WAN(ワイドエリアネットワーク)とは

最も単純なワイドエリアネットワーク(WAN)は、互いに通信するローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワークの集まりです。基本的に、WAN は世界最大の WAN であるインターネットを含む、ネットワークのネットワークです。

今日では、現代生活のほぼすべての側面に関連するさまざまなユースケース向けに構築された数種類の WAN が存在します。

ワイドエリアネットワークの成り立ち

  • 知られている限りの最初の WAN は、1950 年代の後半に Semi-Automatic Ground Environment(SAGE)のレーダー防衛システムの拠点を相互接続するためにアメリカ空軍によって開発されたもので、専用電話回線、電話機、モデムからなる巨大なネットワークで各拠点が接続されました。
  • IP ベースのインターネットは、分散制御方式を採用した初めてのワイドエリアパケット交換ネットワークであり、TCP/IP プロトコルスイートを導入した初めてのネットワークでもある、Advanced Research Projects Agency Network(ARPANET)から始まりました。
  • ARPANET は、最初にカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、スタンフォード研究所(現 SRI インターナショナル)、カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)、ユタ州立大学を相互接続しました。

WAN ルータとは

  • エッジルータまたはボーダールータとしても知られる WAN ルータは、WAN 拠点間でデータパケットをルーティングして企業にキャリアネットワークへのアクセスを提供するデバイスです。Packet over SONET/SDH(PoS)、マルチプロトコル ラベル スイッチング(MPLS)、ATM、フレームリレーなど、歳月をかけていくつかの WAN プロトコルが開発されてきました。

ソフトウェア定義型 WAN(SD-WAN)とは

  • ソフトウェア定義型 WAN(SD-WAN)は、WAN アーキテクチャを展開、運用、管理しやすくするためのアプローチであり、仮想化、アプリケーションレベルのポリシーとオーバーレイネットワーク、オンサイトの SD-WAN デバイスとソフトウェア プラットフォームに依存します。
  • SD-WAN は、トラフィックを低コストのネットワークリンクに移行して、コストのかかるリースまたは MPLS 回線に取って代わることにより、WAN 全体のデータ転送を効率化します。 

WAN 最適化とは

  • 遅延と帯域幅の制限は、エンタープライズ WAN でパフォーマンスの問題を引き起こすことが少なくありません。WAN 最適化では、重複排除、圧縮、プロトコル最適化、トラフィックシェーピング、ローカルキャッシングなどのさまざまな手法が使用されます。これらの手法によってパケット配信とトラフィック制御が改善され、ネットワーク帯域幅を必要に応じて動的に拡縮できるようになります。
  • SD-WAN テクノロジーと WAN 最適化は、個別に使用することも組み合わせて使用することも可能です。一部の SD-WAN ベンダーは、自社製品に WAN 最適化機能を追加しています。

WAN テクノロジーのタイプ

パケット交換

パケット交換は、メッセージをパケットと呼ばれるいくつかの部分に分割してから各パケットに最適なルートで 3 重化して個別に送信し、送信先で再構築するデータ伝送の手法です。各パケットには、ペイロードと呼ばれる部分に加え、送信先と再構築するための情報を含む識別ヘッダーが含まれています。パケットは、パケットの破損をチェックするために 3 重化して送信されます。パケットはすべて、少なくとも 2 つのコピーを比較してそれらが一致していることを確認するプロセスで検証され、検証に失敗すると、パケットの再送信要求が行われます。


TCP/IP プロトコルスイート

TCP/IP は、今日のインターネットやその他のコンピュータ/デバイスネットワークでネットワークデバイスを相互接続するために使用される、基本的な通信プロトコルからなるプロトコルスイートです。TCP/IP は Transmission Control Protocol/Internet Protocol の略です。


ルータ

ルータは、一般的に LAN を相互接続してワイドエリアネットワーク(WAN)を形成するために使用されるネットワーキングデバイスであり、そうした意味で WAN デバイスと呼ばれます。IP ルータは、IP アドレスを使用してパケットの転送先を決定します。IP アドレスは、接続されている各ネットワークデバイスに割り当てられる数字のラベルです。


オーバーレイネットワーク

オーバーレイネットワークは、ソフトウェアを使用して別のネットワーク(一般的にはハードウェアおよびケーブル インフラストラクチャ)上に仮想ネットワークを構築するデータ通信技術です。これは多くの場合、基盤となるネットワークで使用できないアプリケーションまたはセキュリティ機能をサポートするために行われます。


Packet over SONET/SDH(PoS)

Packet over SONET は、主に WAN トランスポートに使用される通信プロトコルであり、最適な光ファイバと SONET(Synchronous Optical Network)または SDH(Synchronous Digital Hierarchy)通信プロトコルを使用した場合のポイントツーポイントリンクの通信方法を定義します。


マルチプロトコル ラベル スイッチング(MPLS)

MPLS は、ネットワークルーティング最適化技術であり、長いネットワークアドレスではなく短いパスラベルを使用してノード間でデータを伝送することにより、時間のかかるルーティングテーブルの参照を回避するものです。


ATM

ATM(Asynchronous Transfer Mode)は、その大部分が IP ベースのテクノロジーに取って代わられた、初期のデータネットワークで多く見られるスイッチング技術です。ATM は、非同期時分割多重化を使用してデータを小さい固定長のセルにエンコードします。これとは異なり、今日の IP ベースのイーサネットテクノロジーでは、データにさまざまなパケットサイズが使用されます。


フレームリレー

フレームリレーは、LAN または WAN のエンドポイント間でデータを伝送するためのテクノロジーであり、パケット交換手法を使用してデジタル通信チャンネルの物理レイヤとデータリンクレイヤを指定します。

フレームリレーは、データをフレームにまとめて共有フレームリレーネットワークで送信します。各フレームには、データを送信先にルーティングするのに必要なすべての情報が含まれています。フレームリレーの当初の目的は、通信事業者の ISDN インフラストラクチャ全体にデータを伝送することにありましたが、今ではその他多くのネットワーキングの場面で使用されています。