Cisco MDS 9000 シリーズ

Cisco MDS 9000 ファミリ モジュールを使用したインテリジェント トラフィック サービス

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Cisco MDS 9000 ファミリ モジュールを使用したインテリジェント トラフィック サービス


第 2 世代の Cisco® MDS 9000 ファミリ モジュールには、トラフィック エンジニアリングのためのツールが豊富に用意されています。

概要

ストレージ ネットワークの成熟と拡張に合わせて、ネットワークで提供されるサービスにも高いレベルが必要になります。高性能ストレージ サブシステムの需要、およびデータ センターにおけるサーバ数が増加していることにより、Storage Area Network(SAN; ストレージ エリア ネットワーク)は、魅力的なコスト構造を維持しながら優れた性能とオンデマンドの柔軟性を実現することが要求されています。大規模なエンタープライズ データ センター SAN を構築する上で、ネットワーク帯域幅を効率的に利用することは不可欠です。4 Gbps および 10 Gbps のファイバ チャネル インターフェイスが利用できるようになっても、ほとんどのサーバ、ストレージ サブシステム、およびアプリケーションは 1 Gbps または 2 Gbps で動作しています。こうした事実から、各インターフェイスで実際の I/O スループットに動的に対応できるように、ネットワーク帯域幅を効率よく割り当てることが非常に重要であると言えます。Cisco MDS 9000 ファミリのインテリジェント オーバーサブスクリプション テクノロジーは、柔軟なクロスバーベースのモジュラ設計を採用しており、SAN のあらゆる要件に合わせて価格と性能を選択することができます。

オーバーサブスクリプション

Cisco MDS 9000 ファミリ プラットフォームの導入に伴い、シスコは SAN の設計および導入方法を変更しました。最も卓越した設計オプションの 1 つは、フルレート モジュールまたはオーバーサブスクライブ モジュールのどちらかを選択できることです。この選択により、性能(ストレージ、テープ、および Inter-Switch Link [ISL; スイッチ間リンク])とポートあたりの価格(多数のサーバ)の最適なバランスを実現することができます。Cisco MDS の顧客の 95 % はオーバーサブスクライブ モジュールを購入するため、このモジュールは、クリティカルなアプリケーションの性能を維持しながら SAN 導入のコストを引き下げるのに貢献しています。

大半のデータ センター サーバにとってオーバーサブスクライブ モジュールが理想的である理由として、データのラインレート バーストに対応できるという特徴があります。Cisco MDS 9000 ファミリ用の第 1 世代 32 ポート モジュール(DS-X9032)は、4 ポートから成る 1 つのグループで 2.5 Gbps の帯域幅を共有していました。どのデバイスでも高いデータ レートでバーストできるにもかかわらず、グループ内の他の 3 ポートでは引き続き性能を維持することができました(図 1)。また、32 ポート モジュールには、1 つのデバイスが他のデバイスの帯域幅を奪ってしまうことを防止するラウンド ロビン メカニズムが組み込まれていました。これにより、4 つのデバイスの合計が 2.5 Gbps の帯域幅を超えた場合でも完全なフェアネスが保証されます。

図 1 オーバーサブスクライブ モジュールのデータ バーストとフェアネス機能

図 1 オーバーサブスクライブ モジュールのデータ バーストとフェアネス機能

バースト トラフィックが可能でフェアネスが確保されており、ポートあたりのコストを大幅に節約できるという 32 ポート モジュールの魅力のために、このオーバーサブスクライブ モジュールはデータ センターで広く採用されました。異なる I/O 性能を持つアプリケーションが同じオーバーサブスクライブ ポート グループ内に混在している場合、2.5 Gbps の合計帯域幅は効率的に共有され、利用されます。しかし、ビジネスの要件によっては、特定のインターフェイスに対する帯域幅制限を設定して、I/O バースト スループットを最大化または最小化する方が適していることもあります。この場合、第 1 世代モジュールを使用して最も効果的な大規模オーバーサブスクライブ ストレージ ネットワークを設計することは、ある程度制限されます。

第 2 世代 Cisco MDS 9000 ファミリ モジュールには、DS-X9124(24 ポート)と DS-X9148(48 ポート)の 2つの追加モジュールがあります。これらのモジュールはオーバーサブスクリプション機能を備えており、より高い柔軟性とコスト効率を SAN 内で提供します。表 1 に示すとおり、各モジュールをオーバーサブスクライブ方式で使用することができます。

表 1 モジュール別のオーバーサブスクリプション率

製品番号 1 Gbps ファイバ チャネル 2 Gbps ファイバ チャネル 4 Gbps ファイバ チャネル
DS-X9032 1.6:1 3.2:1
DS-X9124 1:1 1:1 2:1
DS-X9148 1:1 2:1 4:1

データ バースト機能とラウンド ロビン フェアネスのほか、第 2 世代 Cisco MDS 9000 モジュールは、帯域割り当てと呼ばれる新しいトラフィック管理機能をサポートしています。

帯域割り当て

第 2 世代モジュールの最も重要な機能拡張の 1 つは、帯域割り当てを実行する能力です。帯域割り当てにより、ポートに接続するエンド デバイスに対して一定のスループット レートを保証することができます。任意のポートがラインレート インターフェイスと同様に機能するため、この機能はオーバーサブスクライブ モジュールで非常に役立ちます。ラウンド ロビン フェアネスとデータ バースト能力を組み合わせて帯域割り当てを使用することで、エンドデバイスの性能を完全に管理できるようになります。

帯域割り当ては、ポート グループ内のポート レベルで定義されます。ポート グループは、バックエンド帯域幅を共有する一連のポートによって定義されます。32 ポート モジュールには、4 ポートから成るポート グループが含まれます。つまり、4 個のポートがシャーシのバックプレーンへのバックエンド帯域幅を共有します。第 2 世代モジュールのポート グループに含まれるポートは、4 個ではありません。表 2 に示すとおり、ポート グループ内のポート数が増えており、専用帯域幅を割り当てる際の柔軟性が向上している一方で、グループ内の他のポートのバースト能力は維持されています。

表 2 モジュール別のポート グループ サイズ

製品番号 ポート グループ サイズ グループ帯域幅
DS-X9032 4 2.5 Gbps
DS-X9124 6 12 Gbps
DS-X9148 12 12 Gbps

ポート グループ内で、ポート速度を専用の帯域幅または共有の帯域幅に設定することができます。個々のポートは、1 Gbps 専用帯域幅、2 Gbps 専用帯域幅、4 Gbps 専用帯域幅、または共有帯域幅のいずれかに設定されます。帯域割り当ては、インターフェイスに設定されている速度には依存しません。

図 2 のように、ファイバ チャネル インターフェイスの速度は 1 Gbps、2 Gbps、または 4 Gbps に設定できますが、その専用帯域幅はそれよりも高いことや低いこともあります。この例では、ポート グループで利用できる帯域幅が 12 Gbps であり、ポート 1、2、5、および 6 で必要とされる帯域幅は明示的に確保されています。残りの 4 Gbps の帯域幅はポート 3 と 4 で共有され、いずれかのポートが 4 Gbps でバーストすることができます。

図 2 6 ポートのポート グループにおける帯域割り当て

図 2 6 ポートのポート グループにおける帯域割り当て

帯域割り当てを利用すると、オーバーサブスクライブ モジュールで ISL を使用できます。任意の与えられたポートに対してフル ライン レートを確保できるため、ポート グループ内の 1 ポートを最高速度の 4 Gbps に設定して、ネットワーク内の飽和 ISL に最高性能を保証することができます。この機能により、すべてのオーバーサブスクライブ モジュールを持つシャーシは多くのデータ センターにとって適切な構成になります。

Quality of Service

エンタープイズ データ センターでサービス プロバイダー モデルを採用した結果、階層化されたサービス レベル要件がストレージ アレイ間に加わりました。ティアを追加すると Service-Level Agreement(SLA; サービスレベル契約)を追加できるようになります。SLA の重要な要素は、あるアプリケーションまたはストレージ サービスが他のアプリケーションまたはストレージ サービスよりも優先されることです。Cisco MDS 9000 ファミリ モジュールで真の Quality of Service(QoS; サービス品質)メカニズムが有効になっている場合は、トラフィックの優先順位によってアプリケーションの差別化が行われます。

Cisco MDS 9000 ファミリのモジュールで提供される QoS の柔軟性により、シンプルなメカニズムでスイッチ内とネットワーク全体の両方のアプリケーションに対して優先順位を付けることができます。実証済みの Deficit Weighted Round Robin(DWRR)メカニズムを利用して、ユーザはアプリケーションの優先順位だけでなく、その優先順位の重みも決定できます。Cisco MDS 9000 ファミリは 4 つの QoS キューをサポートしています。最初のキューは絶対優先度キューです。残りの 3 つはユーザによって定義できます(図 3 を参照)。

図 3 ファイバ チャネル ポートの入力 QoS

図 3 ファイバ チャネル ポートの入力 QoS

ユーザによって定義可能な 3 つのキューには、それぞれ異なる重みが付けられます。3 つのキューの重みの合計は 100 % になります。4 つ目のキュー(絶対優先度)は Fabric Shortest Path First(FSPF)の更新やゾーン分割の変更など、ネットワークのコントロール トラフィック用に使用され、3 つのユーザ定義可能キューはエンド デバイス用に使用されます。管理を簡素化し、操作をより簡単にするために、QoS はゾーンベースで有効にされます。このシンプルな方法により、ゾーンを作成するときか QoS を有効にするときのいずれかに、QoS を簡単に設定することができます。

図 4 は、ネットワーク輻輳時にクリティカル アプリケーションの性能を確保するために、スイッチおよび ISL で QoS を適用する一般的な例です。複数のデバイスが同じ ISLを共有して、ネットワーク上で通信を行います。ISL が混雑してくると、QoS はトラフィックの優先順位付けを開始します。サーバが同じストレージにアクセスしているか異なるサブシステムにアクセスしているかに関係なく、QoS は出力順に優先順位を付けます。この例では、キュー 2 およびキュー 3 のトラフィックがキュー 4 よりも帯域幅に関して優先的に処理されます。

図 4 スイッチと ISL への QoS の適用

図 4 スイッチと ISL への QoS の適用

QoS は、さまざまなケースで役立ちます。1 つの重要なケースは、ネットワークで障害が発生した場合です。障害の原因は、ネットワークの停止、または単にストレージ サブシステム インターフェイスの障害によってフェールオーバー トラフィックが別のインターフェイスに渡されたことが考えられます。いずれの状況でも、重要な場面でネットワークの帯域幅が制約を受けることが考えられます。障害発生の前に QoS を有効にすると、どのアプリケーションを優先するかを決定することができます。

まとめ

進化し続けるストレージ ネットワークでは、ユーザがトラフィックを完全に管理できる機能が要求されます。Cisco MDS 9000 ファミリのスイッチおよびディレクタは、動的で応答性に優れたデータ センターをサポートするための機能を備えています。Cisco MDS 9000 ファミリ プラットフォーム用の第 2 世代モジュールは、ユーザにネットワークを管理する能力を与え、真のトラフィック エンジニアリングを提供します。

シスコではコスト軽減のためスイッチにオーバーサブスクリプションをいち早く採用し、コストと性能のバランスという点で業界最高レベルの柔軟性を維持しています。帯域割り当てでは、ラインレート性能をオーバーサブスクライブのコストで提供する柔軟性により、コストと性能を考慮した上での選択が単純化されます。ネットワーク内で QoS を有効にしてトラフィック管理戦略を完成することで、通常の動作時とネットワークの負荷が高いときのどちらでも、SLA とアプケーションの要件が満たされます。

帯域割り当てと QoS をシスコの他の優れた機能と組み合わせることにより、低コストの接続を提供しながら豊富な機能を備えたスイッチングを実現します。

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