工場出荷時の状態へのリセット

この章では、Cisco Catalyst 8000V の初期設定へのリセットの実行について説明します。初期設定へのリセット機能は、ルータから機密情報を削除したり、ルータを完全に機能する状態にリセットしたりするのに役立ちます。

初期設定へのリセットに関する情報

初期設定へのリセットは、ルータの現在の実行コンフィギュレーション情報およびスタートアップ コンフィギュレーション情報をクリアし、ルータを以前の完全に機能する状態にリセットするプロセスです。初期設定へのリセットプロセスでは、factory-reset all コマンドを使用します。


(注)  


Cisco Catalyst 8000V インスタンスの初期設定へのリセットにかかる時間は、ストレージのタイプやルータに存在するデバイスなどの要因によって異なります。


削除される情報:

初期設定へのリセットを実行すると、次の情報が削除されます。

  • ライセンス:ユーザーがインストール、製造元が提供

  • 不揮発性ランダム アクセス メモリ データ

  • ユーザーのログイン情報

  • 起動設定

  • すべての書き込み可能ファイルシステムおよび個人データ

  • ROMMON 変数

  • 永続ストレージデバイス

  • ブートフラッシュで実行されているコンテナ

保持される情報:

ただし、次の情報は初期設定へのリセット後も保持されます。

  • リセット完了後にルータへのアクセスを提供するファイルを含む重要な情報

  • 初期設定へのリセットを実行する前にインストールされていたソフトウェアパッケージ

  • UDI およびスマートライセンスファイル

サポートされているシナリオ:

初期設定へのリセット機能は、次のシナリオで使用できます。

  • Cisco Catalyst 8000V インスタンスを安全な方法で削除する場合。

  • 悪意のある攻撃によってルータのデータが侵害された場合、ルータを初期設定にリセットしてから、今後の使用のためにもう一度設定しなおす必要があります。

サポート対象プラットフォーム:

初期設定へのリセットは、Amazon Web Services、Microsoft Azure、GCP クラウド、VMware ESXi、Hyper-V を含むすべてのプラットフォームで実行されている Cisco Catalyst 8000V インスタンスでサポートされています。

初期設定へのリセット実行の前提条件

  • 初期設定へのリセット操作を実行する前に、すべてのソフトウェアイメージ、設定、および個人データがバックアップされていることを確認してください。

  • 初期設定へのリセットプロセスが進行中の場合は、電源の中断がないことを確認します。

  • インスタンスのブートフラッシュに少なくとも 8 GB のメモリがあることを確認します。

初期設定へのリセット実行の制限事項

  • ルータにインストールされているソフトウェアパッチは、初期設定へのリセット操作後に復元されません。

  • 初期設定へのリセットプロセス中は、Cisco Catalyst 8000V インスタンスを再起動しないでください。

  • 仮想テレタイプ(VTY)セッションを介して factory reset コマンドが発行された場合、初期設定へのリセットプロセスの完了後にセッションは復元されません。

初期設定へのリセットの実行方法

手順


ステップ 1

Cisco Catalyst 8000V インスタンスにログインします。

ステップ 2

コマンドプロンプトで、factory-reset all コマンドを実行します。

次の情報が表示されます。

factoryreset#factory-reset all
The factory reset operation is irreversible for all operations. Are you sure? [confirm]
 The following will be deleted as a part of factory reset:
 1: All writable file systems and personal data
 2: Licenses
 3: Configuration
 4: User Credentials
 The system will reload to perform a factory reset.
 Note that any day0 configuration will be applied after reload
 DO NOT STOP OR INTERRUPT THE POWER DURING RESET
Are you sure you want to continue? [confirm]Connection to 172.18.25.29 closed by remote host.
Connection to 172.18.25.29 closed.

ステップ 3

confirm と入力して初期設定へのリセットを続行します。

(注)  

 

初期設定へのリセットプロセスにかかる時間は、ストレージのタイプと、Cisco Catalyst 8000V インスタンスを展開するクラウドサービスによって異なります。

(注)  

 

初期設定へのリセットプロセスを終了する場合は、Escape キーを押します。


次のタスク

初期設定へのリセットプロセスが完了すると、プロセスが成功したかどうかを示すログファイルがブートフラッシュに保存されます。

初期設定へのリセット後におけるスマートライセンスの復元

リセット後、スマートライセンスの設定も削除されます。トークン ID を使用して、ルータでスマートライセンスを再設定する必要があります。接続モードでは、スマートライセンス用にインスタンスを登録するときに、強制オプションを使用する必要があります。つまり、license smart register idtoken *****token***** force コマンドを使用する必要があります。登録プロセスが開始されます。

強制オプションを使用せず、スマートライセンスを直接設定すると、ライセンスの登録が失敗します。次に、失敗した登録の出力例を示します。

router#show license status
router#show license status
Smart Licensing is ENABLED

Utility:
  Status: DISABLED

Data Privacy:
  Sending Hostname: yes
    Callhome hostname privacy: DISABLED
    Smart Licensing hostname privacy: DISABLED
  Version privacy: DISABLED

Transport:
  Type: Callhome

Registration:
  Status: UNREGISTERED - REGISTRATION FAILED
  Export-Controlled Functionality: NOT ALLOWED
  Initial Registration: FAILED on Feb 15 22:03:29 2019 UTC
    Failure reason: The product regid.2013-08.com.cisco.C8KV,1.0_1562da96-9176-4f99-a6cb-14b4dd0fa135 and sudi containing udiSerialNumber:9XIVK9PIVPK,udiPid:C8000V has already been registered.

License Authorization: 
  Status: No Licenses in Use

Export Authorization Key:
  Features Authorized:

license smart register idtoken *****token***** force コマンドを実行すると、ライセンスは登録済み(Registered)状態になります。次に、Registered 状態の設定出力の例を示します。

router#show license status
Smart Licensing is ENABLED

Utility:
  Status: DISABLED

Data Privacy:
  Sending Hostname: yes
    Callhome hostname privacy: DISABLED
    Smart Licensing hostname privacy: DISABLED
  Version privacy: DISABLED

Transport:
  Type: Callhome

Registration:
  Status: REGISTERED
  Smart Account: InternalTestDemoAccount8.cisco.com
  Virtual Account: RTP-CSR-DT-Prod
  Export-Controlled Functionality: ALLOWED
  Initial Registration: SUCCEEDED on Feb 15 22:04:07 2019 UTC
  Last Renewal Attempt: None
  Next Renewal Attempt: Dec 14 22:04:06 2020 UTC
  Registration Expires: Dec 15 21:59:05 2021 UTC

License Authorization: 
  Status: AUTHORIZED on Dec 15 22:04:11 2020 UTC
  Last Communication Attempt: SUCCEEDED on Feb 15 22:04:11 2019 UTC
  Next Communication Attempt: Dec 17 22:04:11 2020 UTC
  Communication Deadline: Dec 16 21:58:10 2020 UTC

Export Authorization Key:
  Features Authorized:
    <none>

初期設定へのリセット後の動作

初期設定へのリセットが正常に完了すると、ルータが起動します。ただし、初期設定へのリセットプロセスが開始される前に、コンフィギュレーション レジスタが ROMMON から手動で起動するように設定されていた場合、ルータは ROMMON で停止します。


重要


現在のブートイメージがリモートイメージであるか USB または NIM-SSD に保存されている場合は、初期設定へのリセットプロセスを開始する前に、必ずイメージのバックアップを作成してください。


初期設定にリセットしても、Cisco Catalyst 8000V インスタンスの UDI は変更されません。初期設定へのリセット後に UDI が同じであるかどうかを確認するには、初期設定へのリセットプロセスの前後に factoryreset#show license udi コマンドを実行します。

スマートライセンスを設定したら、#show license status コマンドを実行して、インスタンスでスマートライセンスが有効になっているかどうかをチェックします。


(注)  


初期設定へのリセットを実行する前に SLR を有効にしていた場合は、同じライセンスを使用し、スマートエージェントから受け取ったライセンスキーを入力します。