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コロナ禍、現場を変える「攻めの ICT 戦略」最前線

医師の働き方や、診療体制にも大きな影響をもたらしている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行。各地の医療機関が対応に追われる中、ICT をうまく活用してこの窮地に対応している医療機関が増え始めています。今回は、その導入成果や、各病院の考えについてご紹介します。

テレビ通話システムで感染病室とナースステーションの意思疎通を円滑化
国立がんセンター中央病院

「看護師さんの顔、ようやく見られた」― 院内テレビ通話がもたらした、“思わぬ効果”

東京都における緊急事態宣言が発出されて間もない 4 月 15 日に、東京都の要請を受けて新型コロナウイルス感染症患者を受け入れ始めた国立がんセンター中央病院(東京都中央区)。並行して院内でスタッフの感染リスクを減らすべく実施されたのが、「テレビ通話システムの充実」でした。ICU と感染病棟のスタッフ間でのテレビ電話システムを構築したのち、4 月 23 日には感染病室の患者が iPad を通じてナースステーションと“顔を見ながら”意思疎通ができる体制を整えたのです。

当初は「スタッフの感染防止」を主な目的として進められた「テレビ通話システムの充実」でしたが、患者のケアにおいても想像以上の効果を発揮したと、看護師長の岡田直子氏は語ります。

「防護服やマスクなどの着用を徹底すると、患者さんもゴーグル越しの目と声色くらいでしかスタッフのことを認識できません。それがテレビ電話を用いてコミュニケーションをとるようになったことで、『看護師さんは、こんな顔をしていたんだね』と言ってもらえたのは印象的でした。

新型コロナウイルス感染患者さんは物理的に隔離されてしまいますし、二次感染を防ぐ意味でも、最小限しか人と触れ合えなくなってしまいがちです。そうした状態の患者さんと、時間を気にせず、表情を見ながらお話しできることは、私たちにとっても助かりました。」(岡田直子氏・看護師長、那須雅子氏・副看護師長)

テレビ電話システム導入イメージ

今回同院が活用したのは、Cisco Jabber というシステム。患者とのコミュニケーションに用いることもあって、個人情報の観点から「インターネットを介さずに通信ができること」を最重視し、もともと他施設との遠隔会議のためにシスコ社のシステムを利用していた実績もあってスピーディに導入が決まったそうです。

ただ、感染防止のため密なレクチャーの機会を設けられなかったこともあり、患者やスタッフがうまく利用してくれるかどうかは懸念もあったと、三原直樹氏(医療情報部 部長、情報統括センター センター長)は語ります。導入にあたってはシスコ社のパートナーであるネットワンシステムズ社からの情報も参考にしながら機能をシンプルに絞り込み、マニュアルを現場に共有するなど工夫も施したことで、全感染患者が退院した 5 月 21 日まで大きなトラブルなく、体制をつくれたと振り返ります。

このたび新型コロナウイルス感染患者を再度受け入れることが決まった同院では、今後もテレビ会議システムを用いた感染患者とのコミュニケーションを継続予定。利用患者数を拡げたり、病室とナースステーションにさらに ICU をつなげて重症者のケアにもシステムを生かしたりしていけないかなど、現場からは発展的な声も上がっているそうです。

 

 


遠隔でのコンサルテーション、採用や説明会のオンライン化
前橋赤十字病院

現場の声を「棚卸し」、次々に業務改革を実現

群馬県の前橋赤十字病院でも、コロナ禍においても災害拠点病院として診療機能を維持すべく、ICT を活用したさまざまな施策が立ち上がったそうです。

県をまたいだ移動が困難になったことで、非常勤医の勤務が難しくなるなど、数々の課題が発生したという同院。一時は休診を余儀なくされた診療科もあったそうですが、事態がなかなか収束しない状況を踏まえ、災害拠点病院としての診療機能を維持すべく院長を中心とした「コロナ対策室」を設置。現場の声を精査し、“ICT で改善できる業務”については情報システム課が 1 つ 1 つ形にしていったとのこと。

その中でも特徴的と言えるのが、昭和大学歯科病院(東京都大田区)と提携して構築した遠隔でのコンサルテーションシステム。前橋赤十字病院の形成・美容外科の医師が主体となり、Web 会議システムで昭和大学歯科病院と連携を取りながら診療を行うというもので、地域でも希少な矯正歯科を存続させるうえで、現在欠かせない役割を担っているそうです。

「患者さんの口腔内や電子カルテの内容を Web 会議システムで共有するため、画質や個人情報の問題など不安はありましたが、実際に利用している医師からは『操作も簡便で問題なく診察を進めることができた。小児患者の場合はカメラを介して診察する方が、いつもよりも素直に診察に応じてくれた印象もある』といった評価ももらっており、安心しています」(市根井栄治氏・情報システム課 情報システム係長)

前橋赤十字病院と昭和大学歯科病院をつないでのコンサルテーションの様子 (前橋赤十字病院提供)
前橋赤十字病院と昭和大学歯科病院をつないでのコンサルテーションの様子

(前橋赤十字病院提供)


看護師の採用活動や関連大学病院の研修医への説明会の“オンライン化”も実行

このほか、コロナ禍を受けて同院が工夫して取り組んだのが、看護師の採用活動や関連大学病院の研修医への説明会の“オンライン化”です。

特に看護師採用については試験の時期をずらすことも考えたそうですが、優秀なスタッフを早期に確保すべく、例年通りのスケジュールで採用面接を実施する方法を模索。県外受験者に対してオンライン面接を行うことにしました。「感染リスクがなく、時間と金銭面のコストがかからない」オンライン面接は受験者にも好評だったとのこと。

例年参加してきたイベント会場での集合型説明会では、物理的な制約もあり特定の診療科のスタッフしか登壇できませんでしたが、今回は各診療科の部長が病院から説明会に参加し、各科の特徴を解説したこともあって、より立体的に病院の実情を伝えられる機会に。急な対応ということもあり参加者募集には苦労したということですが、説明会の内容は録画しほかの機会で利用できるなど、「オンライン説明会ならではのメリット」が徐々に運営側にも浸透している状況なのだそうです。「新しいことに取り組むのは大変だけれども、新しい可能性を開くことにもつながることに気づいた」。看護部長から寄せられたという、そんな前向きな声に一連の取り組みへの”手ごたえ”が感じ取れます。

コロナ禍を受け、医療機関において急速に必要性が高まっている「院内の ICT 活用」。一方、いざ自院にも展開しようとすると、セキュリティ面での不安や、院内スタッフ・患者に「本当に使ってもらえるか」といった懸念から、導入をためらってしまうケースも多いかもしれません。最後に、前橋赤十字病院事務部でシステム導入を推進した情報システム課長の浅野太一氏にも、ICT を通じた院内の業務改善を進めるうえでのポイントについて伺いました。

「当院の場合、2018 年に新病院へ移転したタイミングで、 ICT ツールを活用できる基盤を作っていたことが大きかったです。活用実績がある分、今では職員も『ICT があること前提』で利活用案を出してくれます。特に現在は、コロナ禍によって新たな体制を作っていくことが求められていますから、何か実績がつくれれば、現場がさらなる発展案を出してくれることも多いのではないでしょうか。病院ごとのご判断もあるかと思いますが、これまで ICT の利活用が遅れてきた医療機関のあり方が、大きく変わろうとしているのが現在なのだと思います。

特に個人情報などは漏洩が起こらないよう細心の注意は必要ですが、専門家の助言ももらいつつ“使う側の意識”を緩めずに運用ができれば、患者さんやスタッフにとって安全で便利なシステムを構築すること自体は可能なはず。地域で必要とされる機能を果たせるよう、当院自身も今後も現場の声を吸い上げ、業務改革に取り組んでいきたいと考えています。」(浅野太一氏・情報システム課長)

今回のインタビューはオンライン上で実施しました

取材協力:

国立がん研究センター中央病院

  • 岡田 直子様(中央病院 看護部 11B 病棟 看護師長)
  • 那須 雅子様(中央病院 看護部 11B 病棟 副看護師長)
  • 三原 直樹様(医療情報部 部長 / 情報統括センター センター長)
  • 中島 典昭様(医療情報部 医療情報システム運用管理室長)

前橋赤十字病院

  • 浅野 太一様(事務部 情報システム課長)
  • 市根井 栄治様(情報システム課 情報システム係長)

ICT 活用による新型コロナウイルス対策事例のポイント

  • 既存の iPad や iPhone といった Apple 製品と連携させてシステムを構築
  • インターネットを介さないシステムなど、病院ごとのセキュリティ対策に合わせた対応が可能
  • タブレット操作が難しい患者には、操作が簡単な据え置き型ビデオ専用端末も併用可能
  • 評価機材の提供も可能なため、まずは使用感を見定めたうえで導入できる

※ 導入をご検討中の医療機関の方は、以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。

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