ルータ設置の準備

このセクションでは、ルータの設置前に確認する推奨事項や要件など、設置前の情報について説明します。

安全に関する推奨事項

全般的な安全を確保するために、次の注意事項に従ってください。

  • 設置中および設置後は、シャーシ付近を清潔で埃がない状態に保ってください。
  • 工具およびシャーシ部品が通行の妨げにならないようにしてください。
  • シャーシに引っかかる可能性がある緩い服は着ないでください。ネクタイまたはスカーフはしっかりと締め、袖はまくり上げてください。
  • 目を負傷する可能性がある状況で作業する場合は、保護眼鏡を着用してください。
  • 人身事故や装置障害を引き起こす作業は行わないでください。

電気機器の安全な取り扱い

電気機器を取り扱う際には、次の注意事項に従ってください。

  • 作業する室内の緊急電源遮断スイッチの場所を確認してください。電気事故が発生した場合、迅速に電源をオフにすることができます。

  • 次の作業を行う前に、すべての電源をオフにしてください。

    • シャーシの設置または取り外し

    • 電源の近くでの作業

  • 床が濡れていないか、アースされていない電源延長コード、すり減った電源コード、保護アースの不備などがないかどうか、作業場所の安全を十分に確認してください。

  • 危険を伴う作業は、一人では行わないでください。

  • 回路の電源が切断されていると思い込まず、必ず確認してください。

  • ルータの内部電源装置の筐体は決して開かないでください。

  • 電気事故が発生した場合は、次の手順に従ってください。

    • 負傷しないように注意してください。

    • デバイスに対する電源をオフにしてください。

    • 可能であれば、医療を受けるために別の人を呼びます。それができないときは、負傷者の状況を見極めてから救援を要請してください。

    • 負傷者に人工呼吸または心臓マッサージが必要かどうかを判断し、適切な処置を施してください。

ステートメント 1028 - 複数の電源


警告


ステートメント 1028 - 複数の電源

この装置には複数の電源装置接続が存在する場合があります。感電の危険を減らすために、すべての接続を取り外してユニットの電源を切ります。


静電破壊の防止

静電放電(ESD)によって機器が損傷し、電子回路に不具合が生じる可能性があります。静電破壊は電子プリント サーキット カードの取り扱いが不適切な場合に発生し、故障または間欠的な障害をもたらします。モジュールの取り外し時および交換時には、必ず ESD 保護手順に従ってください。

  • ルータのシャーシがアースに接続されていることを確認してください。
  • 静電気防止用リストストラップを肌に密着させて着用してください。クリップをシャーシ フレームの塗装されていない面に接続し、好ましくない ESD 電圧を確実にアースに導きます。静電破壊と感電を防ぐために、リストストラップとコードは効果的に使用する必要があります。
  • リストストラップを使用できない場合、シャーシの金属部分に触れることで自分自身をアースしてください。

注意    


機器の安全のために、静電気防止用ストラップの抵抗値を定期的にチェックしてください。抵抗値は 1 ~ 10 M Ω(メガオーム)でなければなりません。


一般的な設置場所の要件

ここでは、ルータの設置と操作を安全にするために設置場所が満たす必要がある要件について説明します。設置前に、設置場所の準備が適切であることを確認します。既存の機器でシャットダウンや異常に多いエラーが発生している場合、障害の原因を特定し、今後の問題を防ぐためにもこの項は役立ちます。

ラックに関する要件

次の情報は、機器のラック構成を計画するときに役立ちます。

  • メンテナンスのために、ラックの周囲にスペースを確保してください。
  • ルータ間に少なくとも 1 個のラック ユニットの垂直のスペースを確保してください。
  • 閉鎖型ラックの場合、換気が十分に行われるようにしてください。各ルータから放熱されるため、ラックに詰め込みすぎないようにしてください。冷気が回るように、閉鎖型ラックにはルーバーが付いた側面とファンが必要です。ラックの下部近くにある機器による放熱は、上部にある機器の吸気口に流れ込む可能性があります。

ルータの環境要件

Cisco IR8340 ルータをラックに取り付けます。ルータの位置と機器ラックまたは配線室のレイアウトは、適切な動作のために非常に重要な考慮事項です。配置が近すぎる機器、不適切な通気、およびアクセスできないパネルによって、誤動作やシャットダウンが生じ、メンテナンスが困難になる可能性があります。ルータの電源側とケーブル側の両方のパネルへのアクセスを計画します。


(注)  


ルータの上に少なくとも 1 ラックユニット分の垂直のスペースを確保してください。

設置場所のレイアウトおよび機器の位置を計画するときは、一般的な設置場所の要件を参照してください。現在、既存の機器にシャットダウンや異常に多いエラー数が発生している場合、障害の原因を分離し、今後の問題を回避するためにこれらの注意事項と推奨事項が役に立つ可能性があります。

  • ルータが動作する室内に適切な空気循環を確保します。電子機器は放熱します。適切な空気循環がなければ、室温では許容可能な動作温度まで機器が冷えない可能性があります。
  • 機器の破損を防ぐため、静電破壊の防止に記載されている静電放電の防止手順に必ず従ってください。静電放電による損傷によって、即時または断続的な機器障害が発生する可能性があります。
  • シャーシカバーとモジュールのケーブル側パネルが固定されていることを確認してください。すべての空のインターフェイス カード スロットおよび電源ベイには、フィラーパネルを装着する必要があります。
  • ラック(特に閉鎖型ラック)に設置された機器に障害が発生した場合、可能であれば、その機器を単体で動作させてみてください。そのラック(および隣接するラック)内にある他の機器の電源を切ることで、最大の冷気とクリーン電力でルータをテストできます。

電源に関する注意事項と要件

設置場所の電源を調べ、クリーンな電力(スパイクやノイズのない電力)が供給されていることを確認してください。必要に応じて、電力調整器を取り付けてください。

AC 電源装置には、110 V または 220 V の動作を自動選択する機能があります。


注意    


Cisco IR8340 では、低電圧 DC 電源と高電圧 DC/AC 電源の 2 種類の電源がサポートされています。必ず、取り付けられている電源に対応する正しい入力電圧を選択してください。そうしないと、損傷の原因になります。


ネットワークケーブル接続の仕様

次のセクションでは、Cisco IR8340 ルータの設置に必要なケーブルについて説明します。

コンソール ポートの接続

Cisco IR8340 ルータには、EIA/TIA-232 非同期(RJ-45)コンソールポートが付いています。コンソールポートに接続されたコンソール端末を使用してルータにローカルにアクセスできます。このセクションでは、ルータをコンソール端末に接続する前に考慮する必要がある、重要なケーブル接続情報について説明します。

使用されているケーブルとアダプタによって、このポートはケーブルの終端で DTE または DCE デバイスと見なされます。同時に 1 個のポートだけを使用できます。

コンソール ポートのデフォルト パラメータは、9600 ボー、8 データ ビット、パリティなし、および 1 ストップ ビットです。コンソール ポートはハードウェア フロー制御をサポートしていません。

ネットワーク接続の準備

ルータをセットアップするときは、距離の制限と、該当する地域および国際規定に定められている電磁干渉(EMI)を考慮してください。

ネットワーク接続の考慮事項は、いくつかの種類のネットワーク インターフェイスに合わせて用意されています。また、次の項で説明されています。

イーサネット接続

IEEE は、イーサネットを IEEE 802.3 標準として規定しました。Cisco IR8340 ルータは、10/100/1000 STP イーサネット接続および 100/1000 SFP 接続をサポートしています。

シリアル接続

RS232 シリアル ネットワーク インターフェイス モジュール(NIM)を使用して、シリアル接続します。装置をシリアル ポートに接続する前に、次のことを知っている必要があります。

  • 同期シリアル インターフェイスに接続しているデバイスの種類(データ端末装置(DTE)またはデータ通信装置(DCE))
  • デバイスへの接続に必要なコネクタの種類(オス型またはメス型)
  • デバイスに必要な信号規格
シリアル接続ケーブル

非同期/同期シリアル ネットワーク モジュールのシリアルポートは、次のケーブルを使用します。使用しているシリアル ケーブルに従って、シリアル ポートは DTE または DCE と設定できます。

表 1. 68 ピンコネクタのインターフェイスケーブル

インターフェイスのタイプと説明

シスコ製品番号

4 ポート ELA-232 DTE、10 フィート、オス DB-25

CAB-HD4-232MT

4 ポート EIA-232 DCE、10 フィート、メス DB-25

CAB-HD4-232FC

4 ポート EIA-232 DTE、10 フィート、メス RJ-45

CAB-QUAD-ASYNC-F

4 ポート ELA-232 DTE、10 フィート、オス RJ-45

CAB-QUAD-ASYNC-M

4 ポート ELA-232 DTE、10 フィート、オス DB-9

CAB-9AS-M

シリアル DTE または DCE デバイス

同期または非同期シリアルインターフェイス上で通信するデバイスは、DCE または DTE デバイスです。DCE デバイスには、デバイスとルータ間の通信のペースを調整するクロック信号が備わっています。DTE デバイスにはクロック信号がありません。通常、DTE デバイスは DCE デバイスに接続します。デバイスが DTE か DCE かについては、デバイスに付属するマニュアルを参照してください(一部のデバイスには、DTE または DCE モードを選択するジャンパがあります)。次の表は、一般的な DTE および DCE デバイスのリストです。

デバイスタイプ

性別

一般的なデバイス

DTE

オス 1

Terminal

PC

DCE

メス 2

Modem

CSU/DSU

マルチプレクサ

1 コネクタの基盤からピンが突き出ている場合、そのコネクタはオス型です。
2 コネクタにピンを受け入れる穴がある場合、そのコネクタはメス型です。
サポートされる信号規格

ルータで利用可能なシリアルポートは、EIA/TIA-232(EIA-323)のシグナリング標準規格をサポートしています。指定する標準規格に適したコネクタを備えるシールド付きシリアル トランジション ケーブルを注文できます。デバイスに使用する標準規格については、そのデバイスのマニュアルを参照してください。シールド付きシリアル トランジション ケーブルのルータ側には、VHDCI 68 ピンコネクタがあります。シリアル トランジション ケーブルのもう一方は、指定する規格に適したコネクタに使用できます。

接続されているケーブルに応じて、シリアルポートは DTE または DCE として設定できます。

DTE と設定するすべてのシリアル ポートには、CSU/DSU または他の DCE デバイスの外部クロッキングが必要です。

距離制限

シリアル信号は、どのビット レートでも、限られた距離を移動できます。一般的に、データ レートが遅くなるほど、距離は長くなります。すべてのシリアル信号は距離制限の影響を受けます。距離制限を超えると、信号は大幅に低下するか、まったく届きません。

次の表は、各シリアルインターフェイスの種類で推奨される最大速度と距離です。ただし、発生する電気的な問題を理解し、それを補正できる場合は、記載されている値よりも大きい速度および距離で良好な結果が得られることもあります。

表 2. シリアル信号の伝送速度および距離

速度(bps)

EIA/TIA-232 の場合の距離

フィート

メートル

2400

200

60

4800

100

30

9600

50

15

19200

25

7.6

38400

12

3.7

56000

8.6

2.6

1544000(T1)

非同期/同期シリアル モジュール ボー レート

次のボーレート制限は、同期/非同期シリアル モジュール内の低速のシリアル インターフェイスに適用されます。

  • 非同期インターフェイス:最大ボーレートは 230 kbps です。

  • 同期インターフェイス:最大ボーレートは 256 kbps 全二重です。

設置およびメンテナンス作業に必要な工具および機器

ルータおよびそのコンポーネントの設置およびアップグレードには、次の道具と機器が必要です。

  • 静電気防止用のコードとリストストラップ
  • No.2 プラス ドライバ
  • プラスドライバ:小型 4 ~ 5 mm(3/16 インチ)、中型 6 ~ 7 mm(1/4 インチ)
  • ラックに合うネジ

さらに、使用する予定のモジュールの種類によっては、外部ネットワークにポートを接続するために次の機器が必要です。

  • WAN および LAN ポートに接続するためのケーブル(構成によって異なります)。

イーサネット(LAN)ポートに接続するために、イーサネット ハブまたはネットワーク インターフェイス カードを搭載した PC。

9600 ボー、8 データ ビット、1 ストップ ビット、フロー制御なし、およびパリティなしに設定されているコンソール端末(ASCII 端末、または HyperTerminal や同様の端末エミュレーション ソフトウェアを実行する PC)。

シリアル インターフェイスに適したデータ サービス ユニット(DSU)またはチャネル サービス ユニット(CSU)/データ サービス ユニット(DSU)。

組み込みの CSU がない CT1/PRI モジュールの場合、外部 CSU。