アドレス、プロトコル、およびポート

この章では、IP アドレス、プロトコル、およびアプリケーションのクイック リファレンスを提供します。

IPv4 アドレスとサブネット マスク

この項では、ASA で IPv4 アドレスを使用する方法について説明します。IPv4 アドレスはドット付き 10 進数表記の 32 ビットの数値であり、バイナリから 10 進数に変換されドットで区切られた 4 つの 8 ビット フィールド(オクテット)で構成されます。IP アドレスの最初の部分はホストが常駐するネットワークを示し、2 番目の部分は所定のネットワーク上の特定のホストを示します。ネットワーク番号フィールドは、ネットワーク プレフィックスと呼ばれます。所定のネットワーク上のホストはすべて、同じネットワーク プレフィックスを共有しますが、固有のホスト番号を持つ必要があります。クラスフル IP では、アドレスのクラスがネットワーク プレフィックスとホスト番号の間の境界を決定します。

クラス

IP ホスト アドレスは、Class A、Class B、Class C の 3 つの異なるアドレス クラスに分かれています。各クラスは、32 ビット アドレス内の異なるポイントで、ネットワーク プレフィックスとホスト番号の間の境界を決定します。Class D アドレスは、マルチキャスト IP 用に予約されています。

  • Class A アドレス(1.xxx.xxx.xxx ~ 126.xxx.xxx.xxx)は、最初のオクテットのみをネットワーク プレフィックスとして使用します。

  • Class B アドレス(128.0.xxx.xxx ~ 191.255.xxx.xxx)は、最初の 2 つのオクテットをネットワーク プレフィックスとして使用します。

  • Class C アドレス(192.0.0.xxx ~ 223.255.255.xxx)は、最初の 3 つのオクテットをネットワーク プレフィックスとして使用します。

Class A アドレスには 16,777,214 個のホスト アドレス、Class B アドレスには 65,534 個のホストがあるので、サブネット マスクを使用してこれらの膨大なネットワークを小さいサブネットに分割することができます。

プライベート ネットワーク

ネットワーク上に多数のアドレスが必要な場合、それらをインターネットでルーティングする必要がないときは、インターネット割り当て番号局(IANA)が推奨するプライベート IP アドレスを使用できます(RFC 1918 を参照)。次のアドレス範囲が、アドバタイズされないプライベート ネットワークとして指定されています。

  • 10.0.0.0 ~ 10.255.255.255

  • 172.16.0.0 ~ 172.31.255.255

  • 192.168.0.0 ~ 192.168.255.255

サブネット マスク

サブネット マスクを使用すると、単一の Class A、B、または C ネットワークを複数のネットワークに変換できます。サブネット マスクを使用して、ホスト番号からネットワーク プレフィックスにビットを追加する拡張ネットワーク プレフィックスを作成することができます。たとえば、Class C ネットワーク プレフィックスは常に、IP アドレスの最初の 3 つのオクテットで構成されます。一方、Class C 拡張ネットワーク プレフィックスは、4 番目のオクテットの一部も使用します。

ドット付き 10 進数の代わりにバイナリ表記を使用している場合は、サブネット マスクを容易に理解できます。サブネット マスク内のビットには、インターネット アドレスとの 1 対 1 の対応関係があります。

  • IP アドレス内の対応するビットが拡張ネットワーク プレフィックスの一部である場合、ビットは 1 に設定されます。

  • ビットがホスト番号の一部である場合、ビットは 0 に設定されます。

例 1:Class B アドレスが 129.10.0.0 の場合に 3 番目のオクテット全体をホスト番号ではなく拡張ネットワーク プレフィックスの一部として使用するには、サブネット マスクとして 11111111.11111111.11111111.00000000 を指定する必要があります。このサブネット マスクによって、Class B アドレスは、ホスト番号が最後のオクテットだけで構成される Class C アドレスに相当するものに変換されます。

例 2:3 番目のオクテットの一部だけを拡張ネットワーク プレフィックスに使用する場合は、11111111.11111111.11111000.00000000 のようなサブネット マスクを指定する必要があります。ここでは、3 番目のオクテットのうち 5 ビットだけが拡張ネットワーク プレフィックスに使用されます。

サブネット マスクは、ドット付き 10 進数マスクまたは /ビット(「スラッシュ ビット」)マスクとして記述できます。例 1 では、ドット付き 10 進数マスクに対して、各バイナリ オクテットを 10 進数の 255.255.255.0 に変換します。/ビット マスクの場合は、1s: /24 の数値を追加します。例 2 では、10 進数は 255.255.248.0 で、/ビットは /21 です。

3 番目のオクテットの一部を拡張ネットワーク プレフィックスに使用して、複数の Class C ネットワークを大規模なネットワークにスーパーネット化することもできます。たとえば、192.168.0.0/20 です。

サブネットマスクの決定

必要なホストの数に基づいてサブネット マスクを決定するには、次の表を参照してください。


(注)  


単一のホストを示す /32 を除き、サブネットの最初と最後の数は予約されています。


表 1. ホスト、ビット、ドット区切りの 10 進数マスク

ホスト

/ビット マスク

ドット付き 10 進数マスク

16,777,216

/8

255.0.0.0 Class A ネットワーク

65,536

/16

255.255.0.0 Class B ネットワーク

32,768

/17

255.255.128.0

16,384

/18

255.255.192.0

8192

/19

255.255.224.0

4096

/20

255.255.240.0

2048

/21

255.255.248.0

1024

/22

255.255.252.0

512

/23

255.255.254.0

256

/24

255.255.255.0 Class C ネットワーク

128

/25

255.255.255.128

64

/26

255.255.255.192

32

/27

255.255.255.224

16

/28

255.255.255.240

8

/29

255.255.255.248

4

/30

255.255.255.252

使用不可

/31

255.255.255.254

1

/32

255.255.255.255 単一ホスト アドレス

サブネットマスクに使用するアドレスの決定

次の各項では、Class C サイズおよび Class B サイズのネットワークに対してサブネット マスクで使用するネットワーク アドレスを判別する方法について説明します。

クラス C 規模ネットワーク アドレス

2 ~ 254 のホストを持つネットワークの場合、4 番目のオクテットは、0 から始まるホスト アドレスの数の倍数になります。例として、次の表に 8 個のホストを持つサブネット(/29)、192.168.0.x を示します。


(注)  


サブネットの最初と最後のアドレスは予約されています。最初のサブネットの例では、192.168.0.0 と 192.168.0.7 は使用できません。


表 2. クラス C 規模ネットワーク アドレス

マスク /29(255.255.255.248)でのサブネット

アドレス範囲

192.168.0.0

192.168.0.0 ~ 192.168.0.7

192.168.0.8

192.168.0.8 ~ 192.168.0.15

192.168.0.16

192.168.0.16 ~ 192.168.0.31

192.168.0.248

192.168.0.248 ~ 192.168.0.255

クラス B 規模ネットワーク アドレス

254 ~ 65,534 のホストを持つネットワークのサブネット マスクで使用するネットワーク アドレスを判別するには、可能な拡張ネットワーク プレフィックスそれぞれについて 3 番目のオクテットの値を判別する必要があります。たとえば、10.1.x.0 のようなアドレスをサブネット化することができます。ここで、最初の 2 つのオクテットは拡張ネットワーク プレフィックスで使用されるため固定されています。4 番目のオクテットは、すべてのビットがホスト番号に使用されるため、0 です。

3 番目のオクテットの値を判別するには、次の手順を実行します。

  1. 65,536(3 番目と 4 番目のオクテットを使用するアドレスの合計)を必要なホスト アドレスの数で割って、ネットワークから作成できるサブネットの数を計算します。

    たとえば、65,536 を 4096 のホストで割ると、16 になります。したがって、Class B サイズのネットワークでは、それぞれ 4096 個のアドレスを持つサブネットが 16 個できます。

  2. 256(3 番目のオクテットの値の数)をサブネットの数で割って、3 番目のオクテット値の倍数を判別します。

    この例では、256/16 = 16 です。

    3 番目のオクテットは、0 から始まる 16 の倍数になります。

次の表に、ネットワーク 10.1 の 16 個のサブネットを示します。


(注)  


サブネットの最初と最後のアドレスは予約されています。最初のサブネットの例では、10.1.0.0 と 10.1.15.255 は使用できません。


表 3. ネットワークのサブネット

マスク /20(255.255.240.0)でのサブネット

アドレス範囲

10.1.0.0

10.1.0.0 ~ 10.1.15.255

10.1.16.0

10.1.16.0 ~ 10.1.31.255

10.1.32.0

10.1.32.0 ~ 10.1.47.255

10.1.240.0

10.1.240.0 ~ 10.1.255.255

IPv6 アドレス

IPv6 は、IPv4 後の次世代インターネット プロトコルです。これにより、アドレス空間の拡張、ヘッダー形式の簡略化、拡張子とオプションのサポートの向上、フロー ラベル機能、および認証とプライバシーの機能が提供されます。IPv6 については RFC 2460 で説明されています。IPv6 アドレッシング アーキテクチャについては RFC 3513 で説明されています。

この項では、IPv6 のアドレス形式とアーキテクチャについて説明します。

IPv6 アドレスの形式

IPv6 アドレスは、x:x:x:x:x:x:x:x のように、コロン(:)で区切られた 8 つの一連の 16 ビット 16 進数フィールドとして表されます。次に、IPv6 アドレスの例を 2 つ示します。

  • 2001:0DB8:7654:3210:FEDC:BA98:7654:3210

  • 2001:0DB8:0000:0000:0008:0800:200C:417A


(注)  


IPv6 アドレスの 16 進文字は大文字と小文字が区別されません。


アドレスの個々のフィールドに先行ゼロを入れる必要はありませんが、各フィールドに 1 個以上の桁が含まれている必要があります。したがって、例のアドレス 2001:0DB8:0000:0000:0008:0800:200C:417A は、左から 3 番目~ 6 番目のフィールドから先行ゼロを削除して、2001:0DB8:0:0:8:800:200C:417A のように短縮することができます。ゼロだけを含むフィールド(左から 3 番目と 4 番目のフィールド)は、単一のゼロに短縮されています。左から 5 番目のフィールドでは、3 つの先行ゼロが削除され、単一の 8 がフィールドに残されています。左から 6 番目のフィールドでは、1 つの先行ゼロが削除され、800 がフィールドに残されています。

IPv6 アドレスには、ゼロの 16 進数フィールドがいくつか連続して含まれていることがよくあります。IPv6 アドレスの先頭、中間、または末尾で 2 つのコロン(::)を使用して、ゼロの連続フィールドを圧縮することができます(コロンは、ゼロの 16 進数フィールドが連続していることを表します)。次の表に、さまざまなタイプの IPv6 アドレスでのアドレス圧縮の例をいくつか示します。

表 4. IPv6 アドレスの圧縮例

アドレスタイプ

標準形式

圧縮形式

ユニキャスト

2001:0DB8:0:0:0:BA98:0:3210

2001:0DB8::BA98:0:3210

マルチキャスト

FF01:0:0:0:0:0:0:101

FF01::101

ループバック

0:0:0:0:0:0:0:1

::1

未指定

0:0:0:0:0:0:0:0

::


(注)  


ゼロのフィールドが連続することを表す 2 つのコロン(::)は、IPv6 アドレスの中で一度だけ使用できます。


IPv4 アドレスと IPv6 アドレスの両方を含む環境に対処するため、別の IPv6 形式がよく使用されます。その形式は x:x:x:x:x:x:y.y.y.y です。ここで、x は IPv6 アドレスの 6 つの高次の部分の 16 進数値を表し、y はアドレスの 32 ビット IPv4 部分(IPv6 アドレスの残りの 2 つの 16 ビット部分を占める)の 10 進数値を表します。たとえば、IPv4 アドレス 192.168.1.1 は、IPv6 アドレス 0:0:0:0:0:0:FFFF:192.168.1.1 または ::FFFF:192.168.1.1 として表すことができます。

IPv6 アドレス タイプ

次に、IPv6 アドレスの 3 つの主なタイプを示します。

  • ユニキャスト:ユニキャスト アドレスは、単一インターフェイスの識別子です。ユニキャスト アドレスに送信されたパケットは、そのアドレスで示されたインターフェイスに送信されます。1 つのインターフェイスに複数のユニキャスト アドレスが割り当てられている場合もあります。

  • マルチキャスト:マルチキャスト アドレスは、インターフェイスのセットを表す識別子です。マルチキャスト アドレスに送信されたパケットは、そのアドレスで示されたすべてのアドレスに送信されます。

  • エニーキャスト:エニーキャスト アドレスは、インターフェイスのセットを表す識別子です。マルチキャスト アドレスと違い、エニーキャスト アドレスに送信されたパケットは、ルーティング プロトコルの距離測定によって判別された「最も近い」インターフェイスにだけ送信されます。


(注)  


IPv6 にはブロードキャスト アドレスはありません。マルチキャスト アドレスにブロードキャスト機能があります。


ユニキャスト アドレス

この項では、IPv6 ユニキャスト アドレスについて説明します。ユニキャスト アドレスは、ネットワーク ノード上のインターフェイスを識別します。

グローバル アドレス

IPv6 グローバル ユニキャスト アドレスの一般的な形式では、グローバル ルーティング プレフィックス、サブネット ID、インターフェイス ID の順に並んでいます。グローバル ルーティング プレフィックスは、別の IPv6 アドレス タイプによって予約されていない任意のプレフィックスです。

バイナリ 000 で始まるものを除くすべてのグローバル ユニキャスト アドレスが、Modified EUI-64 形式で 64 ビットのインターフェイス ID を持っています。

バイナリ 000 で始まるグローバル ユニキャスト アドレスには、アドレスのインターフェイス ID 部分のサイズまたは構造に対する制約がありません。このタイプのアドレスの一例として、IPv4 アドレスが埋め込まれた IPv6 アドレスがあります。

サイトローカル アドレス

サイトローカル アドレスは、サイト内のアドレッシングに使用されます。このアドレスを使用すると、グローバルで一意のプレフィックスを使用せずにサイト全体をアドレッシングすることができます。サイトローカル アドレスでは、プレフィックス FEC0::/10、54 ビット サブネット ID、64 ビット インターフェイス ID(Modified EUI-64 形式)の順に並んでいます。

サイトローカル ルータは、サイト外の送信元または宛先にサイトローカル アドレスを持つパケットを転送しません。したがって、サイトローカル アドレスは、プライベート アドレスと見なされます。

リンクローカル アドレス

すべてのインターフェイスに、少なくとも 1 つのリンクローカル アドレスが必要です。インターフェイスごとに複数の IPv6 アドレスを設定できますが、設定できるリンクローカル アドレスは 1 つだけです。

リンクローカル アドレスは、Modified EUI-64 形式でリンクローカル プレフィックス FE80::/10 とインターフェイス識別子を使用して任意のインターフェイスで自動的に設定できる IPv6 ユニキャスト アドレスです。リンクローカル アドレスは、ネイバー探索プロトコルとステートレス自動設定プロセスで使用されます。リンクローカル アドレスを持つノードは、通信が可能です。これらのノードは通信にサイトローカル アドレスまたはグローバルに固有なアドレスを必要としません。

ルータは、送信元または宛先にリンクローカル アドレスを持つパケットを送信しません。したがって、リンクローカル アドレスは、プライベート アドレスと見なされます。

IPv4 互換 IPv6 アドレス

IPv4 アドレスを組み込むことができる IPv6 アドレスのタイプは 2 つあります。

最初のタイプは、IPv4 互換 IPv6 アドレスです。IPv6 移行メカニズムには、IPv4 ルーティング インフラストラクチャ上で IPv6 パケットを動的にトンネリングさせるためのホストおよびルータの技術が実装されています。この技術を使用する IPv6 ノードには、低次 32 ビットでグローバル IPv4 アドレスを伝送する特別な IPv6 ユニキャスト アドレスが割り当てられます。このタイプのアドレスは「IPv4 互換 IPv6 アドレス」と呼ばれ、形式は ::y.y.y.y です。この y.y.y.y は IPv4 ユニキャスト アドレスになります。


(注)  


「IPv4 互換 IPv6 アドレス」で使用する IPv4 アドレスは、グローバルに固有な IPv4 ユニキャスト アドレスである必要があります。


2 つ目のタイプの IPv6 アドレスは、IPv4 アドレスが埋め込まれたもので、「IPv4 マッピング IPv6 アドレス」と呼ばれます。このアドレス タイプは、IPv4 ノードのアドレスを IPv6 アドレスとして表すために使用されます。このタイプのアドレス形式は ::FFFF:y.y.y.y です。ここで、y.y.y.y は IPv4 ユニキャスト アドレスです。

未指定アドレス

未指定アドレス 0:0:0:0:0:0:0:0 は、IPv6 アドレスがないことを示しています。たとえば、IPv6 ネットワーク上で新しく初期化されたノードは、IPv6 アドレスを受信するまで、パケットで未指定アドレスを送信元アドレスとして使用できます。


(注)  


IPv6 未指定アドレスは、インターフェイスに割り当てることができません。未指定 IPv6 アドレスを IPv6 パケットまたは IPv6 ルーティング ヘッダーで宛先アドレスとして使用することはできません。


ループバック アドレス

ループバック アドレス 0:0:0:0:0:0:0:1 は、ノードが IPv6 パケットをそれ自体に送信するために使用できます。IPv6 のループバック アドレスは、IPv4 のループバック アドレス(127.0.0.1)と同じように機能します。


(注)  


IPv6 ループバック アドレスは、物理インターフェイスに割り当てることができません。IPv6 ループバック アドレスを送信元アドレスまたは宛先アドレスとするパケットは、そのパケットを作成したノード内に留まっている必要があります。IPv6 ルータは、IPv6 ループバック アドレスを送信元アドレスまたは宛先アドレスとするパケットを転送しません。


インターフェイス識別子

IPv6 ユニキャスト アドレス内のインターフェイス識別子は、リンク上でインターフェイスを識別するために使用されます。これらの識別子は、サブネット プレフィックス内で固有である必要があります。多くの場合、インターフェイス識別子はインターフェイス リンク層アドレスから導出されます。各インターフェイスが異なるサブネットに接続されていれば、単一ノードの複数のインターフェイスで同一のインターフェイス識別子を使用することもできます。

バイナリ 000 で始まるものを除くすべてのユニキャスト アドレスで、インターフェイス識別子は、64 ビットの長さで Modified EUI-64 形式で構築されている必要があります。Modified EUI-64 形式は、アドレス内のユニバーサル/ローカル ビットを逆にし、MAC アドレスの上の 3 つのバイトと下の 3 つのバイトの間に 16 進数 FFFE を挿入することによって、48 ビット MAC アドレスから作成されます。

たとえば、MAC アドレスが 00E0.b601.3B7A のインターフェイスの場合、64 ビット インターフェイス ID は 02E0:B6FF:FE01:3B7A になります。

マルチキャスト アドレス

IPv6 マルチキャスト アドレスは、通常は異なるノード上にある、インターフェイスのグループの識別子です。マルチキャスト アドレスに送信されたパケットは、マルチキャスト アドレスが示すすべてのインターフェイスに配信されます。1 つのインターフェイスが任意の数のマルチキャスト グループに属すことができます。

IPv6 マルチキャスト アドレスのプレフィックスは FF00::/8(1111 1111)です。オクテットとそれに続くプレフィックスは、マルチキャスト アドレスのタイプとスコープを定義します。永続的に割り当てられた(周知の)マルチキャスト アドレスには、0 に等しいフラグ パラメータがあり、一時的な(過渡)マルチキャスト アドレスには 1 に等しいフラグ パラメータがあります。ノード、リンク、サイト、組織のスコープ、またはグローバル スコープを持つマルチキャスト アドレスのスコープ パラメータは、それぞれ 1、2、5、8、または E です。たとえば、プレフィックスが FF02::/16 のマルチキャスト アドレスは、リンク スコープを持つ永続マルチキャスト アドレスです。次の図に、IPv6 マルチキャスト アドレスの形式を示します。

図 1. IPv6 マルチキャスト アドレス形式

IPv6 ノード(ホストとルータ)は、次のマルチキャスト グループに参加する必要があります。

  • All Nodes マルチキャスト アドレス:

    • FF01::(インターフェイスローカル)

    • FF02::(リンクローカル)

  • ノード FF02:0:0:0:0:1:FFXX:XXXX/104 上の各 IPv6 ユニキャスト アドレスおよびエニーキャスト アドレスの送信要求ノード アドレス。ここで、XX:XXXX は低次 24 ビットのユニキャスト アドレスまたはエニーキャスト アドレスです。


    (注)  


    送信要求ノード アドレスは、ネイバー送信要求メッセージで使用されます。


IPv6 ルータは、次のマルチキャスト グループに参加する必要があります。

  • FF01::2(インターフェイスローカル)

  • FF02::2(リンクローカル)

  • FF05::2(サイトローカル)

マルチキャスト アドレスは、IPv6 パケットで送信元アドレスとして使用できません。


(注)  


IPv6 にはブロードキャスト アドレスはありません。ブロードキャスト アドレスの代わりに IPv6 マルチキャスト アドレスが使用されます。


エニーキャスト アドレス

IPv6 エニーキャスト アドレスは、複数のインターフェイス(通常は異なるノードに属す)に割り当てられたユニキャスト アドレスです。エニーキャスト アドレスにルーティングされたパケットは、そのアドレスを持ち、有効なルーティング プロトコルによって最も近いと判別されたインターフェイスにルーティングされます。

エニーキャスト アドレスは、ユニキャスト アドレス空間から割り当てられます。エニーキャスト アドレスは、複数のインターフェイスに割り当てられたユニキャスト アドレスにすぎません。インターフェイスは、アドレスをエニーキャスト アドレスとして認識するように設定されている必要があります。

エニーキャスト アドレスには次の制限が適用されます。

  • エニーキャスト アドレスは、IPv6 パケットの送信元アドレスとして使用できません。

  • エニーキャスト アドレスは、IPv6 ホストに割り当てることはできません。IPv6 ルータにだけ割り当てるこができます。


(注)  


ASA では、エニーキャスト アドレスをサポートされていません。


必須アドレス

IPv6 ホストには、少なくとも次のアドレスが(自動または手動で)設定されている必要があります。

  • 各インターフェイスのリンクローカル アドレス

  • ループバック アドレス

  • All-Nodes マルチキャスト アドレス

  • 各ユニキャスト アドレスまたはエニーキャスト アドレスの送信要求ノード マルチキャスト アドレス

IPv6 ルータには、少なくとも次のアドレスが(自動または手動で)設定されている必要があります。

  • 必須ホスト アドレス

  • このルータがルータとして動作するように設定されているすべてのインターフェイスのサブネットルータ エニーキャスト アドレス

  • All-Routers マルチキャスト アドレス

IPv6 アドレス プレフィックス

IPv6 アドレス プレフィックスは、ipv6-prefix/prefix-length の形式で、アドレス空間全体のビット連続ブロックを表すために使用できます。IPv6-prefix は、RFC 2373 に記述されている形式にする必要があります。コロン区切りの 16 ビット値を使用して、アドレスを 16 進数で指定します。プレフィックス長は、アドレスの高次の連続ビットのうち、何個がプレフィックス(アドレスのネットワーク部分)を構成しているかを指定する 10 進数値です。たとえば、2001:0DB8:8086:6502::/32 は有効な IPv6 プレフィックスです。

IPv6 プレフィックスは、IPv6 アドレスのタイプを特定します。次の表に、各 IPv6 アドレス タイプのプレフィックスを示します。

表 5. IPv6 アドレス タイプのプレフィックス

アドレスタイプ

バイナリ プレフィックス

IPv6 表記

未指定

000...0(128 ビット)

::/128

ループバック

000...1(128 ビット)

::1/128

マルチキャスト

11111111

FF00::/8

リンクローカル(ユニキャスト)

1111111010

FE80::/10

サイトローカル(ユニキャスト)

1111111111

FEC0::/10

グローバル(ユニキャスト)

その他すべてのアドレス。

エニーキャスト

ユニキャスト アドレス空間から取得。

プロトコルとアプリケーション

次の表に、プロトコルのリテラル値とポート番号を示します。いずれも ASA のコマンドで入力できます。

表 6. プロトコルのリテラル値

リテラル

説明

ah

51

IPv6 の認証ヘッダー(RFC 1826)。

eigrp

88

Enhanced Interior Gateway Routing Protocol(Enhanced IGRP)。

esp

50

IPv6 の暗号ペイロード(RFC 1827)。

gre

47

総称ルーティング カプセル化。

icmp

1

インターネット制御メッセージ プロトコル(RPC 792)。

icmp6

58

IPv6 のインターネット制御メッセージ プロトコル(RFC 2463)。

igmp

2

インターネット グループ管理プロトコル(RFC 1112)。

igrp

9

Interior Gateway Routing Protocol。

ip

0

インターネット プロトコル。

ipinip

4

IP-in-IP カプセル化。

ipsec

50

IP セキュリティ。ipsec プロトコル リテラルを入力すると、esp プロトコル リテラルを入力した場合と同じ結果が得られます。

nos

94

ネットワーク オペレーティング システム(Novell の NetWare)。

ospf

89

OSPF ルーティング プロトコル(RFC 1247)。

pcp

108

ペイロード圧縮プロトコル。

pim

103

プロトコル独立型マルチキャスト。

pptp

47

ポイントツーポイント トンネリング プロトコル。pptp プロトコル リテラルを入力すると、gre プロトコル リテラルを入力した場合と同じ結果が得られます。

snp

109

Sitara Networks Protocol。

tcp

6

伝送制御プロトコル(RFC 793)。

udp

17

ユーザー データグラム プロトコル(RFC 768)。

IANA の Web サイトでオンラインでプロトコル番号を確認できます。

http://www.iana.org/assignments/protocol-numbers

TCP ポートおよび UDP ポート

次の表に、リテラル値とポート番号を示します。いずれも ASA のコマンドで入力できます。次の警告を参照してください。

  • ASA は、SQL*Net 用にポート 1521 を使用します。これは、Oracle が SQL*Net に使用するデフォルトのポートです。ただし、この値は IANA ポート割り当てとは一致しません。

  • ASA は、ポート 1645 と 1646 で RADIUS をリッスンしています。RADIUS サーバーが標準ポート 1812 と 1813 を使用している場合は、authentication-port コマンドと accounting-port コマンドを使用して、それらのポートでリッスンするように ASA を設定できます。

  • DNS アクセスにポートを割り当てるには、dns ではなく domain リテラル値を使用します。dns を使用した場合、ASA では、dnsix リテラル値を使用すると見なされます。

IANA の Web サイトでオンラインでポート番号を確認できます。

http://www.iana.org/assignments/port-numbers

表 7. ポートのリテラル値

リテラル

TCP または UDP

説明

aol

TCP

5190

America Online

bgp

TCP

179

ボーダー ゲートウェイ プロトコル(RFC 1163)

biff

UDP

512

新しいメールの受信をユーザーに通知するために、メール システムが使用

bootpc

UDP

68

ブートストラップ プロトコル クライアント

bootps

UDP

67

ブートストラップ プロトコル サーバー

chargen

TCP

19

キャラクタ ジェネレータ

cifs

TCP、UDP

3020

Common Internet File System

citrix-ica

TCP

1494

Citrix Independent Computing Architecture(ICA)プロトコル

cmd

TCP

514

cmd は自動認証機能がある点を除いて、exec と同様。

ctiqbe

TCP

2748

Computer Telephony Interface Quick Buffer Encoding

daytime

TCP

13

Day time(日時)(RFC 867)

discard

TCP、UDP

9

廃棄

dnsix

UDP

195

DNSIX Session Management Module Audit Redirector

domain

TCP、UDP

53

DNS

echo

TCP、UDP

7

Echo

exec

TCP

512

リモート プロセスの実行

finger

TCP

79

Finger

ftp

TCP

21

ファイル転送プロトコル(コンソール ポート)

ftp-data

TCP

20

ファイル転送プロトコル(データ ポート)

gopher

TCP

70

Gopher

h323

TCP

1720

H.323 発呼信号

hostname

TCP

101

NIC ホスト ネーム サーバー

http

TCP、UDP

80

World Wide Web HTTP

https

TCP

443

HTTP over SSL

ident

TCP

113

ID 認証サービス

imap4

TCP

143

Internet Message Access Protocol バージョン 4

irc

TCP

194

インターネット リレー チャット プロトコル

isakmp

UDP

500

Internet Security Association and Key Management Protocol

kerberos

TCP、UDP

750

Kerberos

klogin

TCP

543

KLOGIN

kshell

TCP

544

Korn シェル

ldap

[TCP]

389

Lightweight Directory Access Protocol。

ldaps

TCP

636

ライトウェイト ディレクトリ アクセス プロトコル(SSL)

login

TCP

513

リモート ログイン

lotusnotes

TCP

1352

IBM Lotus Notes

lpd

TCP

515

ライン プリンタ デーモン(プリンタ スプーラー)

mobile-ip

UDP

434

モバイル IP-Agent

nameserver

UDP

42

ホスト ネーム サーバー

netbios-dgm

UDP

138

NetBIOS データグラム サービス

netbios-ns

UDP

137

NetBIOS ネーム サービス

netbios-ssn

TCP

139

NetBIOS セッション サービス

nfs

TCP、UDP

2049

ネットワーク ファイル システム(Sun Microsystems)

nntp

TCP

119

Network News Transfer Protocol

ntp

UDP

123

ネットワーク タイム プロトコル

pcanywhere-data

TCP

5631

pcAnywhere データ

pcanywhere-status

UDP

5632

pcAnywhere ステータス

pim-auto-rp

TCP、UDP

496

Protocol Independent Multicast、逆パス フラッド、デンス モード

pop2

TCP

109

Post Office Protocol(POP)Version 2

pop3

TCP

110

Post Office Protocol - Version 3

pptp

TCP

1723

ポイントツーポイント トンネリング プロトコル

radius

UDP

1645

リモート認証ダイヤルイン ユーザー サービス

radius-acct

UDP

1646

リモート認証ダイヤルイン ユーザー サービス(アカウンティング)

rip

UDP

520

ルーティング情報プロトコル

rsh

TCP

514

リモート シェル

rtsp

TCP

554

Real Time Streaming Protocol

secureid-udp

UDP

5510

SecureID over UDP

sip

TCP、UDP

5060

Session Initiation Protocol

smtp

TCP

25

シンプル メール転送プロトコル

snmp

UDP

161

簡易ネットワーク管理プロトコル

snmptrap

UDP

162

簡易ネットワーク管理プロトコル(トラップ)

sqlnet

TCP

1521

構造化照会言語ネットワーク

ssh

TCP

22

セキュア シェル

sunrpc

TCP、UDP

111

Sun Remote Procedure Call

syslog

UDP

514

システム ログ

tacacs

TCP、UDP

49

Terminal Access Controller Access Control System Plus

talk

TCP、UDP

517

Talk

Telnet

TCP

23

Telnet(RFC 854)

tftp

UDP

69

『Trivial File Transfer Protocol』

time

UDP

37

時刻

uucp

TCP

540

UNIX 間コピー プログラム

vxlan

UDP

4789

Virtual eXtensible Local Area Network(VXLAN)

who

UDP

513

Who

whois

TCP

43

Who Is

www

TCP、UDP

80

ワールドワイド ウェブ

xdmcp

UDP

177

X Display Manager Control Protocol

ローカル ポートとプロトコル

次の表に、ASA に向かうトラフィックを処理するために ASA が開くプロトコル、TCP ポート、および UDP ポートを示します。この表に記載されている機能とサービスをイネーブルにしない限り、ASA は、TCP または UDP ポートでローカル プロトコルを開きません。ASA がデフォルトのリスニング プロトコルまたはポートを開くように機能またはサービスを設定する必要があります。多くの場合、機能またはサービスをイネーブルにすると、デフォルト ポート以外のポートを設定できます。

表 8. 機能とサービスによって開かれるプロトコルとポート

機能またはサービス

プロトコル

ポート番号

DHCP

UDP

67、68

フェールオーバー制御

105

該当なし

HTTP

TCP

80

HTTPS

TCP

443

ICMP

1

該当なし

IGMP

2

該当なし

プロトコルは宛先 IP アドレス 224.0.0.1 でだけ開かれます

ISAKMP/IKE

UDP

500

設定可能。

IPsec(ESP)

50

該当なし

IPsec over UDP(NAT-T)

UDP

4500

IPsec over TCP(CTCP)

TCP

デフォルト ポートは使用されません。IPsec over TCP の設定時にポート番号を指定する必要があります。

NTP

UDP

123

OSPF

89

該当なし

プロトコルは宛先 IP アドレス 224.0.0.5 および 224.0.0.6 でだけ開かれます

PIM

103

該当なし

プロトコルは宛先 IP アドレス 224.0.0.13 でだけ開かれます

RIP

UDP

520

RIPv2

UDP

520

ポートは宛先 IP アドレス 224.0.0.9 でだけ開かれます

SNMP

UDP

161

設定可能。

SSH

TCP

22

ステートフル アップデート

8(ノンセキュア)9(セキュア)

該当なし

Telnet

TCP

23

VPN ロード バランシング

UDP

9023

設定可能。

VPN 個別ユーザー認証プロキシ

UDP

1645、1646

ポートは VPN トンネルでだけアクセスできます。

ICMP タイプ

次の表に、ASA のコマンドで入力できる ICMP タイプの番号と名前を示します。

表 9. ICMP タイプ

ICMP 番号

ICMP 名

0

echo-reply

3

unreachable

4

source-quench

5

redirect

6

alternate-address

8

echo

9

router-advertisement

10

router-solicitation

11

time-exceeded

12

parameter-problem

13

timestamp-request

14

timestamp-reply

15

information-request

16

information-reply

17

mask-request

18

mask-reply

30

traceroute

31

conversion-error

32

mobile-redirect