データ シートCisco Nexus 9500 プラットフォーム スイッチ製品概要アプリケーション環境を変えるということは、それをサポートする IT インフラストラクチャに対して新たな要求を突き付けるということになります。アプリケーション ワークロードは、仮想化と非仮想化が混在するサーバおよびストレージ インフラストラクチャ全体に導入されるため、ネットワークでは、ベアメタル環境、仮想化環境、およびクラウド コンピューティング環境にわたって一貫した接続性、セキュリティ、可視性を提供する必要があります。具体的には次のことが求められます。
Cisco Nexus® 9000 シリーズ スイッチには、モジュラ スイッチと固定ポート スイッチがあり、これらの課題を克服するための、柔軟性、即応性、コスト効率に優れたアプリケーション セントリック インフラストラクチャを提供します。 Cisco Nexus 9500 スイッチング プラットフォーム(図 1)には、Cisco Nexus 9504 スイッチ(4 スロット)、Cisco Nexus 9508 スイッチ(8 スロット)、Cisco Nexus 9516 スイッチ(16 スロット)の 3 種類のモジュラがあります。この 3 つのスイッチはいずれも、同じスーパーバイザ、システム コントローラ、電源、ライン カード1 を使用します。Cisco Nexus 9500 プラットフォームは、最大 60 テラビット/秒(Tbps)のバックプレーン帯域幅のレイヤ 2 および 3 ノンブロッキング イーサネット スイッチで構成されています。Cisco Nexus 9504、9508、および 9516 スイッチは、モジュラ ライン カードの幅広い選択肢を通じて 1、10、40、および 100 ギガビット イーサネット インターフェイスをサポートします。また、最大 2304 個の 10 ギガビット イーサネット ポート、576 個の 40 ギガビット イーサネット ポート、または 128 個の 100 ギガビット イーサネット ポートを使用した構成が可能なため、アクセス レイヤ環境にもアグリゲーション レイヤ環境にも十分な容量を提供できます。 図 1. Cisco Nexus 9000 シリーズ スイッチ:ファミリ製品 ![]() Cisco Nexus 9000 シリーズの運用方法は 2 つあります。Cisco® NX-OS ソフトウェアを使用すると、標準的な Cisco Nexus スイッチ環境で Cisco Nexus 9000 シリーズを使用できます。また、アプリケーション セントリック インフラストラクチャ(ACI)に対応したハードウェア インフラストラクチャを使用すると、自動化されたポリシーベースのシステム管理アプローチを最大限に活用できます。このデータ シートは、標準的な Cisco Nexus スイッチの導入シナリオが対象です。 Cisco Nexus 9500 プラットフォームの機能と利点Cisco Nexus 9500 は、最大 16 枚のライン カード、2 つのスーパーバイザ モジュール、2 つのシャーシ コントローラ、3 つのファン トレイ、6 つのファブリック モジュール、10 個の電源を搭載可能なモジュラ シャーシ スイッチです。このスイッチは、ノンブロッキング 1/10/40/100 ギガビット イーサネット ポートに関するレイヤ 2 および 3 機能を幅広くサポートしています。 表 1. Cisco Nexus 9500 プラットフォームの機能と利点
Cisco Nexus 9500 プラットフォーム コンポーネントCisco Nexus 9500 プラットフォームは、図 2 に示したコンポーネントを使用して構築されます。以下のセクションで、このプラットフォームについて説明します。 図 2. Cisco Nexus 9500 プラットフォーム コンポーネント ![]() 非 ACI 導入向け Cisco Nexus 9500 プラットフォーム ライン カードCisco Nexus 9500 プラットフォームは、各種のライン カードに対応しています。どのライン カードも、任意の組み合わせで構成できます(表 2)。 表 2. Cisco Nexus 9500 ライン カード
Cisco Nexus 9500 プラットフォームのファブリック モジュールとパフォーマンスCisco Nexus 9500 プラットフォームは、背面に取り付けられたファブリック モジュールとライン カードを相互接続する Clos ファブリック設計を採用しています。また、それぞれが最大 10.24 Tbps のラインレート パケット転送能力を備えたファブリック モジュールを最大 6 つ搭載できます。各ファブリック モジュールは、すべてのライン カードに直接接続されます。このアーキテクチャでは、ファブリック モジュール間でロード バランシングを行うことにより、シャーシ内で帯域幅を最適に配分します。発注情報については、表 3 を参照してください。 表 3. Cisco Nexus 9500 ライン カードおよびファブリック モジュール
注: 1)Tbps:テラビット/秒 2)Bpps:10 億パケット/秒 3)Mpps:100 万パケット/秒 Cisco Nexus 9500 プラットフォーム スーパーバイザ モジュール冗長構成の 1 組のスーパーバイザ モジュールにより、ステータスが同期されるアクティブ/スタンバイ モデルを使用して、スイッチの動作をすべて管理します。スーパーバイザは、外部クロックを受け入れ、2 つの USB ポート、シリアル コンソール ポート、10/100/1000 Mbps ネットワーク ポートを含む複数のポートを介して管理をサポートします。導入には次の 2 つのタイプのスーパーバイザを使用できます。
いずれのスーパーバイザも NX-OS の導入で使用できますが、スーパーバイザ B の方が高い処理能力とストレージ能力を備えています。スーパーバイザの冗長化を行う場合は、シャーシ内で同じタイプのスーパーバイザを使用する必要があります。 Cisco Nexus 9500 プラットフォーム システム コントローラ冗長構成の 1 組のシステム コントローラが、シャーシ管理機能を担います。システム コントローラは、電源モジュールとファン トレイの管理を行うほか、スーパーバイザ、ファブリック モジュール、およびライン カード間のギガビット イーサネット アウトオブバンド チャネル(EOBC)において中心的な役割を果たします。 Cisco Nexus 9500 プラットフォーム電源Cisco Nexus 9500 プラットフォームには、前面パネルで操作できる、ホットスワップ可能な電源モジュールを最大 10 個搭載できます。フル搭載したシャーシは、2 つの 3000 W AC 電源で稼働できます。N+1 および N+N 冗長モードに対応しています。3,000 W AC 電源は 80 Plus Platinum 規格に準拠しており、標準的なワークロードにおいて 90 % を超える効率を維持できます。 既存のライン カードを使用する場合は、追加の 4 つの電源スロットは不要です。ただし、電源スロットを追加しておけば、将来、より帯域幅の大きなライン カードが提供された場合にも対応できます。導入には次の 2 つのタイプの電源モジュールを使用できます。
Cisco Nexus 9500 プラットフォーム ファン トレイ3 つのホットスワップ可能なファン トレイが、前面から背面への冷却をサポートします。各ファン トレイは 2 つのファブリック モジュールを冷却します。ファン トレイを取り外すと、ファブリック モジュールにアクセスできます。 導入シナリオCisco Nexus 9500 プラットフォームは、汎用性に優れたデータセンター向けのスイッチング プラットフォームです。このプラットフォームは、EoR アクセス レイヤ スイッチとして(導入の際に Cisco ファブリック エクステンダ テクノロジーを利用するかどうかは問わない)、従来の階層型ネットワーク アーキテクチャにおけるアグリゲーション レイヤ スイッチとして、または水平方向に拡張可能なリーフ/スパイン型アーキテクチャにおけるリーフ スイッチまたはスパイン スイッチとして使用できます。 エンドオブロー アクセスレイヤ スイッチCisco Nexus 9500 プラットフォーム スイッチは、EoR アクセス レイヤ スイッチとして構成できます(図 3)。また、100 メガビット イーサネット、1 ギガビット イーサネット、および 10 ギガビット イーサネットの各接続を介して、以下を含むほぼすべてのブレード サーバまたはラック サーバに接続できます。
Cisco Nexus 9500 は、Cisco Catalyst 6500 シリーズから簡単にアップグレードでき、Cisco NX-OS ソフトウェア プラットフォームが持つ機能、信頼性、拡張性、および可用性を既存の EoR 構成に組み込めます。また、100 メガビット イーサネット、1 ギガビット イーサネット、および 10 ギガビット イーサネットの銅ケーブル接続をサポートしているため、1 ギガビット イーサネットから 10 ギガビット イーサネットへの移行をサーバまたはラック単位で行えます。 たとえば、各 Cisco Nexus 9508 は、48 ポートの 1/10GBASE-T ライン カードを 8 枚搭載でき、最大 384 台のサーバにサービスを提供できます(アグリゲーション レイヤへのサーバ アクセスまたはアップリンク用として、32 個の 40 ギガビット イーサネット アップリンクを使用できます)。 図 3. EoR アクセス レイヤ スイッチとして構成可能な Cisco Nexus 9500 プラットフォーム スイッチ ![]() アグリゲーション レイヤ スイッチCisco Nexus 9500 プラットフォーム スイッチは、従来の階層型アーキテクチャにおいて、アグリゲーション レイヤ スイッチとして動作できます(図 5)。Cisco Nexus 9500 プラットフォームは 10/40/100(100 はサポート予定)ギガビット イーサネット インターフェイスをホストできるため、きわめて柔軟に新しいインフラストラクチャを構築できます。また、このスイッチをスライドイン交換して使用することにより、帯域幅を拡大し、機能を拡張することも可能です(すべて、既存の銅ケーブルおよび光ケーブルを利用します)。
図 4. グリゲーション レイヤ スイッチとしての Cisco Nexus 9500 プラットフォーム ![]() リーフ/スパイン型アーキテクチャCisco Nexus 9500 プラットフォームは、ネットワーク アーキテクチャにおいて、リーフとしてもスパインとしても使用できます(図 6)。Cisco Nexus 9500 プラットフォームと 9300 プラットフォームのレイヤ 3 機能は、等コスト マルチパス(ECMP)ルーティングを一緒に使用できるため、トラフィック フローを高速化し、障害発生時の再コンバージェンス時間を短縮できます。また、リーフ/スパイン型アーキテクチャの冗長レベルを高めることで、可用性だけでなく、ワークロード配置における柔軟性も向上させることができます。導入要件に応じて、リーフ/スパイン型の設計は Cisco NX-OS または ACI モードで実装することができます。Cisco ACI モードの詳細については、『Cisco Nexus 9500 Platform Application-Centric Infrastructure Switches Data Sheet(Cisco Nexus 9500 プラットフォーム アプリケーション セントリック インフラストラクチャ スイッチのデータ シート)』[英語] を参照してください。 図 5. リーフ/スパイン型アーキテクチャにおける Cisco Nexus 9500 プラットフォーム ![]() Cisco NX-OS ソフトウェアの概要Cisco NX-OS は、パフォーマンス、復元力、拡張性、管理性、およびプログラマビリティの向上を目的に設計された、データセンター専用のオペレーティング システムです。Cisco NX-OS は、現在および将来のデータセンターにおける仮想化と自動化の厳しい要件を満たす、堅牢で包括的な機能セットを提供します。Cisco Nexus 9000 シリーズ スイッチ向け Cisco NX-OS ソフトウェアは次の 2 つのモードで動作します。
Cisco Nexus 9000 シリーズは Cisco NX-OS ソフトウェアの改良バージョンを使用します。改良バージョンは、シリーズの全スイッチをサポートする単一のバイナリ イメージを提供してイメージ管理を簡素化します。Cisco NX-OS は、ルーティング プロトコルごとに専用のプロセスを持つモジュラで、障害を分離し、可用性を向上できる設計になっています。そのため、プロセスで障害が発生しても、ステート情報を失わずにプロセスを再起動できます。また、パッチ適用とオンライン診断もサポートしています。スーパーバイザ モジュールの障害時には、ソフトウェアによるステートフル スイッチオーバーによって可用性を維持します。 主なスイッチ機能は次のとおりです。
サポートされる機能の詳細については、『Cisco Feature Navigator』[英語] を参照してください。 Cisco NX-OS の機能と利点Cisco NX-OS は、Cisco Nexus 9000 シリーズ向けのソフトウェアで、Cisco Nexus アクセス スイッチとの一貫性を保つために、柔軟性と、包括的な機能セットを提供します。デフォルトのシステム ソフトウェアには、包括的なレイヤ 2 のセキュリティおよび管理機能セットが搭載されています。レイヤ 3 IP ユニキャストおよび IP マルチキャスト ルーティング機能を有効にするには、追加ライセンスが必要です。表 4 に、高度な機能を有効にするために利用できるソフトウェア パッケージとライセンスを示します。 表 4. ソフトウェア パッケージとライセンス
ソフトウェア要件Cisco Nexus 9500 プラットフォームは、Cisco NX-OS ソフトウェア リリース 6.1 以降をサポートしています。Cisco NX-OS は、Cisco IOS® などのネットワーキング標準に準拠したネットワーキング オペレーティング システムと相互運用できます。 Cisco Nexus 9000 シリーズは、モジュラ スイッチ(Cisco Nexus 9500 プラットフォーム)と固定ポート スイッチ(Cisco Nexus 9300 プラットフォーム)の両方をサポートする単一のバイナリ イメージを使用して、64 ビットの Linux カーネル(リリース 3.4.10)上で Cisco NX-OS を実行します。ソフトウェア イメージは Cisco NX-OS ソフトウェア リリース 6.1(2) をベースにしています。また、Linux の標準的なキックスタート プロセスを介してスイッチを起動できるよう、この 1 つのイメージに Linux カーネルと Cisco NX-OS の両方が組み込まれています。 仕様表 5 に、非 ACI 導入における Cisco Nexus 9500 プラットフォームの仕様を示します(機能のサポート情報については、ソフトウェアのリリース ノートを参照してください)。 表 5. 製品仕様:パフォーマンスと拡張性
サポートされている光ファイバ モジュール利用可能な光ファイバ モジュールとサポートされている各光ファイバ モジュールの最小要件となるソフトウェア リリースについては、 http://www.cisco.com/cisco/web/portal/support/docs_listing.html?cid=278426759&locale=ja_JP&itag=prod_comp_infos_list を参照してください。 電源表 6 に、Cisco Nexus 9500 プラットフォームの電源モジュールの特性を示します。 表 6. N9K-PAC-3000W-B Standard AC 電源の特性
表 7. N9K-PUV-3000W-B Universal AC/DC 電源の特性
環境表 8 に、Cisco Nexus 9500 プラットフォームの環境特性を示します。 表 8. 環境特性
重量および標準電力表 9 に、Cisco Nexus 9500 プラットフォームの重量と標準的な消費電力を示します。 表 9. 重量と電力消費
平均故障間隔(MTBF)情報表 10 に、Cisco Nexus 9500 プラットフォームの MTBF 情報を示します。 表 10. 重量と電力消費
適合規格表 11 に、Cisco Nexus 9500 プラットフォームが準拠する適合規格の概要を示します。 表 11. 適合規格:安全性および EMC
発注情報表 12 に、Cisco Nexus 9500 プラットフォームの発注情報を示します。 表 12. 発注情報
保証Cisco Nexus 9500 プラットフォームには、1 年間の制限付きハードウェア保証が付属します。これには、返品許可(RMA)の受領後 10 営業日以内にハードウェアを交換するサービスが含まれています。 サービスとサポートシスコは、データセンターへの Cisco Nexus 9500 プラットフォームの導入と最適化を成功させるために、各種サービスを用意しています。これらのシスコ サービスは、運用効率の向上とデータセンター ネットワークの進化を目的として、スタッフ、プロセス、ツール、パートナーをそれぞれに組み合わせて提供されます。Cisco Advanced Services は、アーキテクチャ主導型アプローチを使用して、データセンター インフラストラクチャをビジネスの目標に合わせて調整し、長期的な価値をもたらすよう支援します。Cisco SMARTnet® サービスを利用すると、シスコのネットワーク専門家や高い実績を持つリソースにいつでも直接アクセスできるので、ミッションクリティカルな問題の解決に役立ちます。このサービスでは、ご使用の Cisco Nexus 9500 プラットフォームに関して予防的診断やリアルタイムのアラートを提供する Cisco Smart Call Home サービスをご活用いただけます。シスコのサービスは、ネットワーク ライフサイクル全体にわたって最大限に投資を保護し、ネットワーク運用の最適化、移行のサポート、IT 能力の強化を実現します。 詳細情報Cisco Nexus 9000 シリーズの詳細については、http://www.cisco.com/jp/go/nexus9000 を参照してください。 1 N9K-X9636PQ は、16 スロット シャーシではサポートされていません。 ![]() © 2018 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved.
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