Cisco Nexus 5000 シリーズ

ユニファイド ネットワーキングによる電力供給と冷却のコスト節約

ホワイト ペーパー





ユニファイド ネットワーキングによる電力供給と冷却のコスト節約



このドキュメントの内容

このドキュメントでは、シスコのあるお客様の電力供給および冷却のコスト比較の事例を紹介します。このお客様のデータセンターを拡張してサーバ 1,650 台を追加するにあたって、LAN/SAN 分離設計と、Cisco Nexus® 5000 シリーズ スイッチによってサポートされる Cisco® ユニファイド ネットワーク ファブリック設計との間でコストの比較が行われました。ユニファイド ネットワークの実装によって、電力供給と冷却のコストが 41% 削減され、金額に換算すると年間 75,114 米ドルが節約されることになります。ユニファイド ファブリックならば、必要なネットワーク アダプタの数はわずか 3 分の 1 になり、アクセス レイヤ スイッチの数も少なくて済むので、サーバ 172 台分のラック スペースが解放されます。

概要

ユニファイド ネットワーク ファブリックが現実のものとなったことで、データセンター ネットワーク構築の選択肢の幅が大きく広がりました。以前は、処理するトラフィックのタイプに応じて、LAN、SAN、プロセス間通信(IPC)メカニズムなどのテクノロジーを使用する物理ネットワークを個別に用意しなければなりませんでした。今日では、Cisco Nexus 5000 シリーズ スイッチによってラック レベルでの I/O 統合が可能になり、サーバとアクセス レイヤとの間の LAN、SAN、および IPC のトラフィックをすべて同じリンク上で伝送できるようになりました。しかも、LAN と SAN の両方に同じドライバ ソフトウェアと管理ソフトウェアを使用でき、データセンターのベスト プラクティスを両方に適用できます。

このドキュメントでは、ユニファイド ネットワークによるアクセス レイヤでの電力供給および冷却のコスト削減効果を、LAN/SAN 分離設計でのコストと比較しながら説明します。ここで取り上げる数値は、あるお客様がデータセンターを拡張してサーバを新たに 1,650 台導入するためにネットワークを設計したときのものです。当初の設計は、LAN および SAN への複数の接続のためのインターフェイスとケーブルを各サーバに取り付けるというものでした。LAN/SAN 分離設計に代わるプランとしてシスコがユニファイド ネットワークを提案したのを受けて、ラック レベルでの I/O 統合による電力供給および冷却のコスト削減効果が計算されました。結果の数字は、ユニファイド ネットワーク ファブリック採用の理由として十分な説得力を持つものでした。

  • 統合ネットワークのアクセス レイヤおよび SAN アグリゲーション レイヤの電力供給および冷却のコストを LAN/SAN 分離設計のコストと比較すると、41% の節約となります。金額に換算すると、サーバ 1,650 台およびサポート インフラストラクチャのコストが年間 75,114 米ドル節約されることになります。
  • ユニファイド ファブリックでは、必要なネットワーク アダプタの数がわずか 3 分の 1 になるので、資本支出と運用支出が節約されるだけでなく、潜在的な障害点の多くが排除されます。
  • ユニファイド ファブリックでは、ラック レベルのケーブル配線とアクセス ポートの数が 3 分の 1 で済むので、相互接続の数がサーバあたり 9 本から 3 本に減少します。

ユニファイド ネットワークでは、ネットワーク インフラストラクチャの消費電力が 60,216 W 減少します。サーバ 1 台あたり 500 W 必要とすると、この節約量で追加のサーバ 120 台(7.2% 増加)に給電できることになります。ほとんどの組織は、ネットワーク機器の増加よりもコンピューティング リソースの増加を望むはずです。ユニファイド ネットワークへの移行の効果はエネルギー節約だけではありません。次に挙げるような、10 ギガビット イーサネット ネットワーキングのメリットもすべて手に入れることができます。

  • ギガビット イーサネットから 10 ギガビット イーサネットに移行すると、帯域幅が 10 倍に増えます。何本かのギガビット イーサネット接続を 1 本の 10 ギガビット イーサネット リンクで置き換えても、ユニファイド ネットワークならばさらなる拡張が可能です。ビジネスを取り巻く情勢の急激な変化に合わせて成長と適応が可能であることは、企業の競争優位性の維持に役立つ、大きな戦略的利点となります。
  • ユニファイド ネットワーキングでは「配線は一度だけ、後は使うだけ」というモデルがサポートされます。これは、すべてのサーバに標準の 10 ギガビット イーサネット接続機能を装備しておき、LAN、SAN、および IPC のプロトコルでの通信が必要になったときは Cisco Nexus 5000 シリーズ スイッチ構成を通してその設定を行うというものです。ユニファイド ネットワークのための装備を持つサーバは、後で用途を変更するときも、ラックの配線をし直したり、新しい I/O アダプタを取り付けたりする必要はありません。
  • ユニファイド ネットワークでは障害点が減り、保守が必要な要素の数も減るので、人的エラーが発生する可能性も低くなります。これらの要因はすべて、信頼性とアベイラビリティの向上に寄与します。

サーバ接続の要件

お客様は、4RU(ラック ユニット)サーバ 1,650 台をデータセンターに導入するためのコストを計算しました。当初の計画では、165 台のラックに 10 台ずつサーバを収容し、LAN と SAN への接続のためにエンドオブローにギガビット イーサネットとファイバ チャネルのスイッチを配置することになっていました。

従来型の LAN/SAN アーキテクチャを使用すると、次のような目的のためにサーバ 1 台あたり 9 本のデータ接続が必要になります(図 1)。

  • 4 Gbps SAN 接続 2 本:ファイバ チャネル ホスト バス アダプタ(HBA)2 個を使用します。SAN はサーバあたり 1.3 Gbps の持続データ レートをサポートする必要があります。
  • 実稼働ネットワークへの 1 Gbps イーサネット接続 2 本:2 枚の独立したネットワーク インターフェイス カードを使用します。このネットワークは最低でも 1.2 Gbps の持続トラフィックをサポートする必要があります。
  • バックアップ ネットワークへの 1 Gbps イーサネット接続 2 本:NIC 2 枚を使用します。
  • VMware Service Console のための 1 Gbps イーサネット接続 1 本:各サーバ上の VMware ESX Server ソフトウェアを管理するために使用します。この接続には、サーバ内蔵の LOM(LAN-on-motherboard)ポートの 1 つを使用します。
  • VMkernel ポート用の 1 Gbps イーサネット接続 1 本
  • サーバのリモート管理のための 10/100 Mbps イーサネット接続 1 本:この接続は、I/O が統合されているかどうかにかかわらず必要です。したがって、このポートと、このポートをサポートするスイッチ インフラストラクチャは、各ネットワーク設計の電力供給および冷却のコストの計算から除外されます。

図 1 従来型 LAN/SAN アーキテクチャを使用するとサーバ 1 台につき 9 本のデータ ケーブルと 6 個の独立したインターフェイスが必要

図 1 従来型 LAN/SAN アーキテクチャを使用するとサーバ 1 台につき 9 本のデータ ケーブルと 6 個の独立したインターフェイスが必要


以下のセクションでは、LAN/SAN 分離設計をユニファイド ネットワーク アーキテクチャと詳しく比較して、電力供給および冷却のコストの差を計算します。2 つのサーバ構成を単純に比較するだけでも、結論はこの時点ですでに明白です。サーバのポート数が少なければ、必要なアップストリーム ネットワーク インフラストラクチャも少なくて済みます。10 ギガビット イーサネットは、スループットと遅延の点でギガビット イーサネットよりも優れており、パフォーマンスの向上を今すぐ実現できるだけでなく、将来の成長の余地もあります。使用するケーブル、スイッチ、およびアダプタの数が減ることは、ネットワークの信頼性向上につながり、「配線は一度だけ、後は使うだけ」方式で設定できるようになります。

従来型の LAN/SAN モデルには多くのケーブル、NIC、および HBA が必要であることから、このモデルのコストと複雑さがわかります。1 台のサーバに 9 本のケーブルを取り付けて配線しなければならないのです。NIC と HBA の設定と、対応するアップストリーム スイッチのポートおよびキャパシティのプロビジョニングも必要です。コンポーネントの消費電力は NIC 1 つあたり 3 W、HBA 1 つあたり 5 W と小さくても、導入されるサーバの数 1,650 をかけると、全体では 36.3 kW にもなります。

対照的に、10 ギガビット イーサネットを基盤とするユニファイド ネットワーク ファブリックは、各サーバの I/O に必要な量を上回るキャパシティを持つ一方で、LAN と SAN のトラフィックを 1 本のネットワーク リンク上で伝送することが可能です。ユニファイド ファブリックとサーバとは、1 つの統合型ネットワーク アダプタ(CNA)によって接続されます。サーバ オペレーティング システムに対しては、この CNA が 4 Gbps ファイバ チャネル HBA と 10 ギガビット イーサネット NIC の両方の役割を果たすので、ユニファイド ファブリックの存在をサーバ OS が意識することはありません。つまり、サーバ OS が使用するインターフェイスと管理ソフトウェアはそのままで、両方の種類のトラフィックが CNA によって集められ、10 ギガビット イーサネット リンク上で伝送されます。シングル ポートの CNA を 2 つ使用して冗長化したとしても、必要なケーブルはサーバ 1 台あたりわずか 3 本、つまりユニファイド ファブリックのための 2 本と、サーバのリモート管理用の 1 本だけです(図 2)。現在の CNA の消費電力は前述の LAN や SAN 専用のコンポーネントを上回るものの、この分析に使用した第 2 世代 CNA の消費電力はわずか 5 W です(メーカー提供のデータによる値)。

図 2 LAN/SAN 分離設計の代わりにユニファイド ネットワーク ファブリックを使用すると、必要になるのはサーバ 1 台につきケーブル 3 本と CNA 2 個のみ

図 2 LAN/SAN 分離設計の代わりにユニファイド ネットワーク ファブリックを使用すると、必要になるのはサーバ 1 台につきケーブル 3 本と CNA 2 個のみ


LAN/SAN 分離アーキテクチャ

各サーバにおける I/O とネットワーキングの要件を満たすために、従来は LAN と SAN を別々に、並列させて構築するという方法が取られていました。それぞれのネットワークにアクセス/アグリゲーション/コア レイヤがあり、各サーバの何本もの LAN と SAN のケーブルを処理するのに十分な数のポートとアップストリーム帯域幅が必要でした。

SAN アーキテクチャ

お客様が提案した SAN アーキテクチャは、各サーバとデュアル ポート ファイバ チャネル ストレージ アレイ 5 セットとの接続を、2 つの独立した SAN を介して行うというものです(図 3)。

  • 各サーバには、1 対の 4 Gbps ファイバ チャネル HBA を取り付けます。ポートはそれぞれ、各 SAN のアクセス レイヤにある 6 台のサードパーティ ファイバ チャネル スイッチの 1 つにファイバ接続を介して接続されます。ポートの 1 つは SAN A のアクセス レイヤ スイッチ 6 台のいずれかに接続され、もう 1 つは SAN B のアクセス レイヤ スイッチ 6 台のいずれかに接続されます。
  • 12 台のアクセス レイヤ スイッチはそれぞれ、55 本の 8 Gbps ファイバ チャネル リンクを介して SAN コアに接続されます。
  • SAN コアは 4 台のスイッチで構成され、2 台のスイッチで 1 つの SAN をサポートします。コア スイッチはそれぞれ、80 本の 4 Gbps ファイバ チャネル接続を介して 5 セットのファイバ チャネル ストレージ アレイに接続されます。

ストレージ ネットワークがサポートする持続スループットは、サーバ ポートあたり平均 1.55 Gbps です。そのためには、ファイバ チャネル スイッチ 16 台とファイバ ケーブル合計 4,280 本が必要です。

図 3 提案された SAN 分離アーキテクチャでは 16 台のサードパーティ スイッチをアクセス レイヤとコア レイヤで使用する

図 3 提案された SAN 分離アーキテクチャでは 16 台のサードパーティ スイッチをアクセス レイヤとコア レイヤで使用する


LAN アーキテクチャ

提案された LAN アーキテクチャは、Cisco Catalyst® 6500 シリーズ スイッチを使用して全体をギガビット イーサネット接続で結ぶというものです。各サーバに実稼働ネットワーク用の NIC 2 枚とバックアップ ネットワーク用の NIC 2 枚を取り付け、サーバの VMkernel および VMware Service Console の接続には LOM 接続を使用します。独立したストレージ ネットワークとバックアップ ネットワークをサポートするように LAN を構築します。

  • 各サーバの実稼働 LAN 用 NIC 2 枚は、アクセス レイヤの Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチのペアの 1 つに接続します。
  • 各サーバの VMkernel および VMware Service Console のポートは、アクセス レイヤに接続します。
  • 各サーバのバックアップ LAN 用 NIC 2 枚は、バックアップ ネットワーク アクセス レイヤ スイッチのペアのそれぞれに接続します。
  • 実稼働ネットワークおよびバックアップ ネットワークのアクセス レイヤはそれぞれ、相互接続された Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチのペア 8 組で構成されます。
  • 実稼働 LAN のアグリゲーション レイヤのサポートには 1 対の Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチを使用し、スイッチどうしはピアとして相互接続します。Cisco ACE(Application Control Engine)モジュールをこれらのスイッチに取り付けます。これらのスイッチは LAN コアに直接接続します。
  • バックアップ LAN のアグリゲーション レイヤのサポートには、1 対の Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチを使用し、これらのスイッチはバックアップ デバイスに接続します。
  • サーバのリモート管理用ポートは Cisco Catalyst 3750 シリーズ スイッチに接続します(図には示されていません)。

アクセス レイヤとアグリゲーション レイヤで使用される Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチの総数は 34 となります(リモート管理用を除く)。

図 4 提案された LAN 分離アーキテクチャは並列する 2 つのネットワーク(実稼働用とバックアップ用)で構成される

図 4 提案された LAN 分離アーキテクチャは並列する 2 つのネットワーク(実稼働用とバックアップ用)で構成される


ユニファイド ネットワーク アーキテクチャ

これに代わるアーキテクチャとしてシスコが提案したのは、ユニファイド ネットワーク ファブリックを使用して、サーバからアクセス レイヤの Cisco Nexus 5020 スイッチまでの LAN および SAN のトラフィックをすべて伝送するというものです。ユニファイド ファブリックでのファイバ チャネル トラフィックの伝送には、FCoE(Fibre Channel over Ethernet)を使用します。この単純明快で標準に基づくテクニックによって、ファイバ チャネルがイーサネットの中にカプセル化されます。LAN と SAN のトラフィックはどちらも Data Center Ethernet を介して伝送されます。Data Center Ethernet とは、イーサネット標準を拡張して、複数のトラフィック ストリームを同一の物理リンク上で伝送できるようにするテクノロジーです。

図 5 シスコが提案したユニファイド ネットワークでは Cisco Nexus 5020 スイッチを使用してラック レベルで I/O を統合することでサーバあたり 6 本のケーブルが不要になり、独立した SAN アクセス レイヤ スイッチも不要

図 5 シスコが提案したユニファイド ネットワークでは Cisco Nexus 5020 スイッチを使用してラック レベルで I/O を統合することでサーバあたり 6 本のケーブルが不要になり、独立した SAN アクセス レイヤ スイッチも不要


サーバ構成の単純化

ユニファイド ネットワーク ファブリックによって、各サーバの I/O 構成が単純になります。6 つの NIC と HBA の代わりに、2 つのシングル ポート CNA によって Data Center Ethernet およびアクセス レイヤ スイッチへの FCoE がサポートされます。サーバ 1 台あたり合計 9 本のケーブルが必要だったのが、3 本だけになりました。すべての I/O(リモート管理を除く)は 10 ギガビット イーサネット リンク上で伝送されるので、スピードがアップすると共に、将来のトラフィック増加にも対応できます。

I/O が統合されたアクセス レイヤ

アクセス レイヤを構成するのは、55 台の Cisco Nexus 5020 スイッチ 2 セットです。これらのスイッチによって、LAN/SAN 分離設計の SAN アクセス レイヤ全体と Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチ 32 台が置き換えられます。Cisco Nexus 5020 スイッチによって、サーバどうし、およびサーバとアグリゲーション レイヤが低遅延の 10 Gbps Data Center Ethernet 接続で結ばれます。サーバからの FCoE トラフィックは Nexus 5020 スイッチに送られ、スイッチと SAN アグリゲーション レイヤとはネイティブ ファイバ チャネルで接続されます。ファイバ チャネル接続モデルを維持するために、スイッチはペアとして配置します。つまり、アクセス レイヤ スイッチはそれぞれ、2 つの SAN のうち 1 つだけに接続します。

各スイッチには 10 ギガビット Data Center Ethernet および FCoE の固定ポート 40 個があり、さらにファイバ チャネル接続のための拡張モジュール 2 個が取り付けられます。拡張モジュールの 1 つによって、Small Form-Factor Pluggable(SFP)コネクタ経由の 4 Gbps ファイバ チャネル リンク 4 本が使用可能になります。もう 1 つの拡張モジュールによって、SFP コネクタ経由の 4 Gbps ファイバ チャネル リンク 4 本と、SFP+ コネクタ経由の 10 Gbps イーサネット リンク 4 本が使用可能になります。スイッチの接続をまとめると、次のようになります。

  • 各サーバは、直接接続 10 ギガビット銅ケーブルを通して 2 台の Cisco Nexus 5020 スイッチに接続されます。この配線方式は低コストで、トランシーバと Twinax ケーブルが一体化されるので、消費電力と遅延の両方が低下します。
  • 各スイッチは、10 ギガビット イーサネット ファイバ接続 2 本を通して 2 台のアグリゲーション レイヤ スイッチに接続されます。この構成のオーバーサブスクリプション比は 7:5:1 となっており、アクセス レイヤとアグリゲーション レイヤの間の持続トラフィックはサーバ リンクあたり 1.33 Gbps までサポートできます。スイッチのポートのうち、10 ギガビット イーサネット ポート 10 個は将来の拡張時に利用できるように空けておきます。
  • 各スイッチから SAN アグリゲーション レイヤへの接続には 4 Gbps ファイバ チャネル接続 12 本を使用します。同じサーバに接続された 2 台のスイッチはそれぞれ、SAN A と SAN B のいずれかに接続されます。スイッチのアップリンク 12 本は、一方の SAN のアグリゲーション レイヤ スイッチ 4 台に分散されます。この構成がサポートするオーバーサブスクリプション比は 2:5:1 です。また、各サーバ リンクと SAN アグリゲーション レイヤとの間の連続帯域幅は最大 1.6 Gbps です。

LAN アグリゲーション レイヤ

LAN アグリゲーション レイヤは、2 台の Cisco Nexus 7000 シリーズ スイッチで構成されます。これらのスイッチと共に、サービス モジュールをサポートするための Cisco Catalyst 6500 シリーズを使用します。このお客様のネットワークでは、Cisco ACE コントロール モジュールが使用されます。

SAN アグリゲーション レイヤ

SAN アグリゲーション レイヤを構成するのは、4 台の Cisco MDS 9513 マルチレイヤ ディレクタ 2 セットです。ディレクタはそれぞれ、アクセス レイヤからの 4 Gbps ファイバ チャネル接続 165 本を受け取り、4 Gbps ファイバ チャネル接続 40 本を介してお客様のストレージ システム 5 セットに接続します。この構成全体では、ストレージ デバイスへの接続は 4 Gbps 接続 320 本、1.28 テラビット/秒(Tbps)となります。

ポッド物理設計

ケーブル配線のトレードオフを考慮すると、アクセス スイッチの位置は、ギガビット イーサネット環境で一般的なエンドオブロー構成よりもトップオブラックの方が好ましいといえます。10GBASE-T ケーブルを使用すればエンドオブロー構成で 10 ギガビット環境を構築できますが、Cisco Nexus 5000 シリーズ スイッチがサポートする光と銅の配線に比べると、遅延と消費電力が大幅に増加します。Cisco Nexus 5020 スイッチがサポートする直接接続 10 ギガビット銅ケーブルの最大長は 7 m となっているため、単一または複数ラック構成におけるサーバとスイッチとの接続に最適です。さらに長いケーブルが必要な場合、たとえばアクセス レイヤからアグリゲーション レイヤへの接続のために、マルチモードの短距離光ファイバがサポートされており、ケーブル長は最大 300 m となっています。

直接接続 10 ギガビット銅ケーブルの利点と、お客様のサーバ密度を考えた結果、ポッド ベースのラック構成が選択されました。サーバ 10 台を収容した 48RU ラック 3 個を並べ、これらをアクセス レイヤ スイッチ 2 台によってサポートします(図 6)。各サーバはポッド内の 2 台のスイッチのそれぞれに接続されますが、直接接続 10 ギガビット銅ケーブルの最大長(7 m)の範囲内で接続が可能です。各ポッドから、LAN アグリゲーション レイヤへの接続にはファイバ ケーブル リンク 8 本、SAN アグリゲーション レイヤへの接続にはファイバ チャネル接続 24 本を使用します。全部で 55 個のポッドに、サーバ 1,650 台を収容します。

Cisco Nexus 5000 シリーズ スイッチは、サーバ ラックに設置するように設計された製品です。この製品の特徴は、冷却の方向が前面から背面となっていることです。また、交換可能なモジュールはすべて、フロント パネルからアクセスできます。電源およびネットワークの接続はすべてスイッチの背面で行うようになっており、ポートは接続先であるサーバ ネットワーク インターフェイスに隣接しています。

他の構成ではサーバによって占有されることのないラック スペースがトップオブラック スイッチ構成では使用されます。このことは、データセンターのフロア スペース節約につながります。エンドオブロー スイッチ機器を満載したラックをいくつも置く必要はなくなるからです。このお客様の場合は、ポッド構成を採用することで、アクセス レイヤ スイッチのスペースだけで 480RU(ラック 10 個分)が不要になりました(Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチ 32 台分)。

図 6 ポッド ベースのモデルではトップオブラック スイッチを使用することでエンドオブロー モデルに比べて 480RU の節約になると共に、ケーブル配線のコスト、遅延、消費電力が抑えられる

図 6 ポッド ベースのモデルではトップオブラック スイッチを使用することでエンドオブロー モデルに比べて 480RU の節約になると共に、ケーブル配線のコスト、遅延、消費電力が抑えられる


ユニファイド ファブリックの電力供給および冷却のコスト削減

ユニファイド ファブリックの電力供給および冷却のコスト削減効果を調べるために、アクセス レイヤおよび SAN アグリゲーション レイヤの機器について比較したところ、計算上では 41% が削減されることがわかりました。金額に換算すると 1 年で 75,114 米ドル、5 年間では 375,575 米ドルに上ります。この金額は、ベンダー提供のデータに基づいて計算された予想消費電力と、お客様の電力供給コスト(0.0712 米ドル/キロワット時間)から計算されたものです。この計算は、分離型ネットワークとユニファイド ネットワークの違いを計算することに注目して行われたものですが、その結果は表 1 のとおりです。

  • ユニファイド ファブリックでは、各サーバの NIC 4 枚がすべて不要になります。NIC 1 枚あたり 3 W として、全体で 19,800 W が節約されます。
  • ユニファイド ファブリックでは、シングル ポート、シングル ASIC(特定用途向け集積回路)の第 2 世代統合型ネットワーク アダプタがファイバ チャネル HBA の代わりに使用されます。アダプタ 1 個あたりの消費電力が 5 W ならば(メーカー提供の数値)、HBA を使用する場合と比べても全体の消費電力は変わりません。
  • 各サーバのアップストリーム ネットワーク ポート 6 個は不要になるため、ポートあたり 9 W の節約となります。不要になるポートの内訳は、個々の NIC のためのポート 4 個と、内蔵ポートを使用していたポート 2 個です。この消費電力節約効果は、アクセス レイヤでのギガビット イーサネット接続のために使用される Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチによるものです。この変更によって、全体で 89,1400 W の節約になります。
  • 10 ギガビット アップストリーム ポート(サーバ 1 台あたり 2 個)の消費電力は、Cisco Nexus 5020 スイッチの予想消費電力 480 W に含まれます。このスイッチの分の 52,800 W がネットワークの消費電力に加算されます。

表 1 コンポーネント単位での消費電力節約量を計算した結果、年間では 78,308 米ドルの節約となる

ユニファイド ファブリックでは不要になるコンポーネント 節約される電力(W)
サーバ 1 台あたり 4 枚の NIC(NIC 1 枚につき 3 W) 19,800
サーバ 1 台あたり 6 個のギガビット イーサネット アクセス レイヤ ポート(スイッチ ポートあたり 9 W)
(4 個は NIC 用、2 個は LOM ネットワーク接続用)
89,100
Cisco Nexus 5020 スイッチ 110 台分の消費電力を加算(1 台あたり 480 W) -52,800
サードパーティ SAN エッジ スイッチ 12 台が不要になり、SAN アグリゲーション レイヤが Cisco MDS 9513 マルチレイヤ ディレクタで置き換えられる(計算結果は正味節約量) 4,116
直接的電力節約量合計 60,216
電力供給および冷却のコスト削減(PUE を 2.0 とする) 120,216
1 年あたりの kWH 1,054,984 kWH
1 年間の節約額(0.0712 米ドル/kWH とする) 75,114 米ドル


冷却コストや、データセンターのその他の非効率性を考慮すると、直接的な電力節約量 60,216 W よりもさらに大きな節約が可能ということになります。PUE(Power Usage Effectiveness)とは、施設全体の消費電力(電力メーターの計測値)を IT 機器の負荷で割って求めた比率です。施設全体の消費電力が IT 機器の消費電力を大きく上回るのは、データセンターの冷却や、電力分配の無駄(無停電電源装置における損失など)、照明、および湿度管理のための消費電力も含まれるからです。

Green Grid の研究「The Green Grid Data Center Power Efficiency Metrics: PUE and DCiE」(http://www.thegreengrid.org/)によれば、多くのデータセンターで PUE は 3.0 となっており、つまり IT 機器に 1 W の電力を届けるために 3 W が必要です。このホワイト ペーパーで言及されている研究によれば、データセンター設計が適切ならば PUE 2.0 の達成は可能です。お客様の計算では PUE の値として 2.0 が使用されているので、データセンターのオーバーヘッドがなくなれば、60,216 W という節約量は 2 倍になります。1 年間では 1 メガワット時間、つまり 75,114 米ドルを超える節約になります。

電力供給および冷却以外の節約

この計算の目的は、アクセス レイヤにおいてユニファイド ネットワーク ファブリックを採用した結果の電力供給および冷却のコスト節約額を求めることでしたが、2 つのモデルを比較すると、その他にも次のような節約が可能であることが明らかになりました。

  • 全体的な資本コストの節約額は計算されていませんが、サーバあたり 4 個のギガビット イーサネット アダプタの購入が不要になることで、全体では 1,254,000 米ドルが節約されます。
  • Cisco Nexus 5020 スイッチをサーバのラックに収容することで、480RU が節約されます。また、SAN エッジ スイッチが不要になるため、210RU が節約されます。合計 690RU はサーバ 172 台分のスペースに相当し、この空いたスペースを将来の拡張に利用できるようになります。
  • 直接的な電力節約の結果、サーバをさらに 120 台追加できることになります(1 台あたり 500 W を消費)。つまり、サーバのキャパシティを 7.2% 拡張できます。

まとめ

LAN/SAN 分離設計からユニファイド ネットワーク ファブリックへの移行は、電力供給および冷却のコスト節約という効果を得られる戦略的な前進といえます。アプリケーションを利用者に届けるサーバへの給電のために、データセンターのエネルギー予算を、より多く配分できるようになるからです。
シスコのあるお客様の計算によれば、電力供給および冷却のコストが 41% 節約され、年間では 75,114 米ドルのコスト節約が可能になります。サーバ数 10,000 のデータセンターにユニファイド ネットワーク ファブリックを採用すれば、年間 455,236 米ドルを節約でき、地域の電力料金率によっては節約額はさらに大きくなります。

電力量の節約は、数多くのメリットの一つにすぎません。ギガビット イーサネットから 10 ギガビット イーサネット ベースのユニファイド ファブリックに移行すれば、NIC の数を減らせるだけでなく、ネットワークを多用するアプリケーションのパフォーマンスが向上します。1 つの統合型ネットワーク アダプタを使用してすべての I/O を行うユニファイド ファブリックでは、「配線は一度だけ、後は使うだけ」方式での展開が可能です。つまり、すべてのサーバをまったく同じように設定しておき、FCoE などの機能が必要になった時点で、その機能を有効にすることができます。この方式によって、インフラストラクチャが単純になり、コストが削減され、展開に要する時間も短縮されます。インフラストラクチャが単純になれば、信頼性が高まります。アダプタ、ケーブル、スイッチ ポート、スイッチといった、メンテナンスが必要で、故障の可能性もある要素の数が減るからです。

電力供給および冷却における節約は、ユニファイド ネットワーキング採用の理由として強い説得力を持っています。その他にも I/O の統合による多数のメリットを持つ Cisco Nexus 5000 シリーズは、ビジネスの観点からも理にかなった製品です。

関連情報

Cisco Nexus 5000 シリーズ スイッチの詳細については、http://www.cisco.com/jp/go/nexus5000/ を参照してください。