オンライン診断の設定

オンライン診断の設定に関する情報

オンライン診断機能を使用すると、デバイスをアクティブ ネットワークに接続したまま、デバイスのハードウェア機能をテストして確認できます。オンライン診断には、異なるハードウェア コンポーネントをチェックするパケット交換テストが含まれ、データ パスおよび制御信号が確認されます。

オンライン診断では、次の領域の問題が検出されます。

  • ハードウェア コンポーネント

  • インターフェイス(イーサネット ポートなど)

  • はんだ接合

オンライン診断は、オンデマンド診断、スケジュール診断、ヘルスモニタリング診断に分類できます。オンデマンド診断は、CLI から実行されます。スケジュールされた診断は、動作中のネットワークにデバイスが接続されているときに、ユーザが指定した間隔または指定した時刻に実行されます。ヘルスモニタリングは、バックグラウンドでユーザが指定した間隔で実行されます。ヘルスモニタリングテストは、テストに基づいて 90、100、または 150 秒ごとに実行されます。

オンライン診断を設定したあと、手動で診断テストを開始したり、テスト結果を表示したりできます。また、デバイスまたはスイッチスタックに設定されているテストの種類、およびすでに実行された診断テスト名を確認できます。

Generic Online Diagnostics(GOLD)


(注)  


  • オンライン診断テストをイネーブルにする前に、コンソールロギングをイネーブルにしてすべての警告メッセージを表示してください。

  • テストの実行中、ポートを内部的にループしてストレステストを行いますが、外部トラフィックがテスト結果に影響を与えることがあるため、すべてのポートがシャットダウンされます。スイッチを正常な稼働に戻すために、スイッチをリロードしなければなりません。スイッチをリロードするコマンドを入力すると、コンフィギュレーションを保存するかどうかを聞かれます。コンフィギュレーションは保存しないでください。

  • 他のモジュール上でテストを実行している場合、テストが開始され、完了したら、モジュールをリセットする必要があります。


TestPortTxMonitoring

このテストは、ステータスが UP のデバイスに物理的に接続されている各ネットワークポートの送信方向のデータパストラフィックを定期的にモニターします。このテストは、ポートあたり 1 ミリ秒以内に完了します。また、このテストでは、ASIC レベルで送信カウンタをモニターして、ポートがスタックしていないことを確認します。テストでは syslog メッセージが表示され、ユーザーは Cisco IOS Embedded Event Manager(EEM)を使用して修正アクションを実行できます。

diagnostic monitor interval および diagnostic monitor threshold コマンドをそれぞれ入力して、時間間隔としきい値を設定します。テストでは、パケットを送信する Cisco Discovery Protocol(CDP)プロトコルを利用します。テストは 75 秒ごとに実行され、障害しきい値はデフォルトで 5 に設定されています。

属性

説明

ディスラプティブまたはノンディスラプティブ

ノンディスラプティブ

推奨事項

ディセーブルにしないでください。

デフォルト

オン

修正処置

ポートに障害が発生したことを示す syslog メッセージを表示します。

ハードウェア サポート

スーパーバイザ エンジンを含むすべてのモジュール

TestUnusedPortLoopback

このテストは、実行時にスーパバイザモジュールとモジュールのネットワークポート間のデータパスを定期的に確認し、着信ネットワーク インターフェイス ポートがロックされているかどうかを判断します。このテストでは、レイヤ 2 のパケットはテストポートおよびスーパバイザエンジンのインバンドポートに関連付けられた VLAN にフラッディングされます。パケットはテストポート内をループバックして、同じ VLAN のスーパバイザエンジンに戻ります。このテストは、ケーブルが接続されているかどうかに関係なく、未使用の(管理上のダウン、つまりポートがシャットダウンされている)ネットワークポートでのみ実行され、ポートあたり 1 ミリ秒以内に完了します。このテストは、現在の ASIC にノンディスラプティブ ループバック テストがないため、代用として使用され、60 秒ごとに実行されます。

属性

説明

ディスラプティブまたはノンディスラプティブ

ノンディスラプティブ

推奨事項

ディセーブルにしないでください。CPU 使用率の急上昇中、このテストは精度を維持するために自動的にディセーブルになります。

デフォルト

オン

修正処置

ポートに障害が発生したことを示す syslog メッセージを表示します。スーパバイザエンジン以外のモジュールでは、すべてのポートグループに障害が発生した場合(たとえば、ポート ASIC ごとに最低 1 つのポートで、すべてのポート ASIC の障害しきい値より多く障害が発生した場合)、デフォルトのアクションではモジュールがリセットされ、リセットを 2 回行ったあとにモジュールの電源を切断します。

ハードウェア サポート

スーパーバイザ エンジンを含むすべてのモジュール

オンライン診断の設定方法

オンライン診断テストの開始

デバイスで実行する診断テストを設定したあと、diagnostic start 特権 EXEC コマンドを使用して診断テストを開始します。

テストを開始したら、テスト プロセスの停止はできません。

手動でオンライン診断テストを開始するには、次の特権 EXEC コマンドを使用します。

手順

コマンドまたはアクション 目的

diagnostic start switch number test {name | test-id | test-id-range | all | basic | complete | minimal | non-disruptive | per-port}

例:



Device# diagnostic start switch 2 test basic

診断テストを開始します。

switch number キーワードは、スタック構成デバイスだけでサポートされます。

次のいずれかのオプションを使用してテストを指定できます。

  • name :テストの名前を入力します。

  • test-id :テストの ID 番号を入力します。

  • test-id-range :カンマとハイフンで区切ってテスト ID の範囲を整数で入力します。

  • all :すべてのテストを開始します。

  • basic :基本テスト スイートを開始します。

  • complete :完全なテスト スイートを開始します。

  • minimal :最小限のブートアップ テスト スイートを開始します。

  • non-disruptive :ノンディスラプティブ テスト スイートを開始します。

  • per-port :ポート単位のテスト スイートを開始します。

オンライン診断の設定

診断モニタリングをイネーブルにする前に、障害しきい値およびテストの間隔を設定する必要があります。

オンライン診断のスケジューリング

特定のデバイスについて指定した時間、または日、週、月単位でオンライン診断をスケジューリングできます。スケジューリングを削除するには、コマンドの no 形式を入力します。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

Device #configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 2

diagnostic schedule number test {name | test-id | test-id-range | all | basic | complete | minimal | non-disruptive | per-port} {daily | on mm dd yyyy hh:mm | port inter-port-number port-number-list | weekly day-of-week hh:mm}

例:


Device(config)# diagnostic schedule  3 test 1-5 on July 3 2013 23:10

特定日時のオンデマンド診断テストをスケジュールします。

switch number キーワードは、スタック構成スイッチだけでサポートされます。

スケジュールするテストを指定する場合は、次のオプションを使用します。

  • name show diagnostic content コマンドの出力に表示されるテストの名前です。

  • test-id show diagnostic content コマンドの出力に表示されるテストの ID 番号です。

  • test-id-range show diagnostic content コマンドの出力に表示されるテストの ID 番号です。

  • all :すべてのテスト ID

  • basic :基本的なオンデマンドの診断テストを開始します。

  • complete :完全なテスト スイートを開始します。

  • minimal :最小限のブートアップ テスト スイートを開始します。

  • non-disruptive :ノンディスラプティブ テスト スイートを開始します。

  • per-port :ポート単位のテスト スイートを開始します。

テストは次のようにスケジュールできます。

  • 毎日:daily hh:mm パラメータを使用します。

  • 特定日時:on mm dd yyyy hh:mm パラメータを使用します。

  • 毎週:weekly day-of-week hh:mm パラメータを使用します。

ヘルス モニタリング診断の設定

デバイスが稼働中のネットワークに接続されている間に、スイッチに対しヘルスモニタリング診断テストを設定できます。各ヘルスモニタリングテストの実行間隔を設定したり、デバイスをイネーブルにし、テスト失敗時の Syslog メッセージを生成したり、特定のテストをイネーブルにできます。

テストをディセーブルにするには、コマンドの no 形式を入力します。

デフォルトでは、ヘルスモニタリングはディセーブルですが、デバイスはテストの失敗時に Syslog メッセージを生成します。

ヘルス モニタリング診断テストを設定し、イネーブルにするには、次の手順を実行します。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

enable

例:


Device> enable

特権 EXEC モードを有効にします。

  • パスワードを入力します(要求された場合)。

ステップ 2

configure terminal

例:


Device# configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

diagnostic monitor interval switchnumber test {name | test-id | test-id-range | all} hh:mm:ss milliseconds day

例:


Device(config)# diagnostic monitor interval switch 2 test 1 12:30:00 750 5

指定のテストに対し、ヘルス モニターリングの実行間隔を設定します。

switch number キーワードは、スタック構成スイッチだけでサポートされます。

テストを指定する場合は、次のいずれかのパラメータを使用します。

  • name show diagnostic content コマンドの出力に表示されるテストの名前です。

  • test-id show diagnostic content コマンドの出力に表示されるテストの ID 番号です。

  • test-id-range show diagnostic content コマンドの出力に表示されるテストの ID 番号です。

  • all :すべての診断テスト。

間隔を指定する場合は、次のパラメータを設定します。

  • hh:mm:ss :モニタリング間隔(時間、分、秒)。指定できる範囲は hh が 0 ~ 24、mm および ss が 0 ~ 60 です。

  • milliseconds :モニタリング間隔(ミリ秒(ms))。指定できる範囲は 0 ~ 999 です。

  • day :モニタリング間隔(日数)。指定できる範囲は 0 ~ 20 です。

ステップ 4

diagnostic monitor syslog

例:


Device(config)# diagnostic monitor syslog

(任意)ヘルス モニタリング テストの失敗時にスイッチが Syslog メッセージを生成するように設定します。

ステップ 5

diagnostic monitor threshold switch number number test {name | test-id | test-id-range | all} failure count count

例:


Device(config)# diagnostic monitor threshold switch 2 test 1 failure count 20

(任意)ヘルス モニターリング テストの失敗しきい値を設定します。

テストを指定する場合は、次のいずれかのパラメータを使用します。

  • name show diagnostic content コマンドの出力に表示されるテストの名前です。

  • test-id show diagnostic content コマンドの出力に表示されるテストの ID 番号です。

  • test-id-range show diagnostic content コマンドの出力に表示されるテストの ID 番号です。

  • all :すべての診断テスト。

失敗しきい値 count に指定できる範囲は 0 ~ 99 です。

ステップ 6

diagnostic monitor switchnumber test {name | test-id | test-id-range | all}

例:


Device(config)# diagnostic monitor switch 2 test 1

指定のヘルス モニタリング テストをイネーブルにします。

switch number キーワードは、スタック構成スイッチだけでサポートされます。

テストを指定する場合は、次のいずれかのパラメータを使用します。

  • name show diagnostic content コマンドの出力に表示されるテストの名前です。

  • test-id show diagnostic content コマンドの出力に表示されるテストの ID 番号です。

  • test-id-range show diagnostic content コマンドの出力に表示されるテストの ID 番号です。

  • all :すべての診断テスト。

ステップ 7

end

例:


Device(config)# end

特権 EXEC モードに戻ります。

ステップ 8

show diagnostic { content | post | result | schedule | status | switch }

オンライン診断のテスト結果およびサポートされるテスト スイートを表示します。

ステップ 9

show running-config

例:


Device# show running-config 

入力を確認します。

ステップ 10

copy running-config startup-config

例:


Device# copy running-config startup-config 

(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。

オンライン診断のモニタリングおよびメンテナンス

オンライン診断テストの設定例

例:診断テストの開始

次に、テスト名を指定して診断テストを開始する例を示します。


Device# diagnostic start switch 2 test DiagPOETest



次に、すべての基本診断テストを開始する例を示します。


Device# diagnostic start switch 1 test all

例:ヘルス モニタリング テストの設定

次に、ヘルス モニターリング テストを設定する例を示します。


Device(config)# diagnostic monitor threshold switch 1 test 1 failure count 50
Device(config)# diagnostic monitor interval switch 1 test TestPortAsicStackPortLoopback

例:診断テストのスケジューリング

次に、特定のスイッチに対して、特定の日時に診断テストを実行するようにスケジューリングする例を示します。

Device(config)# diagnostic schedule test DiagThermalTest on June 3 2013  22:25

次の例では、指定されたスイッチで毎週特定の時間に診断テストを実行するようにスケジューリングする方法を示します。

Device(config)# diagnostic schedule switch 1 test 1,2,4-6 weekly saturday 10:30

例 : オンライン診断の表示

次に、オンデマンド診断設定を表示する例を示します。

Device# show diagnostic ondemand settings

Test iterations = 1
Action on test failure = continue

次に、障害の診断イベントを表示する例を示します。


Device# show diagnostic events event-type error

Diagnostic events (storage for 500 events, 0 events recorded)
Number of events matching above criteria = 0

No diagnostic log entry exists.

次に、診断テストの説明を表示する例を示します。


Device# show diagnostic description switch 1 test all

DiagGoldPktTest : 
        The GOLD packet Loopback test verifies the MAC level loopback
        functionality. In this test, a GOLD packet, for which doppler
        provides the support in hardware, is sent. The packet loops back
        at MAC level and is matched against the stored packet. It is a non
        -disruptive test.

DiagThermalTest : 
        This test verifies the temperature reading from the sensor is below the yellow
        temperature threshold. It is a non-disruptive test and can be run as a health monitoring test.

DiagFanTest : 
        This test verifies all fan modules have been inserted and working properly on the board
        It is a non-disruptive test and can be run as a health monitoring test.

DiagPhyLoopbackTest : 
        The PHY Loopback test verifies the PHY level loopback
        functionality. In this test, a packet is sent which loops back
        at PHY level and is matched against the stored packet. It is a 
        disruptive test and cannot be run as a health monitoring test.

DiagScratchRegisterTest : 
        The Scratch Register test monitors the health of application-specific
        integrated circuits (ASICs) by writing values into registers and reading
        back the values from these registers. It is a non-disruptive test and can
        be run as a health monitoring test.

DiagPoETest : 
        This test checks the PoE controller functionality. This is a disruptive test
        and should not be performed during normal switch operation.

DiagStackCableTest : 
        This test verifies the stack ring loopback functionality
        in the stacking environment. It is a disruptive test and
        cannot be run as a health monitoring test.


Device#

 

オンライン診断に関する追加情報

関連資料

関連項目 マニュアル タイトル

この章で使用するコマンドの完全な構文および使用方法の詳細。

Command Reference (Catalyst 9200 Series Switches)

オンライン診断設定の機能情報

次の表に、このモジュールで説明する機能のリリースおよび関連情報を示します。

これらの機能は、特に明記されていない限り、導入されたリリース以降のすべてのリリースで使用できます。

リリース

機能

機能情報

Cisco IOS XE Fuji 16.9.2

オンライン診断

オンライン診断機能を使用すると、デバイスをアクティブ ネットワークに接続したまま、デバイスのハードウェア機能をテストして確認できます。

Cisco Feature Navigator を使用すると、プラットフォームおよびソフトウェアイメージのサポート情報を検索できます。Cisco Feature Navigator には、http://www.cisco.com/go/cfn [英語] からアクセスします。