

0 ~ 4

-3〜1(smpte-2059-2)

1

-3 ~ 4

-3〜1(smpte-2059-2)

delay-request minimum interval

インターフェイス

-1 ~ 6

-4 〜 5(smpte-2059-2)

0

-4 ~ 6

-4 〜 5(smpte-2059-2)

同期間隔

インターフェイス

-3 ~ -1

-7 〜 0(smpte-2059-2)

-2

-4 〜 1

-7 〜 0(smpte-2059-2)

PTP 通知の設定

始める前に

次の重要な PTP イベントの通知を有効化、無効化、およびカスタマイズできます。

  • グランド マスター(GM)クロックの変更

  • 親クロックの変更

  • ポートの PTP ステートの変更

  • 高 PTP クロック修正

通知は、PTP から受信した情報に基づいて DME インフラストラクチャによって生成されます。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

[ no ] ptp notification type gm-change

例:

switch(config)# ptp notification type gm-change
switch(config)#

PTP グランド マスター クロックが変更された場合に、変更通知を送信するようにシステムを設定します。

ステップ 2

[ no ] ptp notification type parent-change

例:

switch(config)# ptp notification type parent-change
switch(config)#

PTP の親クロックが変更された場合に、変更通知を送信するようにシステムを設定します。

ステップ 3

[ no ] ptp notification type port-state-change [ category { all | master-slave-only } ] [ interval { immediate | seconds [ periodic-notification { disable | enable } ] } ]

例:

switch(config)# ptp notification type port-state-change category master-slave-only
switch(config)#

ポート ステート変更イベントが発生した場合に通知を送信するようにシステムを設定します。

  • category :通知を送信するために必要な状態変更を指定します。

    • all :すべてのポート状態の変更が報告されます。

      (注)  

       

      all オプションを使用すると、多くの通知が表示されます。

    • master-slave-only :マスター スレーブ状態との間のポート状態の変更のみが報告されます。

  • interval seconds :ポート状態変更通知は、設定された間隔(1 〜 300 秒、粒度は 1 秒)で送信されます。

    • periodic-notification :設定された間隔の間にポート ステートの変更が発生していない場合でも、定期的な通知を送信するかどうかを決定します。

      disable :ポート状態変更通知は、現在の状態が以前に報告された状態と同じでない場合にのみ報告されます。設定された定期的な間隔中の中間状態の変更は無視されます。たとえば、ポートが時刻 X で MASTER であり、DISABLED に変更されてから X + periodic-interval が発生するまでに MASTER に戻る場合、その間のイベントは通知されません。

      enable :ポート ステート変更通知は、ポート ステートの変更に関係なく、設定された間隔で送信されます。

  • interval immediate :ポートの状態変化通知は、状態が変化すると送信されます。

ステップ 4

[ no ] ptp notification type high-correction [ interval { seconds [ periodic-notification { disable | enable } ] | immediate } ]

例:

switch(config)# ptp notification type high-correction interval immediate
switch(config)#

PTP 高補正イベントが発生した場合に高補正通知を送信するようにシステムを設定します。高修正イベントは、修正が ptp correction-range コマンドで設定された値を超えた場合です(次のオプションの手順を参照)。

  • interval seconds :設定された間隔(1 〜 300 秒、精度 1 秒)で高修正通知が送信されます。

    • periodic-notification :設定された間隔中に高度な修正が行われなかった場合でも、定期的な通知を送信するかどうかを決定します。

      disable :設定された定期的な間隔の間に高補正イベントが発生した場合にのみ通知を送信します。これがデフォルトの設定です。

      enable :設定された定期的な間隔の間に高修正イベントの数に関係なく通知を送信します。そのようなイベントがない場合、ペイロードは定期的な間隔の間にゼロ修正イベントを示します。

  • interval immediate :高度な修正イベントが発生するとすぐに通知を送信します。

ステップ 5

(任意) [ no ] ptp correction-range { nanoseconds | logging }

例:

switch(config)# ptp correction-range 200000
switch(config)#
(任意)
超過すると、PTP 高補正が発生したことを示すしきい値を設定します。範囲は 10 〜 1000000000 です。デフォルト値は 100(マイクロ秒の 10 倍)です。

PTP 構成の確認

NTP 構成を表示するには、次のタスクのうちのいずれかを実行します。

表 5. PTP Show コマンド
コマンド 目的
show ptp brief

PTP のステータスを表示します。

show ptp clock

ローカル クロックのプロパティ(クロック ID など)を表示します。

show ptp clock foreign-masters-record

PTP プロセスが認識している外部マスターの状態を表示します。外部マスターごとに、出力に、クロック ID、基本的なクロック プロパティ、およびクロックがグランドマスターとして使用されているかどうかが表示されます。

show ptp corrections

最後の数個の PTP 修正を表示します。

show ptp counters [all | interface ethernet slot/port]

すべてのインターフェイスまたは指定したインターフェイスの PTP パケットカウンタを表示します。

show ptp parent

PTP の親のプロパティを表示します。

show ptp port interface ethernet slot/port

スイッチの PTP ポートのステータスを表示します。

show ptp time-property

PTP クロック プロパティを表示します。

show running-config ptp [all]

PTP の実行コンフィギュレーションを表示します。

clear ptp counters [all | interface ethernet slot/port]

特定のインターフェイスまたは PTP が有効になっているすべてのインターフェイスで送受信されるすべての PTP メッセージをクリアします。

PTP の設定例

次に、デバイス上で PTP をグローバルに設定し、PTP 通信用の送信元 IP アドレスを指定し、クロックの優先レベルを設定する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# feature ptp
switch(config)# ptp source 10.10.10.1
switch(config)# ptp priority1 1
switch(config)# ptp priority2 1
switch(config)# show ptp brief
PTP port status
-----------------------
Port State
------- --------------
switch(config)# show ptp clock
PTP Device Type: Boundary clock
Clock Identity : 0:22:55:ff:ff:79:a4:c1
Clock Domain: 0
Number of PTP ports: 0
Priority1 : 1
Priority2 : 1
Clock Quality:
  Class : 248
  Accuracy : 254
  Offset (log variance) : 65535
Offset From Master : 0
Mean Path Delay : 0
Steps removed : 0
Local clock time:Mon Dec 22 14:13:24 2014

次に、インターフェイス上で PTP を構成し、アナウンス、遅延要求、および同期メッセージの間隔を構成する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# interface Ethernet 1/1
switch(config-if)# ptp
switch(config-if)# ptp announce interval 3
switch(config-if)# ptp announce timeout 2
switch(config-if)# ptp delay-request minimum interval smpte-2059-2 -3
switch(config-if)# ptp sync interval smpte-2059-2 -3
switch(config-if)# no shutdown
switch(config-if)# show ptp brief
PTP port status
-----------------------
Port State
------- --------------
Eth1/1 Master
switch(config-if)# show ptp port interface ethernet 1/1
PTP Port Dataset: Eth1/1
Port identity: clock identity: 0:22:55:ff:ff:79:a4:c1
Port identity: port number: 1028
PTP version: 2
Port state: Master
Delay request interval(log mean): 4
Announce receipt time out: 2
Peer mean path delay: 0
Announce interval(log mean): 3
Sync interval(log mean): 1
Delay Mechanism: End to End
Peer delay request interval(log mean): 0