自動依存関係管理

フレキシブル パッケージでは、自動依存関係管理がサポートされます。RPM の更新中に、関連するすべての依存パッケージをシステムが自動的に特定し、それらを更新します。

図 1. インストール フロー(基本ソフトウェア、RPM、および SMU)


このリリースまでは、ソフトウェアイメージと必要な RPM をネットワークサーバー(リポジトリ)の CCO からダウンロードし、install add コマンドと install activate コマンドを使用してルータに追加し、アクティブにしていました。さらに、関連する依存 RPM を手動で特定し、それらを追加してアクティブにしていました。

自動依存関係管理を使用した場合は、依存 RPM を特定し、個別に追加およびアクティブにする必要がありません。新しいインストールコマンドを実行すると、依存 RPM は自動的にインストールされます。

install source コマンドは、パッケージを追加してアクティブにします。install replace コマンドは、特定のゴールデン ISO(GISO)にパッケージを追加してアクティブにします。


(注)  


  1. Cisco IOS XR バージョン 6.1.1 では、サードパーティ製 SMU(install source コマンド)は、自動依存関係管理に含まれません。サードパーティ製 SMU は、他のインストール手順(IOS XR の SMU および RPM、または管理コンテナのインストール)とは独立して、個別にインストールする必要があります。


これ以降で説明する内容は、次のとおりです。

RPM と SMU の更新

RPM には特定の不具合に対する修正が含まれており、その修正でシステムを更新する必要があります。RPM および SMU を新しいバージョンに更新するには、install source コマンドを使用します。特定の RPM に対してこのコマンドが発行されると、ルータによりリポジトリとの間で通信が行われ、RPM がダウンロードされてアクティブにされます。依存関係にある RPM がリポジトリにある場合、ルータによってその RPM も特定されてインストールされます。

install source コマンドの構文は次のとおりです。

install source リポジトリ [rpm]

install source コマンドは、次の 4 つの方法で実行できます。

  • パッケージ名を指定しない。

    パッケージ名を指定しないと、すべてのインストール済みパッケージがコマンドによって最新の SMU で更新されます。

     install source  [repository]
    
  • パッケージ名を指定する。

    パッケージ名を指定すると、そのパッケージがコマンドによってインストールされ、依存関係とともにそのパッケージの最新の SMU で更新されます。パッケージがすでにインストールされている場合、そのパッケージの SMU だけがインストールされます(すでにインストールされている SMU は、スキップされます)。

     install source  [repository] asr9k-mpls.rpm
  • パッケージ名とバージョン番号を指定する。

    パッケージの特定のバージョンをインストールする必要がある場合、完全なパッケージ名を指定します。このパッケージは、リポジトリにあるパッケージの最新の SMU とともにインストールされます。

     install source  [repository] asr9k-mpls-1.0.2.0-r710.x86_64.rpm
  • SMU を指定する。

    SMU を指定すると、その SMU は依存関係にある SMU とともにダウンロードおよびインストールされます。

     install source  [repository] asr9k-mpls-1.0.2.1-r611.CSCub12345.x86_64.rpm

基本ソフトウェア バージョンのアップグレード

基本ソフトウェアは、新しいバージョンが利用可能になった場合に、新しいバージョンにアップグレードできます。基本ソフトウェアを最新バージョンにアップグレードするには、 install source コマンドを使用します。ベース バージョンをアップグレードすると、 ルータで現在利用可能な RPM もアップグレードされます。


(注)  


SMU は、このプロセスの一部としてアップグレードされません。


install source コマンドの構文は次のとおりです。

install source  repository 

(注)  


データポート上の VRF および TPA はサポートされません。デフォルト以外の VRF インターフェイスを介してしかサーバーにアクセスできない場合、ファイルは、ftp、sfp、scp、http、または https プロトコルを使用してすでに取得しておく必要があります。



(注)  


TPA を実装しているため、デフォルトルート(0.0.0.0/0)は Linux にコピーできません。


install source コマンドを使用するのは次の場合です。

  • バージョン番号を指定する

    基本ソフトウェア(.mini)は、特定のバージョンにアップグレードされます。すべてのインストール済み RPM も、同じリリース バージョンにアップグレードされます。

      install source [repository] version <version> asr9k-mini-x64-<version>.iso 
    次の例を参考にしてください。
    install source repository version 7.0.1 asr9k-mini-x64-7.0.1.iso 

    必要なリリースの .mini ファイルと RPM を自動的に取得して、アップグレードを続行することもできます。

    install source repository asr9k-mini-x64-7.0.1.iso 
  • RPM のバージョン番号を指定する

    システム アップグレードを実行する場合、ユーザーはオプションの RPM(基本ソフトウェアのバージョンのリソースとは異なるリリース)を選択できます。つまり、RPM を指定できます。

      install source repository version 7.0.1 asr9k-mpls-1.0.2.0-r701.x86_64.rpm 

RPM のダウングレード

RPM は、アクティブ化後にダウングレードできます。RPM には次のタイプがあります。

  • hostos RPM:RPM の名前に hostos が含まれています。

    次に例を示します。
    • <platform>-sysadmin-hostos-6.5.1-r651.CSChu77777.host.arm

    • <platform>-sysadmin-hostos-6.5.1-r651.CSChu77777.admin.arm

    • <platform>-sysadmin-hostos-6.5.1-r651.CSChu77777.host.x86_64

    • <platform>-sysadmin-hostos-6.5.1-r651.CSChu77777.admin.x86_64

  • hostos 以外の RPM:RPM の名前に hostos が含まれていません。

    次に例を示します。
    • <platform>-sysadmin-system-6.5.1-r651.CSCvc12346

RPM を非アクティブにするには、次の手順を実行します。

  • hostos RPM のダウングレード

    • シナリオ 1:アクティブバージョンの 09 からバージョン 06 にダウングレードするには、次の手順を実行します。
      1. バージョン 06 の hostos RPM をダウンロードし、その RPM を追加します。
        install add source [repository]  
        <platform>-sysadmin-hostos-6.5.1.06-r65108I.CSChu44444.host.arm <platform>-sysadmin-hostos-6.5.1.06-r65108I.CSChu44444.admin.arm 
        <platform>-sysadmin-hostos-6.5.1.06-r65108I.CSChu44444.host.x86_64 <platform>-sysadmin-hostos-6.5.1.06-r65108I.CSChu44444.admin.x86_64 
      2. ダウンロードした RPM をアクティブにします。
        install activate  [repository] 
        <platform>-sysadmin-hostos-6.5.1.06-r65108I.CSChu44444.host.arm <platform>-sysadmin-hostos-6.5.1.06-r65108I.CSChu44444.admin.arm 
        <platform>-sysadmin-hostos-6.5.1.06-r65108I.CSChu44444.host.x86_64 <platform>-sysadmin-hostos-6.5.1.06-r65108I.CSChu44444.admin.x86_64
      3. 設定をコミットします。
        install commit 
    • シナリオ 2:ベース RPM をアクティブにして hostos RPM を非アクティブにします。バージョン 09 がアクティブであると見なします。

      1. ベース RPM をアクティブにします。

        install activate  <platform>-sysadmin-hostos-6.5.1.08I-r65108I.admin.arm <platform>-sysadmin-hostos-6.5.1.08I-r65108I.host.arm 
        <platform>-sysadmin-hostos-6.5.1.08I-r65108I.admin.x86_64  <platform>-sysadmin-hostos-6.5.1.08I-r65108I.host.x86_64
        たとえば、RPM がインストール済みの RPM の場合、 はベース RPM です。
      2. 設定をコミットします。
        install commit 

      サードパーティ製の RPM のダウングレードは、hostos RPM と同様です。SMU をダウングレードするには、SMU の下位バージョンをアクティブにします。存在する SMU のバージョンが 1 つのみの場合は、その SMU のベース RPM をアクティブにする必要があります。


      (注)  


      hostos とサードパーティ製の RPM を非アクティブにすることはできません。異なるバージョンのアクティベーションのみがサポートされています。


  • hostos 以外の RPM のダウングレード

    1. RPM を非アクティブにして、以前のバージョンの RPM にダウングレードします。
      install deactivate  <platform>-<rpm-name>
    2. RPM のアクティブなバージョンを確認します。
      show install active 
    3. 設定をコミットします。
      install commit