ポートチャネルに関する情報
この項では、次のトピックについて取り上げます。
ポートチャネルの概要
ポート チャネルは、複数の物理インターフェイスを 1 つの論理インターフェイスに集約し、より精度の高い集約帯域幅、ロード バランシング、およびリンク冗長性を提供する機能です(図 6-1 を参照)。ポートチャネルはスイッチング モジュール間のインターフェイスに接続することができるため、スイッチング モジュールで障害が発生してもポートチャネルのリンクがダウンすることはありません。
図 6-1 ポートチャネルの柔軟性
Cisco MDS 9000 ファミリ スイッチのポートチャネルは柔軟に設定できます。上記は、3 つの構成可能なポートチャネル設定を示しています。
- ポートチャネル A は、接続の両端が同一のスイッチング モジュール上にある、2 つのインターフェイスの 2 つのリンクを集約します。
- ポートチャネル B も 2 つのリンクを集約しますが、各リンクは別々のスイッチング モジュールに接続されています。スイッチング モジュールがダウンしても、トラフィックは影響されません。
- ポートチャネル C は 3 つのリンクを集約します。そのうち 2 つのリンクは両端が同一のスイッチング モジュール上にあり、1 つのリンクはスイッチ 1 で別々のスイッチング モジュールに接続されています。
E ポートチャネル
E ポートチャネルは、複数の E ポートを 1 つの論理インターフェイスに集約し、より精度の高い集約帯域幅、ロード バランシング、およびリンク冗長性を提供する機能です。ポートチャネルはスイッチング モジュール間のインターフェイスに接続することができるため、スイッチング モジュールで障害が発生してもポートチャネルのリンクがダウンすることはありません。
ポートチャネルには次の機能および制約事項があります。
- ISL(E ポート)または EISL(TE ポート)を介したポイントツーポイント接続を行う。複数のリンクを 1 つのポートチャネルに結合できます。
- チャネル内で機能するすべてのリンクにトラフィックを分配して、ISL 上の集約帯域幅を増加させます。
- 複数のリンク間で負荷を分散し、最適な帯域利用率を維持します。ロード バランシングは、送信元 ID、宛先 ID、Originator Exchange ID(OX ID)に基づきます。
- ISL にハイ アベイラビリティを提供します。いずれか 1 つのリンクに障害が発生したら、それまでそのリンクで伝送されていたトラフィックが残りのリンクに切り替えられます。ポートチャネルでリンクが 1 つダウンしても、上位プロトコルはこのことを認識しません。上位プロトコルにとっては、帯域幅が減るだけで、リンクはまだそこにあります。リンク障害によるルーティング テーブルへの影響はありません。ポートチャネルには、最大 16 の物理リンクを加えることができます。また、複数のモジュールにポートチャネルを分散して、アベイラビリティを高めることができます。
(注
) ポートチャネルと FSPF リンクのフェールオーバーのシナリオについては、『Cisco MDS 9000 Family NX-OS Fabric Configuration Guide』を参照してください。
F および TF ポートチャネル
F ポートチャネルも、同じファイバ チャネル ノードに接続された F ポートのセットを組み合わせ、F ポートと NP ポート間で 1 つのリンクとして動作する論理インターフェイスです。F ポートチャネルでは、E ポートチャネルと同様の帯域利用率およびアベイラビリティをサポートします。F ポートチャネルは主に MDS コアと NPV スイッチの接続に使用され、最適な帯域利用率および VSAN のアップリンク間での透過型フェールオーバーを実現します。
F ポートチャネルのトランクでは、TF ポートと F ポートチャネルの機能性および利点が組み合わせられます。この論理リンクは Cisco EPP(ELS)上で Cisco PTP および PCP の各プロトコルを使用します。
(注
) Cisco MDS 9124 スイッチまたは 9134 スイッチをコア スイッチとして使用する場合は、非トランキング F ポートチャネルだけがサポートされます。NPIV がイネーブルの場合、このプラットフォームではトランキングがサポートされません。
ポート チャネルとトランキング
トランキングは、ストレージ業界で一般的に使用されている用語です。ただし、Cisco NX-OS ソフトウェアおよび Cisco MDS 9000 ファミリ スイッチでは、トランキングとポートチャネルを次のように実装します。
- ポートチャネルでは、複数の物理リンクを 1 つの集約論理リンクに組み合わせることができます。
- トランキングでは、EISL 形式のフレームを送信しているリンクで複数の VSAN トラフィックを伝送(トランク)できます。たとえば、E ポートでトランキングを動作させると、その E ポートは TE ポートになります。TE ポートは、Cisco MDS 9000 ファミリ スイッチ特有のものです。業界標準の E ポートは他のベンダーのスイッチにリンクすることができ、非トランキング インターフェイスと呼ばれます(図 6-2 および図 6-3 を参照)。トランキングしたインターフェイスの詳細については、“トランキングの設定,”を参照してください。
図 6-2 トランキングだけ
図 6-3 ポートチャネルとトランキング
ポートチャネリングとトランキングは、ISL で別々に使用されます。
- ポートチャネル:次のポートの組み合わせの間でインターフェイスをチャネリングできます。
–
E ポートおよび TE ポート
–
F ポートおよび NP ポート
–
TF ポートおよび TNP ポート
- トランキング:トランキングでは、スイッチ間で複数の VSAN のトラフィックが伝送されます。
『 Cisco MDS 9000 Family NX-OS Fabric Configuration Guide 』を参照してください。
- TE ポート間では、EISL でポートチャネルとトランキングを使用できます。
ロード バランシング
次の 2 つの方法でロード バランシング機能がサポートされます。
- フロー ベース:送信元と宛先間のすべてのフレームが所定のフローで同一のリンクをたどります。つまり、フローの最初のエクスチェンジで選択されたリンクが、後続のすべてのエクスチェンジで使用されます。
- やり取りベース:やり取りの最初のフレームがリンクを選択し、やり取りのその後のフレームは同じリンクを流れます。ただし、後続のエクスチェンジは、別のリンクを使用できます。これにより、やり取りごとにフレームの順序を維持しながら、より細かいロード バランシングが可能になります。
図 6-4 に、送信元 ID 1(SID1)と宛先 ID1(DID1)を基準とするロード バランシングの動作を示します。フローの最初のフレームが転送のためにインターフェイスで受信されると、リンク 1 が選択されます。そのフローの各後続のフレームが、同一のリンク上に送信されます。SID1 および DID1 のフレームは、リンク 2 を使用しません。
図 6-4 SID1 および DID1 を基準としたロード バランシング
図 6-5 に、エクスチェンジ ベースのロード バランシングがどのように機能するかを示します。エクスチェンジで最初のフレームが転送用にインターフェイスで受信されると、リンク 1 がハッシュ アルゴリズムによって選択されます。そのやり取りの残りすべてのフレームは、同じリンクで送信されます。エクスチェンジ 1 では、リンク 2 を使用するフレームはありません。次のエクスチェンジでは、ハッシュ アルゴリズムによってリンク 2 が選択されます。やり取り 2 のすべてのフレームではリンク 2 が使用されます。
図 6-5 SID1、DID1、およびエクスチェンジ ベースのロード バランシング
ロード バランシング機能と順序どおりの配信機能の詳細については、『 Cisco MDS 9000 Family NX-OS Fabric Configuration Guide 』を参照してください。
ポートチャネル モード
チャネル グループのモード パラメータで各ポートチャネルを設定し、このチャネル グループのすべてのメンバー ポートでポートチャネル プロトコル動作を決めることができます。チャネル グループ モードに指定できる値は、次のとおりです。
- ON(デフォルト):メンバー ポートはポートチャネルの一部として動作するか、非アクティブになります。このモードでは、ポートチャネル プロトコルが始まりません。しかし、ポートチャネル プロトコル フレームをピア ポートから受信した場合、ソフトウェアはネゴシエーション不能ステータスを示します。このモードには、チャネル グループ モードが暗黙的に ON になっている Release 2.0(1b) 以前で、既存のポートチャネルの実装と下位互換性があります。Cisco MDS SAN-OS Release 1.3 以前で使用可能なポートチャネル モードは ON モードだけです。ON モードで設定されたポートチャネルでは、ポートチャネル設定でポートの追加または削除を行う場合、片側のポートチャネル メンバー ポートのイネーブル化およびディセーブル化を明示的に行う必要があります。また、ローカル ポートおよびリモート ポートが相互に接続されていることを物理的に確認する必要があります。
- ACTIVE:ピア ポートのチャネル グループ モードに関係なく、メンバー ポートはピア ポートとポートチャネル プロトコル ネゴシエーションを始めます。ピア ポートがチャネル グループ内で設定されていて、ポートチャネル プロトコルをサポートしないか、ネゴシエーション不能ステータスで応答した場合は、デフォルトで ON モードの動作となります。ACTIVE ポートチャネル モードでは、片側でポートチャネル メンバー ポートのイネーブル化およびディセーブル化を明示的に行わなくても、自動回復が可能です。
表 6-1 に、ON モードと ACTIVE モードの比較を示します。
表 6-1 チャネル グループ設定の相違点
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プロトコルは交換されません。 |
ピア ポートとポートチャネル プロトコル ネゴシエーションを行います。 |
動作値にポートチャネルとの互換性がない場合、インターフェイスは一時停止状態になります。 |
動作値にポートチャネルとの互換性がない場合、インターフェイスは分離状態になります。 |
ポートチャネル メンバー ポート設定の追加または変更を行うとき、片側のポートチャネル メンバー ポートのディセーブル化(shut)およびイネーブル化(no shut)を明示的に行う必要があります。 |
ポートチャネル インターフェイスの追加または変更を行うと、ポートチャネルは自動的に回復します。 |
ポートの起動は同期化されません。 |
すべてのピア スイッチで、チャネル内のすべてのポートの起動が同時に行われます。 |
プロトコルが交換されないため、すべての誤設定が検出される訳ではありません。 |
ポートチャネル プロトコルが使用され、誤設定が確実に検出されます。 |
誤設定ポートを中断ステートに移行します。各端でメンバ ポートを明示的にディセーブル(shut)およびイネーブル(no shut)に設定する必要があります。 |
誤設定を修正するために、誤設定ポートを隔離ステートに移行します。誤設定を修正すれば、プロトコルによって自動的に復旧されます。 |
これは、デフォルトのモードです。 |
このモードは明示的に設定する必要があります。 |
ポート チャネルの削除
ポートチャネルを削除すると、対応するチャネル メンバーシップも削除されます。削除したポートチャネルのすべてのインターフェイスは、個別の物理リンクに変換されます。ポート チャネルを削除すると、使用されているモード(ACTIVE および ON)に関係なく、各端のポートが正常にシャットダウンされます。これは、インターフェイスのシャットダウン時にフレームが失われないことを意味します(“正常なシャットダウン” section を参照)。
あるポートのポートチャネルを削除すると、削除したポートチャネル内の各ポートは互換性のあるパラメータ設定(速度、モード、ポート VSAN、許可されている VSAN、ポート セキュリティ)を維持します。これらの設定は、必要に応じて、明示的に変更できます。
- スイッチ間の不整合な状態を防ぐため、およびスイッチ間の整合性を維持するためにデフォルトの ON モードを使用した場合、ポートはシャットダウンします。これらのポートは再度明示的にイネーブルにする必要があります。
- ACTIVE モードを使用する場合、ポートチャネル ポートは削除から自動的に回復します。
ポートチャネルのインターフェイス
既存ポートチャネルで物理インターフェイス(またはある範囲のインターフェイス)の追加または削除を行うことができます。設定で互換性があるパラメータはポートチャネルにマッピングされます。ポートチャネルにインターフェイスを追加すると、ポートチャネルのチャネル サイズおよび帯域幅が増加します。ポートチャネルからインターフェイスを削除すると、ポートチャネルのチャネル サイズおよび帯域幅は減少します。
ここでは、ポートチャネルのインターフェイス設定について説明します。ここで説明する内容は、次のとおりです。
(注
) 第 2 世代スイッチング モジュールでのポートチャネルのサポートについては、“ポートチャネルの制限事項” sectionを参照してください。
ポートチャネルへのインターフェイス追加
既存ポートチャネルに物理インターフェイス(またはある範囲のインターフェイス)を追加できます。設定で互換性があるパラメータはポートチャネルにマッピングされます。ポートチャネルにインターフェイスを追加すると、ポートチャネルのチャネル サイズおよび帯域幅が増加します。
次の設定がポートとポートチャネルで同じ場合にかぎり、スタティックなポートチャネルのメンバーとしてポートを設定できます。
- 速度
- モード
- レート モード
- ポート VSAN
- トランキング モード
- 許可 VSAN リストまたは VF-ID リスト
メンバーの追加後、使用するモード(ACTIVE および ON)に関係なく、片側のポートは正常にダウンします。これは、インターフェイスがダウンしてもフレームが失われないことを示します(“第 1 世代ポートチャネルの制限事項” sectionおよび“正常なシャットダウン” sectionを参照)。
互換性チェック
互換性チェックでは、チャネルのすべての物理ポートで同一のパラメータ設定が確実に使用されるようにします。そうでない場合、ポートが PortChannel に所属できません。互換性チェックは、ポートを PortChannel に追加する前に実施します。
このチェックにより、次のパラメータおよび設定がポートチャネルの両端で一致することを確認します。
- 機能パラメータ(インターフェイスのタイプ、両端のギガビット イーサネット、両端のファイバ チャネル)。
- 管理上の互換性パラメータ(速度、モード、レート モード、ポート VSAN、許可 VSAN リスト、およびポート セキュリティ)
(注
) 共有レート モードのポートではポートチャネルやトランキング ポートチャネルを形成できません。
- 動作パラメータ(リモート スイッチ WWN およびトランキング モード)
リモート スイッチの機能パラメータと管理パラメータおよびローカル スイッチの機能パラメータと管理パラメータに互換性がない場合、ポートは追加できません。互換性チェックが正常であれば、インターフェイスは正常に動作し、対応する互換性パラメータ設定がこれらのインターフェイスに適用されます。
中断および隔離ステート
動作パラメータに互換性がない場合、互換性チェックは失敗し、インターフェイスは設定されたモードに基づいて中断ステートまたは隔離ステートになります。
- インターフェイスは、ON モードに設定されている場合、一時停止状態になります。
- インターフェイスは、ACTIVE モードに設定されている場合、分離状態になります。
インターフェイスの強制追加
ポートチャネルにより、ポート設定の上書きを強制することができます。この場合、インターフェイスはポートチャネルに追加されます。
- スイッチ間の不整合な状態を防ぐため、およびスイッチ間の整合性を維持するためにデフォルトの ON モードを使用した場合、ポートはシャットダウンします。これらのポートは再度明示的にイネーブルにする必要があります。
- ACTIVE モードを使用する場合、ポートチャネル ポートは追加から自動的に回復します。
(注
) インターフェイス内からポートチャネルを作成するときは、force オプションを使用できません。
メンバーを強制的に追加すると、使用されているモード(ACTIVE および ON)に関係なく、各端のポートが正常にシャットダウンされます。これは、インターフェイスのシャットダウン時にフレームが失われないことを意味します(“正常なシャットダウン” section を参照)。
ポート チャネルからのインターフェイスの削除
物理インターフェイスをポートチャネルから削除すると、チャネルのメンバーシップは自動的に更新されます。削除したインターフェイスが最後の動作インターフェイスである場合、ポートチャネルのステータスはダウン状態に変更されます。ポートチャネルからインターフェイスを削除すると、ポートチャネルのチャネル サイズおよび帯域幅は減少します。
- スイッチ間の不整合な状態を防ぐため、およびスイッチ間の整合性を維持するためにデフォルトの ON モードを使用した場合、ポートはシャットダウンします。これらのポートは再度明示的にイネーブルにする必要があります。
- ACTIVE モードを使用する場合、ポートチャネル ポートは削除から自動的に回復します。
メンバーの削除後、使用するモード(ACTIVE および ON)に関係なく、片側のポートは正常にダウンします。これは、インターフェイスがダウンしてもフレームが失われないことを示します(“第 1 世代ポートチャネルの制限事項” sectionおよび“正常なシャットダウン” sectionを参照)。
ポートチャネル プロトコル
Cisco SAN-OS の前バージョンでは、ポートチャネルで同期をサポートするために管理作業がさらに必要となっていました。Cisco NX-OS ソフトウェアには、強力なエラー検出機能および同期機能があります。チャネル グループを手動で設定できますが、自動的に作成することもできます。どちらの場合でも、チャネル グループの機能および設定可能なパラメータは同じです。関連ポートチャネル インターフェイスに適用される設定を変更すると、その変更はチャネル グループのすべてのメンバーに伝わります。
ポートチャネル設定をやり取りするプロトコルは、すべての Cisco MDS スイッチで使用できます。この追加機能により、非互換 ISL でのポートチャネル管理が簡単になります。追加された自動作成モードでは、互換性のあるパラメータを持つ ISL でチャネル グループを自動的に作成でき、手動での作業は必要ありません。
ポートチャネル プロトコルは、デフォルトでイネーブルです。
ポートチャネル プロトコルにより、Cisco MDS スイッチにおけるポートチャネル機能モデルが拡張されます。ポート チャネル プロトコルは、Exchange Peer Parameters(EPP)サービスを使用して、ISL のピア ポート間の通信を行います。各スイッチは、ピア ポートから受信した情報、およびローカル設定と動作値を使用し、それがポートチャネルの一部であるかどうかを判断します。このプロトコルでは、一連のポートが確実に同一ポートチャネルの一部になります。すべてのポートが互換性のあるパートナーを持つ場合だけ、ポート一式が同一のポート チャネルに属せます。
ポートチャネル プロトコルでは、次の 2 つのプロトコルが使用されます。
- 起動プロトコル:自動的に誤設定を検出するため、これらを修正できます。このプロトコルでは両側でポートチャネルが同期されるので、特定フローのすべてのフレーム(送信元 FC ID、宛先 FC ID、OX_ID によって識別)は両方向で同一の物理リンクによって伝送されます。これにより、書き込みアクセラレーションのようなアプリケーションが、FCIP リンクでポートチャネル用に動作するようになります。
- 自動作成プロトコル:互換性があるポートがポートチャネルに自動的に集約されます。
ここでは、ポートチャネル プロトコルの設定方法について説明します。ここで説明する内容は、次のとおりです。
チャネル グループの作成
(注
) HP c-Class BladeSystem 用シスコ ファブリック スイッチおよび IBM BladeSystem 用シスコ ファブリック スイッチの内部ポートでは、チャネル グループがサポートされません。
リンク A1-B1 が最初にアップすると仮定すると(図 6-6 を参照)、そのリンクは個別リンクとして動作します。次のリンク(A2-B2 など)がアップすると、ポートチャネル プロトコルはこのリンクにリンク A1-B1 との互換性があるかどうかを識別し、それぞれのスイッチにチャネル グループ 10 および 20 を自動的に作成します。リンク A3-B3 がチャネル グループ(ポートチャネル)に参加できるということは、それぞれのポートに互換性の設定があるということです。リンク A4-B4 が個別リンクとして動作するということは、このチャネル グループのその他のメンバー ポートとの互換性が、2 つのエンド ポート設定にないということです。
図 6-6 チャネル グループの自動作成
チャネル グループ番号は動的に選択され、片側でチャネル グループを形成するポートの管理上の設定は、新しく作成されるチャネル グループに適用可能となります。動的に選択されるチャネル グループ番号は、スイッチでポートが初期化される順序に基づくので、同一セットのポートチャネルでも、リブートすると異なることがあります。
表 6-2 に、ユーザ設定のチャネル グループと自動設定のチャネル グループの相違点を示します。
表 6-2 チャネル グループ設定の相違点
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ユーザが手動で設定します。 |
2 つの互換性のあるスイッチ間で互換性のあるリンクがアップしたときに自動的に作成されます(両端のすべてのポートでチャネル グループの自動作成がイネーブルになっている場合)。 |
メンバ ポートはチャネル グループの自動作成には参加できません。自動作成機能は設定できません。 |
これらのポートは、ユーザ設定のチャネル グループのメンバにはなりません。 |
チャネル グループのポートのサブセットでポートチャネルを形成できます。互換性がないポートは、ON モード設定または ACTIVE モード設定により、一時停止状態か分離状態になります。 |
チャネル グループに組み込まれるすべてのポートがポートチャネルに参加します。メンバー ポートが分離状態や一時停止状態になることはありません。リンクに互換性がない場合、そのメンバー ポートはチャネル グループから削除されます。 |
ポートチャネルで行った管理上の設定はチャネル グループのすべてのポートに適用され、ポートチャネル インターフェイスの設定は保存できます。 |
ポートチャネルで行った管理上の設定はチャネル グループのすべてのポートに適用されますが、メンバー ポートの設定は保存され、ポートチャネル インターフェイスの設定は保存されません。このチャネル グループは、必要に応じて明示的に変更できます。 |
任意のチャネル グループの削除およびチャネル グループへのメンバの追加が可能です。 |
チャネル グループは削除できません、メンバーの追加や削除もできません。メンバ ポートが存在しない場合、チャネル グループは削除されます。 |
(注
) MDS NX-OS Release 4.1(1b) 以降では自動作成がサポートされていません。
自動作成
自動作成プロトコルには次の機能があります。
- 自動作成機能をイネーブルにした場合、ポートはポートチャネルの一部として設定できません。これらの 2 つの設定を同時に使用できません。
- 自動作成は、ポートチャネルをネゴシエーションするため、ローカル ポートとピア ポートの両方でイネーブルにする必要があります。
- 集約は、次の 2 通りの方法で実行されます。
–
互換性のある自動作成ポートチャネルにポートが集約されます。
–
互換性がある別のポートにポートが集約され、新しいポートチャネルが形成されます。
- 新しく作成されたポートチャネルは、可用性に基づいて大きいものから順に最大のポートチャネル(第 1 世代スイッチまたは第 1 世代スイッチと第 2 世代スイッチの組み合わせの場合は 128、第 2 世代スイッチの場合は 256)から割り当てられます。128 または 256 の番号すべてが使用されている場合、集約は行われません。
- メンバーシップの変更または自動作成されたポートチャネルの削除はできません。
- 自動作成をディセーブルにすると、すべてのメンバー ポートは自動作成ポートチャネルから削除されます。
- 最後のメンバーが自動作成ポートチャネルから削除されると、チャネルは自動的に削除され、番号は解放されて再利用されます。
- 自動作成ポートチャネルは、リブート後に維持されません。自動作成ポートチャネルは、持続ポートチャネルと同一になるように手動で設定できます。ポートチャネルを持続させた場合、自動作成機能はすべてのメンバー ポートでディセーブルになります。
- 自動作成機能は、ポート単位またはスイッチ内のすべてのポートに対して、イネーブルまたはディセーブルに設定できます。この設定がイネーブルの場合、チャネル グループ モードはアクティブと見なされます。このタスクのデフォルトはディセーブルです。
- インターフェイスに対してチャネル グループの自動作成がイネーブルになっている場合、最初に自動作成をディセーブルにしてから、以前のソフトウェア バージョンにダウングレードするか、または手動設定されたチャネル グループでインターフェイスを設定する必要があります。
ヒント
Cisco MDS 9000 ファミリの任意のスイッチで自動作成をイネーブルにする場合は、スイッチ間の最低 1 つの相互接続ポートで自動作成を設定しないことを推奨します。2 つのスイッチ間のすべてのポートを自動作成機能で同時に設定すると、自動作成ポートチャネルにポートが追加されるとき、ポートが自動的にディセーブルになって再度イネーブルになるので、この 2 つのスイッチ間でトラフィックが混乱することがあります。
手動設定チャネル グループ
ユーザによって設定されたチャネル グループを自動作成チャネル グループに変更できません。ただし、自動作成されたチャネル グループから手動チャネル グループへの変更は可能です。このタスクは、実行すると元に戻すことはできません。チャネル グループ番号は変化しませんが、メンバー ポートは手動設定チャネル グループのプロパティに従って動作し、チャネル グループの自動作成はすべてのメンバー ポートで暗黙的にディセーブルになります。
ヒント
持続をイネーブルにする場合は、ポートチャネルの両側でイネーブルにしてください。
ポート チャネルの前提条件
ポートチャネルを設定する場合は、次の点に注意してください。
- スイッチング モジュール間でポートチャネルを設定し、スイッチング モジュールのリブートまたはアップグレードの際の冗長性を実装してください。
- 1 つのポートチャネルをさまざまなセットのスイッチに接続しないでください。ポートチャネルでは、同一セットのスイッチ間におけるポイントツーポイント接続が必要です。
(注
) 第 1 世代スイッチング モジュールを含むか、第 1 世代および第 2 世代のスイッチング モジュールを含むスイッチでは、最大で 128 のポートチャネルを設定できます。第 2 世代スイッチング モジュールを含むか、第 2 世代および第 3 世代のスイッチング モジュールを含むスイッチでは、最大で 256 のポートチャネルを設定できます。
ポートチャネルの設定を誤った場合は、誤設定メッセージを受信することがあります。このメッセージを受け取った場合、エラーが検出されたことが原因でポート チャネルの物理リンクはディセーブルになります。
ポートチャネルのエラーは、次の要件を満たしていない場合に検出されます。
- ポートチャネルの両端のスイッチが、同じ数のインターフェイスに接続されている。
- 各インターフェイスは、対応する反対側のインターフェイスに接続される必要があります(無効な設定例については、図 6-8を参照してください)。
- ポートチャネルの設定後、ポートチャネルのリンクを変更することはできない。ポートチャネルの設定後にリンクを変更する場合は、ポートチャネル内のインターフェイスにリンクを再接続してリンクを再びイネーブルにします。
3 つすべての条件が満たされていない場合、そのリンクはディセーブルになっています。
そのインターフェイスに show interface コマンドを入力して、ポート チャネルが設定どおりに機能しているかを確認します。
ポート チャネルの設定の確認
ポートチャネルの設定情報を表示するには、次の作業のいずれかを行います。
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show port-channel summary |
スイッチ内のポートチャネルの要約を表示します。各ポートチャネルの 1 行ずつの概要には、管理ステート、動作可能ステート、接続されてアクティブな状態(アップ)のインターフェイスの数、コントロールプレーン トラフィック(ロード バランシングなし)を伝送するためにポートチャネルで選択された主要な動作可能インターフェイスである First Operational Port(FOP)を表示します。FOP はポートチャネルで最初にアップするポートで、このポートがダウンした場合は変わることがあります。FOP はアスタリスク(*)でも識別できます。 |
show port-channel database |
デフォルトの ON モードと ACTIVE モードで設定されたポートチャネルを表示します。 |
show port-channel consistency |
整合性ステータスを詳細なしで表示します。 |
show port-channel consistency detail |
整合性ステータスを詳細付きで表示します。 |
show port-channel usage |
ポートチャネルの使用状況を表示します。 |
show port-channel compatibility-parameters |
ポートチャネルの互換性を表示します。 |
show interface fc slot/port |
自動作成されたポートチャネルを表示します。 |
show port-channel database interface port-channel number |
指定されたポートチャネル インターフェイスを表示します。 |
これらのコマンドの出力フィールドの詳細については、『 Cisco MDS NX-OS Command Reference 』を参照してください。
EXEC モードからいつでも既存のポートチャネルに関する特定の情報を表示できます。次の show コマンドを実行すると、既存のポートチャネルの詳細が表示されます。画面の出力を強制的にプリンタに送信することも、ファイルに保存することもできます。例 6-1 ~ 6-6 を参照してください。
例 6-1 ポートチャネルの概要の表示
switch# show port-channel summary
------------------------------------------------------------------------------
Interface Total Ports Oper Ports First Oper Port
------------------------------------------------------------------------------
port-channel 79 2 2 fcip200
例 6-2 デフォルトの ON モードで設定されたポートチャネルの表示
switch# show port-channel database
Administrative channel mode is on
Operational channel mode is on
Last membership update succeeded
2 ports in total, 0 ports up
Administrative channel mode is on
Operational channel mode is on
Last membership update succeeded
2 ports in total, 0 ports up
Administrative channel mode is on
Operational channel mode is on
Last membership update succeeded
First operational port is fcip200
2 ports in total, 2 ports up
例 6-3 ACTIVE モードで設定されたポートチャネルの表示
switch# show port-channel database
Administrative channel mode is active
Operational channel mode is active
Last membership update succeeded
2 ports in total, 0 ports up
Administrative channel mode is active
Operational channel mode is active
Last membership update succeeded
2 ports in total, 0 ports up
Administrative channel mode is active
Operational channel mode is active
Last membership update succeeded
First operational port is fcip200
2 ports in total, 2 ports up
show port channel consistency コマンドには、詳細なしと詳細ありの 2 つのオプションがあります。
例 6-4 整合性ステータスの表示(詳細なし)
switch# show port-channel consistency
例 6-5 整合性ステータスの表示(詳細あり)
switch# show port-channel consistency detail
Authoritative port-channel database:
================================================
2 ports, first operational port is none
2 ports, first operational port is none
2 ports, first operational port is fcip200
================================================
database 1: from module 5
================================================
2 ports, first operational port is none
2 ports, first operational port is none
2 ports, first operational port is fcip200
================================================
database 2: from module 4
================================================
2 ports, first operational port is none
2 ports, first operational port is none
2 ports, first operational port is fcip200
show port-channel usage コマンドでは、使用中および未使用のポート チャネル番号に関する詳細情報が表示されます。
例 6-6 ポートチャネルの使用状況の表示
switch# show port-channel usage
Totally 3 port-channel numbers used
===================================
例 6-7 ポートチャネルの互換性の表示
switch# show port-channel compatibility-parameters
physical port layer fibre channel or ethernet
自動作成されたチャネル グループの属性の詳細を取得するには、既存の show コマンドを使用します。自動作成されたポートチャネルは、手動で作成されたポートチャネルと区別できるように、明示的に示されます。例 6-8 ~ 6-10 を参照してください。
例 6-8 自動作成されたポートチャネルの表示
switch# show interface fc1/1
Hardware is Fibre Channel, FCOT is short wave laser
Port WWN is 20:0a:00:0b:5f:3b:fe:80
Receive data field Size is 2112
Port-channel auto creation is enabled
Belongs to port-channel 123
例 6-9 指定したポートチャネル インターフェイスの表示
switch# show port-channel database interface port-channel 128
Administrative channel mode is active
Operational channel mode is active
Last membership update succeeded
First operational port is fc1/1
1 ports in total, 1 ports up
例 6-10 ポートチャネルの概要の表示
switch# show port-channel summary
------------------------------------------------------------------------------
Interface Total Ports Oper Ports First Oper Port
------------------------------------------------------------------------------
port-channel 2 1 1 fc8/13
F および TF ポートチャネルの設定例
次に、F ポートチャネルを共有モードで設定し、NPIV コア スイッチの F ポートと NPV スイッチの NP ポート間のリンク(MDS 91x4 スイッチではサポートされません)を起動する例を示します。
ステップ 1 MDS コア スイッチの F ポートのトランキングおよびチャネリング プロトコルをイネーブルにします。
switch(config)# feature fport-channel-trunk
ステップ 2 MDS コア スイッチで NPIV をイネーブルにします。
switch(config)# feature npiv
ステップ 3 MDS コア スイッチにポートチャネルを作成します。
switch(config)# interface port-channel 1
switch(config-if)# switchport mode F
switch(config-if)# channel mode active
switch(config-if)# switchport trunk mode off
switch(config-if)# switchport rate-mode shared
ステップ 4 コア スイッチのポートチャネルのメンバ インターフェイスを設定します。
switch(config)# interface fc2/1-3
switch(config-if)# switchport mode F
switch(config-if)# switchport trunk mode off
switch(config-if)# switchport speed 4000
switch(config-if)# switchport rate-mode shared
switch(config-if)# channel-group 1
switch(config-if)# no shut
ステップ 5 NPV スイッチにポートチャネルを作成します。
switch(config)# interface port-channel 1
switch(config-if)# switchport mode NP
switch(config-if)# switchport rate-mode shared
ステップ 6 NPV スイッチのポートチャネルのメンバ インターフェイスを設定します。
switch(config)# interface fc2/1-3
switch(config-if)# switchport mode NP
switch(config-if)# switchport speed 4000
switch(config-if)# switchport rate-mode shared
switch(config-if)# switchport trunk mode off
switch(config-if)# channel-group 1
switch(config-if)# no shut
ステップ 7 NPIV コア スイッチと NPV スイッチの両方でポートチャネルのすべてのメンバ インターフェイスの管理ステートをオンに設定します。
switch(config)# interface fc1/1-3
switch(config-if)# no shut
switch(config)# interface fc2/1-3
switch(config-if)# no shut
(注
) 速度設定は、ポートチャネルのすべてのメンバ インターフェイスで同じでなければなりません。専用モードでチャネルを設定するときには、必要な帯域幅がポートで利用できることを確認してください。
次に、専用モードでチャネリングを設定し、NPIV コア スイッチの TF ポートと NPV スイッチの TNP ポート間の TF-TNP ポートチャネル リンクを起動する例を示します。
ステップ 1 MDS コア スイッチの F ポートのトランキングおよびチャネリング プロトコルをイネーブルにします。
switch(config)# feature fport-channel-trunk
ステップ 2 MDS コア スイッチで NPIV をイネーブルにします。
switch(config)# feature npiv
ステップ 3 MDS コア スイッチにポートチャネルを作成します。
switch(config)# interface port-channel 2
switch(config-if)# switchport mode F
switch(config-if)# switchport rate-mode dedicated
switch(config-if)# channel mode active
ステップ 4 MDS コア スイッチのポートチャネルのメンバ インターフェイスを専用モードで設定します。
switch(config)# interface fc1/4-6
switch(config-if)# switchport mode F
switch(config-if)# switchport speed 4000
switch(config-if)# switchport rate-mode dedicated
switch(config-if)# switchport trunk mode on
switch(config-if)# channel-group 2
switch(config-if)# no shut
ステップ 5 NPV スイッチにポートチャネルを専用モードで作成します。
switch(config)# interface port-channel 2
switch(config-if)# switchport rate-mode dedicated
switch(config-if)# switchport mode NP
switch(config-if)# no shut
ステップ 6 NPV スイッチのポートチャネルのメンバ インターフェイスを専用モードで設定します。
switch(config)# interface fc3/1-3
switch(config-if)# switchport mode NP
switch(config-if)# switchport speed 4000
switch(config-if)# switchport rate-mode dedicated
switch(config-if)# switchport trunk mode on
switch(config-if)# channel-group 2
switch(config-if)# no shut
ステップ 7 NPIV コア スイッチと NPV スイッチの両方でポートチャネルのすべてのメンバ インターフェイスの管理ステートをオンに設定します。
switch(config)# interface fc1/4-6
switch(config-if)# no shut
switch(config)# interface fc3/1-3
switch(config-if)# no shut