Cisco MDS 9000 シリーズ

Cisco MDS 9000 ファミリ スイッチ アーキテクチャ

ホワイト ペーパー





Cisco MDS 9000 ファミリ スイッチ アーキテクチャ


シスコは、2002 年 12 月に、高密度でマルチプロトコルのインテリジェント Storage Area Network(SAN; ストレージ エリア ネットワーク)スイッチである Cisco® MDS 9000 ファミリの第 1 世代をリリースしました。これらのスイッチは、SAN スイッチング市場で過去に例のないインテリジェントな機能と能力を提供し、当時のあらゆる SAN スイッチよりも高いポート密度を備えていました。

第 2 世代のラインカード、スーパーバイザ、およびシャーシの導入により、シスコは SAN スイッチング市場におけるリーダーシップをさらに強化します。第 2 世代の Cisco MDS 9000 ファミリ ラインカード、スーパーバイザ、およびシャーシは、より多くのインテリジェンスを SAN スイッチング ファブリックに提供し、他の SAN スイッチ ベンダーが提供するポート密度の 2 倍以上のポート密度を備え、既存のシャーシ、ラインカード、およびスーバーバイザとの下位互換性による投資保護を実現します。

このホワイト ペーパーでは、Cisco MDS 9000 ファミリ スイッチ内でスイッチングされるファイバ チャネル フレームの実際の処理について説明します。スイッチ アーキテクチャについて詳しく紹介し、さまざまな機能がどのように実装されているか、また、Cisco MDS 9000 ファミリではパフォーマンスや機能を失うことなく、あらゆるスーパーバイザ、ラインカード、およびシャーシに関して投資を保護できることを説明します。

図 1 Cisco MDS 9000 ファミリ マルチレイヤ スイッチ

図 1 Cisco MDS 9000 ファミリ マルチレイヤ スイッチ

システムの概要

2002 年 12 月、シスコは Cisco MDS 9509 マルチレイヤ ディレクタのリリースにより、高パフォーマンスのファイバ チャネル ディレクタ スイッチに関する新たな基準を打ち立てました。1/2 Gbps ファイバ チャネル ポート× 224 の最大システム密度を提供する第 1 世代 Cisco MDS 9000 ファミリのラインカードをスロットあたり 80 Gbps の全二重帯域幅を持つように集約して二重のクロスバー スイッチ ファブリックに接続することにより、合計システム スイッチング容量は 1.44 Tbps に達しました。

2006 年、シスコは高パフォーマンスのファイバ チャネル ディレクタ スイッチの基準を再び塗り替えました。第 2 世代のラインカード、クロスバー(スーパーバイザ)、およびフラッグシップの Cisco MDS 9513 マルチレイヤ ディレクタの導入により、システム密度は最大で 1/2/4 Gbps ファイバ チャネル ポート × 528 または 10 Gbps ファイバ チャネル ポート × 44 に増え、1 スロットあたりのインターフェイス帯域幅は 96 Gbps 全二重に向上し、システム全体のスイッチング容量は 2.2 Tbps になりました。
Supervisor-2 と第 2 世代の高密度ラインカードを使用すると、既存の 9 スロットの Cisco MDS 9509 マルチレイヤ ディレクタの最大システム密度は 1/2/4 Gbps ファイバ チャネル ポート × 336 となり、6 スロットの Cisco MDS 9506 マルチレイヤ ディレクタの最大システム密度を 1/2/4 Gbps ファイバ チャネル ポート × 192 まで拡張できます。

ポートの速度と密度の拡張だけでなく、シスコの製品は確かな投資保護という点でも優れています。既存の第 1 世代の Cisco MDS ラインカードはすべて、第 2 世代のラインカード、シャーシ、およびスーパーバイザと相互運用できます。逆に、第 2 世代の Cisco MDS ラインカードは、既存の第 1 世代のラインカード、シャーシ、およびスーパーバイザとともに使用できます。

Cisco MDS システム アーキテクチャ

すべての Cisco MDS 9500 シリーズ ディレクタ スイッチは、同じクロスバー アーキテクチャに基づいています。フレーム転送ロジックは、ラインカード自体に組み込まれた Application-Specific Integrated Circuits(ASIC; 特定用途向け集積回路)に分配されるため、分散転送アーキテクチャが実現されています。中央集中型の処理のためにフレームをスーパーバイザに転送したり、転送をソフトウェアに戻して処理する必要はありません。すべてのフレーム転送は専用の転送ハードウェアで実行され、システム内のすべてのラインカードに分散されます。

バーチャル SAN(VSAN)、VSAN トランキング、Fibre Channel Network Address Translation(FC-NAT)を含む Inter-VSAN Routing(IVR)、Cisco PortChannel(ポート チャネル)、Quality of Service(QoS)、Fibre Channel Congestion Control(FCC)、Switch Port Analyzer(SPAN)、Remote Switch Port Analyzer(RSPAN)などのすべての高度な機能は、ハードウェアベースの転送パス内に実装されているため、有効にすることでパフォーマンスが低下したり遅延が増加することはありません。これらすべての高度な機能は、Cisco MDS 9000 ファミリ ASIC に最初から組み込まれています。第 2 世代の Cisco MDS ASIC は、Class of Service(CoS; サービス クラス)機能とポート帯域幅予約機能の追加によってこれらの機能を増強し、Cisco MDS 9000 SAN-OS ソフトウェアの今後のリリースによってハードウェア機能はさらに強化されます。

Cisco MDS でのフレームの転送は、常に同じ処理シーケンスに従って実行されます。

  1. まず、入力時にフレーム エラー チェックが行われ、次に、フレームに入力ポートと VSAN のタグが設定されます。これにより、VSAN によって分離された異なるファブリック内で重複しているアドレスをスイッチで処理できるようになります。
  2. フレームへのタグ設定に続いて、入力アクセス コントロール リスト(ACL)を使用してハード ゾーニングが適用されます。
  3. 転送テーブルとフレーム ルーティング テーブルの参照が実行されて、フレームのスイッチング先を判断するとともに、IVR が使用されている場合に、フレームを新しい VSAN にルーティングするかどうかやフレームの送信元や宛先を書き換えるかどうかが判断されます。
  4. 特定の宛先デバイスに対して複数の等コスト パスが存在する場合、スイッチはその VSAN に対して設定されたロード バランシング ポリシーに基づいて出力ポートを選択します。
  5. 宛先ポートが輻輳しているか、ビジーである場合、フレームは入力ラインカードで配信待ちのキューに入れられ、フレームのスケジューリングの順序は QoS ポリシー マップを使用して判断されます。
  6. 送信がスケジューリングされたフレームは、クロスバー スイッチ ファブリックを介して、追加の出力 ACL がある出力ラインカードに転送されます。次に、スイッチ内部で使用される VSAN タグがフレームの前部から削除され、フレームが出力ポートから送出されます。

すべてのディレクタ スイッチでは、低遅延、高スループット、ノンブロッキング、ノンオーバーサブスクライブのスイッチング容量をラインカード モジュール間に提供するために、二重の冗長クロスバー スイッチ ファブリックが使用されます。

現在のすべてのラインカード モジュールは、クロスバー スイッチ ファブリック容量を 1:1 の冗長性で利用します。つまり、クロスバーごとに 1 つのアクティブ チャネルと 1 つのスタンバイ チャネルが常に存在します。各クロスバー スイッチ ファブリックで 1 つのアクティブ チャネルと 1 つのスタンバイ チャネルが使用されるため、両方のクロスバーがアクティブになります(1:1 の冗長性)。クロスバーに障害が発生した場合は、問題のないクロスバーのスタンバイ チャネルがアクティブになります。これにより、システムが 1 つのクロスバー スイッチ ファイブリックで稼働しているか、2 つのクロスバー スイッチ ファブリックで稼働しているかに関係なく、同じ量のアクティブ クロスバー スイッチング容量が維持されます。

スイッチ アーキテクチャの観点から言うと、クロスバー容量は各ラインカード スロットに対して、少数の高帯域幅チャネルとして提供されます。これにより、ラインカード モジュールの設計とアーキテクチャに大きな柔軟性が生まれ、パフォーマンス最適化(ノンブロッキング、ノンオーバーサブスクライブ)ラインカードとホスト最適化(ノンブロッキング、オーバーサブスクライブ)ラインカードの両方、マルチプロトコル(iSCSI [Small Computer System Interface over IP] と FCIP [Fibre Channel over IP])でインテリジェント(ストレージ サービス)なラインカードを構築することが可能になります。これらのクロスバー チャネルにより、シスコはスイッチの将来性を保証して投資を保護しています。また、既存のラインカード モジュールやスーパーバイザ モジュールを置き換えることなく、ポート速度を 2 Gbps から 4 Gbps へ、さらには 10 Gbps へと向上させることが可能になります。

ポート間の公平性を保つために、フレーム スイッチングでは Virtual Output Queuing(VOQ; 仮想出力キューイング)と呼ばれる技法を使用します。この技法と中央集中型の調停の組み合わにより、輻輳した出力ポートを求めて複数のラインカードの複数の入力ポートが競合している場合に、スイッチ内でのポートの場所に関係なく、ポート間の完全な公平性が約束されます。また、1 つのポートの輻輳により、他のポートへのトラフィックがブロックされる、いわゆる「ヘッドオブライン ブロッキング」を防ぐことができます。さらに、トラフィック フローの特定のセットを優先することが望ましい場合は、QoS および CoS を使用して、それらのトラフィック フローを優先することができます。

すべての Cisco MDS 9500 シリーズ ディレクタ スイッチは完全に冗長化されており、シングル ポイント障害は発生しません。システムは、スーパーバイザ、クロスバー スイッチ ファブリック、クロック モジュール、および電源が二重化されており、1:1 の冗長性が適切でない場合は Majority Signal Voting を使用します。

サイドマウントされたファン トレイにより、アクティブ冷却が行われます。ファン トレイは 1 つですが、複数の冗長ファンと二重のファン コントローラが存在します。すべてのファンは可変速であり、1 つまたは複数のファンに障害が発生すると、他のすべてのファンの速度が上昇して障害を補います。複数のファンに同時に障害が発生するというまれなケースでも、ファン トレイはスイッチの動作維持にとって十分な冷却を行います。

冗長化された電源は、42 VDC 電源バスの形式でラインカードに電力を供給します。ラインカードは電力の供給を受ける前に、スーパーバイザ モジュールに電力を要求する必要があります。これにより、システム内に十分な電力がある場合、そのラインカード モジュールのみに電力が許可されます。幅広い電源オプションにより、将来に必要電力量の大きなラインカードがでてきても、ラインカードの互換性が広がります。

ファイバ チャネル フレームの実際の処理

すべての Cisco MDS 9000 ファミリ ラインカードでは、同じプロセスを使用してフレームを転送します。ここでは、フレーム処理のさまざまな段階を詳しく示します(図 2 を参照)。

図 2 Cisco MDS 9000 ファミリ スイッチ内でのフレーム フロー

図 2 Cisco MDS 9000 ファミリ スイッチ内でのフレーム フロー
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(1)入力 PHY/MAC モジュール

ファイバ チャネル フレームは、1/2/4 Gbps ファイバ チャネル インターフェイス用の Small Form-Factor Pluggable(SFP; 着脱可能小型フォーム ファクタ)オプティクスまたは 10 Gbps ファイバ チャネル インターフェイス用の X2 トランシーバ光モジュールを経由して、スイッチの前面パネルにある光ファイバ チャネル ポートに入ります。各前面パネル ポートには、それぞれ物理レイヤ(RHY)デバイス ポートとメディア アクセス コントローラ(MAC)があります。入力時には、PHY が受信した光信号を電気信号に変換し、ビットの電気ストリームを MAC に送信します。MAC の主要な機能は、ビット ストリームの Start-of-Frame(SoF)マーカと End-of-Frame(EoF)マーカ、および他のファイバ チャネル シグナリング プリミティブを識別することにより、着信ビット ストリームからファイバ チャネル フレームを解読することです。

フレームを受信した MAC は、転送モジュールおよびキューイング モジュールとやり取りし、リターン バッファ クレジット(R_RDY プリミティブ)を送信デバイスに発行して、受信済みフレームを再クレジットします。リターン バッファ クレジットは、入力キューイング バッファが内部しきい値を超えていない場合に発行されます。入力レート制限が有効になっている場合、リターン バッファ クレジットはポートに設定されているスループットに一致するように調整されます。

フレームを転送する前に、MAC は内部スイッチ ヘッダーをフレームの先頭に添付し、入力ポート、ポートの種類、入力 VSAN、フレーム QoS マーキング(入力ポートが送信元を信頼するように設定されている場合。そうでない場合は空白)、フレームがスイッチに入ったときのタイムスタンプなどの詳細情報を転送モジュールに提供します。内部スイッチ ヘッダーの概念は、Cisco MDS 9000 ファミリ スイッチのマルチプロトコル機能とマルチトランスポート機能を実現する重要なアーキテクチャ要素です。また MAC は、Cycle Redundancy Check(CRC; 巡回冗長検査)を検証することにより、受信したフレームにエラーが含まれていないことを確認します。

(2)入力転送モジュール

入力転送モジュールは、スイッチのどの出力ポートに入力フレームを送信するかを判断します(図 3 を参照)。

図 3 入力フレーム転送ロジック

図 3 入力フレーム転送ロジック
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入力転送モジュールがフレームを受信すると、3 つの同時参照が実行され、それらの参照の結果に基づいて転送ロジックが実行されます。

  • 最初の参照は、VSAN と宛先アドレスによって決定される VSAN ごとの転送テーブル参照です。この参照の結果により、ファイバ チャネル フレーム内の入力ポート、VSAN、および宛先アドレスに基づいて、フレームのスイッチング先(出力ポート)が転送モジュールに伝えられます。このテーブル参照では、IVR の必要があるかどうかも示されます。参照に失敗した場合は、転送する宛先がないため、フレームは破棄されます。
  • 2 番目の参照は、統計参照です。スイッチはこれを利用して、相互にやり取りしているデバイスに関する一連の統計情報を維持します。収集される統計情報には、送信元から宛先の組み合わせごとのフレーム カウンタとバイト カウンタが含まれます。
  • 3 番目の参照は、VSAN、送信元アドレス、宛先アドレス、入力ポートなど、スイッチ間ヘッダーとファイバ チャネル フレーム ヘッダーのさまざまなフィールドによって決定される、VSAN ごとの入力 ACL 参照です。スイッチは、この参照の結果を使用して、フレームの転送を許可するか、フレームを破棄するか、フレームに対して追加の検査を実行します。この参照は、シスコによるファイバ チャネル内でのハード ゾーニングの実装の基盤でもあります。

フレームの出力ポートが複数考えられる場合(たとえば、等コストの Fabric Shortest Path First [FSPF] ルートが複数存在する場合や、宛先が Cisco PortChannel バンドルである場合など)は、ロード バランシングによる決定が行われ、一連のインターフェイスから単一の物理出力インターフェイスが選択されます。ロード バランシング ポリシー(およびアルゴリズム)は、VSAN 単位で、送信元アドレスと宛先アドレスのハッシュ(S_ID、D_ID)に設定するか、フレームの交換 ID にも基づいたハッシュ(S_ID、D_ID、OX_ID)に設定できます。この方法により、同じフロー(単一の送信元と単一の宛先の間、または単一の SCSI I/O 操作内)内のすべてのフレームは常に同じ物理パスで転送され、順番どおりの配信(in-order delivery)が保証されます。

特定の送信元アドレスから特定の宛先アドレスへのトラフィックが IVR とマークされている場合、転送の最後の手順は VSAN ID の書き換えで、オプションでフレームの送信元アドレスと宛先アドレス(S_ID、D_ID)も書き換えられます。

第 1 世代の Cisco MDS 転送コンプレックスは、最大で毎秒 28.32 million フレームを転送できます。第 1 世代の Cisco MDS ラインカードは、1 つまたは 2 つの転送コンプレックスを備えています。ノンブロッキング、ノンオーバーサブスクライブの 16 ポート ラインカード(部品番号 DS-X9016)では、8 個の前面パネル ファイバ チャネル ポートのグループごとに、転送コンプレックスを 1 つずつ使用します。これにより、最小サイズのフレームでも、すべてのポートでラインレート パフォーマンスを維持するために十分な転送パフォーマンスが得られます。第 1 世代のホスト最適化オーバーサブスクライブ ノンブロッキング 32 ポート ラインカード(部品番号 DS-X9032)では、32 ポートのすべてに対して単一の転送コンプレックスを使用します。

第 2 世代の Cisco MDS ラインカードでは、サポートされるポート密度とポート速度が向上しますが、ラインカードごとに必要な転送コンプレックスは 1 つだけです。第 2 世代の Cisco MDS 転送コンプレックスは、最大で毎秒 116 million フレームを転送でき、前面パネルの 1/2/4 Gbps ファイバ チャネル ポートを最大で 48 個サポートします。

第 1 世代と第 2 世代の Cisco MDS ラインカードは、いずれも 2,000 ゾーンおよび 20,000 ゾーン メンバ以上のハード ゾーニングをサポートします。転送隣接(Adjacency)テーブルは、最大で 128,000 個の一意の宛先アドレスをサポートします。VSAN、送信元ファイバ チャネル アドレス、および宛先ファイバ チャネル アドレスの書き換えは、最大で 2,000 IVR ゾーンおよび 10,000 IVR ゾーン メンバまでサポートされます。

(3)キューイング モジュール

キューイング モジュールは、スイッチを通過するフレームのフローをスケジューリングする役目を持っています(図 4 を参照)。キューイング モジュールは、分散 VOQ を使用してヘッドオブライン ブロックを防ぎます。このモジュールは、輻輳している出力ポートを求めて競合しているフレーム間に QoS と公平性を実装する役目を持つ機能ブロックです。また、キューイング モジュールには、出力インターフェイスが輻輳している場合に入力キューイング用のフレーム バッファリングを提供する役目もあります。

図 4 キューイング モジュールのロジック

図 4 キューイング モジュールのロジック
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キューイング モジュールに入ったフレームは、フレームが送信される出力ポートを基準にして VOQ にキューイングされます。ユニキャスト ファイバ チャネル フレーム(単一の宛先のみを持つフレーム)は、1 つの仮想出力キューにキューイングされます。マルチキャスト ファイバ チャネル フレームは、マルチキャスト フレームの転送先の出力ポートごとに、複数の仮想出力キュー間で複製されます。

出力ポートごとに、ポートごとの 4 つの QoS レベルに対応する 4 つの仮想出力キュー(1 つのプライオリティ キューと、Deficit-Weighted Round Robin [DWRR] を使用する 3 つのキュー)によるスケジューリングを使用できます(図 5 を参照)。プライオリティ キューに入れられたフレームは、DWRR キュー内のすべてのトラフィックよりも先にスケジューリングされます。3 つの DWRR キューに入れられたフレームは、設定されている相対的な重み付けを使用してスケジューリングされます。デフォルトの相対重みは 33:33:33 ですが、この値は任意の比率に変更できます。

図 5 分散仮想出力キューイング

図 5 分散仮想出力キューイング
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第 1 世代の Cisco MDS ラインカードは、使用可能な仮想出力キューを 1,024 個備えており、ポートごとに 4 つの QoS レベルを持つ 256 個の宛先ポートをアドレス指定できます。第 2 世代の Cisco MDS ラインカードでは、仮想出力キューを 4,096 個に拡張し、アドレス指定できる宛先ポートの数をシステム アーキテクチャ上の限度である 1,024 ポート/シャーシ(ポートごとに 4 つの QoS レベル)に増やしています。

フレーム キューイングに加えて、キューイング モジュールはフレームの伝送要求を冗長化された中央調停(Central Arbiter)モジュールに発行します。中央調停モジュールは、ポートに送信されるトラフィックのレートが出力伝送レートを超える場合に、システムによってフレーム間の公平性を保証するために使用されます。また調停モジュールは、クロスバー輻輳を防ぎ、それによってヘッドオブライン ブロッキングを防止します。入力フレームは、中央調停モジュールが許可を発行し、フレームを宛先のラインカードまたはポートに送信することが可能になるまで、キューイング(バッファリング)されます。

使用可能なバッファリングの量は、ラインカードの種類および世代によって異なります。第 1 世代の Cisco MDS ラインカードには、16 ポートのノンオーバーサブスクライブ、ノンブロッキング ラインカード(DS-X9016)ではポートごとに最大 400 個のバッファ(255 個のクレジット付きバッファと 145 個のパフォーマンス バッファ)、32 ポートのオーバー サブスクライブ、ノンブロッキング ラインカード(DS-X9032)では 8 個のポート間で共有される 400 個のバッファ(ポートごとに 12 個のクレジット付きバッファ)、MPS 14/2 ラインカード(DS-X9302-14K9)ではポートごとに最大 3,200 個のクレジット付きバッファがそれぞれ用意されています。第 2 世代の Cisco MDS ラインカードは、モジュールごとに 6,000 個のバッファを備え、そのうち 4,095 個までを単一のポートに割り当てることができます。すべてのバッファは、フルサイズのファイバ チャネル フレーム(2,148 バイト フレーム)を保持できます。

中央調停モジュールがキューイング モジュールに許可を発行すると、キューイング モジュールは 4 つのクロスバー スイッチ ファブリック チャネルのいずれかを介してフレームを伝送します。

(4a)中央調停モジュール

中央調停モジュールは、入力から出力へのフレームの伝送をスケジューリングし、出力ポート バッファに空のスロットがある場合は必ず入力転送モジュールからの伝送要求を許可します。中央調停モジュールは、毎秒 1 Billion フレーム以上をスケジューリングすることができます。

入力から出力に転送するフレームが存在する場合、転送元のラインカードは中央調停モジュールに要求を発行し、出力ラインカードの出力ポート上のスケジューリング スロットを求めます。出力ポート バッファに空のスロットが存在する場合は、アクティブな中央調停モジュールが要求を許可します。空いているバッファ領域が存在しない場合、調停(Arbiter)モジュールは空きバッファが生じるまで待機します。これにより、出力ポートで輻輳が発生すると、入力ポートとラインカードの間で分散バッファリングが行われます。入力でのキューイングで仮想出力キューが利用され、各出力ポートの QoS レベルごとに独自の仮想出力キューが存在するため、輻輳によってヘッドオブライン ブロッキングが生じることはありません。またこれは、ブロックがシステム全体に広がらないようにするのにも役立ちます(図 6 を参照)。

図 6 仮想出力キューイングの使用によるヘッドオブライン ブロッキングの緩和

図 6 仮想出力キューイングの使用によるヘッドオブライン ブロッキングの緩和
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スイッチ全体の調停は中央集中型で実行されているので、公平性も保証されます。出力ポートで輻輳が発生した場合、調停モジュールはその出力ポートへの伝送を公平な方式(ラウンドロビン)で許可します。

各 Cisco MDS ディレクタ スイッチで、冗長化された 2 つの中央調停モジュールを使用することができます。冗長側の調停モジュールは、プライマリ アクティブ調停モジュールに対して発行された要求と、プライマリ アクティブ調停モジュールが与えた許可をすべてスヌーピングします。プライマリ調停モジュールに障害が発生した場合、冗長調停モジュールはスイッチオーバーによるフレームの損失、パフォーマンスの低下、または遅延を発生させることなく、操作を再開することができます。

(4b)クロスバー スイッチ ファブリック モジュール

すべてのディレクタ スイッチでは、低遅延、高スループット、ノンブロッキング、ノンオーバーサブスクライブのスイッチング容量をラインカード モジュール間に提供するために、二重の冗長クロスバー スイッチ ファブリックが使用されます。

第 1 世代の Cisco MDS ラインカードと Supervisor-1 モジュールでは、クロスバー スイッチ ファブリックはスロットあたり 80 Gbps の全二重システム スイッチング容量を提供します。第 2 世代の Cisco MDS ラインカード、Supervisor-2 モジュール、および Cisco MDS 9513 スイッチ ファブリック カードは、拡張モードで機能している場合はスロットあたり最大 96 Gbps の全二重帯域幅、標準モードで機能している場合は 80 Gbps の全二重帯域幅をそれぞれ提供します。Supervisor-2 モジュールと Cisco MDS 9513 スイッチ ファブリック カードは、ラインカード モジュールが第 1 世代であるか第 2 世代であるかに応じて、チャネルごとに拡張モードまたは標準モードで動作することができます。すべての第 2 世代ライン カードも、どちらのモードでも動作することができ、可能な限り高いレートが常に選択されます。

現在のすべてのラインカード モジュールは、クロスバー スイッチ ファブリック容量を 1:1 の冗長性で利用します。つまり、クロスバーごとに 1 つのアクティブ チャネルと 1 つのスタンバイ チャネルが常に存在します。各クロスバー スイッチ ファブリックで 1 つのアクティブ チャネルと 1 つのスタンバイ チャネルが使用されるため、両方のクロスバーがアクティブになります(1:1 の冗長性)。クロスバーに障害が発生した場合は、問題のないクロスバーのスタンバイ チャネルがアクティブになります。これにより、システムが 1 つのクロスバー スイッチ ファイブリックで稼働しているか、2 つのクロスバー スイッチ ファブリックで稼働しているかに関係なく、同じ量のアクティブ クロスバー スイッチング容量が維持されます。

スイッチ アーキテクチャの観点から言うと、クロスバーは各ラインカード スロットに対して、少数の高帯域幅チャネルとして提供されます。これにより、ラインカード モジュールの設計とアーキテクチャに大きな柔軟性が生まれ、パフォーマンス最適化(ノンブロッキング、ノンオーバーサブスクライブ)ラインカードとホスト最適化(ノンブロッキング、オーバーサブスクライブ)ラインカードの両方、およびマルチプロトコル(iSCSI [Small Computer System Interface over IP] と FCIP [Fibre Channel over IP])でインテリジェントな(ストレージ サービス)ラインカードを構築することが可能になります。これらのクロスバー チャネルにより、シスコはスイッチの将来性を保証して投資を保護しています。また、既存のラインカード モジュールやスーパーバイザ モジュールを置き換えることなく、ポート速度を 2 Gbps から 4 Gbps へ、さらには 10 Gbps へと向上させることが可能になります。中央集中型のクロスバー スイッチ ファブリックを利用するためにアーキテクチャ設計の上で行われた主要な決定の高レベルな概要を図 7 に示します。

クロスバー自体は 3 倍の超過速度で動作します。つまりクロスバーは、内部的にはエンドポイントの 3 倍のレートで動作します。この超過速度のために、ピーク トラフィック レベルが継続しているときでもクロスバーはノンブロッキングを保つことができます。ピーク フレーム レートの状態でクロスバーのパフォーマンスを最大化するもう 1 つの機能は、スーパーフレーミングと呼ばれるものです。スーパーフレーミングは、1 つのラインカードから同じ宛先に送信される複数のフレームがキューイングされている場合に、クロスバーの効率を向上させます。各フレームを個別に調停するのではなく、複数のフレームをクロスバーを介して連続して送信することができます。

既存のすべての第 1 世代ラインカードは、第 2 世代クロスバー スイッチ ファブリック モジュールでサポートされます。また、すべての第 2 世代ラインカードは、第 1 世代クロスバー スイッチ ファブリック モジュールが搭載されたシャーシでサポートされます。システムに第 1 世代ラインカード モジュールが装着されている場合に、システムを第 2 世代クロスバー スイッチ ファブリックにアップグレードする必要はありません。

クロスバー スイッチ ファブリック モジュールは、クロック モジュールを使用してクロスバー チャネルを同期させます。クロック モジュールに障害が発生した場合は、モジュールを現場で交換することができます。クロック モジュールの障害はシステムの中断につながりますが、クロック モジュールは単なる発振器とあまり変わらず、現時点で実使用での Mean Time Between Failure(MTBF; 平均故障間隔)は 300 年を超えています。そのため、クロック モジュールの障害が問題になる可能性は低いと言えます。これらのクロック モジュールは、1999 年から Cisco Catalyst 6506 スイッチおよび 6509 スイッチで使用されている発振器と同じです。

図 7 クロスバーと 2 階層 Switch on Chip(SoC)の比較

図 7 クロスバーと 2 階層 Switch on Chip(SoC)の比較
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(5)出力転送モジュール

出力転送モジュールの主要な役割は、追加のフレーム チェックを実行し、ファイバ チャネル フレームを確実に有効にし、追加の ACL チェック(Logical Unit Number [LUN; 論理ユニット番号] ゾーニングと読み取り専用ゾーニング(設定されている場合のみ)を適用することです。第 2 世代の Cisco MDS ラインカードでは、追加の IVR フレーム処理(フレームが IVR を必要とする場合)と発信 QoS キューイングも行われます(図 8 を参照)。

図 8 出力フレーム転送ロジック

図 8 出力フレーム転送ロジック
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フレームが届く前に、出力転送モジュールは中央調停モジュールに対して、出力バッファにフレームを受信するための空き領域があることを伝えています。フレームがクロスバー スイッチ ファブリックから出力転送モジュールに届いたときの最初の処理手順は、フレームにエラーがなく、有効な CRC が含まれていることの確認です。

フレームが有効な場合、出力転送モジュールは ACL テーブル参照を実行して、フレームの宛先へのフローを許可または拒否するために追加の ACL を適用する必要があるかどうかを確認します。出力に適用される ACL には、LUN ゾーニング ACL と読み取り専用ゾーニング ACL があります。

次の処理手順は、IVR に関連するファイバ チャネル フレーム ヘッダーの書き換えの最終処理です。

最後に、DWRR キューイングと設定済みの QoS ポリシー マップを対応させ、CoS 別のキューイングによってフレームを宛先ポート MAC に転送するためにキューイングします。

(6)出力 PHY/MAC モジュール

フレームが出力 PHY/MAC モジュールに到達すると、まず、スイッチ内部ヘッダーが取り除かれます。出力ポートが Trunked E_Port(TE_Port)の場合は、Enhanced ISL(EISL; 拡張 ISL)ヘッダーがフレームの先頭に添付されます。

次に、フレームのタイムスタンプが調べられ、フレームがスイッチ内にキューイングされていた時間が長すぎる場合は、フレームが破棄されます。期限が満了したフレームの破棄は、ファイバ チャネル標準に基づいています。また、これによって 1 つのスイッチ内にフレームをキューイングできる時間の上限が設定されます。デフォルトの破棄タイマーは 500 ミリ秒ですが、「fcdroplatency」スイッチ構成設定を使用して調整することができます。なお、500 ミリ秒というのは、フレームのバッファリング時間としてはきわめて長く、パケット損失が発生しやすい長くて低速な WAN リンクが多数のファイバ チャネル ソースと組み合わされているときにしか発生しないのが通常です。通常の稼働条件下では、フレームの期限が満了することはきわめてまれです。

最後に、フレームは出力ポートのケーブルに伝送されます。発信 MAC は、フレームをケーブル上での適切なエンコーディングにフォーマットし、SoF マーカーと EoF マーカーを挿入し、ケーブル上でのその他のファイバ チャネル プリミティブを挿入する役割を持っています。

IP SAN 機能拡張-Fibre Channel over IP

Cisco MDS 9000 スイッチのさまざまな機能の一部として、統合 IP サービス モジュールとマルチプロトコル サービス モジュールによって実現されるマルチプロトコル機能があります。そのようなマルチプロトコル機能の 1 つが FCIP です。FCIP は、SAN トラフィックの伝送に必要な帯域幅で IP ネットワーク接続が使用できる任意の場所で、ファイバ チャネル SAN 接続を拡張するために使用されます。

FCIP は、IP インフラストラクチャに SAN 機能拡張を提供するための手段です。これにより、非同期データ レプリケーション、リモート テープ ボールティング、リモート プール ストレージに対するホスト イニシエータなどのストレージ アプリケーションを、遅延や距離に関係なく展開できるようになります。FCIP は、TCP を使用することによって順番どおりの配信が保証された信頼性の高い転送ストリームを提供して、IP リンク上でファイバ チャネル フレームをトンネリングします。

Cisco MDS 9000 ファミリ スイッチは標準ベースの FCIP に多数の拡張を提供して、機能と使い勝手を向上させています。

  • IVR:ファブリックをマージすることにより、ファブリックの安定性と信頼性を損なうことなく、IP SAN 機能拡張を有効にします。
  • FCIP TCP トラフィック シェーピング:IP WAN の帯域幅制限に合うようにストレージ トラフィックをシェーピングします。
  • TCP 機能拡張:IP SAN 機能拡張のパフォーマンスを向上させる変更です。
  • 圧縮(MPS-14/2 ラインカードではハードウェアベース、IPS-4/8 ラインカードではソフトウェアベース):IP WAN の帯域幅を節約します。
  • FCIP Write Acceleration(FCIP-WA):書き込み操作に関するラウンド トリップの数を減らし、遅延を改善します。
  • FCIP Tape Acceleration(FCIP-TA):遅延と距離の影響を最小限に抑えることにより、リモート テープ バックアップのパフォーマンスを向上させます。
  • 暗号化および復号化:信頼されていない WAN リンク上で機密性の高いデータを伝送するための、ハードウェアも使用する IP Security(IPSec)AES128 暗号化です。
  • Cisco PortChannel:最大 16 個の FCIP トンネルを単一の論理リンクとしてバンドルし、複数の物理ギガビット イーサネット インターフェイスおよびモジュールを使用してパフォーマンスと復元性を向上させます。
  • 各ギガビット イーサネット インターフェイスに 3 つまでの FCIP トンネル:マルチサイト IP SAN 機能拡張を可能にします。

FCIP とこれらの機能拡張を使用した場合のフレームのフローと処理の順序を図 9 に示します。

図 9 FCIP 処理のロジック

図 9 FCIP 処理のロジック
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暗号化の前には、必ず圧縮とトラフィック シェーピングが行われます。圧縮の後には、必ずトラフィック シェーピングが行われます。これにより、IP SAN 機能拡張、暗号化、圧縮、およびトラフィック シェーピングを単一のシステムに展開することができます。

受信フレームに対するすべての FCIP 処理が完了すると、標準のファイバ チャネル フレーム転送ロジックによってフレームが処理されます。

すべての Cisco MDS 9000 ファミリ IP モジュール(IPS-4、IPS-8、MPS-14/2)は、距離や遅延に関係なく、また FCIP -WA、FCIP-TA、IVR などの機能が有効になっているかどうかに関係なく、ギガビット イーサネット ポートで高いスループットを維持することができます。ほとんどの場合、ベストプラクティスの展開に従うと、数万マイルの接続でも 100 パーセントのラインレート トラフィックを維持することができます。なお、Cisco MDS 9000 ファミリの IP サービスのギガビット イーサネット ポートには、イーサネット スイッチング機能はありません。FCIP トンネル エンドポイントとしての接続と iSCSI ゲートウェイ接続のみが提供されます。

Cisco PortChannel

PortChannel は、最大 16 個の物理 ISL のスイッチで 1 つの論理 ISLを構築できる ISL 集約機能です。この機能を使用することにより、スイッチ間にスループットの高い接続を提供したり、復元性の高い接続を提供することができます。PortChannel バンドルを通過するトラフィックは、VSAN ごとのロード バランシング ポリシーに応じて自動的にロードバランシングされるため、PortChannel バンドル内のすべての物理インターフェイスにまたがる緻密なトラフィック分散が実現します。ファイバ チャネルの順番どおりの配信という要件は、常に保持されます。

PortChannel を使用すると、トラフィックのフローを中断することなく、PortChannel に物理インターフェイスを追加したり、物理インターフェイスを削除することができます。これにより、運用環境でシステムを中断することなく設定を変更することが可能になります。

PortChannel の構築に使用するポートまたはモジュールの場所に制限はありません。Cisco MDS 9000 スイッチ アーキテクチャでは、一貫した転送パスを使用してフレームを入力ポートから出力ポートに送るため、さまざまなポートやモジュールの遅延特性の違いによって生じるマイナスの効果について考慮することなく、任意のモジュールの任意のポートを PortChannel に使用できます。

遅延のないネットワーク全域の順番どおりの配信を保証

Cisco MDS スイッチ アーキテクチャは、フレームの順序がスイッチ内で変更されないことを保証します。ファブリックが安定していて、トポロジの変更が発生しなければ、この保証はマルチスイッチ ファブリック全体に拡大されます。

ただし、トポロジの変更が発生すると(リンク障害が発生した場合など)、フレームが誤った順序で配信される可能性があります。フレームの順序変更は、ルーティングの変更が実行され、輻輳したリンクから輻輳していないリンクにトラフィックが移行した場合に発生することがあります。この場合、輻輳していない新しいパスを通じて転送される新しいフレームが、以前の輻輳しているパスでキューイングされているフレームを追い越す可能性があります。

これを防ぐために、すべてのファイバ チャネル スイッチ ベンダーは、「ネットワーク全域の順番どおりの配信」(network-IOD)保証と呼ばれるファブリック全体の構成設定を用意しています。この設定では、ISL 障害またはトポロジ変更が発生したときに、新しいフレームの転送を中止します。トラフィックが既存のインターフェイス キューから排出されるまでは、新しい転送に関する決定は行われません。この機能の基本的な考え方は、一部のトラフィックが誤った順序で到達する可能性を残すよりも、すべてのトラフィックを一定期間停止するほうがよいということです。ただし、ISL 障害またはトポロジ変更によってファブリック全体が中断されることになるため、多少の粗雑さを伴う方法です。そのため、すべての SANスイッチ ベンダーは、IBM Fiber Connection(FICON)などのチャネル プロトコルで使用が必須になっている場合を除き、network-IOD をデフォルトで無効にしています。

Cisco MDS 9000 SAN-OS ソフトウェア リリース 3.0 から、Cisco MDS 9000 ファミリ スイッチは「拡張ネットワーク全域の順番どおりの配信」と呼ばれる新機能を提供します。この機能拡張では、トポロジ変更の影響を受けるルートについての情報と VOQ を使用して、トポロジ変更の影響を受けるパスを通るトラフィックのみを停止します。この機能拡張は、VOQ に組み込まれたユニークなハードウェア サポートを使用して実現され、システムを中断させずにルート変更を実行することができます。

Cisco PortChannel バンドルでも、同じような技法が使用されます。システムを中断させず、かつフレームの順序が変更されないことを保証しながら、新しいリンクを PortChannel バンドルに追加することができます。同様に、システムを中断させず、かつフレームが破棄されずに順番どおりに配信されることを保証しながら、インターフェイスを PortChannel バンドルから削除することができます。

ハードウェアの説明

第 1 世代ファイバ チャネル ラインカード

16 ポート ノンオーバーサブスクライブ、ノンブロッキング ラインカード

図 10 に、16 ポート ノンオーバーサブスクライブ、ノンブロッキング ラインカードを示します。

図 10 16 ポート 1/2 Gbps ノンオーバーサブスクライブ、ノンブロッキング ラインカード

図 10 16 ポート 1/2 Gbps ノンオーバーサブスクライブ、ノンブロッキング ラインカード

第 1 世代のシスコ パフォーマンス ラインカード(パーツ番号 DS-X9016)は、16 個の 1/2 Gbps ノンオーバーサブスクライブ、ノンブロッキング前面パネル ファイバ チャネル ポートを備えています。すべてのポートは、ラインレート トラフィックを同時に維持することができます。

各前面パネル ファイバ チャネル ポートは、固有の 2 Gbps チャネルで 2 つの転送コンプレックスのいずれかに接続されています。このラインカードには 2つの転送コンプレックスがあり、それぞれが 8 つの前面パネル ポートにサービスを提供します。

キューイング モジュールは、各ポートに 400 個の入力バッファを提供します。そのうち 255 個はクレジット付き(前面パネル ポートのバッファ クレジットにリンクされます)バッファ、145 個はアップストリーム輻輳を吸収するために使用されるクレジットなしのパフォーマンス バッファです。クロスバー スイッチ ファブリックへの接続は 4 つのクロスバー チャネルのすべてを経由しますが、常時アクティブなのはそのうち 2 つだけです。

このラインカードのコントロールプレーン機能は、ラインカード ローカル コントロールプレーン プロセッサでローカルに実行されます。

32 ポート ホスト最適化オーバーサブスクライブ、ノンブロッキング ラインカード

図 11 に、32 ポート ホスト最適化オーバーサブスクライブ、ノンブロッキング ラインカードを示します。

図 11 32 ポート 1/2 Gbps ホスト最適化オーバーサブスクライブ、ノンブロッキング ラインカード

図 11 32 ポート 1/2 Gbps ホスト最適化オーバーサブスクライブ、ノンブロッキング ラインカード

第 1 世代のシスコ ホスト最適化ラインカード(部品番号 DS-X9032)は、32 個の 1/2 Gbps オーバーサブスクライブ、ノンブロッキング前面パネル ファイバ チャネル ポートを提供します。

前面パネル ポートは、4 つのポート グループに分かれています。各グループは、MAC モジュールと転送モジュールの間で 2 Gbps のスループットを共有します。1/2 Gbps ファイバ チャネルは、8b/10(8 ビットのデータごとに 1 つの開始ビットと 1 つの終了ビット)でエンコードされます。そのため、ポートごとの最大使用可能スループットは 1.7 Gbps です。Inter-Frame Gap(IFG; フレーム間ギャップ)を取り除くと、転送モジュールへの 2 Gbps の使用可能な全二重容量を 4 つの 2 Gbps ポートで共有する場合のオーバーサブスクリプション率は、3.25:1 になります。個々の前面パネル ポートは、同じグループ内の他のポートがラインレート トラフィックの維持を同時に試みていなければ、ラインレート トラフィックを維持することができます。このラインカードはホスト接続を目的としているので、通常はこのカードのオーバーサブスクリプションが制約要素になることはありません。一般に SAN 全体の設計では、ホスト ポートとストレージ ポートの間のオーバーサブスクリプション率として 7:1 〜 12:1 が想定されているからです。

キューイング モジュールは、各ポートに 12 個の入力バッファを提供します。クロスバー スイッチ ファブリックへの接続は 4 つのクロスバー チャネルのすべてを経由しますが、常時アクティブなのはそのうち 2 つです。

このラインカードのコントロールプレーン機能は、ラインカード ローカル コントロールプレーン プロセッサでローカルに実行されます。

図 11 には、「バイパス カード」というカードが示されています。この 32 ポート モジュールはインテリジェント ストレージ サービスをサポートするように設計されており、Cisco MDS 9000 32 ポート ストレージ サービス モジュール(SSM)ラインカードの基になるカードです。

Cisco MDS 9000 32 ポート ストレージ サービス モジュール

図 12 に、Cisco MDS 9000 32 ポート ストレージ サービス モジュールを示します。

図 12 Cisco MDS 9000 32 ポート 1/2 Gbps ストレージ サービス モジュール

図 12 Cisco MDS 9000 32 ポート 1/2 Gbps ストレージ サービス モジュール

SSM ラインカードは、標準の 32 ポート ラインカードと同じ設計に基づいていますが、標準モジュールでバイパス カードがある部分に、ストレージ サービス ドータ カードが備えられています。サポートされるストレージ サービスには、ストレージ仮想化、ボリューム管理、信頼性の高いレプリケーション書き込み(Cisco SAN Tap)、ファイバ チャネル書き込みアクセラレーション、Network-Accelerated Serverless Backup(NASB)などがあります。

前面パネル ポートは、標準の 32 ポート ラインカードのホスト最適化ポートと同じように構成されています。

仮想化ドータ カードは、20 Gbps の全二重使用可能帯域幅を使用して転送コンプレックスに直接接続されます。仮想化ドータ カード上の 4 つの仮想化 ASIC には、それぞれ 2 つのコアがあります。複数の SSM にまたがる場合でも、複数の仮想化 ASIC で同じ仮想 LUN をインスタンス化し、複数のコアと仮想化 ASIC を並行して使用することができます。

第 2 世代ファイバ チャネル ラインカード

第 2 世代のラインカードでは、ラインカード上の ASIC の数は大幅に減っていますが、同じフレーム転送処理ロジックを使用します。

すべての第 2 世代 Cisco MDS ラインカード モジュールは同じ基板設計に基づいていますが、前面パネル ポートの数と種類、およびラインカード上の MAC/PHY コンプレックスの数が異なります。スイッチに入るフレームは、結合された MAC/PHY モジュールに届きます。MAC/PHY モジュールは、ラインカードに応じて 3 個、6 個、または 12 個の 1/2/4 Gbps 前面パネル ファイバ チャネル ポートにサービスを提供するか、1 つの 10 Gbps ファイバ チャネル ポートにサービスを提供することができます。

図 13 に、12 ポート、24 ポート、および 48 ポートの 1/2/4 Gbps ファイバ チャネル ラインカードと、4 ポートの 10 Gbps ファイバ チャネル ラインカードを示します。

図 13 12 ポート、24 ポート、および 48 ポートの 1/2/4 Gbps ファイバ チャネル ラインカードと、4 ポートの 10 Gbps ファイバ チャネル ラインカード

図 13 12 ポート、24 ポート、および 48 ポートの 1/2/4 Gbps ファイバ チャネル ラインカードと、4 ポートの 10 Gbps ファイバ チャネル ラインカード
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ラインカードと速度の違いによるオーバーサブスクリプションの違いは、MAC/PHY コンプレックスの数と、各 MAC/PHY がサービスを提供する前面パネル ポートの数によって生じます。前面パネル ポートは、ポート グループに分かれています。各ラインカードのフロント ベゼルの四角形は、表 1 に示すようにこれらのポート グループを表しています。

表 1 第 2 世代 Cisco MDS 9000 ファミリ ラインカード モジュール

ラインカード ポート グループごとの前面パネル ポート数 すべてのポートが以下の速度で動作している場合のオーバーサブスクリプション
1 Gbps 2 Gbps 4 Gbps 10 Gbps
DS-X9112 12 ポート 1/2/4 Gbps ラインカード 3 なし なし なし -
DS-X9124 24 ポート 1/2/4 Gbps ラインカード 6 なし なし 2:1 未満 -
DS-X9148 48 ポート 1/2/4 Gbps ラインカード 12 なし 2:1 未満 4:1 未満 -
DS-X9704 4 ポート 10 Gbps ラインカード 1 - - - なし

表 1 は、同じポート グループのすべてのポートがポート グループの帯域幅を求めて競合しているという、最も厳しい状態のオーバーサブスクリプションを示しています。現実的には、ポートごとに帯域幅の要件は異なり、時間によっても変化します。したがって、最も厳しいケースのオーバーサブスクリプションが実際に発生することは考えられません。

表 1 を見ると、12 ポートのラインカードの場合、12 ポートすべてがラインレート 4 Gbps で動作しているときはオーバーサブスクライブでないことになっていますが、この 12 ポート カードは、24 ポート ラインカードの 6 ポートの各グループで 3 ポートがフルレート モードで動作している状態と機能的に同じです。48 ポート ラインカードも、12 ポートのグループのそれぞれで 3 ポートがフルレート モードで動作している場合は、12 ポート ラインカードと機能的に同じです。これは、個々のポートをフルレート モードで動作するように設定し、それらのポートに帯域幅を割り当てることによって可能になります。もう 1 つの方法は、ポートを共有モードで動作させ、複数のポート間で帯域幅を共有することです。ポートがフルレート モードで動作している場合、そのポートには帯域幅が保証され、一方で同じポート グループ内の他のポートが使用できる帯域幅は減少します。

この柔軟性により、シャーシいっぱいの48 ポート ラインカードを展開することが可能になります。ストレージ、ISL、および高パフォーマンス ホストに使用するポストはフルレート モードで動作するように設定し、残りのポートは共有モードで動作するように設定します。

すべての第 2 世代ラインカードでは、ラインカードごとに 1 つの転送/キューイング コンプレックスを使用します。これにより、最大で毎秒 1 億 1,600 万フレームの転送速度がサポートされます。発表されたすべての第 2 世代ラインカードは、クロスバー スイッチ ファブリック チャネルを 1:1 の冗長性で利用します。つまり、2 つのアクティブ チャネルと 2 つの冗長チャネルが存在します。システムのスイッチング パフォーマンスは、システムが 1 つのクロスバー スイッチ ファブリックで稼働している場合でも、2 つのクロスバー スイッチ ファブリックが取り付けられている場合でも同じです。

このラインカードのコントロールプレーン機能は、ラインカード ローカル コントロールプレーン プロセッサでローカルに実行されます。

スーパーバイザ モジュールとクロスバー スイッチ ファブリック モジュール

Cisco MDS 9000 ファミリのスーパーバイザ モジュールは、2 つの基本的なスイッチ機能を提供します。

  • スイッチの管理と動作維持のために使用されるコントロールプレーン プロセッサを収容します。アウトオブバンド イーサネット(interface mgmt0)、RJ45 シリアル コンソール ポート、およびモデム接続に適したオプションの DB9 補助コンソール ポートを通じて、管理接続が提供されます。
  • シャーシ内のすべてのラインカード間にデータプレーン接続を提供するために使用される、クロスバー スイッチ ファブリックと中央調停モジュールを収容します。

図 14 に、Supervisor-1 モジュールと Supervisor-2 モジュールを示します。

図 14 スーパーバイザ モジュール

図 14 スーパーバイザ モジュール
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クロスバー スイッチ ファブリック容量を提供することを除けば、スーパーバイザ モジュールはフレーム転送やフレーム処理を行いません。フレームの転送と処理は、すべてのラインカード自体の分散転送 ASIC 内で処理されます。クロスバー スイッチ ファブリックは各 Supervisor-2 モジュールに含まれていますが、Cisco MDS シャーシと MDS 9506 シャーシでのみ使用されます。Cisco MDS 9513 シャーシでは、クロスバー スイッチ ファブリックはシャーシの背面に挿入されるファブリック カード上にあり(図 15)、スーパーバイザに含まれるクロスバー スイッチ ファブリックは無効化されています。

図 15 Cisco MDS 9513 クロスバー スイッチ ファブリック モジュール

図 15 Cisco MDS 9513 クロスバー スイッチ ファブリック モジュール

Supervisor-1 のコントロールプレーン機能は、1.3 GHz で機能する Pentium-3 プロセッサと 512 MB の RAM によって処理されます。ブート デバイスとして、256 MB の内部フラッシュ メモリが使用されます。追加のイメージ ストレージおよびログ ストレージ用に、コンパクト フラッシュ スロットを使用できます。

Supervisor-2 のコントロールプレーン機能は、1.4 GHz で稼働する G4 PowerPC プロセッサと 1 GB の RAM によって処理されます。ブート デバイスとして、512 MB の内部フラッシュ メモリが使用されます。追加のイメージ ストレージおよびログ ストレージ用に、コンパクト フラッシュ スロットと 2 つの USB ポートを使用できます。

ラインカードの概要

表 2 に、使用可能な各種のラインカード オプションと、各モジュールの転送特性をまとめます。

表 2 ラインカードの概要

ラインカード ポート数 ファイバ チャネル 目的の機能
製品番号 説明 世代 FC GE すべてのポートが 100% のライン レートで機能している場合に維持されるパフォーマンス ポートあたりのバッファ クレジット  
DS-X9016 16 ポート 1/2 Gbps ファイバ チャネル モジュール 第 1 16 ラインレート 1/2 Gbps ファイバ チャネル 255 高パフォーマンス ホスト、ISL、ストレージ
DS-X9032 32 ポート 1/2 Gbps ファイバ チャネル モジュール 第1 32
  • 2 Gbps 3.25:1 オーバーサブスクライブ
  • 4 ポートにつき 1 Gbps 1.62:1 オーバーサブスクライブ
12 ホスト接続用に最適化
DS-X9032-SSM 32 ポート 1/2 Gbps ファイバ チャネル ストレージ サービス モジュール 32 ストレージ サービスとのホスト接続
DS-X9302-14K9 2 ポート 1 ギガビット イーサネット IPS、14 ポート 1/2 Gbps ファイバ チャネル モジュール 14 2 ラインレート 1/2 Gbps ファイバ チャネル 最大 3,200 超長距離ファイバ チャネル SAN ISL 拡張、IP SAN 拡張、iSCSI
DS-X9304-SMIP 4 ポート IP ストレージ サービス モジュール 4 IP SAN 拡張、iSCSI
DS-X9308-SMIP 8 ポート IP ストレージ サービス モジュール 8 IP SAN 拡張、iSCSI
DS-X9112 12 ポート 1/2/4 Gbps ファイバ チャネル モジュール 第2 12 ラインレート 1/2/4 Gbps ファイバ チャネル 最大 4,095 超長距離ファイバ チャネル SAN ISL を含む高性能 1/2/4 Gbps ホスト/ストレージ/ISL
DS-X9124 24 ポート 1/2/4 Gbps ファイバ チャネル モジュール 24
  • ラインレート 1/2 Gbps ファイバ チャネル
  • 4 Gbps 2:1 オーバーサブスクライブ
最大 4,095
DS-X9148 48 ポート 1/2/4 Gbps ファイバ チャネル モジュール 48
  • ラインレート 1 Gbps ファイバ チャネル
  • 2 Gbps 2:1 オーバーサブスクライブ
  • 4 Gbps 4:1 オーバーサブスクライブ
最大 4,095
DS-X9704 4 ポート 10 Gbps ファイバ チャネル モジュール 4 ラインレート 10 Gbps ファイバ チャネル 最大 4,095 高パフォーマンス 10 G ISL(最大 660 km)

よくある質問と答え

Q. スーパーバイザまたはクロスバー スイッチ ファブリックをシャーシから取り外すと、スイッチの転送パフォーマンスに影響がありますか。
A. いいえ。システムに存在するクロスバー スイッチ ファブリックが 1 つでも 2 つでも、同レベルのスイッチ パフォーマンスを維持するために十分なクロスバー容量を単一のクロスバー スイッチが備えています。

Q. スーパーバイザ、クロスバー スイッチ ファブリック、またはラインカードを取り外すと、システムは中断されますか。
A. いいえ。スーパーバイザ、ファブリック カード、およびラインカードは、スイッチまたはフレーム処理を中断させることなく、ホットスワップすることができます。スーパーバイザまたはクロスバー スイッチ ファブリック モジュールを物理的に取り外すと、システムはカードとバックプレーン コネクタの物理接続が失われるよりも十分に前の段階で、クロスバーを通過しているトラフィックがないことを確認します。

Q. ラインカード用のファン トレイが 1 つしかありません。ファンに障害が発生した場合はどうなりますか。
A. ラインカード用のサイドマウント ファン トレイは 1 つしかありませんが、ファン トレイ自体に複数の冗長ファンがあります。これらのファンには、2 つの独立した電源レールを通じて電力が供給され、すべてのファンが RPM センサーを備えています。いずれかのファンに障害が発生すると、その他のすべてのファンの速度が上昇して障害を補います。複数のファンに同時に障害が発生するというまれなケースでも、ファン トレイはスイッチの動作維持にとって十分な冷却を行います。ファンに障害が発生した場合は、ファン トレイ全体を交換します。ファン トレイの交換は、割り当てられた時間内に完了すれば、システムを中断させることはありません。

Q. 中央集中型の転送のために、フレームをスーパーバイザ モジュールに送信する必要はありますか。
A. いいえ。すべての転送は、常にラインカード自体にある分散転送 ASIC 上のハードウェアで実行されます。すべての高度な転送機能は標準の転送パイプライン内に実装され、パフォーマンスまたは遅延に影響を与えることはありません。Cisco MDS 9506 および MDS 9509 シャーシ内のスーパーバイザ モジュールにはクロスバー スイッチ ファブリックがありますが、これは純粋にラインカード間の接続のためであり、中央集中型の転送のためではありません。

Q. シスコが SoC テクノロジーで 2 階層 Clos メッシュを使用してスイッチを構築するのではなく、中央集中型のクロスバーを使用してディレクタ スイッチを構築する方法を選んだのはなぜですか。このためにスイッチのリリースが遅れたのではないですか。
A. シスコは 2002 年 12 月に高密度マルチプロトコル インテリジェント ストレージ スイッチの Cisco MDS 9000 ファミリをリリースして、それまでファイバ チャネル市場になかったポート密度でのインテリジェント機能の新しい基準を設定しました。SoC テクノロジーで 2 階層 Clos アーキテクチャを使用してディレクタを構築することも可能でしたが、それではインテリジェント機能にマイナスの影響が及び、また、スケーラビリティと投資保護のオプションにも妥協が生じました。シスコはスイッチ アーキテクチャの観点から、SoC は比較的ポート数の少ない固定構成のファイバ チャネル ファブリック スイッチには適しているものの、未来型のモジュール方式のファイバ チャネル ディレクタ スイッチには適していないと考えています。

Q. 宛先ポートが同じラインカード上に存在する場合でも、Cisco MDS がすべてのフレームを常にクロスバー経由で転送するのはなぜですか。
A. これは、予測可能なパフォーマンス、遅延、およびジッタを実現しつつ、フレーム公平性、QoS、PortChannel、順番どおりのフレーム配信保証などの機能を実現する、設計上の意図的な決定です。クロスバーはシステム全体のパフォーマンスを制限するボトルネックではないため、クロスバーを経由したフレーム転送を常に避ける必要があるわけではありません。

Q. シスコのディレクタ スイッチの MTBF はどれくらいですか。
A. すべてのハードウェア コンポーネント(シャーシ、スーパーバイザ、ラインカード、クロスバー スイッチ ファブリック、電源、およびファン トレイ)と Cisco MDS 9000 SAN-OS ソフトウェアは、99.999 パーセントを超える稼働率(年間 5 分未満のダウンタイム)を実現するように設計されています。システム全体としても、この可用性の数字を超えるように設計されています。シスコは 2002 年 12 月から Cisco MDS ディレクタ スイッチを出荷しています。この間に、実際の MTBF は 99.999 パーセントの稼働率を大きく超えました。

Q. 一部の競合他社は、シスコのバックプレーンにはアクティブ コンポーネントが含まれていると指摘しています。これについて説明していただけますか。
A. Cisco MDS 9506 シャーシおよび MDS 9509 シャーシのバックプレーンは、クロスバーの同期に使用する二重の冗長クロック モジュールを備えています。これらのクロック モジュールがアクティブ コンポーネントであるという指摘は技術的には正しいのですが、これらのクロック モジュールは単なる発振器にすぎず、実際に証明されている MTBF は 300 年を超えています。これらのクロック モジュールは、1999 年から Cisco Catalyst 6506 スイッチおよび 6509 スイッチで使用されている発振器と同じです。

  • Cisco MDS 9513 シャーシでは、クロック モジュールはバックプレーン上に存在するのではなく、ホットスワップに対応し、現場で交換できるようになりました。
  • バックプレーンには、ラインカードの活性挿抜の際に信号の統合や接地に使用されるその他のコンポーネント(コンデンサ、抵抗器)もありますが、これらはいずれもパッシブ コンポーネントであり、システムの動作にとって本質的な要素ではありません。

結論

Cisco MDS 9500 シリーズ マルチレイヤ ディレクタは、ディレクタクラスのスイッチの水準を向上させる製品です。業界をリードする可用性、スケーラビリティ、セキュリティ、および管理性を提供する Cisco MDS 9500 シリーズにより、高パフォーマンスの SAN スイッチング インフラストラクチャを最低限の総所有コストで展開することが可能です。高パフォーマンスのプロトコル非依存のスイッチ ファブリックに豊富なインテリジェント機能を搭載した Cisco MDS 9500 シリーズ マルチレイヤ ディレクタは、大規模なデータ センター ストレージ環境の厳しい要件に応えます。

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