FlexAttach 仮想 pWWN に関する情報
この項では、次のトピックについて取り上げます。
FlexAttach 仮想 pWWN
FlexAttach 仮想 pWWN 機能を使用すると、サーバおよび設定の管理が容易になります。SAN 環境でサーバのインストールまたは交換を行うには、SAN 管理者とサーバ管理者の間での対話と調整が必要です。調整を行う場合、新しいサーバをインストールしたり、既存のサーバを交換したりするときに、SAN 設定が変更されないことが重要です。FlexAttach 仮想 pWWN では、仮想 pWWN を使用してリアル pWWN を抽象化することによって、サーバ管理者と SAN 管理者との対話を最小限に抑えます。
FlexAttach 仮想 pWWN がインターフェイスで有効になると、サーバ インターフェイスに仮想 pWWN が割り当てられます。リアル pWWN は仮想 pWWN で置き換えられ、仮想 pWWN がゾーン分割などの SAN 設定に使用されます。
サーバ管理者は次のシナリオで、FlexAttach を使用することの利点を得ることができます。
- 事前設定:物理的にまだ利用できない新しいサーバに、SAN を事前設定します。たとえば、注文中の場合があります。新しいサーバ用に指定されたポートで FlexAttach をイネーブルにして、SAN の構成用に割り当てられた仮想 WWN を使用できます。あとで新しいサーバをファブリックに接続するときに、SAN への変更は必要ありません。
- 同じポートでの交換:サーバに障害が発生した場合、SAN を変更しないで同じポート上でサーバを交換できます。ポートに仮想 pWWN が割り当てられているため、新しいサーバは障害が発生したサーバと同じ pWWN を取得します。
- (スペアへの)交換:(同じ NPV デバイスまたは別の NPV デバイス上の)スペア サーバを、SAN を変更しないでオンラインにすることができます。この操作は、仮想ポート WWN を現在のサーバ ポートからスペア ポートに移動して行います。
- サーバの移動:SAN を変更することなく、サーバを同じ NPV デバイスの別のポートまたは別の NPV デバイスに移動できます。この操作は、仮想 pWWN を新しいポートに移動して行います。サーバの物理ポート WWN から仮想ポート WWN へのマッピングを使用して FlexAttach が設定されている場合、変更は不要です。
SAN デバイス仮想化と FlexAttach ポート仮想化の相違点
表 8-1 表 8-1 表 8-1 に、SAN デバイス バーチャライゼーション(SDV)と FlexAttach ポート バーチャライゼーションの相違点を示します。
表 8-1 SDV と FlexAttach 仮想化の相違点
SAN デバイス バーチャライゼーション(SDV)
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ターゲットおよびディスク管理を容易にし、ディスクおよびデータ マイグレーションだけを容易にします。 |
サーバ管理を容易にし、使用されるエンド デバイスに制限はありません。 |
WWN NAT と Fibre Channel ID(FC-ID)は仮想デバイスに割り当てられます(プライマリとセカンダリの両方)。 |
WWN とネットワーク アドレス変換(NAT)はホスト バス アダプタ(HBA)に割り当てられます。 |
スイッチへの FC-ID の再書き込みは、パス上のスイッチが再書き込みに対応していることを示します。 |
再書き込みの要件はありません。 |
設定が配信されます。これにより、プログラムの再書き込みと任意の場所での接続が可能です。 |
インターフェイスベースの設定では、設定の配信は必要ありません。 |
設定はデバイス エイリアスに対して保護されます。 |
仮想 pWWN のデバイス エイリアスは必要ありません。 |
セカンダリ デバイスへの自動マッピングは許可されません。 |
新しい HBA への自動マッピングが許可されます。NPIV の場合、マッピング プロセスは手動です。 |
FlexAttach 仮想 pWWN の CFS 配信
FlexAttach 仮想 pWWN 設定は IPv4 を介して CFS 用に配信され、デフォルトでイネーブルになります。FlexAttach 仮想 pWWN 配信は、デフォルトで CFS リージョン 201 で行われます。CFS リージョン 201 は、NPV 対応スイッチにだけリンクされます。syslog などの他の CFS 機能はリージョン 0 です。リージョン 0 は、同じ物理ファブリック上のすべての NPV スイッチに IPv4 を介してリンクされます。CFS が IPv4 または ISL のいずれかでリンクできる場合、CFS によって ISL パスが選択されます。
(注) NPV スイッチは ISL(E または TE ポート)を持たないため、IPv4 を介してリンクされます。
FlexAttach 仮想 pWWN のセキュリティ設定
FlexAttach 仮想 pWWN 機能のセキュリティ設定は、NPV コアのポート セキュリティによって行われます。エンド デバイスのノード WWN を使用して物理セキュリティが提供されます。
ポート セキュリティのイネーブル化の詳細については、『 Cisco MDS 9000 Family NX-OS Security Configuration Guide 』を参照してください。
注意事項と制約事項
以下に、FlexAttach 仮想 pWWN 展開時の注意事項および要件を示します。
- FlexAttach 設定は、NPV スイッチでだけサポートされます。
- Cisco Fabric Services(CFS)IP バージョン 4(IPv4)配信をイネーブルにする必要があります。
- 仮想 WWN はファブリック全体で一意である必要があります。
FlexAttach 仮想 pWWN の設定
この項では、次のトピックについて取り上げます。
FlexAttach 仮想 pWWN の自動割り当て
NPV スイッチ全体に対し、VSAN ごと、またはポートごとに仮想 pWWN の自動割り当てを設定できます。自動的に割り当てられる場合、仮想 WWN はデバイス ローカル スイッチの WWN から生成されます。
前提条件
仮想 pWWN をイネーブルにするときに、ポートは shut 状態である必要があります。
手順の詳細
仮想 pWWN を自動的に割り当てるには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
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コンフィギュレーション モードに入ります。 |
ステップ 2 |
switch# (config)# flex-attach virtual-pwwn auto [ interface interface-list ] |
インターフェイスに FlexAttach 仮想 pWWN を自動的に割り当てます。 |
switch# (config)# flex-attach virtual-pwwn auto [ vsan vsan-range ] |
VSAN に FlexAttach 仮想 pWWN を自動的に割り当てます。 |
ステップ 3 |
switch# (config)#
flex-attach commit
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設定をコミットします。 |
トラブルシューティングのヒント
- interface-list の値がコマンドに含まれていない場合、仮想 pWWN はグローバルに割り当てられます。
- interface-list の値で示すすべてのインターフェイスは、shut 状態である必要があります。
FlexAttach 仮想 pWWN の手動割り当て
スイッチを使用して WWN を生成するのではなく、WWN を手動でインターフェイスに割り当てることができます。仮想 pWWN がスイッチ内で他と重複しないようにするために、NPV コアによっていくつかのチェックが実行されます。重複した仮想 pWWN が設定されると、NPV コア スイッチによって、以降のログインが拒否されます。
前提条件
- 自動モードや手動モードのポートもあり、仮想 pWWN を割り当てる必要はありません。
- 仮想 pWWN を割り当てるときには、ポートが shut 状態である必要があります。
機能制限
- interface の値で示すインターフェイスは、shut 状態である必要があります。
手順の詳細
仮想 pWWN を手動で割り当てるには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
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コンフィギュレーション モードに入ります。 |
ステップ 2 |
switch# (config)# flex-attach virtual-pwwn vpwwn interface interface |
インターフェイスに FlexAttach 仮想 pWWN を設定します。 |
switch# (config)# flex-attach virtual-pwwn vpwwn interface interface [ vsan vsan] |
VSAN のインターフェイスに FlexAttach 仮想 pWWN を設定します。 |
ステップ 3 |
switch# (config)#
flex-attach commit
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設定をコミットします。 |
pWWN から仮想 pWWN へのマッピング
仮想 pWWN はリアル pWWN を使用して設定できます。このプロセスは、NPIV ホストに複数の pWWN が含まれており、その中で FLOGI だけが仮想 pWWN にマッピングされている場合に必要です。以降の FDSID のマッピングは異なります。
NPV スイッチ全体にわたってスイッチ内で仮想 pWWN が他と重複しないようにするために、NPV コアによっていくつかのチェックが実行されます。重複した仮想 pWWN が設定されると、NPV コア スイッチによって、以降のログインが拒否されます。
前提条件
- インターフェイスは shut 状態である必要があります。また、指定された仮想 pWWN にログインしないでください。
機能制限
- 指定された仮想 pWWN とリアル pWWN にログインしないでください。
手順の詳細
pWWN を仮想 pWWN にマッピングするには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
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コンフィギュレーション モードに入ります。 |
ステップ 2 |
switch# (config)# flex-attach virtual-pwwn vpwwn pwwn pwwn |
pWWN を仮想 pWWN にマッピングします。 |
ステップ 3 |
switch# (config)#
flex-attach commit
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設定をコミットします。 |
FlexAttach 仮想 pWWN の設定の確認
FlexAttach の設定情報を表示するには、次のいずれかの作業を行います。
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show flex-attach virtual-pwwn |
仮想 pWWN のタイプおよび値を表示します。 |
show fcns database |
エンド デバイスが正しい仮想 WWN で記録されているかどうかを表示します。 |
これらのコマンドの出力フィールドの詳細については、『 Cisco MDS NX-OS Command Reference 』を参照してください。
仮想 pWWN のタイプおよび値を表示し、それらが正しいことを確認するには、 show flex-attach virtual-pwwn コマンドを入力します。(例 8-1 を参照)。
例 8-1 仮想 pWWN のタイプおよび値の表示
switch# show flex-attach virtual-pwwn
VIRTUAL PORT WWNS ASSIGNED TO INTERFACES
----------------------------------------------------------------------
VSAN INTERFACE VIRTUAL-PWWN AUTO LAST-CHANGE
----------------------------------------------------------------------
1 fc1/1 00:00:00:00:00:00:00:00
1 fc1/2 22:73:00:05:30:01:6e:1e TRUE Thu Jan 31 01:58:52 2008
1 fc1/3 22:5e:00:05:30:01:6e:1e TRUE Thu Jan 31 01:58:52 2008
1 fc1/4 22:5f:00:05:30:01:6e:1e TRUE Thu Jan 31 01:58:52 2008
1 fc1/5 22:74:00:05:30:01:6e:1e TRUE Thu Jan 31 01:26:24 2008
1 fc1/6 22:60:00:05:30:01:6e:1e TRUE Thu Jan 31 01:58:52 2008
1 fc1/7 22:61:00:05:30:01:6e:1e TRUE Thu Jan 31 01:58:52 2008
1 fc1/8 22:62:00:05:30:01:6e:1e TRUE Thu Jan 31 01:58:52 2008
1 fc1/9 22:63:00:05:30:01:6e:1e TRUE Thu Jan 31 01:58:52 2008
1 fc1/10 22:64:00:05:30:01:6e:1e TRUE Thu Jan 31 01:58:52 2008
1 fc1/11 22:65:00:05:30:01:6e:1e TRUE Thu Jan 31 01:58:52 2008
1 fc1/12 22:66:00:05:30:01:6e:1e TRUE Thu Jan 31 01:58:52 2008
エンド デバイスの確認
エンド デバイスが正しい仮想 WWN で記録されていることを確認するには、NPV コアで show fcns database コマンドを使用します。(例 8-2 を参照)。
例 8-2 エンド デバイスの確認
switch# show fcns database
--------------------------------------------------------------------------
FCID TYPE PWWN (VENDOR) FC4-TYPE:FEATURE
--------------------------------------------------------------------------
0x010000 N 20:01:00:0d:ec:2f:c1:40 (Cisco) npv
0x010001 N 20:02:00:0d:ec:2f:c1:40 (Cisco) npv
0x010200 N 21:00:00:e0:8b:83:01:a1 (Qlogic) scsi-fcp:init
0x010300 N 21:01:00:e0:8b:32:1a:8b (Qlogic) scsi-fcp:init
Total number of entries = 4
FlexAttach 仮想 pWWN のモニタリング
表 8-2 に、表示されることがあるエラーと回避策の一覧を示します。
表 8-2 FlexAttach のエラーと回避策
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fc1/1:インターフェイスが停止していない |
動作ステートが up のアクティブ インターフェイスについて FlexAttach 設定がイネーブルにされたため、設定に失敗しました。 |
ポートを shut 状態にするには、FlexAttach 設定をイネーブルにして、ポートを no shut 状態にします。 |
FlexAttach 設定がピアに配信されない |
1 つのピア NPV 上の FlexAttach 設定が別のピア NPV で利用できません。 |
cfs ipv4 distribute または cfs ipv6 distribute がディセーブルの場合、FlexAttach 設定は配信されません。 cfs ipv4 distribute または cfs ipv6 distribute をイネーブルにしてください。 |
CFS 配信がイネーブルになっているが、Inagua が別の NPV のピアにならない |
IP を介した CFS がイネーブルになっており、1 つの BladeCenter 内の Inagua が別の NPV のピア NPV ではありません。 |
IP を介した CFS は IP マルチキャストを使用して、ネットワーク内で NPV ピアを検出します。IBM MM ではマルチキャストがサポートされていないため、NPV によるピアとして動作できません。このため、FlexAttach 設定がネットワーク内の他のピア NPV に配信されません。 |
NP ポートが物理 pWWN を使用し、FlexAttach を通じて設定した仮想 pWWN を使用しない |
この状況は、NP ポートが物理 pWWN を使用し、FlexAttach を通じて設定した仮想 pWWN を使用しないときに発生します。 |
FlexAttach は F ポートなどのサーバ インターフェイスでサポートされ、NP ポートなどの外部インターフェイスでサポートされません。 |
リアルなポート WWN と仮想 WWN を同じにできない |
この状況は、pWWN と仮想 pWWN に同様の値を使用して FlexAttach を設定しようとしたときに発生します。 |
pWWN と仮想 pWWN を同様の値にすることはできないため、pWWN と仮想 pWWN には異なる値を使用します。 |
仮想ポート WWN がすでに存在する |
この状況は、すでに定義されている pWWN を別のインターフェイスに設定しようとしたときに発生します。 |
新しいインターフェイスには、定義されていない仮想 pWWN を使用します。 |