Cisco Nexus 9500 プラットフォーム スイッチは、通常、高可用性を提供するために 2 つのスーパーバイザ モジュール(1 つの現用系スーパーバイザ モジュールと 1 つのスタンバイ スーパーバイザ モジュール)で構成されています。各スーパーバイザ
モジュールには、ファイル ストレージ用の独自のブートフラッシュ ファイル システムがあり、通常、現用系ブートフラッシュ ファイル システムとスタンバイ ブートフラッシュ ファイル システムは互いに独立しています。現用系ブートフラッシュに特定のコンテンツが必要な場合、将来スイッチオーバーが発生した場合に備えて、同じコンテンツがスタンバイ
ブートフラッシュにも必要でしょう。
Cisco NX-OS 9.2(2) リリースより前は、現用系スーパーバイザ モジュールとスタンバイ スーパーバイザ モジュール間でこのようなコンテンツを手動で管理する必要がありました。Cisco NX-OS 9.2(2) 以降では、スタンバイ
スーパーバイザ モジュールが up 状態で使用可能なら、現用系スーパーバイザ モジュールまたは現用系ブートフラッシュ(/bootflash)上の特定のファイルとディレクトリを、スタンバイ スーパーバイザ モジュールまたはスタンバイ ブートフラッシュ(/bootflash_sup-remote)に自動的に同期できます。同期するファイルとディレクトリを選択するには、スイッチに Bash をロードし、現用系ブートフラッシュからスタンバイ ブートフラッシュに同期するファイルとディレクトリを、編集可能ファイル /bootflash/bootflash_sync_list に追加します。
次に例を示します。
switch# run bash
bash-4.2# echo "/bootflash/home/admin" | sudo tee --append /bootflash/bootflash_sync_list
bash-4.2# echo "/bootflash/nxos.7.0.3.I7.3.5.bin" | sudo tee --append /bootflash/bootflash_sync_list
bash-4.2# cat /bootflash/bootflash_sync_list
/bootflash/home/admin
/bootflash/nxos.7.0.3.I7.3.5.bin
bash-4.2# echo /bootflash/home/admin >> /bootflash/bootflash_sync_list
bash-4.2# echo /bootflash/nxos.7.0.3.I7.3.5.bin >> /bootflash/bootflash_sync_list
現用系ブートフラッシュのファイルまたはディレクトリに変更が加えられた場合、スタンバイ ブートフラッシュが up 状態で使用可能なら、これらの変更はスタンバイ ブートフラッシュに自動的に同期されます。スタンバイ ブートフラッシュが通常のブート、スイッチオーバー、または手動スタンバイ
リロードのいずれかでリブートされると、スタンバイ スーパーバイザがオンラインになったとき、現用系ブートフラッシュへの変更のキャッチアップ同期がスタンバイ ブートフラッシュにプッシュされます。
次に、編集可能な /bootflash/bootflash_sync_list ファイルの特性と制限事項を示します。
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/bootflash/bootflash_sync_list ファイルは、最初の実行時に自動的に作成されますが、最初の作成状態では空です。
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/bootflash/bootflash_sync_list ファイルのエントリは、次の注意事項に従います。
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/bootflash/bootflash_sync_list ファイル自体は、自動的にスタンバイ ブートフラッシュに同期されます。copy virtual shell(VSH)コマンドを使用して、スーパーバイザ モジュールとの間で /bootflash/bootflash_sync_list ファイルを手動でコピーすることもできます。
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次のコマンドを使用して、スーパーバイザ モジュールで直接 /bootflash/bootflash_sync_list ファイルを編集できます。
run bash vi /bootflash/bootflash_sync_list
同期イベントからのすべての出力は、ログファイル /var/tmp/bootflash_sync.log にリダイレクトされます。次のいずれかのコマンドを使用して、このログファイルを表示または追跡できます。
run bash less /var/tmp/bootflash_sync.log
run bash tail -f /var/tmp/bootflash_sync.log
同期スクリプトは、現用系ブートフラッシュ ディレクトリ上の対応するファイルの削除イベントを明示的に受信しない限り、スタンバイ ブートフラッシュ ディレクトリからファイルを削除しません。場合によっては、スタンバイ ブートフラッシュの使用中のスペースが現用系ブートフラッシュよりも多くなり、現用系ブートフラッシュと同期しているときにスタンバイ
ブートフラッシュのスペースが不足することがあります。スタンバイ ブートフラッシュを現用系ブートフラッシュの正確なミラーにする(スタンバイ ブートフラッシュ上の余分なファイルを削除する)には、次のコマンドを入力します。
run bash sudo rsync -a --delete /bootflash/ /bootflash_sup-remote/
同期スクリプトは、クラッシュまたは終了することなく、バックグラウンドで実行され続ける必要があります。ただし、何らかの理由で実行が停止した場合は、次のコマンドを使用して手動で再起動できます。
run bash sudo /isan/etc/rc.d/rc.isan-start/S98bootflash_sync.sh start