テクノロジー解説

データセンターにおけるI/O統合

 サーバを仮想化すると、物理サーバの数が減り、データセンター内の機器数も減って管理が簡単になるように思います。しかし実際には、管理すべきサーバの数が減っているわけではなく、ソフトウェアによって実現される“仮想サーバ”により、サーバの数はむしろ増えているかもしれません。またサーバ仮想化によって、制御用I/Oのためのインターフェイスが必要になったり、ストレージへの接続が必要になったりして、1台の物理サーバに発生するI/Oが増大します。VM Kernelは、仮想マシン全体を制御します。HBAは、ネットワーク上のストレージにアクセスするSAN(Storage Area Network)のためのアダプタです。サーバを仮想化すると、OSをブートするためのイメージをリモートで保存し、どの物理サーバからでもアクセスできることが重要になるため、ネットワーク化されたストレージが必要になるのです。

 下の図で、1台のサーバに必要になるLANおよびSANへの接続の数を見てみることにしましょう。

ユニファイドI/Oとユニファイド ファブリック

 この図を見ると、1台のサーバに少なくとも次の3種類のインターフェイスが必要になることがわかります。さらに冗長化を考慮すると、LANに接続する4本と、SANに接続する2本が必要になります。

  1. クライアントとの接続に使用するLANのためのイーサネット(NIC)
  2. VMotionやNAS、iSCSI接続に必要なVMKernel用ネットワーク、およびVirtual Centerとの通信等Hypervisor管理用のサービスコンソール(SC)ネットワークに使用するイーサネット(NIC)
  3. ストレージ用ネットワーク(SAN)にアクセスするためのファイバ チャネル(HBA)

 これら3種類の接続の冗長化も必要となるため、物理サーバからの入出力にはイーサネット アダプタが4つ、SANアダプタが2つの合計6つということになります。もちろん、より多くの帯域、より冗長性を持たせる設計をした場合には、さらにアダプタの数は増え、8つあるいは10個のI/Oが必要となる可能性もあります。

 こういった仮想化テクノロジーによって引き起こされるI/Oの変化に対応するテクノロジーが、ユニファイドI/Oとユニファイド ファブリックです。

ユニファイドI/O

 ユニファイドI/Oとは、複数のネットワークやストレージ アダプタを1つの統合ネットワーク アダプタ(CNA)に統合することです。複数のNICとHBAを1つのCNAに統合することで、アダプタの数が減り、サーバ構成が簡素化され、拡張スロットの使用を節約できます。

 ユニファイドI/Oを導入すれば、サーバとアクセス スイッチの間の配線はすべてSFP+(Small Form-Factor Pluggable Plus)に置き換えることができ、トランシーバやケーブルの数を大幅に減らすことができます。さらに、イーサネットをベースにしているために汎用性があり、ファイバ チャネルもFCoE(Fibre Channel over Ethernet)によってイーサネットに統合できます。ポートあたり最大 10 Gbps の帯域幅を使用できるこのソリューションにより、仮想化のため増えるトラフィックにも対応でき、サーバ間通信に必要な低遅延接続も実現可能となります。

ユニファイド ファブリック

 ユニファイドI/Oをさらにネットワークレベルに拡張したものが、ユニファイド ファブリックです。これまでは、LANにはイーサネット スイッチ、ストレージにはファイバ チャネル用スイッチ、サーバ間通信にはInfiniband用スイッチといったように、別々のテクノロジーを使用しているために、プロトコルや管理も個別に行われてきました。これらのネットワーク通信を統合して、どの物理サーバからでも、どのストレージにでもアクセス可能なファブリックを形成するのが、ユニファイド ファブリックです。

ユニファイドI/O、ユニファイド ファブリックのベースとなる10ギガビット イーサネット テクノロジー

 1台の物理サーバに複数の仮想マシンが稼動している仮想化システムでは、物理サーバあたりに必要な帯域が飛躍的に増加します。サーバの性能が上がり、マルチコア化されて大容量メモリーを積めるようになると、そこにはより多くの仮想マシンが搭載されるようになります。

 仮に、これまで1台の物理サーバが1Gbpsの帯域を利用していたとしましょう。このサーバを仮想化して1台の物理サーバに統合し、ユニファイドI/Oやユニファイド ファブリックによってI/Oを統合すると、仮想サーバの台数分のI/Oが少数のインターフェイスに集中することになります。さらにVMotionなどのライブ マイグレーション技術を使用すると、仮想マシンの状態を保存したメモリを物理サーバ間でコピーするという事象が発生するため、ますます物理サーバ間におけるトラフィック量が増大します。このような事情から、データセンターの仮想化には10ギガビット イーサネットのテクノロジーが不可欠となっています。

 10ギガビット イーサネットには、XENPAK、X2、XFPなどがあり、その使い勝手は向上し、小型化・省電力化が進んでいます。現在では、SFP+という、1ギガビット イーサネットのオプティカル コネクタとして主流のSFPと同じ形状にまで小型化されました。また、10ギガビット イーサネットを銅線でも使用可能なSFP+ CU Copperも登場しました。SFP+ CU Copperは、今までの10ギガビット イーサネット オプティックより廉価で、ケーブリングにもコストがかかりません。

I/Oは物理的に統合しても、アプリケーションごとのトラフィックはIEEE データセンター ブリッジングで分離

ユニファイド I/O やユニファイドファブリックによって物理的に統合されたネットワークには、LANの通信データやストレージの制御およびデータのほか、Vmkernelやサービス コンソールといった、仮想環境を支えるトラフィックが流れています。シスコ IEEE データセンター ブリッジングは、イーサネット標準の拡張版で、これを利用することで複数のトラフィッククラスで1つのリンクを共有することができるようになります。世界中でもっとも普及しているイーサネットにいくつかの機能を追加することで、ネットワーク インフラストラクチャの統合を実現させます。

シスコ IEEE データセンター ブリッジングには、次のような機能があります。

  • 単一のリンク上のトラフィックをクラスに基づいて管理するフロー制御
  • 優先度クラスごとの最低帯域幅を保証する帯域幅管理
  • デバイスの検出および情報交換のためのDCBX(Data Center Bridging Exchange)プロトコル
  • 輻輳を引き起こしているトラフィックをシェーピングするようにレート リミッタに指示する輻輳通知

これらの拡張機能により、仮想環境においても、パケットロスのない安定した通信を提供することができます。

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